シーズン2最終話第6話ネタバレ解説『ロキ』圧倒的フィナーレ、ラストの意味と今後を考察 | VG+ (バゴプラ)

シーズン2最終話第6話ネタバレ解説『ロキ』圧倒的フィナーレ、ラストの意味と今後を考察

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『ロキ』シーズン2最終話第6話はどうなった?

MCU屈指の人気シリーズにのし上がったドラマ『ロキ』は、2021年にシーズン1の配信をスタート。その2年後にあたる2023年にシーズン2が配信されている。シーズン2最終回となる第6話の配信日には118日に及んだ米俳優組合のストライキが終結を迎え、キャスト陣が滑り込みでプロモーションに加わった。更に日本では同日に映画『マーベルズ』が公開され、MCU熱は再び盛り上がりを見せようとしている。

今回は、ドラマ『ロキ』シーズン2のフィナーレはどのようにして締めくくられたのか、各シーンをネタバレ有りで解説&考察していこう。以下の内容は重大なネタバレを含むので、必ずディズニープラスで本編を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ロキ』シーズン2最終話第6話の内容及び結末に関するネタバレを含みます。

『ロキ』シーズン2最終話第6話「大いなる目的」ネタバレ解説

ロキのタイムループ

ドラマ『ロキ』シーズン2最終回となる第6話のタイトルはズバリ「大いなる目的」。昔からロキが使ってきた標語であると同時に、「自分は何か大きなことを成し遂げるべき存在なのだ」と自分を運命論に縛り付ける呪いでもあった言葉だ。冒頭の回想では、シーズン1最終話で在り続ける者が帰ってくるとした“予言”も振り返られている。

シーズン2最終回は、前話のラストでタイムスリップを操ることに成功したロキが第4話のヴィクター・タイムリーが突入する場面に戻ってきたところから幕を開ける。シーズン2ではロキはTVA内でタイムスリップした時に過去や未来の自分の姿を見ていたが、今回は過去の自分に重なり合う形でタイムスリップに成功している。

ところがタイムリーはやはりスパゲッティ化。ロキはこの状況を打開するために、TVAが崩壊する前にウロボロスに打開策を聞いたり、もっと前に戻ってミス・ミニッツに協力を依頼したりと、何度もタイムスリップをやり直して解決策を見つけ出そうとする。

この時に流れている曲はウォルター・マーフィー「A Fifth of Beethoven」(1976)。ベートーベンの「運命」をリミックスした曲だ。意図したかどうかは分からないが、1976年は在り続ける者がコミックの『Thor #245』で初めて登場した年でもある。「運命」を「リミックス(作り変える)」した曲を流しているのだから意図していても不思議ではない。

ちなみに短い時間を何度も繰り返すというのは、日本で2023年6月から公開されているヨーロッパ企画のSFコメディ映画『リバー、流れないでよ』を想起させる。こちらはループする2分間で京都の老舗旅館の人々がドタバタ劇を繰り広げる内容になっている。

ロキはタイムリーとウロボロスの対面や、時間織り機の処理速度倍増器についての説明、細かいボケなどの不要な会話を全て先取りして早口で説明して、時間放射線が増幅し過ぎないうちに対応しようとする。過去のエピソードで多少余計に思われたコミカルな会話が全て回収されていく点が面白い。

ロキが達した境地

だが、埒があかないと判断したロキは、O.B.にメカニック、物理学、エンジニアリング全ての知識を与えるよう要求。数百年を要すると言われるが、なんとロキはそれをやってのける。人知れず数百年の時間を勉強に費やしたロキの行動は、地味ではあるが英雄的だ。それにしても時間をかければ全て理解できて使いこなせるなんて、ロキはかなりのインテリであることが分かる。

数百年後、自らの力で処理速度倍増器を完成させてショートカットしたロキは、起こりうる全ての失敗をヴィクター・タイムリーに警告して突入させる。「小さすぎるリングを大きくする」というO.B.のセリフも奪ったロキはケイシーに処理速度倍増器を渡しに行かせ、ついでにタイムリーのヘルメットの留め具を留めさせるなど、もう何度もこの場面をやり直していることを示している。

ロキの完璧なプラン。タイムリーはこれまでと違い、時間織り機がある空間に出てもスパゲッティ化しない。ロキの数百年をかけた“時短”によって、時間放射線が増幅し切る前に作戦に挑むことに成功したのだろう。増幅器を地面に置くタイムリーに「転がるぞ」と警告して拾わせるなど、ロキは未来を知る神のようだ。

