シーズン5第7話ネタバレ解説『ザ・ボーイズ』愛の意味、三権分立とキリストの再来 あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

シーズン5第7話ネタバレ解説『ザ・ボーイズ』愛の意味、三権分立とキリストの再来 あらすじ&考察

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『ザ・ボーイズ』シーズン5第7話はどうなった?

プライムビデオのドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン5がいよいよクライマックスを迎えている。2019年に配信を開始した本作だが、シリーズフィナーレとなるシーズン5第8話の配信が目前に迫っている。

今回はドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン5第7話をネタバレありで解説し、考察していこう。以下の内容はネタバレを含むため、必ずプライムビデオで本編を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン5第7話の内容に関するネタバレを含みます。

『ザ・ボーイズ』シーズン5第7話「フランスの男、ある女、マザーズ・ミルクと呼ばれる男」ネタバレ解説&考察

神を崇めよ

『ザ・ボーイズ』シーズン5第7話の監督は、『アンブレラ・アカデミー』(2019-2024) や『フォー・オール・マンカインド』(2019-) といったSFドラマのエピソード監督を務めてきたシルヴァン・ホワイト。脚本はシーズン2から毎シーズン『ザ・ボーイズ』に参加しているアンスレム・リチャードソンが手がけている。

冒頭は『ザ・ボーイズ』では恒例になったミュージカルシーンが挿入される。オー・ファーザーを演じ、ラッパーとしても活躍するダヴィード・ディグスが見事な歌声を披露している。その内容は、イエス・キリストを腐してホームランダーを讃えるというもの。水を葡萄酒に変えた、人の病気を治したというイエスの奇跡を揶揄し、「国境を閉ざせない」と批判する。

また、歌詞には「新たな世界秩序(New world order)」という言葉も出てくるが、これは英語圏の陰謀論者の間でよく使われる言葉で、世界の秩序が作り変えられるという陰謀史観に基づいている。ちなみにMCU映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(2025) はもともと『ニュー・ワールド・オーダー』という副題がつけられていたが、陰謀論への接続を避けるためにタイトルが変更されている。

オー・ファーザーの歌はホームランダーを神として崇め、イエスよりも偉大だとする。「敵を倒すアメリカ人」を讃える新たな宗教の誕生だ。そのホームランダーは、大統領の執務室、通称オーバル・オフィスで大統領の椅子に座っていた。

ホームランダーの要求と三権分立

ホームランダーがカルフーン大統領に要求したのは以下の5つ。①アメリカ民主主義教会を国教として教会と国家を統一すること、②軍隊をスターライターがいる都市に送ること、③中絶を禁止して母乳を義務化すること、④ナッツミルクを禁止すること、⑤議会を解散すること。

『ザ・ボーイズ』シーズン5第7話は流石に現実を超越するフィクション(虚構)として描かれているようにも思えるが、例えば②については、ドナルド・トランプ大統領は2025年8月にはワシントンDCに兵を派遣し、2025年10月にはシカゴへの300人規模の州兵派遣を承認した。後者は違法である判決が出て差し止められているが、国民に自国の軍を差し向けるというスタンスはホームランダーと変わらない。

③については、2025年1月、トランプは人工妊娠中絶への連邦政府資金の利用を制限する大統領令に署名した。④についてはホームランダーというキャラクターに即したギャグのように聞こえるが、トランプは2025年2月に「使いづらい」という理由で連邦政府機関での紙ストローの使用を禁止し、プラスチック製に戻す大統領令を出している。好き嫌いに即した大統領令は現実に発令されているのだ。

⑤の議会の解散については、カルフーンも「権限がない」と言う通り、国の根幹に関わる事案だ。米国の三権分立は、司法=最高裁判所、行政=大統領、立法=連邦議会という構図になっている。行政において多大な権限を持つ大統領は、大統領令によって行政組織に直接指示を出すことができる。

その命令が違憲・違法であれば差し止めるのが司法であり、政策につける予算を認めないことや、新たな法律の制定および制定の拒否によって命令の実行を阻止するのが議会の役目だ。ホームランダーが試みているのは三権分立の破壊なのだ。この点は現実よりも先を行っており、現実でも大統領が議会制度に手を伸ばす動きを見せ始めたら要注意である。

