Kaguya Planet一周年!
バゴプラの主催するオンラインSF誌Kaguya Planetは、2020年12月27日に始動しました。本日でちょうど一周年になります。この一年間で、22編の書き下ろしSF短編小説、10編のマイクロノベル、5編の翻訳SF短編小説、英語詩・短歌連作・俳句連作を一作品ずつ、1本の論考、4本のインタビュー、2本のレポートとアンケートを掲載しました。この一年間、様々な形でKaguya Planetを支えてくださった皆様に心から御礼申し上げます。
一ヶ月の先行公開期間ののち無料で一般公開するという仕組みは、会員に登録していただいている皆様のご支援によって成り立っています。また、読者の皆様がたくさんの感想をシェアしてくださったおかげで、より多くの方に作品を届けることができました。
Kaguya Planetを開始した際には想像もしていなかった展開を迎えることもできました。日本語作品に加えて翻訳作品も掲載するようになり、初邦訳の作家4名を日本語圏に紹介することができました。また、犬と街灯が主催する「島アンソロジー」とコラボさせていただいたことによって、SF短詩を掲載することもできました。いずれも皆様のアイデアや助言によって実現した展開です。
そして、Kaguya Planetを主催するバゴプラでは、新SFレーベルKaguya Booksを立ち上げました。Kaguya Planetに「冬眠世代」を寄稿した蜂本みささんの単著等の刊行を予定しており、Kaguya Planetと合わせて今後より一層発展させていきます。
Kaguya Planetは2022年も珠玉の短編小説を掲載していきます。12月に引き続きジェンダーSF特集の開催、2本の翻訳作品の掲載も決まっています。これからもKaguya Planetをよろしくお願いいたします。
この1年間で掲載した全コンテンツを紹介します。読み逃している作品やインタビューなどがありましたら、これを機にぜひお読みください!
ジェンダーSF特集開催中!
Kaguya Planetでは現在、ジェンダーSF特集を開催しております。「魔女」「ケア」「おばあちゃん」の三つのトピックにスポットを当てて、社会のシステムや人々の価値観に広く重層的に根を張っているジェンダーについて、SF的な想像力を働かせた作品と論考を掲載しています。こちらの三作品は現在先行公開中。
高山羽根子「種の船は遅れてたどり着く」
彼女たちが移住のために『種の船』に乗っていたのは、人類がまだ狩猟と採集による生活をしていた時代の話…
記録されず、いなかったことにされた女性たちの姿を、SF的想像力で浮かび上がらせる短編小説。
1975年生まれ。SF作家。多摩美術大学美術学部絵画学科を卒業。2009年に「うどん キツネつきの」が第1回創元SF短編賞の佳作を受賞。同作が収録された短編集『原色の想像力』(創元SF文庫)にてデビュー。2014年には短編集『うどん キツネつきの』(創元SF文庫) を刊行。『うどん キツネつきの』は第36回日本SF大賞最終候補に選出された。2016年には『太陽の側の島』で第2回林芙美子文学賞を受賞。2020年には『首里の馬』(新潮社) で第163回芥川龍之介賞を受賞。武器としての、そして祈りとしての映像と、女性たちの姿を描いた新作『暗闇にレンズ』(東京創元社)は現在選考中の第42回日本SF大賞の最終候補作となっている。
近藤銀河「SFの中で踊る魔女 ─未来をフェミニストとして生き延びるために─」
SF作品の中で、性差別や社会のシステムに抗い、怒りを抱えてきたものたちはたくさん描かれてきた。そんなSFの中にいる魔女的な人々を語り、社会を動かす魔女のパワーを伝えるエッセイ。
フェミニズムとセクシュアリティの観点から美術や文学、サブカルチャーについて研究・執筆し、アーティストとして実践を行なっている。日本SF作家クラブの会員。2020年には「フェミニストによるフェミニズムSF」を『SFマガジン』2020年8月号に、「女/オタクという多重する経験を生きること。創作を通してアイデンティを語ること。」を『ユリイカ』2020年9月号に寄稿している。2021年には「未来の女を想うとき──SFはフェミニズム」を『フェミニズム文学ガイド』(水上文編) に、「『シン・エヴァンゲリオン』とポストフェミニズム」を『『シン・エヴァンゲリオン』を読み解く』(河出書房新社) に寄稿している。