だが、視聴者はここで既視感に襲われるはずだ。そう、ロキは『ロキ』シーズン1最終話に登場した在り続ける者と同じ力を持っているのだ。在り続ける者はこれから起きることを全て知っており、ロキやシルヴィの動きも知っていたが、今のロキは次に起こることや周囲の人々の次の行動を知っている在り続ける者と同じ状態にある。在り続ける者もまた、こうして何度も時間移動をすることで未来を知るようになったと考えられる。

ヴィクター・タイムリーは処理速度倍増器を時間織り機に発射することに成功。さらにタイムリーが生還を果たすと、リングは拡大して時間織り機は再び分岐を織り込み始める。作戦は成功したかに思われたが、織り機は再び過負荷状態に。処理速度を上げても織り機は無限の速さで増え続ける分岐の多さに耐えきれず、タイムリーは永久に広がるマルチバースは時間織り機で調整できないと指摘するのだった。

織り機は必ず崩壊し、新しい時間軸は分岐し続ける。この変えられない事実を前に、シルヴィは時間軸の分岐が始まった時にはこの結末は決まっていたのではないかと気づく。そうなればロキが向かう場所(時間)は一つしかない。『ロキ』シーズン1最終話第6話で時の終わりのシタデルで在り続ける者を殺そうとするシルヴィを止める場面だ。

再びセカイ系へ

ロキはここで在り続ける者を守る以外に世界の崩壊を止める手立てはないと考えた。しかし、シルヴィはシーズン1の最終話で一通りやった通り、自分の人生を奪った在り続ける者を許すつもりはない。シルヴィは、ロキがシルヴィを止めるにはシルヴィを殺すしかないと迫るのだった。

ここで『ロキ』は再びセカイ系(“あなた”と“世界”の命運がリンクしている物語)に。ロキは世界を守りたいがシルヴィを殺したくはない。ロキはシルヴィとの戦闘シーンでまたもループを繰り返すことになる。

こうなることを知っていたのは在り続ける者だ。前回のラストで在り続ける者が「近いうちに会おう」「輪廻転生だ、ベイビー」と言ったのは、変異体が襲来するということではなく、ロキがタイムスリップを操り在り続ける者の前に戻ってくるということだったのだろう。

余裕綽々の在り続ける者は“時止め能力”も披露。シルヴィを殺せないロキと二人で話し合うことに。やはりミス・ミニッツが在り続ける者のプランでヴィクター・タイムリーをTVAに連れてきたのも、新たな支配者を作るためではなく、在り続ける者の死をなかったことにするために組まれたことだったのだ。

端から殺されて終わるつもりはなかった在り続ける者は、「R.I.P. 在り続ける者ってか?」と皮肉っているが、英語では「R.I.P. H.W.R.?」と「在り続ける者 (He Who Remains)」のイニシャルを用いている。

「輪廻転生だ、ベイビー」と言う在り続ける者に対し、ロキは「死にゆく者と死に、死者と共に生まれる (We die with the diyng, we’re born with the dead.)」という詩の一節を口にする。海外ファンの間では、これはT.S.エリオット『四つの四重奏』の「リトル・ギディング」からの引用とされている。ロキの心情を理解するヒントになりそうな引用である。

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vs 在り続ける者

在り続ける者を選ぶまで何度でもループを繰り返せと言い放つ在り続ける者に対し、ロキは時間止め能力を披露してみせる。既にロキもこの境地に達していたのだ。ようやく在り続ける者はロキを認め、二人は腰を据えて話し合うことになる。本物のラスボス同士の戦いは剣など交わさない。机を挟んだ対話になるのだ。

在り続ける者は時間織り機に問題はなく、元々神聖時間軸以外の分岐を自動的に剪定する安全装置でしかないという事実を明かす。つまり、変異体の出現によって生まれた分岐はTVA職員によって剪定されるが、その剪定が間に合わず分岐が増殖した場合には時間織り機が自動的に分岐を剪定して一本の神聖時間軸に束をまとめる、というイメージだろう。

在り続ける者が死に、分岐が無限に生まれる状態になった以上は時間織り機の速度を上げようが無駄で、在り続ける者が死んだ後に分岐(=マルチバース)を残そうとすれば、TVAの崩壊は避けられないのだ。在り続ける者は方程式の答えは必ず「在り続ける」だと告げるが、この言葉がおそらくロキにヒントを与えることになったと考えられる。