ちなみに、①の「教会と国家を統一すること」は、明確に合衆国憲法で禁じられている政教分離に違反するもので、ホームランダーが司法も蔑ろにしていることが示されている。もっとも、トランプ政権も“トランプ関税”を含めて大統領令にはいくつもの違憲判決が出ているが。

ホームランダーはアシュリーに能力を使わせて、カルフーン大統領がホームランダーが精神に異常をきたしているという考えを読み取らせる。ホームランダーはカルフーン大統領の頭を破壊。もはや内心の自由もない。不死となったホームランダー、もう手がつけられない。

ついに合流

スターライトことアニーとMMが合流したのは、スピンオフドラマ『ジェン・ブイ』(2023-2025) のマリー・モローとジョーダン・リーだ。同作のシーズン2では、アニーが若手ヒーローをリクルートしてザ・ボーイズ本体と合流する機運が高まっていたが、ついに『ザ・ボーイズ』シーズン5第7話で本編に登場することになった。

MMがマリーを「選ばれし者」と言うのは、『ジェン・ブイ』シーズン2でマリーとホームランダーの二人だけがプロジェクト・オデッサと呼ばれる計画の生存者であったと発覚した件を指している。この計画は完全無欠のヒーローを作るためにトーマス・ゴドルキンが取り組んだものだ。

プロジェクト・オデッサは胚の段階でVを投与し、能力者を生み出す計画で、その後、胎児から幼児の間に投与すれば能力を得られるコンパウンドVが発明されたため無用となった。ヴィクトリア・ニューマンと同じく血を操る能力を持つマリーは、まだ力をコントロールできないが、秘めたる力を宿した人物だ。

マリーとジョーダンは、身体のサイズを変える能力を持つエマがオー・ファーザーを探ったと報告。重火器で警備されたスタジオにこもっているという情報をもたらすが、アニーからはここで任務は終わりと告げられる。

マリーは、かつてアニーの「希望を持つことは世間知らずではありません」という言葉に影響を受けたと食い下がるが、アニーは「世間知らずだった」と言って諦観を示す。アニーには、ホームランダーがV1を摂取した今、若い人たちを危険に晒せないという想いもあるのだろう。だが、下の世代からすれば、上の世代が希望を失ったようにしか見えない。ここでザボ勢とブイ勢は一旦喧嘩別れすることになる。

ホームランダーの正論

ザ・ボーイズの基地である小学校でヒューイが聴いている曲はビリー・ジョエル「Goodnight Saigon」(1982)。ベトナム戦争で恐怖と闘いながら生き延びようとする海兵隊員たちのことを歌った曲で、「私たちは命を投げ出すのに必死だった」等と歌われている。今のザ・ボーイズの状況に重なる。

ブッチャーとフレンチーは、キミコに濃縮ウランを浴びせる実験に取り組んでいた。ソルジャー・ボーイの胸から放たれる原爆相当の放射線で相手の能力を奪うビームは、ロシアでの人体実験で後から備わった能力で、シスター・セージの力を借りてこのビームをキミコの身体で再現しようとしているらしい。

この計画はキミコの意思だといい、キミコの「何かしないと (I have to do something.)」という言葉には胸を打たれる。ブッチャーがオー・ファーザーからホームランダーの動きを聞き出そうとする一方、ヒューイは「もう負けたんだ」と諦めの表情を見せている。

ブッチャーが「最低のメンバーだった」というポッシュ・スパイスはスパイス・ガールズの元メンバーで、ヴィクトリア・ベッカムのことだ。仲間の意見が割れる状況をスパイス・ガールズで例えるブッチャーは久々に見たが、シリーズではあるあるだ。

だが、ヴィクトリア・ベッカムが不器用ながらも今では成功しているというブッチャーの例え話は、なんだか良い感じで、だから自分たちも諦めないというチームの結論を導き出す。それでもヒューイは虚な表情を見せてはいるが。

