『アソーカ』登場のマロックは誰?
ドラマ『アソーカ』は2023年8月に配信を開始した「スター・ウォーズ」ドラマの最新作。アニメ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020)、『スター・ウォーズ 反乱者たち』(2014-2018) で活躍を見せた元ジェダイのアソーカ・タノを主人公にした作品だ。
『アソーカ』の舞台はドラマ『マンダロリアン』シーズン3と同じ新共和国時代の9ABY-11ABY頃とされており、帝国崩壊から5年しか経過していない不安定な時期の銀河の姿が描かれている。アソーカの前に立ちはだかるヴィランたちにもその状況が反映されているように思われる。
中でも注目を集めたのはマスクを被り、『反乱者たち』に登場した尋問官と同じ武器を操るマロック。その正体についてはファンの間で様々な考察が交わされていたが、制作陣がその裏側について語っている。
以下の内容は、ドラマ『アソーカ』第4話までの内容に関するネタバレを含みます。
マロックの正体に対する考察
マロックは『アソーカ』第2話で初登場。スタント俳優のポール・ダーネルが演じたマロックは、ハイパードライブの盗難を阻止しようとするアソーカの前に立ちはだかると、アソーカと拮抗する戦いぶりを見せた。その後も、ベイラン・スコールの弟子であるシン・ハティの右腕のような動きを見せている。
尋問官が使用していた武器は非常に目立つもので、帝国側の人間であったということの証でもある。帝国の終焉から数年が経過した時点でも生き延びているところを見るに、やはりそれなりの実力者であることに違いはないだろう。
マロックの正体が語られることはなかったが、注目を集めたのは第4話での展開だ。惑星シートスの森でアソーカに敗れたマロックは、緑の煙を噴出しながら倒れたのだ。この死に際について、「スター・ウォーズ」ファンの間ではマロックの正体に関する考察が進んでいた。
マロックはナイトブラザー?
それは、マロックはナイトブラザーの一人だったというものだ。ナイトブラザーとは惑星ダソミアに住んでいた部族で、ダース・モールもナイトブラザーの一員だった。『アソーカ』第1話では、モーガン・エルズベスがナイトシスターの生き残りであることが明かされた。ナイトシスターは『クローン・ウォーズ』でドゥークー伯爵によって滅ぼされたが、元はナイトブラザーを従える魔女の集団だった。
『クローン・ウォーズ』では、ダース・モールの弟で同じくナイトブラザーであるサヴァージ・オプレスが死ぬ際に身体から緑色の煙を放つ演出が登場していた。この“緑の煙”という死に際の共通項によって、マロックの出自がナイトブラザーなのではないかと、ファンとメディアの間では話題になった。
ナイトシスターの生き残りであるモーガンが、ナイトブラザーのマロックを連れてきたというのはあり得る話だ。本人は元尋問官ではなく、帝国崩壊後に手に入れた尋問官の武器だけを使っていた可能性もある。尋問官は元ジェダイの訓練性や元ジェダイ・テンプル・ガードらで構成されていたフォース・センシティブのエリート集団だ。
だが、ナイトブラザーはダース・モールにサヴァージ・オプレス、ナイトシスターはドゥークー伯爵のシスの弟子だったアサージ・ヴェントレスといったフォースの使い手を輩出している。ダソミアはダークサイドのエネルギーと親和性が高い惑星とされており、尋問官の中にフォースを操れるナイトブラザーのメンバーがいたとしてもおかしくはない。
機械の身体?
では、『アソーカ』の制作陣はマロックについてどう話しているのだろうか。米IGNのインタビューでは、マロックが倒れるシーンを描いた『アソーカ』第4話のエピソード監督であるピーター・ラムジーがマロックの死のシーンについて語っている。
第4話全体が日本の時代劇映画の影響を受けていることは明らかだが、ピーター・ラムジー監督は、黒澤明監督の映画『椿三十郎』(1962) で三船敏郎演じる椿三十郎が室戸半兵衛と居合い斬りをするシーンからインスピレーションを受けたことを明かしている。『椿三十郎』では、斬られた室戸の腹部から大量の血が噴出する演出になっており、ラムジー監督はこれを「拝借した」と話している。
そして、マロックの正体については、『アソーカ』の全体を指揮するショーランナーのデイヴ・フィローニからこんな話を聞いたと語っている。
私は、「マロックって何者?」って聞いたんですよ。人間なの? それともダース・ベイダーのような、人間よりも機械寄りの存在? ってね。後者がその答えでした。それで私は、「もし彼の中から何かを噴出できたら素晴らしいんだけど」って言ったんです。彼にとって不凍液のようなものって何なんだろうって。血は流せないってことですからね。
『椿三十郎』の血の噴射を再現したかったピーター・ラムジー監督だが、マロックがメカニカルな存在であることを知る。斬られた時に何が体内から噴出するのかを確認した末、緑の煙という結論に落ち着いたということのようだ。
ピーター・ラムジー監督は、マロックの正体について更にこう語っている。
最終的には彼が何だったのかは分かりません。しかし、私たちの仮定は、彼は部分的に機械のスーツを着ているか、彼自身の一部が機械か何かであるということです。だから最後には人間とは違うモノが中から飛び出てきたんです。それが何なのかは私には分かりません。
『アソーカ』を指揮するデイヴ・フィローニは、新共和国時代を舞台にした「スター・ウォーズ」の新作映画で監督を務めることが発表されている。将来に向けて様々なアイデアを頭の中に宿しているようで、ピーター・ラムジーは「(デイヴ・フィローニは)多くのディテールについて口を閉ざしています」と話している。
その上で、デイヴ・フィローニは「機械のようなものなんです。彼は完全に人間というわけではありません」とだけは語ったとしている。マロックが機械の身体を持っているということであれば、マロックは修理したり量産したりすることも可能なのだろうか。ナイトシスターのモーガンの力と合わせれば何でもできてしまいそうではある。マロックの再登場はあるのか、今後の展開も注視しよう。
ドラマ『アソーカ』はディズニープラスで独占配信中。
Source
IGN
ジェダイ・オーダー離脱後のアソーカを描く小説『スター・ウォーズ アソーカ』( E.K.ジョンストン 著, 村上清幸 訳) は発売中。
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