まずロキは方程式を変えるために織り機を壊すという発想に辿り着く。在り続ける者は、多次元間戦争が起きなかったのは在り続ける者がここに一人で居続けたからだと指摘する。在り続ける者が時の終わりで“在り続ける”ことは楽しいことではなく、苦行なのだという考えは一理ある。振り返れば、この後にロキが出す答えを二人の対話を通してゆっくりと導き出しているように見える。

「別の道を探す」というロキに在り続ける者は無限に繰り返すよう告げるが、これは映画『ドクター・ストレンジ』(2016) でドクター・ストレンジがタイムストーンを使ってドルマムゥに仕掛けた戦い方を想起させる。無限の檻に閉じ込めることもまた有効な攻撃になるのだ。

ロキが取った二つの行動

時間織り機を壊して戦争を起こすか、シルヴィを殺すかという二者択一を迫られたロキは、二つの行動を取る。一つ目は、メビウスと出会った日に戻ること。“始まり”の『ロキ』シーズン1第1話でのタイムシアターでメビウスと対話を始める。

ロキは誰が生き、誰が死ぬかをどう選ぶか、教義としてではなくそれを実行する現場ではどう感じているのかという疑問をメビウスにぶつける。まるで新社長が現場の社員に聞き取りをしているようでもある。

メビウスはかつて5,000人を死なせる見込みの変異体を剪定しなければならなかったが、その相手は8歳の少年で兄弟で泳いで遊んでいたという。メビウスの相棒であったラヴォーナ・レンスレイヤーがその変異体を剪定したが、2人のハンターが犠牲になったという。ラヴォーナが言及していた“汚れ仕事”とはこのことだろう。そして、在り続ける者はそれができるラヴォーナを腹心として利用したと考えられる。

メビウスはTVAに安らぎなどはなく、常に大局を見なければならないと話す。責任が重すぎるからといって目的から逃げてはいけない、感覚はもうマヒしたと話すメビウスは、少年を剪定したハンターは良い方に転がったと言うが、この時点ではラヴォーナ・レンスレイヤーがヴィランになるとは思っていないからだ。

この聞き取りでロキはある確信を得たはずだ。① 在り続ける者を生きながらえさせて元のTVAに戻してもメビウスは幸せにはなれない② メビウスが果たそうとしている重責を誰かが果たさなければいけない、ということだ。覚悟を決めてTVAを運営していくことを決めても、ロキをはじめとする人々がラヴォーナのようになってしまうのであれば、在り続ける者を生かすという選択肢は残せない。

追記:制作陣はこの時点でロキはメビウスにお別れを言いに来ていると明かした。詳しくはこちらから。

ロキの二つ目の行動は、シーズン2第5話の世界の“終わり”へやってきてシルヴィと対話することだった。大きな決断を前に、“始まり”のメビウスと“終わり”のシルヴィと対話することを選んだのはロキらしい。

消えゆく世界で時止め能力を使ったロキは、シルヴィに時間織り機の真実を伝え、シルヴィは今ロキが迫られている選択について知る。全てを知るシルヴィには率直に「どうすればいい」と聞くロキだったが、「神聖時間軸を守るだけではダメ」と忠告を受ける。大災害を生き延びてきたシルヴィだからこそ、この世の中には破壊と不正が渦巻いているということを知っており、その世界を守るだけでは悪夢が挿げ替えられるだけだと主張するのだ。

現実で考えても戦争や差別、貧困の蔓延する社会を守ることに何の意味があるのかということになる。「破壊することも必要」というシルヴィの言葉を受けて、ロキは破壊したものよりも良いものを作り出せるならそうすべきだという結論に達し、再びタイムリー突入前の時間織り機の部屋へと向かうのだった。

God of Stories

タイムリーが時間オーラを読み取った後の「ようこそ在り続ける者」というアナウンスがロキの到着と重なり、あたかもロキがそう言われているかのような演出がなされている。ロキは既に覚悟を決めている。シルヴィとTVAのメンバーを見渡すと、ロキは一人時間織り機に向かって歩き出す。自分が愛する人々のためにどんな神にならなければいけないか——ロキは確信を持って歩を進めていく。

この時、ロキの姿は原作コミックの「ロキ:エージェント・オブ・アスガルド」のストーリーラインに近い姿になっている。このシリーズでは、ロキは最後に「God of Stories(物語の神)」となる。ロキは元々「嘘の神」だったが、物語とは嘘(Fiction)のことである。フィクションは描き直すことができるのだ。

