MCU入りの『デッドプール3』2024年7月公開 ヒュー・ジャックマンがウルヴァリン役で復帰 過去シリーズをおさらい | VG+ (バゴプラ)

MCU入りの『デッドプール3』2024年7月公開 ヒュー・ジャックマンがウルヴァリン役で復帰 過去シリーズをおさらい

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『デッドプール3』24年11月米公開

マーベルコミック原作の人気映画シリーズ「デッドプール」の第3作目『デッドプール3(原題:Deadpool 3)』が2024年9月6日(金) 米公開される。 追記:11月8日(金) 米公開に延期後、7月26日米公開に変更。本シリーズで主演を務めてきたライアン・レイノルズが自身のSNSアカウントで告知の動画を公開した。

2018年に公開された『デッドプール2』以来6年ぶりの新作となる『デッドプール3』は、ディズニー最大のファンイベントD23 Expoで新情報が公開されると見る向きもあったが、実際には発表はなかった。今回の動画の冒頭でもライアン・レイノルズ自身がその点に触れ、「D23に出られなかったことは本当に哀しい」とした上で「次の『デッドプール』の映画に向けて懸命に取り組んでいる」と話した。

ライアン・レイノルズは「彼(デッドプール)の初めてのMCUへの参加は言うまでもなく特別なものでなければいけない」と発言。「デッドプール」と「X-MEN」の権利を保持していた旧20世紀FOXをマーベル・スタジオの親会社であるディズニーが2019年に買収したことで、デッドプールはMCU参戦が可能に。次回作の『デッドプール3』はデッドプールにとって初のMCU作品となることをライアン・レイノルズは改めて明言している。

今回の告知映像では、ライアン・レイノルズが森の中を歩いたり、タイプライターを叩いたり、酒を煽ったりしているが、結局内容については「何も思い浮かばない」と発言。「デッドプール」らしいユーモアに溢れる映像になっている。

しかし、サプライズが待っていたのはその後だ。ライアン・レイノルズが「でも、一つだけ思いつきました」と言うと、その後ろを俳優のヒュー・ジャックマンが通り、ライアン・レイノルズは「ねぇヒュー、ウルヴァリンもう一回やりたい?」と質問。ヒュー・ジャックマンは「あぁ、もちろんだよ、ライアン」と軽く答え、意外な形でヒュー・ジャックマンのウルヴァリン役復帰が発表された。

BGMはホイットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」(1974) で、「You」の部分が「Hugh(ヒュー)」に聴こえることから、「いつもヒューを愛している」というダジャレになっている。また、「Coming Soon(近日公開)」も「Coming Hughn」という表記になっており、最後にはデッドプールのロゴをウルヴァリンの爪が切り付ける演出も。ウルヴァリンの三つの爪で傷が入ることで「III(スリー)」の表記とする演出は『ジュラシック・パークIII』(2001) と同じである。

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追記:ライアン・レイノルズの投稿の16時間後、ヒュー・ジャックマンも動画を投稿。「たくさん疑問があるでしょうね」「例えば、『ローガン』の後になんでウルヴァリンが生きているのか?」と、ファンが気になっている点に触れている。隣に座るライアン・レイノルズは「『ローガン』は2029年が舞台です。完全に切り分けられていて、ローガンは『ローガン』で死にました。それを変えることはしません。この映画で起きることは……」としたところで映像に音楽がかかり、会話の内容が分からないようになっている。ともかくファンも納得できる設定になっていることは期待してよいだろう。

ヒュー・ジャックマンの復帰とMCU参戦

ヒュー・ジャックマンは、現在ほどアメコミヒーロー映画が主流ではなかった2000年に映画『X-メン』で初めてウルヴァリンことローガン役を演じた。当初この役はブライアン・シンガー監督がラッセル・クロウにオファーしたものだったが、ラッセル・クロウが『グラディエーター』(2000) の撮影を終えたばかりで、同じオーストラリア育ちで自身より5歳若いヒュー・ジャックマンを推薦。アメリカではその名が知られていないことや、身長が188cmありウルヴァリンの160cmという原作の設定にマッチしないという懸念もあったが、以降、ヒュー・ジャックマンの演じるウルヴァリンは誰もが知るキャラクターの一人になった。

ヒュー・ジャックマンはほとんどの「X-MEN」シリーズに出演し、ウルヴァリンの単独スピンオフ作品も3作公開された。2017年に公開された映画『LOGAN/ローガン』でプロフェッサーX役を演じてきたパトリック・スチュワートと共に、ヒュー・ジャックマンはウルヴァリン役を引退。しかし、ディズニーによる旧20世紀FOX買収で風向きが変わる。