正井「優しい女」
IKEAが発売した単機能AIは、当初は顧客対応を目的としていた。自分と顧客のやり取りを学習させ、近似した会話を可能にする。これを別の用途で使う人々を見つけたのは三ヶ月ほど前だ。彼らはそれに、義理の両親や老いた親とのやり取りをさせていた。
2014年に個人誌としてSF短編集『沈黙のために』を発表。2017年には『さまよえるベガ・君は』を、2019年には『沈黙のために』の新装版を発行した。「大食い女」を寄稿した『フード性悪説アンソロジー 燦々たる食卓』(2018) をはじめ、数多くの同人誌で小説および短歌・俳句を発表してきた。2019年に第一回ブンゲイファイトクラブ本戦出場。2020年には第一回かぐやSFコンテストで「よーほるの」が最終候補11作品に選出され、Kaguya Planetに掲載した人魚譚「宇比川」もSNSを中心に話題になった。唯一無二の作風でファンから強い支持を得ている。
書き下ろしSF短編小説
揚羽はな「また、来てね!」
主人公のエミは幼い娘のナオを地球に残し、長期の宇宙探査の任務に就いていた。エミは15年ぶりの帰還を果たすが、そこで待っていたのは、再会したナオからの意外な言葉だった。
藤井太洋「まるで渡り鳥のように」
2119年、宇宙に居留し春節に大陸へ帰省する華人は「華㝯」と呼ばれるようになっていた。浙江大学自然工学研究所に所属する日比野ツカサは、軌道居留施設で生物の移動に関する研究に取り組んでいる。そのツカサの元に、ある知らせが届く。
1971年、鹿児島県奄美大島生まれ。ソフトウェア会社に勤務する傍ら執筆した長編『Gene Mapper』を電子書籍で発表し、2012年のKindle本で最多販売数を記録する。2015年、『オービタル・クラウド』で第35回日本SF大賞および第46回星雲賞日本長編部門を受賞。2019年、『ハロー・ワールド』で第40回吉川英治文学新人賞受賞。2015年から2018年まで、第18代日本SF作家クラブ会長を務める。海外のSFイベントにも数多く出演。様々なメディアでの発信やSF関係者との交流を通して、日本SFの成長に貢献している。
正井「宇比川」
間違えたバスにずっと乗り続けている私。親戚の集まりに辿り着きたくない私は、「人魚寺」と呼ばれるお寺を目指していた。人魚伝説が伝わる宇比川町での不思議な物語。
2014年に個人誌としてSF短編集『沈黙のために』を発表。2017年には『さまよえるベガ・君は』を、2019年には『沈黙のために』の新装版を発行した。「大食い女」を寄稿した『フード性悪説アンソロジー 燦々たる食卓』(2018) をはじめ、数多くの同人誌で小説および短歌・俳句を発表してきた。2019年に第一回ブンゲイファイトクラブ本戦出場。2020年には第一回かぐやSFコンテストで「よーほるの」が最終候補11作品に選出され、Kaguya Planetに掲載した人魚譚「宇比川」もSNSを中心に話題になった。唯一無二の作風でファンから強い支持を得ている。
蜂本みさ「冬眠世代」
冬が来れば、貧しい熊は冬眠しなければならない。工場で働く熊のツブテは毎年冬眠を繰り返してきた。冬眠しないで済む裕福な熊との差が寂しい。でもこの冬は、スグリと一緒に夢にもぐれる。
2020年に掌編集『いきもんら』を発表。2021年には、西崎憲がプロデュースする短文集シリーズ「kaze no tanbun」(柏書房) 第3弾に参加する。また、毎週水曜日21時より、谷脇クリタ、北野勇作と共に「犬と街灯とラジオ」(通称:犬街ラジオ)をツイキャスで配信。トークと共に朗読を披露している。2019年には第一回ブンゲイファイトクラブで準優勝、2020年には第二回ブンゲイファイトクラブで優勝を果たした、“今最も強い小説家“。
佐伯真洋「月へ帰るまでは」
そこは“植物船”が行き交う世界。船は都市となっていた。巨大な植物船コロニーに乗る梅の船の民・トーリャと柳の船の民・リョウは、ある日、思いがけない出会いを果たす。
1991年生まれ、大阪府出身。仕事と育児をしつつ大学で勉強中。2016年、初めて書いたSF小説「母になる」が第4回日経星新一賞で最終候補に選ばれると、同年から3年連続で同賞の最終候補に選出された。2020年には「青い瞳がきこえるうちは」が第11回創元SF短編賞の最終候補入りを果たす。同年夏に開催された第1回かぐやSFコンテストでは「いつかあの夏へ」で読者賞を受賞。筆者名を伏せた状態で実施された読者投票で最多票を獲得した。同年12月には、Toshiya Kameiが英訳した「母になる」がWelkin Magazineに掲載されることが決定し、英語誌でのデビューが決まった。国内外で活躍の場を広げる次世代注目のSF作家。
