MCUマルチバースのルールに新証言 時間軸とユニバースは同じ?『ドクター・ストレンジ MoM』プロデューサーが語る | VG+ (バゴプラ)

MCUマルチバースのルールに新証言 時間軸とユニバースは同じ?『ドクター・ストレンジ MoM』プロデューサーが語る

© 2021 Marvel

MCU マルチバースのルールは?

2022年5月4日(水・祝) より映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が劇場で公開され、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のマルチバース展開が更に進行している。MCUのマルチバース展開が本格的に始まったのは2021年6月から配信を開始したドラマ『ロキ』から。マルチバースのルールは公式に説明されることは少なく、ファンは新たな作品が登場するたびに予想を重ねてきた。

特に意見が分かれるのが“時間軸”と“ユニバース”は別々の概念か否かというものだ。ドラマ『ロキ』では、“神聖時間軸”という言葉が紹介され、TVA(時間変異取締局)が一つの時間軸に分岐が生まれないように守っていたことが明かされた。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) でも描かれたように、時間軸をいじると未来が変わるのではなく、分岐が起きて新しい世界が生まれるというのがMCUのルールだ。

一方で、別の“ユニバース”からは顔の違うピーター・パーカーが現れたり、かと思えばドクター・ストレンジの顔は同じだったり、マルチバースに関するルールは一貫性を欠いているところもあるように見える。マルチバースについての謎は多い。

そんな中、『キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー』(2014) からマーベル作品に携わり、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』では共同プロデューサーを務めたリッチー・パルマーが、MCUのマルチバース設定について新たなルールを開示している。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ロキ』の内容に関するネタバレを含みます。

時間軸とユニバースは同じ?

リッチー・パルマーのコメントを紹介したのは、ほかでもない米マーベル公式だ。ドラマ『ロキ』から映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』までの繋がりを説明する記事でパルマーのコメントを紹介している。

なお、ドラマ『ロキ』がMCUのマルチバース化の原因になったということは、既にケヴィン・ファイギがインタビューで述べたことで、こちらの記事で紹介している。

ドラマ『ロキ』では、シルヴィが神聖時間軸を管理していた在り続ける者を倒したことで、時間軸が無数に分岐し始めた。映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ではマルチバースの扉が開き、別のユニバースからヴィランとスパイダーマンが集結した。

それを踏まえた上で、リッチー・パルマーはこう話している。

異なる時間軸と異なる現実の間には若干の違いがありますが、それらは交差しており、結局は同じものです。(『ロキ』での展開なしには)私たちのキャラクターたちは、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』や『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のようには他のキャラクターたちと交流することはできなかったでしょう。

「異なる時間軸と異なる現実 (alternate timelines and alternate realities)」は「結局は同じもの (they end up being one and the same)」と重大な発言をしている。やはり、『ロキ』で無数に生まれた時間軸の分岐の中からトビー版スパイダーマンやアンドリュー版スパイダーマンの世界、ヴェノムの世界やドクター・ストレンジが訪れたアース838の世界が生まれたということなのだろうか。

時間軸の違い=ユニバースの違いということであれば、『ロキ』の最終話で時間軸が解放されたことで、その瞬間にこれまで“無かったこと”になっていた他のユニバースが一気に解放されたということだろうか。そうであれば、各ユニバースの時間がリアルタイムで流れるわけではないので、各ユニバースの歴史も一気に作られることになるのだろう。

リッチー・パルマーは時間軸とユニバースを指して、「それらは交差している (they do intersect)」「若干の違いがある (There’s a slight difference)」と少しの余白も残している。これについては、各ユニバースにも時間軸があるという意味かもしれない。各ユニバースの中で『エンドゲーム』のようにタイムスリップをすることも可能なはずだ。

いずれにせよ、この発言をこのタイミングでマーベル公式が掲載したのは、ファンの間のマルチバースについての議論に一定の方向性を示す意図があるようにも思える。

ドクター・ストレンジはなぜ?

リッチー・パルマーは、もう一つ、具体的な出来事についての事実を明かしている。それは、『ノー・ウェイ・ホーム』でドクター・ストレンジがマルチバースの扉を開いてしまった理由だ。

ケヴィン(・ファイギ)が言っていたのは、「スパイダーマン」の最後(『ノー・ウェイ・ホーム』)でドクター・ストレンジが思った通りに呪文を使っていたとしたら、ピーター・パーカーがあんな風にめちゃくちゃにしたとしても、私たちのユニバース(アース616)の人々にしか影響はなかったはずだということです。

ドクター・ストレンジがあの呪文を実行し、準備する時に、スパイダーマンの正体を知っている人が無限に広がる他のユニバースにもたくさんいるということを考慮しなければならないとは考えていなかったんです。その要素は含まれないはずでした。ストレンジとウォンはこの時点で、マルチバースにおける全ての世界を考慮に入れる必要があるという事実を知らなかったということです。

こちらも重要な証言だ。ドクター・ストレンジが他のユニバースからヴィランたちを呼び寄せてしまったのは、世界がマルチバース化した事実を知らずに呪文を唱えたからなのだという。前述の通り、MCUがマルチバース化したのは『ロキ』以降だ。この発言のニュアンスからも、時間軸が解放されたことで他のユニバースが一気に誕生したということが窺い知れる。

まだ解釈の余地を残しながらも、少しずつルールが明らかになっていくMCUのマルチバース。想像を巡らせ、情報を集めながら、ルールブックを作っていこう。

映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は、2022年5月4日(祝・水)より劇場公開。

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』公式サイト

ドラマ『ロキ』はDisney+で独占配信中。

『ロキ』(Disney+)

Source
Marvel.com

【ネタバレ注意】『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』ラストとポストクレジットシーンの解説はこちらから。

【ネタバレ注意】劇中に登場したイルミナティメンバーの紹介はこちらから。

【ネタバレ注意】エリザベス・オルセンが語ったワンダの今後についてはこちらの記事で。

ドラマ『ロキ』最終話でシルヴィがとった行動の理由はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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