ラスト ネタバレ解説『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』ポストクレジットの意味は?考察&解説 | VG+ (バゴプラ)

ラスト ネタバレ解説『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』ポストクレジットの意味は?考察&解説

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世界興行収入1000億円越え!好調なスタート“B”ダッシュを切った『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』

ディズニーの『アナと雪の女王2』(2019)の歴史的な記録を塗り替え、世界興行収入1000億円を2023年4月28日のマリオの本場、日本公開を前に達成した映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023)。日本公開前からすでに続編の話題が持ち上がっているほどの人気を誇っている。2023年12月30日には『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』Amazonプライムビデオで見放題配信開始される。

そのような大ヒット映画の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』だが、最近の映画と同じく、ポストクレジットでは続編を匂わせる展開があり、考察の余地があるものとなっている。また、本編で明かされていない謎もまだまだ多い。

本記事ではラストシーンと本編に残された謎を中心に映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の続編など今後の展開について考察していきたいと思う。なお、本記事は映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の結末部分に関するネタバレを含みます。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』ラスト ネタバレ解説

くじけてしまったマリオの心

逆境にくじけず、ルイージを救うために何度も挑戦し続けてきたマリオたち。しかし、映画のクライマックスでは巨大なキラーマグナムの爆発からキノコ王国を守るためとはいえ、ワープ土管を通して宇宙の裂け目を作ってしまう。それによってブルックリン区にダークランドとクッパを呼び込んでしまったこと、そして何度もクッパに叩きのめされたことでマリオの心は完全に折れてしまう。そこでは、それまでのマリオとは異なり、顔にあざをつくった痛々しい姿なのが特徴だ。

それまでもマリオは度々弱気になったり、内気になる場面が多々あった。しかし、そのたびにルイージに支えられ、ピーチ姫からアドバイスやフォローを受けて立ち上がっていた。そして「愛する弟のルイージをクッパから救う」という最大の目的で再び立ち上がってきた。その支えを失った結果、マリオの心は本当に折れてしまったのだった。それでも当初こそ立ち向かっていったが、その圧倒的な力の差に停まっている車のフロントガラスに叩きつけられるなど、心身共に追い詰められていく。

ダークランドを呼び込み、ブルックリン区を窮地に追いやったばかりか、クッパに徹底的に叩きのめされて心が折れてしまったマリオ。ドンキーコングがかつてのマリオのように何度も叩きのめされても立ち向かう中、マリオは投げ込まれたダイナーの中で隠れるようにへたり込んでしまう。

“本当のヒーロー”に気が付いたスーパーマリオブラザーズ

ダイナーの壊れたTVから流れる自分たちが作ったCMを見て、「ブルックリンとクイーンズを守ります!」というマリオ自身の言葉に奮起し、もう一度立ち向かう決心を固めるマリオ。そして何度もクッパに殴り飛ばされ、最後にはクッパの火炎に焼かれそうになるが、そのようなマリオを、マンホールを盾に庇ったのは、臆病でマリオに守られ続けられてきたルイージだった。

そしてルイージから「二人だったら何でもできる」という今までマリオ自身がルイージ言ってきた言葉を返される。マリオはそこで自分はルイージにとってのヒーローであり続けたいと思っていたこと、それに反して自分を支え続けてきてくれたヒーローはマリオ自身が守ろうとしていたルイージだったこと、ルイージさえいてくれたら父親に認められる必要性などないことに気づく。

マリオはここで父親や誰かに認められたいというコンプレックスから脱却し、既に自分には認めてくれる存在がいたことに気が付く。それによってマリオとルイージは“本当のヒーロー”は生まれたときからそばにいたことに気が付き、本当の“スーパーマリオブラザーズ”が誕生するのだ。

そして、スーパースターで無敵になったマリオとルイージはカメ族を蹴散らし、きめポーズのジャンプポーズでカメ族たちを吹っ飛ばすと、最後は“ダブルライダーキック”ならぬ“ダブルブラザーズキック”でクッパを倒すのだった。マリオの父親はマリオを自分の息子だと叫んで狂喜乱舞するが、もうマリオは誰かに認めてもらう必要はなく、ピーチにキノピオ、ドンキーコングJr.に最愛の兄弟のルイージと共に「ブルックリンの救世主」として新聞の一面を飾った。

