すべての鍵を握るのはライアン?
非人道的行為もいとわないスーパーマンのようなヒーローのホームランダーと、彼が率いる腐敗したスーパーヒーローたち。それに立ち向かう何でもありのならず者集団のボーイズ。そんな両者の対立を描いた人気ドラマシリーズ『ザ・ボーイズ』(2019-)のシーズン4が先日、クライマックスを迎えた。
『ザ・ボーイズ』シーズン4は衝撃的な結末を迎え、それによる感情の変化にまだ追いついていない人も多いことだろう。続編である『ザ・ボーイズ』シーズン5は2026年に配信が開始されると言われている。2026年まではこれまでに明らかになった情報をもとに考察するしかないが、その考察の中でも注目を集めているのがライアンだ。
本記事では、ライアンが何故注目されるのかについて解説と考察をしていこう。なお、以下の内容は『ザ・ボーイズ』シーズン4最終話「シーズン4フィナーレ」のネタバレを含むので、必ずAmazonプライムビデオで本編を鑑賞してから読んでいただきたい。また、本作は視聴対象が18歳以上の成人向けコンテンツになっている。露骨な残虐描写や流血描写、性描写、性暴力への言及が含まれるので注意していただきたい。
以下の内容は、ドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン4最終話「シーズン4フィナーレ」の内容に関するネタバレを含みます。
以下の内容は性的暴力への言及を含みます。
『ザ・ボーイズ』最強のヴィランかもしれないライアンについて考察&解説
怪物と戦うには人間らしく振る舞わなければならない
『ザ・ボーイズ』のシーズン4最終話である「シーズン4フィナーレ」で一線を越えてしまった人物がいる。何でもありの『ザ・ボーイズ』で一線を越えていない人物などいないように思えるが、その人物こそベッカの息子であり、ホームランダーの息子であるライアンだ。ライアンは最終話「シーズン4フィナーレ」で人間性に関する一線を越えてしまったのだ。
そもそも『ザ・ボーイズ』シーズン4のテーマとして挙げられるのが人間性だ。それは最終話「シーズン4フィナーレ」でヴィクトリア・ニューマン副大統領を保護する判断をしたヒューイ・キャンベルの台詞にも表れている。ヒューイはこれまで数多くの暗殺に関与し、ヴォート社の不祥事をもみ消してきたヴィクトリア・ニューマン副大統領を受け入れることに反対するボーイズに対し、以下のように述べている。
常軌を逸してるのは解決法が殺人ってこと。いつの間にか血を恐れなくなった。ヴォートの映画と同じじゃダメだ。暴力は勇敢じゃない。母親を憎むのも、Aトレインや誰かを憎むのも違う。ゆるすことや情けをかけることが、勇敢なんだ。バカげてるけど、勇敢だ。父さんが最後にそう教えてくれた。人間らしい行動が怪物に打ち勝つ。
原作コミックのヒューイは恋人のロビンを殺されたことに加え、スターライトことアニーに対する性的暴行に憤慨し、Aトレインを蹴り殺している。ドラマ版ではAトレインは性的暴行に関与していないが、恋人のロビンを殺したのは事実だ。しかし、ヒューイはAトレインが心の底から反省し、それを行動で示したことでAトレインを許した。
一線を越えてしまったライアン
これまでのライアンは『ザ・ボーイズ』シーズン4第7話「インサイダー」で「家族は敵じゃない。家族こそ、大切なものだ」とベッカの思い出を語り、ブッチャーに「これが…あの子を信じる理由だ。最高のガキだぜ」と評されている。これまで、ライアンは自らの意志で殺人を犯すことはなかった。『ザ・ボーイズ』シーズン2最終話「知っていること」でベッカを殺めてしまったのは能力の暴走による事故だ。
それが『ザ・ボーイズ』シーズン4最終話「シーズン4フィナーレ」では大きく変わってしまった。ライアンは自らの意志でグレース・マロリーを手にかけ、その首の骨を折って殺害したのである。ライアンは自らの意志で一線を越えて、ホームランダーのような悪を悪と思わない方向へと傾いてしまった。
ホームランダーが実験用モルモットのような扱いを受けていたことを知っていたとはいえ、ライアンは自分を愛してくれたグレース・マロリーを殺害しても罪悪感を覚えていないような描写がなされている。グレースおばさんと言ってまで慕っていた相手の命を奪っても、一瞥するだけでその場を後にするような性格になってしまったのである。
グレース・マロリーの殺害というライアンの行動はビリー・ブッチャーの最後の良心を奪い、間接的にヴィクトリア・ニューマン副大統領の殺害に繋がった。そのようなライアンだが、もしかするとボーイズを含めた人類にとってホームランダー以上の脅威になる可能性があるのだ。
ホームランダーよりもライアンは強い?
