『トランスフォーマー/ONE』の新予告編を考察&解説
親友から宿敵へと変化していく2人
2024年9月20日(金)に全世界で同時公開される「トランスフォーマー」シリーズの最新作『トランスフォーマー/ONE』の新予告編が、2024年7月26日(金)のサンディエゴ・コミコンにあわせて公開された。そこではオプティマス・プライムとメガトロンが親友から宿敵になるまでが描かれている。
本記事では『トランスフォーマー/ONE』の新予告編をもとに、人類に味方することが多いオートボットの総司令官のオプティマス・プライムと、人類と敵対する侵略者であることが多いディセプティコンの破壊大帝のメガトロン、そしてトランスフォーマーたちの母星サイバトロンの制度について解説と考察を述べていこう。
鉱山労働を共にしてきた親友
かつての親友であるオプティマス・プライムに強力な武器の融合カノン砲を向けるメガトロン。アニメ第1作『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』(1985-1986)よりも銃口の数が増えた融合カノン砲を向けていることから、メガトロンがオプティマス・プライムに向ける敵意の大きさが考察できる。オプティマス・プライムも火炎放射器で対抗している。そうして何千年も戦争を続けてきたオートボットとディセプティコンだが、かつてはオプティマス・プライムとメガトロンは兄弟同然の親友同士だったことが新予告編では語られた。
共に鉱山で働いていた若き日のオプティマス・プライムと、同じく若き日のメガトロン。若い頃のオプティマス・プライムは上官のトランスフォーマーに突っかかるなど、後にリーダーとして冷静沈着なオプティマス・プライムになる人物とは思えないほど血気盛んだったようだ。ここで指がトランスフォームするといって中指を立てようとして、ぎりぎりでメガトロンに止められるのが映画の年齢制限を回避しているようで興味深い。
2人は親友で、上官であるダークウィングからも互いを庇い合うほど仲が良かった。この頃はオプティマス・プライムはオライオン・パックスと名乗っており、メガトロンもD-16と呼ばれていた。若き日は2人ともオートボットの総司令官とディセプティコンの破壊大帝という役職ではなく、ただの鉱山労働者として働いていた。
また、以前の考察記事で、ティザーPVでオライオン・パックスとD-16を廃棄物管理に送ったトランスフォーマーを『トランスフォーマー超神マスターフォース』(1988-1989)に登場した宇宙航空参謀ハイドラーの海外版の姿であるダークウィングと考察した。今回の新予告でオライオン・パックスが同じ姿をしたトランスフォーマーを「おい、ダークウィング」と呼んでいることからダークウィングで間違いないようだ。
ダークウィング型のトランスフォーマーは量産されているようで、鉱山労働者たちの管理を担当していると思われる。そして、D-16を「トランスフォームも出来ないくせに」と罵っていることから、この頃の惑星サイバトロンはトランスフォームできるかどうかで社会的な身分が変わる階級社会であることが考察できる。オライオン・パックスとD-16はトランスフォームできない未熟なトランスフォーマーだと考えられる。
地表からのメッセージ
地下で鉱山労働に従事していたオライオン・パックスとD-16だが、バンブルビー(この頃はB-127)とエリータ-1と共に地上からのSOSメッセージを受信する。その送信者はトランスフォーマーたちの世界の長老であるアルファトライオンで、地表からメッセージで「座標を送る。敵襲だ!」と語っていた。
ここでオライオン・パックスが「俺たちの実力を見せるチャンスだ(It time to show him we are more than meet the eye)」と語っているが、この「more than meet the eye」というのが重要なキーワードになっていると考察できる。何故ならば、これはアニメ第1作『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』の原語版オープニングテーマの歌詞のサビだからだ。
牙の生えた洞窟にアルファトライオンのメッセージを追って入り、苔むしたアルファトライオンを発見したときに、バンブルビーが「すんごくびっくり(Oh, Primus)」と言う。プライマスとはトランスフォーマーの創造主とされる光の神であり、この表現は人間における「Oh My God」と同義だと考察できる。
彼らに希望を見たアルファトライオンは、トランスフォームに必要不可欠な器官であるコグを与える。それによって4人はトランスフォームできる姿に変身していく。そうしては4人はトランスフォームできることを活かし、自由を求める戦いに身を投じることになる。
オプティマス・プライムは「出動だ」とアニメ第1作『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』から続く決め台詞を発するが、まだ慣れていないため、小声過ぎて遠くのトランスフォーマーに伝わらないなど未熟な面が目立つ。
「自由とは全知的生命体の権利である」と「圧政による平和」
オプティマス・プライムは世界をより良くしたいという思いをメガトロンと共有するが、エリータ-1から「彼は変わったと思わない?」と忠告を受ける。事実、オプティマス・プライムは「自由とは全知的生命体の権利である」をモットーとしているが、メガトロンは違う。
コミックなどのメガトロンは議会政治による議員の腐敗などを目撃しており、そのような議員を排して善人が支配すべきだという「圧政による平和」をモットーとして掲げていることが多い。『トランスフォーマー/ONE』でも暴力的なトランスフォーマーとの戦いの中で、その思想を垣間見せることが考察できる。そして「すべてを焼き尽くしてやる」とディセプティコンの破壊大帝らしい命令を下していた。
また、オプティマス・プライムの胸には歴代のプライムが継承してきたとされるリーダーのマトリクスがフロントガラス越しに見える。英知が詰まったマトリクスを受け継いだことで、オプティマス・プライムは私たちの知るオプティマス・プライムの姿になることが考察できる。
トランスフォーマー総出演?
エリータ-1が蜘蛛の姿にトランスフォームするブラックアラクニアらしきトランスフォーマーと戦っているが、ブラックアラクニアがどの勢力に属するトランスフォーマーなのかにも注目である。また、ブラックアラクニアの日本語名はブラックウィドーであり、MCUでブラック・ウィドウを演じたスカーレット・ヨハンソンが声優を務めるエリータ-1との戦いはファンにとって熱い展開だ。
4人が飛行機に変形するディセプティコンのジェットロン(もしくはシーカーズ)に囲まれているとき、玉座には航空参謀スタースクリーム、その横には情報参謀サウンドウェーブと防衛参謀ショックウェーブが立っている。これはディセプティコン前身となった組織のリーダーを三人が務めており、その後、3人はメガトロンの部下になると考察できる。その前に名前にウェーブが入ったトランスフォーマーが多いことをバンブルビーがネタにしている。
今回の新予告編はオプティマス・プライムとメガトロンの友情、そして対立を中心に描くものとなっていた。しかし、予告編にはトランスフォーマーを奴隷化していたとされるクインテッサ星人も登場している。まだ深くは語られていないが、『トランスフォーマー/ONE』はクインテッサ星人との独立戦争後、思想の相違から反乱軍が分裂する様子を描くものになると考察できる。同じ自由を求めた戦士の友情が引き裂かれてしまう様子を描くことになる『トランスフォーマー/ONE』。今後の予告編で登場するトランスフォーマーにも注目だ。
『トランスフォーマー/ONE』は2024年9月20日(金)より日米同時公開予定。
『トランスフォーマー/ONE』のデラックスクラスの変形玩具は発売中。
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