しかし、それすらも“スーパーマリオブラザーズ”の二人にとっては通過点でしかなく、二人は自分たちの手腕をいかんなく発揮できるキノコ王国で生きていく道を選び、映画冒頭でやっていた兄弟独自のグータッチをする。それによって観客はこの映画の主軸にあるのが兄弟愛であることをしらされる。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』ラストに込められたメッセージ

マリオを縛りつけてきたもの

マリオをつくった人物の宮本茂はインタビューでマリオはイタリア系アメリカ人であり、ニューヨーク州ニューヨーク市のブルックリン区やクイーンズ区で暮らし、家族で食卓を囲んでいるイメージだと語っている。実際、映画の中で描かれるマリオとルイージの家族の風景は従兄弟や叔父も含めて大家族で一つの食卓を囲み、マリオとルイージは個人営業の配管工という小規模なブルーカラーの仕事についているステレオタイプのイタリア系一家という印象だ。

それまでマリオの家族をあまり描写してこなかったのは、そこを細かく設定してしまうとマリオシリーズを作る上で自由度が減ってしまうからだと宮本茂は語っている。映画版では皮肉にもそのこだわりを逆手に取り、細かい設定がキノコ王国ではない現実世界のマリオを縛りつけているのが印象的だ

イタリア系アメリカ人を縛りつけきたステレオタイプ

マリオとるルイージたちはイタリア系アメリカ人と設定されているが、アメリカ合衆国国勢調査局の2009年の調査によるとイタリア系移民はヨーロッパ系移民の中でも約5.9%にあたる1780万人ほどと意外と少数派だ。1990年代には3分の2がホワイトカラーの仕事に従事しているとされ、2000年代には異人種間結婚などもあってか、4世から5世などの世代になると、イタリアの伝統文化から離れアメリカの主流とされる文化への迎合している人も多いと言われている。

それでも、イタリア系一家の中ではやはり家父長制の強い一面が今も残っていると言われることが多く、それがマリオの持つ父親から認められたいという想いに繋がっていると思われる。

そして、「お前らは何もできない」と言われ続けてきたマリオとルイージには、イタリア系と同じく後から移民としてやってきたアイルランド系移民の人々が消防士や警察官などの職業に就くことが多かったのに対して、イタリア系移民の人々には家業を継ぐ習慣が根強く残り、移民の一世や二世の人々は義務教育よりも家業を優先させられることが多かったことが背景にあると思われる。

そのせいか、イタリア系移民の人々にはブルーカラーで働く人が多く貧しい無学なイタリア移民たちというステレオタイプが生まれてしまった。それがマリオやルイージが現実世界で何度も言われてきた「お前たちは何もできない」という言葉に繋がっていたと考えられる。映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』はその呪縛から脱却がテーマの一つにあると考えられる。そのすべてのカタルシスが最後のクッパとの戦いに集約されて行っていると感じられた。

父親へのコンプレックスに囚われたドンキーコングJr.とマリオ

マリオ同様に父親の影に囚われているのがドンキーコングJr.だ。ドンキーコングJr.は偉大な父親にして支配者のクランキーコングに認められたいがために、筋肉をアピールし、それで観客を盛り上げた後に父親であるクランキーコングの方を振り返るなど、非常に子供っぽい部分が目立つキャラクターだ。

そして、父親のクランキーコングに認められ、周囲の人物からも失望されないでいるためには“男らしく”あり続けなければならず、そのためには弱みを見せてはいけないと思い込んでもいるのがドンキーコングJr.の特徴だ。そのため、何度倒れて持ち上がり挑戦を続けてヒーローと呼ばれるようになるマリオとは異なり、敗北も認められず、弱さや助けられたことを他人に知られたくないキャラクターであることが強調されている。

しかし、マリオに弱みである癇癪持ちであることや父親に認められていないことを吐露し、協力することでクランキーコングを救出することに成功すると、ギャグ描写として流されているがようやく父親であるクランキーコングに認められている。そして最終決戦のブルックリン区でのクッパとの戦いでは、何度もクッパに挑んでは倒されても立ち上がる姿を見せてくれている。ある意味ではドンキーコングJr.は負の“男らしさ”からの脱却に成功したキャラクターと言える。