実はライアンはホームランダーよりも強いのではないかという考察がある。それは『ザ・ボーイズ』シーズン2最終話「知っていること」での能力の暴走で明かになった事実に基づくものだ。そのエピソードではライアンはベッカの首を絞めるストームフロントを倒そうと思い、目から意図せずレーザーを放った。
このレーザーは結果としてベッカの命も奪ってしまうのだが、その際にストームフロントの左腕と両足を奪い、全身を大火傷にしている。これがライアンの実力がホームランダーよりも高いのではないかと言われる所以だ。ホームランダーも一度、ストームフロントに向けて目からレーザーを放っている。
『ザ・ボーイズ』シーズン2第5話「行動の時」でストームフロントとホームランダーは激しい性行為に及ぶ。その激しさは部屋を壊すような勢いで、その際にストームフロントはホームランダーに目から放つレーザーを自分に当てるように誘導している。ホームランダーは「真っ二つにする」と警告したが、ホームランダーのレーザーはストームフロントの皮膚を焦がす程度だった。ホームランダーのレーザー受けても皮膚を焦げる程度だった頑強なストームフロントを、ライアンはレーザーでその四肢を吹き飛ばしているのである。
このようにホームランダーよりもライアンのレーザーの方が強いと思わせる描写が存在している。これは生まれながらの能力者というのも影響しているのかもしれない。基本的に『ザ・ボーイズ』の世界の能力者は生まれてすぐにコンパウンドVを投与されることで、能力者になっている。その中でも数少ない例外がホームランダーとライアンだ。
生まれながらの能力者は親より強い?
ホームランダーは“設計”されて生み出された能力者だ。『ザ・ボーイズ』シーズン3第7話「過去との対峙」でホームランダーはソルジャー・ボーイの精子を用いて生み出されたことが語られている。ソルジャー・ボーイはホームランダーが生まれるまでヴォート社のトップヒーローであり、その能力は最強と言っても過言ではなかった。最強が故にヴォート社の命令通りに動かないようになり、ヴォート社の言う通りに動くような精神を持つヒーローとしてホームランダーを“設計”した。
つまり、ソルジャー・ボーイはホームランダーの父親である。一方、ホームランダーの母親は家出女性であったことが『ザ・ボーイズ』シーズン4第4話「時の知恵」で明らかになっている。そのため、ホームランダーの母親は能力者ではないことは確かだ。それらを踏まえると、ホームランダーの能力はソルジャー・ボーイ由来のものであると考察できる。
そのソルジャー・ボーイだが、彼はホームランダーとは異なり飛行能力や目からレーザーを放つ能力は持ち合わせていない。このことから、能力者の子供、つまり生まれながらの能力者は親の能力よりも強力な能力を有して生まれてくる可能性が考察できる。ライアンにもこれが当てはまるのではないだろうか。
ホームランダーを凌駕する能力を持つ可能性を秘めたライアン。そのライアンが持っていたブッチャーに清らかな心と評されるほどの精神性は消え失せ、代わりに自分を愛してくれた人物を殺しても何も思わない性格になってしまった。『ザ・ボーイズ』シーズン5ではライアンという最強の能力者を倒すことに焦点があてられるのかもしれない。もしかすれば、その攻略の鍵は血中のコンパウンドVを消す放射線を放つライアンの祖父にあたるソルジャー・ボーイかもしれない。どちらにしてもすべての答えは『ザ・ボーイズ』シーズン5が配信される2026年まで待つしかないだろう。
ドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン4はAmazonプライムビデオで配信中。
原作コミックの日本語版は、G-NOVELSから第6巻まで発売中。ファイナルシーズンまでに予習しておこう!
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