ホームランダーはディープからブラック・ノワールを殺してしまったことへの謝罪を受けるが、セブンを解散するから気にしていないと返す。「ここ数年セブンは7人いなかった」とは、長らくファンの間でも指摘されてきたことで、「7人にならないセブン」は本作の代表的なジョークの一つでもあった。

「セブンは俺の全てです」と食い下がるディープに対し、ホームランダーは「自分の話にするな」と返す。こんな真っ当な返しが今までにあっただろうか。ディープの気持ちはマジで関係がない。

まさに天上天下唯我独尊という状態のホームランダー。街中のセブンの壁画もホームランダー単独の絵に塗り替えられている。そんな中、ブッチャーたちはオー・ファーザーのいるスタジオへ。アニーとMM、ヒューイとブッチャーというコンビでオー・ファーザーを探すことになる。

スタジオでは、イーグル・ジ・アーチャーのドラマが撮影されており、不法移民を連れたスターライトを捕え、「求めているのは富ではなく自由だ」というメッセージを発するシーンを撮っている。自由の代償として貧しくなることを受け入れさせるプロパガンダのようでもある。

監督はミミズの能力を持つワームで、脚本に苦言を呈すイーグル・ジ・アーチャーに対し、「AIが書いてて要望を受け付けない」と言ったり、シリーズは「ホームランダーの意思で全てリブートする」と言ったり、MMは「バカの寄せ集め」と呆れているが、現実もそう変わらないのが悲しいところ……。シリーズ全体のリブートは、MCUのケヴィン・ファイギやDCUのジェームズ・ガンのような大きな権力を持つリーダーを揶揄するジョークだ。

セージを困惑させるもの

キミコとの実験について、フレンチーから助けを求められたセージは、愛のせいで聡明な男が壊れていくことに気づけなかったとして拒否する。セージは『ジェン・ブイ』で天才科学者のゴドルキンと組んでおり、ずっと一人で生きてきたがゴドルキンとなら一緒に暮らしてもいいとさえ言っていた。だが、サイキック能力を持つゴドルキンは、ホームランダーも操り、弱い能力者も間引いていくというセージとは異なる計画を掲げ始めた。

この時、セージは「第2章を忘れた?」と問うたが、ゴドルキンは「私の計画で進める」と突っぱねた。つまり、セージは能力者と人類の第三次世界大戦を起こし、地下壕ではゴドルキンと共に過ごすつもりだったのだ。

加えて、ソルジャー・ボーイもストームフロントへの愛のためにホームランダーと結託し、これでセージは二度連続で愛のために目論見が外れたことになる。愛は予測できず、予測ができないなら自分は役立たずだとして、セージは自暴自棄になっている。そして、自分でロボトミーを施して全てを忘れるのだった。

大統領の死によって、継承順位1位の副大統領であるアシュリーはついに大統領の座につくことになる。カルフーンも大統領と副大統領の死に伴って大統領になった経緯があり、その代理の代理の大統領の死によって、とんでもない形で女性初の大統領が誕生している。

イギリス出身の俳優ミニー・ドライヴァーの広報担当から大統領になったと喜ぶが、その命はホームランダーに握られている。アシュリーの後頭部はもう協力しないとして眠りにつき、アシュリーはとんでもない状況で自力でのサバイブを求められることになった。

愛が面白い理由

スタジオではシナプスという思考を読めるサイキックによって、ブッチャーとヒューイが捕まってしまう。一方のMMとアニーは、ドラッグベイプを吸引することで脳を麻痺させ、心を読まれるのを阻止している。

オー・ファーザーは、寄付者の中からホームランダーの新作映像をテストプレビューで見れる人々を招待していた。ここで登場するのは、シーズン5第2話にも登場したティーンエイジキックスのシーライン、『ジェン・ブイ』から登場して意外と息が長いドッグノットだ。グレイ・マターとサイコKOというサイキックもおり、ホームランダー陣営がサイキックを使って何かの計画を進めようとしていることが分かる。