冬乃くじ「国破れて在りしもの」
新しい市長が掲げた政策は、次々と街の形を変えていった。施設が取り壊され、また建設されていく。それを見守る人々、そして抗う人々。変わりゆく街を待つ運命とは……
オーガニックゆうき「チグハグバナナ」
ある日突然、私の部屋に現れた「バナナ」は、世界を、そして私の生活を壊していく。「バナナ」は、一体何を求めているのか。チグハグな「バナナ」との奇妙な物語。
1992年生まれの小説家、ウルトラシリーズ好きの、うちなーんちゅ。2018年に『入れ子の水は月に轢かれ』で第8回アガサ・クリスティー賞を受賞し、同作で早川書房からデビューを果たす。2019年10月から2020年6月までは、沖縄タイムスでコラム『うちなぁ見聞録』を連載。2020年12月には『社会・からだ・私についてフェミニズムと考える本』(社会評論社)にSF中編「龍とカナリア」を寄稿した。ミステリとSFを自在に横断していく多才さを見せる注目の作家。
麦原遼「それはいきなり繋がった」
ある春の日、世界は左右の反転した鏡の世界と繋がった。シンメトリーな二つの世界には、一つ大きな違いがある。鏡の世界との境界となった僕の町は変貌を遂げていく。
プロフィール
1991年生まれ。ゲンロン 大森望 SF創作講座の2期生。2018年に『逆数宇宙』
大木芙沙子「かわいいハミー」
博士の作った最高傑作のヒューマノイドロボット〈ハミー〉。博士に言われた通り、今日もアタマを働かせて人の役に立つ方法を考える。しかしそんなハミーにはうまく稼働しない機能があった。
プロフィール
1988年生まれ。2019年からオンライン文芸誌「破滅派」にて活動。2021年には、”Neighs and Cries” (原題:馬娘婚姻譚) がNew World Writing に掲載されたのを皮切りに、Ghost Orchid Pressのホラーアンソロジーシリーズ『HOME』、 『Beneath』、『Cosmos』や、Insignia Storiesのアンソロジー『Mythical Creatures of Asia』など英語圏の媒体にも活動の場所を広げている(翻訳はいずれもKamei Toshiya)。余韻の残る短編小説が魅力の書き手で、2021年6月刊行の『kaze no tanbun 夕暮れの草の冠』(柏書房)に短編を掲載、惑星と口笛ブックスから短篇集を刊行予定。
赤坂パトリシア「Linguicide,[n.]言語消滅」
ある梅雨明けの火曜日、日本時間19時46分。異変の兆候は、海外の大都市で発見された。日本人の配偶者、友人、同僚が忽然と消えた、という報告が相次いで上がったのだ…
プロフィール
イングランド在住。仕事と子育てをしながら、小説投稿サイト「カクヨム」にて執筆活動をしている。2019年には、カクヨムで連載していた『ネコばあさんの家に魔女が来た』が第4回カクヨムWeb小説コンテストでキャラクター文芸部門・特別賞を受賞、2020年にKADOKAWAから単行本として出版された。イギリスの文化や歴史に関わる分野の博士号を取得しており、バイリンガルの子どもを育てていることもあり、言語、特に継承語については日頃から考えている。背後にある社会問題を射程に入れた、細やかな人物描写が魅力の作家だ。
大竹竜平「祖母に跨る」
ある寒村都市で、故人の仏壇を夜な夜な動かす奇妙な供養が流行っている…
仏壇仏具のベンチャー企業の社員、黒田から亡き祖母の家に呼び出された私は、ある記録動画を見せられる。
プロフィール
グラフィックデザイナー、劇作家。チーム夜営にて、脚本や宣伝美術を担当。2017年、第5回せんだい短編戯曲賞の大賞を受賞。2019年には、美術手帖2019年10月号掲載の漫画「The Space Potter」の原作を担当。2020年には「祖父に乗り込む」が第一回かぐやSFコンテストの審査員長賞を受賞。また、「瞬きのカロリー」がかながわ短編戯曲賞2020の大賞を受賞。翌年のかながわ短編戯曲賞2021では、戯曲コンペティションの一次審査委員をつとめている。デザインでの仕事に加えて、戯曲、小説、漫画の原作など、多岐にわたるジャンルの執筆活動をしている、多彩な書き手だ。