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実はロキがゴッド・オブ・ストーリーズになるという線はシーズン2第5話の時点で示されていた。直接的に「物語を書き直す」という発言もしているが、それ以外にも分岐時間軸で小児科になっているB-15の名札に書かれている名前が、コミックの「エージェント・オブ・アスガルド」」シリーズに登場する「ヴェリティ・ウィリス」になっていたのだ。

原作コミックでは物語の神になったロキはマーベル世界の物語を知覚し、書き換えることができるようになっている。現実改変能力を手に入れたメタな存在となるのだ。

MCUのロキは時間織り機を破壊して束ねられていた分岐を解放するが、一つ一つの糸=世界は死んでいく。だが、ロキはその糸に力を与えて手繰り寄せていく。そしてロキは裂け目の向こうに現れた時の終わりへとその糸を連れていくと、崩壊したシタデルに残された玉座に就き、全ての分岐を自分自身に繋ぎ止めたのだった。

なんという展開。ロキは在り続ける者に代わって世界を見守るのではなく、自らが柱となってそこに“在り続ける”ことで、世界を支える神となったのだ。世界もシルヴィも犠牲にしないというロキの選択。自分が全てを背負うというのは同日公開された『マーベルズ』で描かれたものとは真逆の価値観だが、その幅を説得力を持って作り出されるのがMCUの強さだ。

ユグドラシルとTVAの新たな任務

そしてロキが握った“枝”たちはカメラが引いていき向きを変えると、それは一つの大木のような形をしていた。これは世界樹、ユグドラシルをモチーフとしたものだろう。ユグドラシルは北欧神話に登場する巨大な木で、アスガルドやミッドガルド(地球)といった9つの世界を繋ぐ存在とされている。映画『マイティ・ソー』(2009) ではソーがジェーンに、この世界の宇宙はユグドラシルによって繋がれていると説明していた。

かつてソーが説明した北欧神話の物語を、ロキは現実にしてしまったのだ。ロキは今や無数に分岐したマルチバース世界をつなぐユグドラシルの中心を支える存在となった。そして、その後のTVAではロキが作った樹がTVAのシンボルとなっていた。「共に伸びよう (Grow Together)」と書かれたポスターは、剪定を仕事としていた過去のTVAからの脱却を示している。

新たなTVAはB-15が仕切っているように見える。ウロボロスも地下からフロアに出てきており、ケイシーらとデスクで働いている。スクリーンに映る分岐は、これまでの横に伸びる形から、ロキを中心として縦に伸びる大木のような形になっている。気にかかるのはミス・ミニッツを再起動させていることだが、それよりも気になるのはメビウスの様子だ。

ロキがいなくなり、メビウスはなんだかぼんやりしているように見える。それでも、メビウスは剪定の必要がなくなった今のTVAの任務を紹介してくれる。それは、在り続ける者の変異体を追うという仕事だ。616周辺で問題を起こした変異体がいたと話しているが、アース616はMCUのメインユニバース(神聖時間軸)で、問題を起こしたのは映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023) に登場した侵略者カーンのことだろう。

『クアントマニア』のポストクレジットシーンはカーンの変異体が大量に発生していることを示すものと、『ロキ』シーズン2を紹介するものだった。しかし、『ロキ』シーズン2の最後には、『クアントマニア』に登場した在り続ける者の変異体たちをTVAが監視しているという事実が明かされた。『クアントマニア』で広げた大風呂敷を一旦収束させる展開と捉えることもできる。

それぞれのその後

メビウスは、B-15からタイムキーパーとカーンの絵がおろされると聞き、「過去を覚えていない人は同じ過ちを繰り返す」と話す。在り続ける者がTVA職員から戦争の記憶を奪っていたのは、そうして人々を無知に押し留めておくためだったのかもしれない。

表情の晴れないメビウスは、B-15にTVAを離れることを告げる。その前にB-15が「向こうに入ったら (When we get in there,)」と新しい任務について話しかけていたのが気になるが。もしかして『クアントマニア』ラストで登場したカーン評議会に乗り込むのだろうか。

メビウスは、自分たちが何を守っていたのかを見に行きたいと話し、B-15は席は空けておくと歓迎する。メビウスは、何のために戦っていた/戦っていくのかを知らずに残ることはできないと考えたのだろう。それはロキがシーズン2第5話で仲間たちに選択肢を持たせようとしたことにも繋がるし、無知に甘んじないという強い決心でもある。