そこで上映されたのは、ホームランダーの前にイエス・キリストが降臨し、現代の悪は自分の手に余るとして、その役割をホームランダーに引き継ぐというものだった。この展開も、ドナルド・トランプが自身をイエス・キリストと並べた生成AIイラストを投稿した現実と重なる。イエス・キリストが「別の頬を差し出しても解決できない」と言うのは、「右の頬を打たれたら左の頬を差し出しなさい」というキリストの教えをベースにしている。

キリストは自分のいばらの冠をホームランダーに託すのだが、この冠はキリストが十字架にかけられる時にローマ兵から嘲の意味で被せられた受難の象徴だ。決して悪いものではないのだが、権威の象徴ではなく、自己犠牲の象徴であり、ホームランダーは多分それを理解していない。

この映像に対する聴衆の反応はイマイチ。一方のホームランダーは自室でホームランランドの設計図を見ている。ソルジャー・ボーイのエリアもある(これはちょっと面白そう)と説明するが、そのソルジャー・ボーイはコロンビアのボゴタに行ってもう帰って来ないだろうと明かす。

ホームランダーはソルジャー・ボーイが求めるものならなんでも提供すると申し出るが、ソルジャー・ボーイはV1を渡したのはクララのためで、彼女ならそうしたからだと語る。このソルジャー・ボーイのマインドはブッチャーにかなり近い。自分本位のホームランダーは、クララならどうしたか、ベッカならどうしたか、という考えを持つことができないのだ。

ソルジャー・ボーイははっきりと「お前は神じゃない」と告げるが、世界で唯一自分の能力を奪えるソルジャー・ボーイに、ホームランダーは手出しできない。ソルジャー・ボーイは最後に「Good luck, son」と言ってやるが、不意をついたホームランダーにより、気絶させられ、再びコールドスリープのケースに入れられたのだった。

シナプスに捕まったブッチャーがヒューイに「どんな犠牲を払ってもやり遂げる」と宣言する一方、実験でボロボロになるキミコにフレンチーはこれが終われば落ち着いた暮らしをして将来的に家族を持つことを持ちかける。共に死亡フラグすぎる……。

フレンチーは、恋愛リアリティショーを観て「なんで面白いんだろう」と疑問を持つシスター・セージに、答えを提示する。それは、愛が「意味不明で予測不能」だからだ。愛は理解できないからこそ世界最大のミステリーであり、素晴らしいのだと語るのだ。

セージは祖母から愛されていたことを思い出し、フレンチーを助けることにする。セージも両親に捨てられた自分をなぜ祖母が愛してくれたのかは理解できなかったはずだ。けれど、その理解不能な愛は、セージにとっては救いになった、セージはそれを思い出してフレンチーとキミコを助けることにしたのではないだろうか。

意外な大物ゲストも

テストプレビューでは30人全員がホームランダーを救世主だと信じると回答。アニーはこんな人たちを助ける意味があるのかとMMに問う。するとMMは、かつて祖父が殺された後に傷ついたハトを助けたこと、それによって周囲の子どもから「マーヴィン・ミルク」をもじって「マザーズ・ミルク」と呼ばれるようになったことを明かす。

つまり、MMのニックネームは母のように傷ついたものに手を差し伸べたことからつけられていたのだ。やがてハトは回復して飛び立ち、MMは人助けとそのニックネームが好きになったという。

そんなMMでも、収容所では無関心に構えているのが楽だったと吐露する。「誰もが無関心な世界で、誰かを気にかけるのは簡単じゃない」とはMMの名言だ。でも、それが本来の自分たちだとMMはアニーを勇気づけている。

ドッグノットとシーラインが犬と猫の習性で戯れている間、ホームランダーとオー・ファーザーは映像を見た結果、本当にホームランダーに信仰心を抱いているのは30人中6人であったことを確認する。このためにサイキックを揃えていたのだ。ついに民間人の内心の自由にも牙が剥かれる。

セブンから無所属になったディープは、ハンマーヘッドシャークのザンダーから、魚類たちはパイプラインの破壊とそれに伴う魚の大量死がディープの仕業だと信じていることを知らされる。ちなみにザンダーの声を演じたのはMCUのニック・フューリー役などで知られるサミュエル・L・ジャクソンだ。