宮内悠介「偽の過去、偽の未来」
子どもの頃父がわたしに見せてくれたもの、それは一言であらわすならば、未来だった。大人になったわたしは暗号通貨の研究を始める。成果が認められ、今度は私自身が未来予測を求められるようになるが…
1979年生まれ。小説家。日本SF作家クラブ、日本推理作家協会会員。2010年に「盤上の夜」が第1回創元SF短編賞で選考委員特別賞を受賞。同作を収録した連作短編集『盤上の夜』(東京創元社,2012年)にてデビューし、第33回日本SF大賞を受賞。SFや純文学など、ジャンル横断的に活躍しており、作品は韓国語、英語、中国語(繁体字)など、多くの言語に翻訳されている。2021年には『偶然の聖地』 (講談社文庫)が文庫化、『WIRED』(2021,vol.42)に「最後の共有地」を掲載。「最後の共有地」は「偽の過去、偽の未来」と合わせて暗号通貨シリーズとなっている。海外での経験も多く、執筆、翻訳、プログラミング、作曲など幅広い創作活動をしている。
原里実「ひかる水辺のものたち」
スウが小さな頃から、ユーリはずっといちばん近くにいてくれた。とっておきの昼寝の場所も、ウクワの実の食べ方も、全部ユーリが教えてくれた。でもそんな大好きなユーリのからだが少しずつ変化を遂げていく…
1991年生。ゲンロン大森望SF創作講座5期生。CINRAの編集者。2014年に「タニグチくん」が第20回三田文学新人賞佳作を、2016年に「レプリカ」が第三回文学金魚新人賞 辻原登奨励小説賞を受賞。2018年には両作を収録した短編集『佐藤くん、大好き』(金魚プレス日本版)を刊行。2021年には「A Family of Plants」(邦題:植物家族)がWorld Literature Todayに掲載。第一回かぐやSFコンテストで選外佳作となった「永遠の子どもたち」が「Eternal Children」としてAsymptoteに掲載。(翻訳はいずれもToshiya Kamei) 揺れ動く心情を確かな手触りで表現した短編小説を多数発表している。
もといもと「境界の街〜僕らの極秘計画〜」
こないだの岳彦の計画は、金魚に鼻くそを食わせるというロクでもない実験だった。今度の「極秘計画」は僕らの街の巨大化したダチョウ、ミュオを巡るものだ。ところがこの極秘計画は思わぬ展開を見せて…
webディレクター兼ボドゲクリエイター。「不確定要素」を追加しながら箱の中の「ねこ」を観測しあう、新感覚のカードバトル「シュレーディンガーのねこ」の制作者。2020年に第一回かぐやSFコンテストをきっかけにSF小説を書き始め、「嘘つきロボット先生」が同コンテストにて選外佳作に選出された。翌年の第二回かぐやSFコンテストでは、子供時代の思い出を描いた「黄金蝉の恐怖」が最終候補作品に選出され、生き生きとした描写によって多くの読者の心を掴んだ。海外SF、昆虫、化石、お酒、エビフライ、面白い話が好物。特技はルービックキューブと利きビール。
こい瀬伊音「DNAR」
DNARとは、蘇生に成功することがそう多くない中で、患者本人または患者の利益にかかわる代理者の意思決定を受けて心肺蘇生を行わないこと。高齢者医療に悩む医師とDNARをめぐる、ある夜の物語。
詩人を名乗る小説書き。2020年には「人魚姫の耳」が文芸オープントーナメント第二回ブンゲイファイトクラブで本戦出場を果たした。2021年には五つの単語のみで構成される文芸「伍糸布」を集めた『伍糸布集』(川咲道穂編) 、人魚にまつわるアンソロジー『海界』(阿瀬みち編) に寄稿している。日本初のオストメイトモデル、エマ・大辻・ピックルスさんのオストメイト認知向上活動に賛同し、オストメイトマークの認知向上ポスターのキャッチコピーとボディコピーを担当した。軽やかさと重たさを併せ持つ書き手で、自身のnoteでも詩、短歌、小説を発表している。
マイクロノベル
北野勇作「立っている」、剣先あやめ「オマイリ」
剣先あやめ「オハライ」、堀部未知「照明係」
堀部未知「49」、不破有紀「ふわふわ」
不破有紀「仮面舞踏会」、伊藤螺子「むじな」
伊藤螺子「警告! 読め!」、北野勇作「トイレの怪談」
北野勇作
プロフィール
