ネタバレ! ケヴィン・ファイギが“マルチバース化の犯人”を語る『ドクター・ストレンジ MoM』『スパイダーマン NWH』はなぜ起きたのか | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ! ケヴィン・ファイギが“マルチバース化の犯人”を語る『ドクター・ストレンジ MoM』『スパイダーマン NWH』はなぜ起きたのか

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『ドクター・ストレンジ/マルチバース・イン・マッドネス』公開

MCU映画第28弾『ドクター・ストレンジ/マルチバース・イン・マッドネス』が2022年5月4日(水・祝) から日本で世界最速公開された。2021年1月に配信を開始したドラマ『ワンダヴィジョン』から始まったMCUフェーズ4では“マルチバース化”が進み、本作では初めてタイトルに「マルチバース」が冠された。

そもそもMCUの世界は急にマルチバース化したのか、それとも以前からマルチバースは存在していたのだろうか。今回、『マルチバース・イン・マッドネス』のワールドプレミアに登場したマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギが、マルチバース化の“犯人”について改めて明言している。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・イン・マッドネス』の内容に関する若干のネタバレと、ドラマ『ロキ』の結末に関する重大なネタバレを含みます。

マルチバース化の犯人は……

今回の映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・イン・マッドネス』が、初めて複数のマルチバースを渡り歩く作品になったことについて聞かれたケヴィン・ファイギは、こう話している。

マーベルファンの皆さんはご存知の通り、ロキとシルヴィがあのシリーズ(ドラマ『ロキ』)の最後にやったことによって、あらゆることが起こりうる状況になりました。“在り続ける者”がいなくなったことで、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で(ストレンジの)呪文の失敗を許すことになり、本作でのマルチバース全体の混乱を引き起こしたんです。

この“公式見解”に、インタビュアーは「これってスクープじゃないですか? 全部繋がってるってことですよね?」と慌てて聞くが、ケヴィン・ファイギは「全て出ていることですよ」と冷静に回答している。

ドラマ『ロキ』(2021-) シーズン1の最終回では、“在り続ける者”ことカーンが世界を“神聖時間軸”と呼ばれる一本の時間軸に押しとどめていたことが明らかになった。カーンはマルチバース間の交流を実現した31世紀の科学者で、マルチバース間の戦争が始まった時にカーンの変異体の一人である在り続ける者が怪物のアライオスを率いて一つの神聖時間軸を作りだした。

『ロキ』シーズン1では、時間軸に分岐をもたらす存在として幼い頃に拉致されたシルヴィが在り続ける者を倒し、時間軸が解放された。これまで在り続ける者が率いていたTVA(時間変異取締局)が時間軸の枝分かれを“剪定”していたが、在り続ける者の死によってその組織体系が大きく変わり、分岐は止められなくなった。

これまで、マルチバース(=宇宙/現実が複数あること)と時間軸の分岐は、横軸と縦軸のようなものとして、違う概念だとも考えられてきた(そうでない考え方もある)。今回、ケヴィン・ファイギは『ノー・ウェイ・ホーム』と『マルチバース・オブ・マッドネス』の出来事を、『ロキ』におけるシルヴィとロキの行動が引き金になっていると述べたが、これはどういうことなのだろうか。

浮上する仮説

ここで一つの仮説を考えてみよう。在り続ける者の排除によって『ノー・ウェイ・ホーム』と『マルチバース・オブ・マッドネス』が実現した理由は、

① マルチバースと時間軸の分岐は別の概念だが、
② MCUのメインユニバースであるアース616を管理する在り続ける者がいなくなったことで、
アース616の人物が他ユニバースに干渉するような行動をとっても、“変異体”として剪定されることがなくなった

ということではないだろうか。簡単に言うと、「マルチバースはずっと存在していたが、『ロキ』後は、アース616からマルチバースに干渉するような行動を起こせるようになった」ということだ。

ドラマ『ロキ』では、在り続ける者は一つの時間軸を切り離して神聖時間軸を確立したと話していた。これまでもマルチバースは存在していたけれど、アース616は在り続ける者とTVAに保護され、他のユニバースから孤立していただけだったとしたら……。

干渉を止めるものがいなくなり、「そういうことを起こしがち」なドクター・ストレンジがマルチバースに干渉する行動を実行してしまった……それが『ノー・ウェイ・ホーム』であり、『マルチバース・オブ・マッドネス』なのではないか。

マルチバースについては、マーベルによる公式な説明がないまま物語が進んでおり、仮説を立てながら楽しんでいくしかない。製作が進んでいる『ロキ』シーズン2で正式に語られることを願おう。

追記:『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のプロデューサーが時間軸とマルチバースは同じものであることを示唆するコメントを出した。詳しくはこちらから。

MCU拡大の秘訣とは

なお、ケヴィン・ファイギはこのインタビューで、MCUで進められるマルチバース化について「心に訴えかけるような、違うバージョンのキャラクター達を見るための優れたストーリーテリングのツール」と説明している。そして、ドラマに映画にと拡大し続けていくMCUの世界を繋ぎ合わせておく秘訣について聞かれ、こう話している。

マーベル・スタジオには最高のクリエイティヴ・チームがあり、私たちの多くは15年以上を共にしています。これはこの業界ではとても稀なことです。それに私たちは皆が待ってくれていて、期待してくれていることのために一生懸命に働くのが大好きなんです。

MCUの誕生から14年。『X-メン』(2000) の製作助手からキャリアをスタートさせたケヴィン・ファイギは、長年の仲間とのチームワークとハードワークがこれを可能にしていると話す。先日はマーベル・スタジオが2032年までの計画を立てていることを明かしたばかり。マルチバース化と共に、まだまだMCUの拡大は続いていきそうだ。

映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は、2022年5月4日(祝・水)より劇場公開。

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』公式サイト

ドクター・ストレンジとワンダのこれまでの道のりについてはこちらの記事で。

エリザベス・オルセンが語った“ワンダの強さ”についてはこちらから。

【ネタバレ注意】『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』ラストとポストクレジットシーンの解説はこちらから。

【ネタバレ注意】劇中に登場したイルミナティメンバーの紹介はこちらから。

【ネタバレ注意】本作におけるドクター・ストレンジの変化についての解説はこちらから。

ドラマ『ムーンナイト』最終話のネタバレ解説はこちらから。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ラストの徹底解説はこちらの記事で。

『モービウス』のラストのネタバレ解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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