ザンダーから“水出禁”を言い渡されたディープは、溺れている老人を助けることもできない。溺れる人を見殺しにした動画も撮られ、ディープは一気に窮地に立たされることになる。全てはやってきたことのしっぺ返しではあるが、パイプラインについては冤罪であり、陰謀論が自分にも降りかかるという、やはり自業自得な展開を迎えている。

ブッチャーの脳内に入ったシナプスは、ジョー・ケスラーの姿をブッチャーとヒューイに見せる。ジョー・ケスラーはブッチャーのCIA時代の同僚で、シーズン4では共に行動していたと思いきや、全てブッチャーの幻覚であったことが明らかになった。

演じたジェフリー・ディーン・モーガンは、エリック・クリプキのドラマ『スーパーナチュラル』(2005-2020) でディーン・ウィンチェスター役を演じており、『ザ・ボーイズ』シーズン5第7話では、シーズン4に続いて意外な形で再登場を果たした。

シナプスはケスラーとしてブッチャーに揺さぶりをかけていく。ブッチャーは、ISISの中級士官を殺害しようとしたアフガニスタンのパンジシール渓谷の作戦で部隊を突入させようとしたが、そこには100人規模の敵がいてケスラーは止めようとしたという。

部隊は包囲されたもののブッチャーは標的を仕留めることに成功。だが、生還したのはブッチャーだけだったという。シーズン4第6話では、本物のジョー・ケスラーはパンジシール渓谷の作戦でブッチャーに置き去りにされて死亡したとされていたが、シーズン5第7話ではその詳細が明らかになったのだ。

シナプスは、目的のためなら犠牲は厭わないというブッチャーの姿勢をヒューイに教えることで、ヒューイの気を逸らし、セージの居場所とキミコがソルジャー・ボーイの能力を得ようとしていることを情報を得ることに成功。ホームランダーが現地に向かうことになる。

まさかのラスト

オー・ファーザーの方は、心の奥でホームランダーを信じていない人々に、「新たな世界では許されない」として粛清を開始。シーラインとドッグノットによる殺戮が始まる。だが、これを助けたのは、「人を助けること」が本当の自分たちの姿だと認めたスターライトとMMだった。

別に入れなくてもいいんじゃないかと思ってしまうシーラインのネズミ喰いシーンの後、二人はシーラインとドッグノットの打倒に成功。まぁ、MMがすぐにウェットティッシュで手を拭いているのを見るに、潔癖症のMMが他者を助けるために我慢してネズミを掴んで投げたのだということは分かるけれど。

シナプスにナイフを向けられたヒューイは、捜査資料からシナプスが弟を殺したという過去を知っており、逆に揺さぶりをかける。誰にでも隠したいトラウマはあるものだ。これで気が逸れたシナプスは、自由になったブッチャーの能力で殺されることに。ケスラーの姿で切り裂かれたのだった。

MMとアニーは粛清されそうになった人々をマリーとジョーダンのもとへ連れて行っていた。アニーは「助けてほしい」と求めるが、それは人々の保護だけでなく、最終決戦へ向けた助けということなのだろうか。

『ザ・ボーイズ』シーズン5第7話のラストでは、シスター・セージの完璧な計算によりキミコにソルジャー・ボーイの能力を与える装置が完成。キミコに十分な量の濃縮ウランを浴びせることに成功したが、そこにやってきたのはホームランダーだった。

フレンチーは、セージとフラフラのキミコを亜鉛でできた部屋に隠し、一人ホームランダーと対峙することに。ホームランダーが亜鉛を透視できないという(みんながしばらく忘れていた)設定は、『ジェン・ブイ』シーズン2に続いて言及されることになった。

ホームランダーと対面したフレンチーは、すでにソルジャー・ボーイの能力は再現に成功し、その能力を得たキミコがこの場所に向かっているとブラフを打つ。早くこの場を立ち去らないと能力を奪われるぞ、と脅しをかけているのだ。

さらに濃縮ウランのスイッチをオンにしてホームランダーに揺さぶりをかけると、ホームランダーは飛び去って行ったのだった。だが、キミコが出てきた時にはフレンチーは腹部に重傷を負っていた。ホームランダーにやられたのだ。