メビウスは外の世界に踏み出すことを「怖い」と認めながら、新しい一歩を踏み出す。TVAのウォー・ルームは以前のような幹部だけの会議ではなく、多くの職員が集まる民主的な会議が開かれている。ウロボロスはTVA公式ハンドブックの第2版を完成させているが、そこに書かれているのは数百年勉強して全ての知識を手に入れたロキの名前だろうか。

ロウソクを作っているヴィクター・タイムリー少年の家の窓からはTVAハンドブックは投げ込まれず、シーズン2第4話で選定されたラヴォーナ・レンスレイヤーはシタデルの跡地と思われる時の終わりで眼を覚ます。そして、ラヴォーナにはシーズン1でロキたちに立ちはだかったアライオスが目前に迫るのだった。

メビウスは二人の息子と遊ぶドン=自分の姿を見ていた。自分が成り代わるわけではないが、「見なきゃ分からない (Never look, never know.)」という考えからもう一人の自分の姿を見にきたようだ。シルヴィは、破壊と不正に溢れた社会を守っても仕方ないと話したが、メビウスには二人の子どもがいる。世界には壊したくなるような不正義もたくさんあるが、守りたいと思えるものもある。

ロキに想いを巡らせたのち、シルヴィは当てのない旅に出て、メビウスはもう少しここにいるという。二人らしい選択だ。メビウスが「時が過ぎるまで」と言うのは、時が流れなかったTVAとは違う世界で生きてみるという決意の表れである。自由になり立ち去るシルヴィと、時が流れる中で佇むメビウス、そして、ユグドラシルの中で笑顔を見せるロキの表情が映し出されてドラマ『ロキ』シーズン2は幕を閉じる。

『ロキ』シーズン2最終回第6話ネタバレ考察&感想

ロキが果たした「大いなる目的」

なんというフィナーレ。『ロキ』は2シーズンで在り続ける者との(戦いというより)勝負に決着をつけ、ロキが物語の神になるまでのストーリーだった。その中でロキは友人を作り、何を破壊し、何を守るべきなのかを知っていった。また、時間軸が“枝分かれ”してそれを“剪定する”という設定からの、ロキが枝を伸ばしていくユグドラシルになるという結末は見事だった。

ロキは結局「大いなる目的」に回帰したと言えるが、元々のロキはその「大いなる目的」の中身が本当には分からないまま自分よりも大きな物事や存在を手中に収めたり、利用したりすることで安心感を得ようとしていたように思える。その背景には、出生に関わるトラウマや自尊心の低さがあったと言えるが、ロキは本作の中でそれを乗り越え、自分の大切な人たちを守るということに「大いなる目的」を見出した。

ちょうど日本では『ロキ』シーズン2第6話の配信日に金曜ロードショーで映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) が放送された。同作の中でも主人公のピーター・パーカーは大切な人たちを救うために孤独になる道を選んだ。「大いなる力には大いなる責任が伴う」というスパイダーマンの標語と重なる部分が大いにある。

一方で、ロキの「大いなる目的」という標語は、より主体的で能動的だと言える。人知れずヒーローとして新しい生活を始めることと、世界の中心に立つ神になることを選ぶことはまた違った重みがある。ロキは最後に死ななかったが、何もなければあそこから出ることもできないだろう。ロキの今後についてはあそこに磔になる以外、全く読めない状況になっている。

次はどうなる?

この状況に変化が訪れるとすれば、征服者カーンがTVAに到来した時だろう。『アントマン&ワスプ:クアントマニア』では、手を組んだ大勢のカーンが登場したが、追放された身である征服者カーンは在り続ける者と同じく他の変異体の存在を疎ましく思っているはずだ。

征服者カーンは自らの変異体を全て消して唯一無二のカーンになるために、マルチバースを守るロキのユグドラシルを破壊しに来る可能性は大いにある。『クアントマニア』のラストで征服者カーンがどうなったかということの考察はこちらの記事に詳しいが、その中ではマルチバースの外側に存在するビヨンダーというキャラクターになる可能性にも触れている。

つまり、カーンがマルチバース=ユグドラシルの外に現れる存在になれば非常に厄介なことになる。また、『クアントマニア』の中でカーンは「永遠 (eternity) を征服する」とも宣言している。映画『ソー:ラブ&サンダー』(2022) で登場したエタニティ (Eternity) はソーの娘にその力が引き継がれたとも考えられている。ソーの娘に危機が及ぶとあればロキも黙ってはいられないだろう。