パトリック・スチュワートは映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022) でプロフェッサーX役に復帰。『ワンダヴィジョン』(2021) における偽者のクイックシルバーをエヴァン・ピーターズが再演する例はあったが、過去の「X-MEN」シリーズの出演者が同じキャラクターを正式に再演するのはこれが二人目になる。

また、ドラマ『ミズ・マーベル』(2022) では、MCUで初めてミュータントの存在が指摘されているMCUは「X-MEN」との合流の道を入念に作っていっているように見えるが、ここに来て遂に「X-MEN」の顔役であるヒュー・ジャックマンがウルヴァリン役で復帰することになった。同時にヒュー・ジャックマンのMCU参戦をも意味しており、期待が高まる。

これまでのウルヴァリン

ネタバレ注意
以下の内容は、過去の「X-MEN」フランチャイズ作品の内容や結末に関する重大なネタバレを含みます。

オリジナル三部作

『X-MEN』で主役にして初登場を果たしたヒュー・ジャックマンのウルヴァリンは、記憶喪失で放浪していたがローグとの出会いを通してプロフェッサーXが運営する「恵まれし子らの学園」に導かれる。そこでミュータントを守るX-メンに合流し、マグニートーが率いる過激派ミュータント組織のブラザーフッドとの戦いに巻き込まれていく。

『X-MEN2』(2003) ではアメリカ政府が敵に。ミュータントの根絶を企むストライカーと、人間の根絶を企むマグニートーの企てを阻止するために戦う。「X-MEN」三部作の最終作『X-MEN:ファイナル ディシジョン』(2006) では、ジーンの中のフェニックスが復活し、X-メン、ブラザーフッド、政府、フェニックスの四つ巴の戦いに。ウルヴァリンは愛したジーンに自らの手でトドメを刺すことになり、これが後々までウルヴァリンの精神を蝕むことになる。

オリジンとデッドプール描いた『X-MEN ZERO』

そして「X-MEN」シリーズの4作目にして、ウルヴァリン初の単独作品として公開されたのが『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009)。記憶喪失だったウルヴァリンのオリジンが遂に描かれることになった。後にローガン/ウルヴァリンと呼ばれるジェームズ・ハウレットは1845年のカナダでミュータントの能力に目覚め、兄のビクター・クリード(セイバートゥース)と共に生き延びた末、ウィリアム・ストライカー率いるミュータント部隊のチームXに加わる。

本作でローガンは「ウェポンX」計画の実験体となり、強力な金属アダマンチウムを骨格に埋め込まれて“ウルヴァリン”と呼ばれるようになる。チームXのメンバーだったウェイド・ウィルソンは数々のミュータントの能力を融合させた「ウェポンXI(イレブン)」に改造される。このウェイド・ウィルソン/ウェポンXIはデッドプールのこと。ライアン・レイノルズが同役を演じ、本作がヒットしたことで映画『デッドプール』(2016) の企画が動き出した。

ウルヴァリンのオリジンを描いた『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』がデッドプールの映画デビュー作で、二人のコードネームが「ウェポンX」と「ウェポンXI」という“連番”だったことで、二人の歴史が始まった。なお、本作のポストクレジットシーンは、頭を切り落とされたデッドプールがカメラ目線で「シーッ」と観客に口止めする形で幕を閉じる。

一方で、本作のデッドプールと後の「デッドプール」シリーズは繋がりを持たない。1970年代後半を舞台にした本作の後半は、後述の理由で“なかったこと”になっており、『デッドプール3』でのデッドプールとウルヴァリンの再共演に障壁はないものと思われる。

カメオを経て再び主役に

「X-MEN」シリーズ5作目の『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011) ではプロフェッサーXとマグニートーのオリジンが描かれ、ヒュー・ジャックマンのウルヴァリンはカメオ出演で連続出演記録を伸ばしている。続く『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013) は日本を舞台にしたスピンオフ。第二次世界大戦で長崎にいたローガンが原爆から日本兵の矢志田を助けた過去が物語の引き金になる。

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『X-MEN:ファイナル ディシジョン』以降のウルヴァリンが描かれたのは本作が初めてで、ジーンの死に苦しむローガンの姿が映し出されている。ラストではローガンの前にプロフェッサーXとマグニートーが現れて幕を閉じる。このラストは『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014) の荒廃した未来へと繋がる。