1962年生まれ。小説家、SF作家、役者。1992年に『昔、火星のあった場所』で第4回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。2001年、『かめくん』で第22回日本SF大賞を受賞。近年はマイクロノベルの伝道師として、ほぼ毎日Twitterに【ほぼ百字小説】をあげており、2020年にはそのうち200編を収録した『100文字SF』(早川書房)を出版。毎週水曜日21時より、谷脇クリタ、蜂本みさと共に「犬と街灯とラジオ」(通称:犬街ラジオ)をツイキャスで配信。トークと共に朗読を披露している。
剣先あやめ
プロフィール
ライター。2011年、第三回『幽』怪談実話コンテストにて優秀賞受賞。2012年、第二回みちのく怪談コンテストにて優秀賞を受賞。2013年、第三回みちのく怪談コンテストにて佳作を受賞。2014年には京都フラワーツーリズム編集の「ガラシャ物語」シリーズ中の一編として、「ガラシャ物語18 城跡の宴」を発行。共著には、「怪談実話コンテスト傑作選3跫音」(2012年, 文庫ダ・ヴィンチ)、「怪談実話NEXT」(2013年, 文庫ダ・ヴィンチ)、「世にも怖い実話怪談」(2019年, 白夜書房)があり、幅広く怪談の執筆活動を行なっている。
堀部未知
プロフィール
400文字以下のショートショートを投稿できる小説投稿サイト「ショートショートガーデン(SSG)」にて活動している。「犬の果て」が「BOOK SHORTS」で2018年度3月期優秀作品に選出される。2020年にはベリーショートショートマガジン「ベリショーズ」vol.5と「ベリショーズ Light」に短編を寄稿。『ただ白くてほそ長い鳥』が小鳥書房の主催する第1回小鳥書房文学賞を受賞。太田靖久の企画編集するインディペンデント文芸ZINE『ODD ZINE』のvol.6に「入所から出所後、入社から退社方向で」を寄稿するなど、活動の幅を広げている。
不破有紀
プロフィール
小説投稿サイトカクヨムにて活動している。2020年、長編小説『はじめてのゾンビ生活』が第1回令和小説大賞の最終候補に選出され、『Eat me』が第1回かぐやSFコンテストにて最終候補作品に選出された。2021年には、「So Eagerly Awaiting」(翻訳Kamei Toshiya)がNew World Writingに掲載されたのを皮切りに、Insignia Storiesの「Mythical Creatures of Asia」など英語圏の媒体にも作品を掲載している。またジャンルを横断した文芸コンテスト、第1回SHIBUYA的文芸コンテストにてSF小説『REC』が優秀賞を受賞。『SHIBUYA NIGHT vol.1』に収録が予定されている。掌編から長編まで多彩に活動している書き手だ。
伊藤螺子
プロフィール
会社員兼小説家。 2011年に『オクターバー・ガール 螺旋の塔に導くものは』(徳間文庫)でデビュー。2013年には『秘密結社来夢来人 まほうびんぼう』(徳間文庫)を出版。その後同人活動に移り、『ビンダー』(発行:ククラス)や『トラベシア』(発行:鈴木並木)など、複数のリトルプレス・同人誌に寄稿。自身のサークル・ホテルニューオバケから、2019年に短編集『UFOを待っている』、2021年にはツイッターで書いた140字小説を100本まとめた掌編集『エイプリルフールの国』を刊行した。
翻訳SF短編小説
トシヤ・カメイ「ピーチ・ガール」(勝山海百合 訳)
あなたの両親は、あなたを小さな桃型の宇宙船に乗せて地球へと送り出した。鬼の脅威を前に、“ピーチ・ガール”としてグリッドで戦うことを決意したあなたは、仲間集めに取り掛かる。
トシヤ・カメイはバイリンガル作家(英語とスペイン語)、翻訳家。彼の短編小説はCollective Realms、Trembling With Fear、Utopia Science Fictionなどに掲載されている。
岩手県出身の小説家。短篇集『竜岩石とただならぬ娘』(2008, MF文庫ダ・ヴィンチ) で単著デビュー。『さざなみの国』(2011) で第23回日本ファンタジーノベル大賞受賞。2020年はトシヤ・カメイによって、“てのひら怪談”作品を中心に多数の作品が翻訳され、海外媒体に掲載にされた。
D・A・シャオリン・スパイアーズ「虹色恐竜」(勝山海百合 訳)
チャットアプリ「ララ」で出会った上海のシィと河北のポン。クリスマスにはプレゼントを贈り合い、バーチャルデートを重ね、たとえ会えなくても二人の未来は明るいと思っていた。