最もありそうな展開は、シーズン2ラストで危機に陥ったように描かれたラヴォーナ・レンスレイヤーの逆襲だ。最後に紫の光を顔に浴びてアライオスが襲来したかのように描かれていたが、シーズン1のラストでは在り続ける者はアライオスを率いて多次元間戦争を終わらせたという話をしていた。しかし、シーズン2ではラヴォーナの活躍によって在り続ける者は戦争に勝利したことが明かされている。

この戦争が同じものを指しているのだとすれば、アライオスを率いたのはラヴォーナだったという可能性もあるだろう。アライオスが戦争を終わらせたことは確かだが、それを率いたのがラヴォーナであり、ラヴォーナがそれによって手柄をあげたのであれば、戦争を巡る二つの話は矛盾しない。それが事実だとすれば、ラヴォーナはむしろアライオスを飼い慣らすことができるということでもある。

でラヴォーナは記憶をなくしているが、アライオスはラヴォーナのことを覚えているかもしれない。現時点でラヴォーナは最もロキに近い位置におり、残された遺恨からも現実的な脅威だと言える。ミス・ミニッツとの再タッグもあるかもしれない。

マルチバースを安定させた『ロキ』

色々な考察は立てることができるが、それでもドラマ『ロキ』の功績は少々無茶のあるマルチバース展開をシーズン1で生み出しつつシーズン2で安定させたという点にあると言える。その中でロキというキャラクターの魅力を全開に引き出したのだから見事である。

日本ではシーズン2最終回の同日に公開された映画『マーベルズ』でもなかなかの展開が待っていたが、MCUでそうした面白い展開ができるのも、『ロキ』の説得力があってこそ。MCUは今回、『ロキ』と『マーベルズ』で安定させる動きと広げていく動きを同時にやってのけたわけで、2023年はこれで文句なしの締めくくりということでよいのではないだろうか。『マーベルズ』未鑑賞の方はぜひ劇場で目撃していただきたい。

この冬のホリデーシーズンには、アニメ『ホワット・イフ…?』シーズン2が配信される可能性がある。ドラマ『エコー』は2024年1月10日(水) に全5話を一挙配信、その後は2024年5月3日(金) に映画『デッドプール3』が全米公開される。ハリウッドのストライキの影響で、現在2024年公開のMCU映画は『デッドプール3』のみとなっている。それも一旦落ち着きを取り戻すには良い機会かもしれない。『ロキ』シーズン2のラストは、そんな風に気持ちに余裕をもたらしてくれるようなフィナーレだった。

一方で、アメリカでは米俳優組合のストライキも終わったことから、俳優陣のコメントなどもどんどん出てくるようになるだろう。当面は『ロキ』シーズン2に込められた想いを追いつつ、次の展開を楽しみに待とう。

ドラマ『ロキ』シーズン1とシーズン2はDisney+で独占配信中。

『ロキ』視聴ページ (Disney+)

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『ロキ』シーズン2のオリジナルサウンドトラックはVol.1が配信中。

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【ネタバレ注意!】映画『マーベルズ』ラストの解説&考察はこちらから。

プロデューサーが語った『ロキ』の今後とシーズン3の可能性についてはこちらの記事で。

『ロキ』スピンオフの可能性についてプロデューサーが語った内容はこちらから。

シーズン2最終話でのロキとメビウスの対話シーンについて制作陣とトム・ヒドルストンが語った内容はこちらから。

トム・ヒドルストンが引用した詩について解説した内容はこちらの記事で。

トム・ヒドルストンが語ったシーズン2ラストの受け止め方はこちらの記事で。

 

『ロキ』シーズン2第5話のネタバレ解説はこちらから。

シーズン2第4話のネタバレ解説はこちらから。

シーズン2第3話のネタバレ解説はこちらから。

シーズン2第2話のネタバレ解説はこちらから。

シーズン2第1話のネタバレ解説はこちらから。

トム・ヒドルストンが語ったシーズン2のロキの”新しい家族”についてはこちらから。

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トム・ヒドルストンが『ロキ』シーズン2の「責任」というテーマについて語った内容はこちらから。

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『アントマン&ワスプ:クアントマニア』ラストの解説はこちらから。

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ドラマ『シークレット・インベージョン』最終話の解説はこちらから。

11月10日(金)公開の映画『マーベルズ』で主人公三人が置かれている状況についてはこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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