『X-MEN:フューチャー&パスト』では、ローガンはその治癒能力によって精神が耐えうるという理由で過去に飛んで歴史を改変する役目を負い、1973年のプロフェッサーXとマグニートーと協力して過去を変える。本作で歴史が改変された為、1973年以降、つまり『X-MEN』以降の物語とデッドプールが誕生した『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』の後半はなかったことになる。ただし、改変された未来のプロフェッサーXとウルヴァリンは歴史が改変されたことを知っており、ウルヴァリンは改変前の歴史も含めて全ての歴史を知っている唯一の存在になった。

歴史改変後の世界で描かれた最後

『X-MEN:フューチャー&パスト』のポストクレジットから繋がる『X-MEN:アポカリプス』(2016) では、ウルヴァリンはウェポンXとしてカメオ出演。改変された1973年以降の過去のウルヴァリンは結局ストライカーに捕まり、改造手術を受けている。ウルヴァリンはジーンによって記憶の一部が復活し、森の中へと消えていった。

『X-MEN:アポカリプス』で描かれたのは、改変された過去のウルヴァリンのその後。続くウルヴァリン三部作の最終作になる『LOGAN/ローガン』(2017) では改変された未来のウルヴァリンのその後が描かれる。2029年のメキシコ国境でプロフェッサーXと呼ばれたチャールズ・エグゼビアの介護をするローガンは、ローラという名の少女と出会いカナダへの逃避行を始める。

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ローガンはX-24という名のウルヴァリンのクローンと戦い、ローラもまた自身のクローンであるX-23であったことを知る。ヒュー・ジャックマンは本作の公開前にウルヴァリンが死ぬところまで演じたいと発言しており、その言葉通りに本作がウルヴァリンにとっての最後の作品となった。「X-MEN」シリーズでは本作が歴史改変後の最も未来を描いた作品である。

なお、本作を手がけたジェームズ・マンゴール監督はローラに焦点を当てたスピンオフの製作に意欲を見せていた。しかし、ディズニーによる20世紀FOX買収後、同監督は同スピンオフは実現しないと思うと語っている。

デッドプールとの再会

2016年公開の『デッドプール』、2019年公開の『X-MEN:ダーク・フェニックス』、2020年公開の『ニュー・ミュータント』にはヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンは登場せず。いずれも歴史改変後の1973年以降を描いた作品と考えられる。

しかし、『デッドプール2』のミッドクレジットシーンには、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』の過去のカットを再利用する形で登場。ライアン・レイノルズ演じるウェポンXIと対峙する場面にタイムトラベルしてきたデッドプールが登場し、「過去を修正する」と言って自らウェポンXIを葬り去る。

後に公開されたエクステンデッド版では、デッドプールが「いつかウェイドが仕事に戻れって言うから、そしたらYESって言ってね」と言い、ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンが「あぁ……分かった」と言うシーンを合成する演出が追加されている。

つまり、『デッドプール3』の告知映像におけるライアン・レイノルズによるヒュー・ジャックマンへのカムバックのオファーは、『デッドプール2』の時点で示唆されていたものだったのだ。ウルヴァリンをカムバックさせるのはデッドプールの一言、という伏線を回収し、『デッドプール3』は2024年に公開されることになった。

また、「過去が変われば未来も変わる」という旧「X-MEN」シリーズの設定は、「過去が変わればその時間軸は分岐する」という設定に慣れているMCUファンには分かりづらいところもある。MCU合流にあたってその辺りの矛盾をどのように解消するのかも見所の一つだ。様々なチャレンジの先で、デッドプールとウルヴァリンが躍動する姿を心待ちにしよう。

映画『デッドプール3(原題:Deadpool 3)』は2024年7月26日(金)米公開。

『デッドプール』『デッドプール2』は2枚組のBlu-rayコレクションが発売中。

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ヒュー・ジャックマンが復帰を決めた経緯と理由について語った内容はこちらの記事で。

デッドプールのMCU入りについてライアン・レイノルズが語った内容はこちらから。

 

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』にあった『X-MEN:フューチャー&パスト』のオマージュの解説はこちらの記事で。

同作でプロフェッサーX役に復帰したパトリック・スチュワートは、今後の再演について「彼が戻ってくる機会もあるかもしれません」と語っている。詳しくはこちらから。

『デッドプール3』と同年の公開を予定している映画『サンダーボルツ』のメンバーまとめはこちらから。

デアデビルを再演するチャーリー・コックスが語る過去作との繋がりはこちらの記事で。

『ザ・マーベルズ』最新情報はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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