アメリカの小説家、詩人。Clarkesworld, Analog, Strange Horizons, Nature, Terraform, Uncanny, Fireside, Galaxy’s Edge, StarShipSofa, Andromeda Spaceways などの他、多くの媒体に作品が掲載されている。アンソロジー収録作多数。いくつかの作品はドイツ語、スペイン語、ベトナム語、エストニア語に翻訳されている。フランス語への翻訳も進行中。
ユキミ・オガワ「町の果て」(訳・解説 大滝瓶太)
町のはずれにある結婚相談所に訪れる人たちは皆、少し奇妙な要望を伝えてくる。それでもどこか憎めないクライアントのリクエストを私は一つずつ叶えていくが…
群馬県生まれ、東京都在住。英語で執筆する日本人作家として、
1986年生まれ。作家。
アヴラ・マルガリティ「ミツバチたちの死」(日本橋和徳 訳)
過保護な両親と暮らすサラ。サラのオンライン友だちアナスタシアはミツバチの個体数激減について論文を書いているのだが、サラの家の裏庭には多数の蜂が飛んでいる。疑問を持ったサラは、ある行動を起こす。
アヴラ・マルガリティ(Avra Margariti)
作者プロフィール
ギリシャ出身。ソーシャル・ワーカーを目指して勉学に励みながら執筆活動をしている。『The daily Science Fiction』にて複数の作品を発表。2021年1月・2月号の『Asimov’s SF Magazine』に詩を掲載している。若手SF作家の中でも注目株の一人である。
日本橋和徳
翻訳者プロフィール
埼玉県在住。内外のSFを愛読。特にエドモンド・ハミルトン、スターウォーズ、アレステア・レナルズに耽溺するスペースオペラ野郎。2021年春からローカル・コンベンションである、はるこんのスタッフを勤める。
ジョイス・チング「まめやかな娘」(訳・解説 紅坂紫)
若いアラーナがどんなに才能豊かで優秀でも、仕事に没頭している多忙な父親は一向に振り向いてくれない。そんな父親を振り向かせるために、アラーナは一つの計画をたてた。
ジョイス・チング(Joyce Chng)
作者プロフィール
シンガポール生まれ。主にサイエンス・フィクションとヤング・アダルトを執筆している。Crossed Genres、The Apex Book of World SF II、We See A Different Frontier、Cranky Ladies of History、Accessing The Futureなどに作品を掲載。スチームパンクや変身/変容の物語が好き。
紅坂紫
翻訳者プロフィール
2001年生まれ。小説家、詩人、翻訳家、エッセイスト。New World Writing、The Wondrous Realを始め海外文芸誌に作品の英訳が多数掲載(翻訳はいずれもToshiya Kamei)。2021年、『万象: アジアSFアンソロジー』に短編を掲載。
犬と街灯「島アンソロジー」参加作品
Kgauya Planetでは、犬と街灯の主催する「島アンソロジー」とコラボしました。島アンソロジーは架空の諸島・貝楼諸島を舞台に物語、紀行文、伝承、詩歌、観光案内…などを集めたアンソロジーです。
f3hito「archipelago」(訳 f3hito)
灯台をモチーフにした英語の図形詩。f3hitoさんは図形詩を「英語を楽しむきっかけになれば」と思って書かれているそうです。形も詩もお楽しみください。
f3hito
1993年生まれ。同志社大学文学部英文学科卒。京都市在住の詩人。日本語の詩、英語の詩、そして英語の図形詩を執筆。アニメの影響で、習い始めの頃から英語に興味を持ち、大学在学中に所属していた英詩を読むゼミで図形詩と出会い、就職活動の失敗を機に、制作を始める。2018年、英語の図形詩集「Serendipity」(アメージング出版)を出版。詩集「He+N+Ne+P+Te」(2019年)、「光芒とbalmy」(2020年)、「Thou art fair」(2020年) と三冊の詩集を発表。現在は、いろんな角度から英語を味わって好きになってもらうために、図形詩の普及活動に取り組んでいる。
北野勇作「ひゃくじま」
100文字の島を集めた諸島SF。海に浮かぶ島の間を巡っていくような不思議な感覚の連作マイクロノベル。ループするGIFでお読みください!