恋愛よりも兄弟愛

ピーチ姫を中心にヒーローという単語が多く登場し、ゲーム映画ではなくヒーロー映画の側面も持つ映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』。それを表すように初対面でマリオとピーチ姫の恋愛描写を一瞬匂わせるもすぐにそれを終わらせ、ヒーローチームとして活動するようになる。ピーチ姫がマリオに興味を抱いたのも恋愛感情よりも、ワープ土管を通して赤ん坊の頃にキノコ王国に迷い込んできてから初めて出会った人間だったからだ。

クッパは何かとマリオとピーチ姫の間に恋愛感情があるかカメックに確認し、ドンキーコングJr.はマリオにピーチ姫は高嶺の花だから口説かないほうがいいと言い、キノピオはマリオとピーチ姫は脈ありだと思うと言い、そんな二人の間でわずかに赤面するマリオ。ピーチ姫は動じていないように見えるが、マリオは恋愛感情よりも恥じらいで顔が紅潮しているように思える。

映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の主軸はマリオとルイージの兄弟愛であり、ギレルモ・デル・トロ監督作『パシフィック・リム』(2013)や庵野秀明監督作『シン・仮面ライダー』(2023)など近年の映画界に見られる「無理に恋愛描写を入れなくてもいい」という風潮が見て取れる。マリオとピーチ姫は恋愛カップルではなく、ルイージとドンキーコングJr.と合わせてヒーローチームとしての「ブルックリンの救世主」なのだ。

マリオとピーチ姫のカップルならぬコンビが、話題にも挙がっている続編ではどのような活躍をするのだろうか。“スーパーマリオブラザーズ”だけではなく”マリオ&ピーチ”の活躍にも期待していきたい。

ポストクレジットの意味は?

ポストクレジットで現れたお馴染みの“あいつ”

前述の通り、映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』ではラストシーンではマリオとルイージは住み慣れたニューヨーク州ニューヨーク市ブルックリン区を離れる道を選ぶ。配管工としての手腕を遺憾なく発揮できるようなワープ土管の張り巡らされたキノコ王国で配管工会社「スーパーマリオブラザーズ」として新しい一歩を踏み出した。

しかし、MCUなどのヒーロー映画のようにポストクレジットで不穏な影がブルックリン区に残されていく。地下の壊れたパイプのそばには白に緑の水玉模様の卵が残され、卵にひびが入り、聞きなじみのある鳴き声が聴こえてきて映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は終わった。この卵は明らかにゲーム「スーパーマリオブラザーズ」シリーズでマリオやルイージを背中に乗せて疾走する恐竜のヨッシーの卵だ。

ヨッシーは個体名ではなくカメ族の中の恐竜に似た種族名であり、ヨッシーの群れそのものはマリオとピーチ、キノピオがジャングル王国に向かう最中に背景に登場している。そこではリンゴを食べるマリオに反応する様子が描かれていた。これはヨッシーの好物がこのリンゴに似た赤い木の実であることから来たイースターエッグだと思われる。

マリオのもう一人の相棒?残された謎は?

マリオたちとゲームで冒険を共にする緑色のヨッシーは『スーパーマリオワールド』(1990)で初登場しており、ヨッシーという恐竜だが、自分のことを「スーパードラゴン」と自称し、白い翼や炎を吐く恐竜らしからぬ個体だ。性別は口調こそ男性よりだが卵を産むなど公式に明言されておらず、ある意味ではジェンダーに囚われない存在と言える生き物だ。もしかした現実世界の生き物のように性別が変化するか、両性具有のような生き物なのかもしれない。

さらにはヨッシーの残されたブルックリン区地下に誰が、何のために迷路のようにワープ土管を張り巡らせたのか、ピーチ姫は何故ワープ土管を通ってキノコ王国に迷い込んだのか、謎はまだまだ残されている。それに檻の中とはいえ、クッパもそのままだ。

ヨッシー初登場作品『スーパーマリオワールド』のキャッチコピーは「そして舞台は恐竜ランドへ。」だ。“スーパーマリオブラザーズ”はキノコ王国を飛び出して今度は“恐竜ランド”で冒険するのかもしれない。続編に期待が高まる。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は2023年12月30日よりAmazonプライムビデオで見放題配信開始。

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『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は2023年4月28日より絶賛全国公開中。

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『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』任天堂公式サイトはこちらから。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』キャストと吹替声優、そしてキャラクター紹介の記事はこちらから。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』で描かれる各キャラクターのヒーロー像についての考察&解説記事はこちらから。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の音楽解説記事はこちらから。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』続編に関する記事はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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