キミコは涙ながらに助けてくれてありがとうと伝えるが、フレンチーは救われたのは自分だと返答する。確かに、ここまでフレンチーが人間的な生き方ができたのは奇跡とすら言える。二人は最後に愛を確かめ合って、フレンチーは絶命したのだった。

『ザ・ボーイズ』シーズン5第7話のエンディングで流れる曲はアン・リバーン「Dream a Little Dream of Me」(2019)。「おやすみと言って私にキスして」「星は消えるけれど私はあなたのために残り続ける」と歌われている。

『ザ・ボーイズ』シーズン5第7話ネタバレ考察&感想

最終兵器となったキミコ

『ザ・ボーイズ』シーズン5第7話は、「フランスの男、ある女、マザーズ・ミルクと呼ばれる男」というタイトルから、フレンチー、キミコ、MMの誰か、または全員が死ぬのではないかと予想されていたが、フレンチーがここで退場することになった。

同時に、ソルジャー・ボーイも三度コールドスリープに入り、キミコがソルジャー・ボーイの力を手に入れたことで、現状、キミコが対ホームランダーの最終兵器になっている。ホームランダーの方はV1は接種したがソルジャー・ボーイもディープもいなくなり、戦力としてはオー・ファーザーくらいしか周りにいない。

シリーズフィナーレとなる『ザ・ボーイズ』シーズン5最終話の第8話では、ブッチャーたちはフレンチーの復讐に燃えるキミコを連れてホームランダーのもとへ出向くのだろう。気になるのは、姿を消したライアン、再登場を果たしたマリー、大統領となったアシュリーのその後だ。

キミコが最終兵器となった今、ライアンとマリーの助けはなくてもホームランダーは倒せそう(というかキミコとブッチャーだけでいけそう)。この調子だと、ホームランダーとブッチャーの決着はついても、ソルジャー・ボーイはなんだか生き延びそうなので、ライアンとマリーの活躍は将来的なスピンオフにお預けでもいいかもしれない。

アシュリーについては、ホームランダー亡き後の米国を再建する仕事を頑張ってもらう必要がある。おそらくスタン・エドガーがまた出張ってくるので、愛を知ったシスター・セージと安定した社会の実現に挑んでもらいたい。

最悪のケースもあるだろう

だがしかし、もちろん最悪のケースも想定しておかなければならない。なんだかんだのハッピーエンドを『ザ・ボーイズ』が用意してくれるだろうか? ウイルスが使われる可能性も完全にはなくなっておらず、ブッチャーは能力者を絶滅させるために、キミコにホームランダーの能力を奪わせた上でウイルスを使うかもしれない。フレンチーを失ったキミコにも躊躇いはないだろう。

愛する人をホームランダーに奪われたという点で、ブッチャーとキミコは同じ状態にある。いかなる犠牲を払っても確実にホームランダーを仕留めるというモードに入れば厄介だ。今回、ブッチャーの戦場での冷徹さに触れられたことも気がかりだが、キミコの理性もシリーズフィナーレの注目ポイントの一つになりそうだ。

そうなれば、セージが願った第三次世界大戦の勃発もあり得る。願わくば一人か二人を除いて誰も死なずに終わってほしいところだが、そうはいかないだろう。一人でも多くの生存者が出ることを願って、『ザ・ボーイズ』のフィナーレを見届けよう。

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『ザ・ボーイズ』シーズン5第6話の解説&考察はこちらから。

シーズン5第5話の解説&考察はこちらから。

シーズン5第4話の解説&考察はこちらから。

シーズン5第3話の解説&考察はこちらから。

シーズン5第2話の解説&考察はこちらから。

シーズン5第1話の解説&考察はこちらから。

【ネタバレ注意】『ジェン・ブイ』シーズン2最終回の解説&考察はこちらから。

『ザ・ボーイズ』シーズン4最終回で残された11の謎についてはこちらの記事で。

『ザ・ボーイズ』シーズン4最終回のネタバレ解説&考察はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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