1962年生まれ。小説家、SF作家、役者。1992年に『昔、火星のあった場所』で第4回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。2001年、『かめくん』で第22回日本SF大賞を受賞。近年はマイクロノベルの伝道師として、ほぼ毎日Twitterに【ほぼ百字小説】をあげており、2020年にはそのうち200編を収録した『100文字SF』(早川書房)を出版。毎週水曜日21時より、谷脇クリタ、蜂本みさと共に「犬と街灯とラジオ」(通称:犬街ラジオ)をツイキャスで配信。トークと共に朗読を披露している。
佐々木倫「風の鳴る島」
高尾君のテラリウムには雨が降る。私もそんな特別なテラリウムがほしいのに高尾君は取り合ってくれない。怒った私は家を飛び出して見知らぬ路地に迷い込み…
小説を書く、宇宙を旅するキリン。2020年には第一回かぐやSFコンテストで「Moon Face」が最終候補作品に選出。第二回ブンゲイファイトクラブで「量産型魔法少女」が本選出場。阿瀬みちというペンネームでも執筆活動をしており、2021年には「みずまんじゅうの星」が、日本SF作家クラブ主催の「日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト」で1,000本を超える応募作品の中から40本の二次選考通過作品に選ばれた。モチーフやテーマへの眼差しが魅力の一つ。神楽坂いづみとユニットを組んで合同誌『融』を発行。共著の人魚アンソロジー『海界(うなさか)〜十二の海域とそのあわいに漂う〜』は好評発売中。
虫太「わたしが島ならことばは海」
渡ヶ島に住む憲二は、しばらく甥の透の面倒を見ることになった。児相の職員は「手のかからない子」と言っていた透だが、浜辺ではポツポツと物語を聞かせてくれる。
奈良原生織「エスケープ・フロム」
私はティーリガからの最初の留学生としてその国に渡った。身長の高さから一目で偉民とわかる私に向けられたのは、『ガリバー旅行記』の小人の槍ではなくてカメラのレンズだった。
奈良原生織
2021年2月まで開催されていたオンライン文芸サークル〈六枚道場〉にて活動していた。2020年には「Echo」が第二回ブンゲイファイトクラブの本戦出場。2021年には読書にまつわるエッセイアンソロジー『読書のおとも』(岸波龍編)に「濃度/Nord」を寄稿。「アリス・イン・シーフードスパゲッティ」が阿波しらさぎ文学賞の最終候補作に選出され、審査員の小山田浩子さんから「明らかに巧みな書き手による作品」と評された。また、「吹いていない風」が第52回埼玉文学賞の小説部門にて最終候補作品に選出されるなど、今後の活躍から目が離せない注目の書き手。
伊藤螺子「浦島さんによると世界は」
おととしの夏に飲み会で出会った浦島さんは、飲み会のすぐあとに辞表を出して会社員から島となった。 そんな浦島さんがわたしに語ってくれた、もうすでにない島々の物語。
会社員兼小説家。 2011年に『オクターバー・ガール 螺旋の塔に導くものは』(徳間文庫)でデビュー。2013年には『秘密結社来夢来人 まほうびんぼう』(徳間文庫)を出版。その後同人活動に移り、『ビンダー』(発行:ククラス)や『トラベシア』(発行:鈴木並木)など、複数のリトルプレス・同人誌に寄稿。自身のサークル・ホテルニューオバケから、2019年に短編集『UFOを待っている』、2021年にはツイッターで書いた140字小説を100本まとめた掌編集『エイプリルフールの国』を刊行した。Kaguya Planetの特別企画「200文字怪談」に寄稿。
星野いのり「ル々の花」
樹海、くらげ、かみなり、虹、鳩、蛇、蛸、猫… くるくるとモチーフが展開するSF俳句連作。架空の諸島、貝楼諸島が舞台となっています。
作家・俳人。現代俳句協会と俳句結社「炎環」に所属。2018年に俳句連作「自由帳」(田中大河名義)が第14回鬼貫青春俳句大賞を受賞。また、第二回全国俳誌協会新人賞にて正賞を受賞。2021年に俳句連作「あかねさす」が第4回俳句四季新人奨励賞を受賞。同作は『俳句四季』(2021年7月号) に収録されており、これをきっかけに『文藝春秋』(2021年8月号) にも俳句を寄稿している。第三回「ブンゲイファイトクラブ」本戦出場。BL俳句誌『庫内灯』、BL短歌合同誌『共有結晶』など多くの同人誌に寄稿している。また、YouTubeやFMラジオに出演したり、自作の解説をnoteに載せたりするなど、より多くの方に俳句を楽しんでもらうための活動をしている。
穂崎円「ぱんげあ」
「わたくしが島だった頃」で始まるSF短歌連作。 いくつもの「わたくしが島だった頃」から続く短歌で浮かび上がってくるのは、島としてのわたしの記憶か、あるいは…?
2012年から短歌を作り始め、新聞歌壇や同人誌などで短歌を発表している。2018年に活動を休止したBL短歌誌『共有結晶』の編集メンバーの一員としても活動していた。2017年には私家版歌集「ヴァーチャル・リアリティー・ボックス」を発行。2019年には短歌連作「くりかえし落日」が第一回笹井宏之賞の最終選考候補作に、「草の心臓」が第三十回歌壇賞佳作に選出された。
インタビュー・レポート・アンケート
勝山海百合 vol.1:「海外の読者は実在する」勝山海百合、2020年を振り返る。相次ぐ英訳、感じた変化
勝山海百合 vol.2:勝山海百合が語る、てのひら怪談・かぐやSFコンテスト・期待の作家「豊かでござんすよ。どこにいたの皆」
勝山海百合
岩手県出身の小説家。短篇集『竜岩石とただならぬ娘』(2008, MF文庫ダ・ヴィンチ) で単著デビュー。近著は『厨師、怪しい鍋と旅をする』(2018, 東京創元社)。2006年に「軍馬の帰還」で第4回ビーケーワン怪談大賞、2007年に「竜岩石」で第2回『幽』怪談文学賞短編部門優秀賞、2011年に『さざなみの国』で第23回日本ファンタジーノベル大賞、2020年に「あれは真珠というものかしら」で第1回かぐやSFコンテスト大賞。2020年は“てのひら怪談”作品を中心に10編以上の作品が翻訳され、海外媒体に掲載にされた。
宮内悠介インタビュー:暗号通貨技術と小説
1979年生まれ。小説家。日本SF作家クラブ、日本推理作家協会会員。2010年に「盤上の夜」が第1回創元SF短編賞で選考委員特別賞を受賞。同作を収録した連作短編集『盤上の夜』(東京創元社,2012年)にてデビューし、第33回日本SF大賞を受賞。SFや純文学など、ジャンル横断的に活躍しており、作品は韓国語、英語、中国語(繁体字)など、多くの言語に翻訳されている。2021年には『偶然の聖地』 (講談社文庫)が文庫化、『WIRED』(2021,vol.42)に「最後の共有地」を掲載。「最後の共有地」は「偽の過去、偽の未来」と合わせて暗号通貨シリーズとなっている。海外での経験も多く、執筆、翻訳、プログラミング、作曲など幅広い創作活動をしている。
名倉編インタビュー:哲学×批評×関西弁で編みだす“対話するSF”
京都出身の小説家。多くのSF作家を輩出してきたゲンロン大森望 SF創作講座の卒業生の中でも強い存在感を放っている。2016年度、ゲンロン大森望 SF創作講座に第一期生として参加していた名倉編は、『異セカイ系』で第58回メフィスト賞を受賞。2018年に同作が講談社タイガから出版され、デビューを果たした。その後は、ゲンロン大森望 SF創作講座の卒業生たちが刊行する「Sci-Fire」などで小説を発表している。2021年には、「小説すばる」2021年9月号にゲームを題材にした短編小説「オルタ」を寄稿。本作でも見られた関西弁を駆使して繰り広げられる登場人物同士の対話は、名倉編作品の特徴の一つでもある。
【会員限定記事】海外デビューした作家さんに聞いてみた