Contents
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』Amazonプライムビデオ見放題配信前に声優を再チェック!
日本生まれの世界的人気ゲームキャラクターのマリオたちの冒険を描いた映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023)が2023年4月28日に公開される。既に2023年4月22日現在で世界興行収入は930億円を突破し、『アナと雪の女王2』を越えるオープニングを叩き出す世界的大ヒット映画となった。そんな『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が2023年12月30日よりAmazonプライムビデオで見放題配信が開始される。
「ミニオンズ」シリーズでお馴染みのイルミネーションが手掛けた美麗なCGに数えきれないイースターエッグのほか、日米双方ともに豪華な声優陣がキャラクターに命を吹き込んでいるのが魅力的な『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』。本記事では原語版、そして吹替声優に注目し、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』に登場するキャラクターを紹介したいと思う。
なお、以下の内容は公式から発表されている範囲のキャラクターの設定に関する情報を含むので、情報を入れずに鑑賞したいと思われている方は注意していただきたい。
愛すべきマリオ・ブラザーズ
マリオ 演:クリス・プラット/宮野真守
アーケードゲーム「ドンキーコング」でデビューし、2008年のニューヨーク・タイム誌に「ミッキーマウスに匹敵する知名度を誇るキャラクター」とまで称されたのがマリオだ。マリオは、ゲームごとに冒険家から『レッキングクルー』(1984)でビルの解体屋に『テニス』(1984)や『パンチアウト‼』(1984)では審判員、「ドクターマリオ」シリーズでは医者など様々な職業に就き、場合によっては「マリオ・トイ・カンパニー」の社長、更には島や城さえ所有している。
それもあってか、アメリカの経済誌『フォーブス』の企画する『フィクション版世界長者番付』ではバットマン/ブルース・ウェインやアイアンマン/トニー・スタークなどに並んで「10億ドルの総資産を持つ男」と紹介されている。しかし、今回の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』では原点に立ち返り、ニューヨークで配管工を営むイタリア系アメリカ人となっている。そのようなリアリティのある設定の一方でタヌキマリオにも変身するのだから驚きだ。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』でマリオの原語版声優を務めたのはMCU「ガーディアン・オブ・ザ・ギャラクシー」シリーズでスターロード/ピーター・クィル、「LEGO ムービー」シリーズでエメット・ブロックスキー、「ジュラシック・ワールド」シリーズでオーウェン・グレイディなどを演じた軽妙なトークとジョークに定評のある俳優のクリス・プラットだ。
趣味は猟銃を用いた狩猟と剥製製作、熱心なクリスチャンで保守的な教会に通い、2009年頃に始まった保守派ポピュリスト運動の「ティーパーティー運動」の象徴であるガストン旗の印刷されたTシャツを着るなど、物議を醸すことも多いクリス・プラット。「ガーディアン・オブ・ザ・ギャラクシー」シリーズ以前は肉体派の俳優ではなく、コメディ俳優として人気を博していたため、その演技には期待が集まる。
日本語吹替版声優は『DEATH NOTE』(2006-2007)の夜神月、『機動戦士ガンダム00』(2007-2009)の刹那・F・セイエイ、「ウルトラマン」シリーズのウルトラマンゼロ、「ファンタスティック・ビースト」シリーズのニュート・スキャマンダーなど有名アニメから映画の吹替まで高い演技力を持つ宮野真守が務める。最近ではテレビ番組『ぐるぐるナインティナイン』(1994-)にレギュラー出演するなど幅広い活躍を見せている。
宮野真守は吹替をする上で、通常の台詞からマリオのお馴染みの掛け声に急に切り替わるのが大変だったと語っている。一方で音響監督の三間雅文が「自分たちが映画の中で性格や、人となりや目的を素直に演じていい」としたことで、自由にリアクションなどの演技ができたとも語っている。それら細かい点で宮野真守が感じたマリオ像が『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』にどのように反映されているのか期待が高まる。
ルイージ 演:チャーリー・デイ/畠中祐
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』でクッパに誘拐されてしまい、物語が動き出すきっかけとなるのがマリオの弟のルイージだ。ルイージといえば臆病で物静か性格が特徴で主人公を務める「ルイージ・マンション」シリーズではお化けに怯える姿が特徴的だ。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』でも、ルイージの臆病な性格は健在だ。『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』ではこれまでの多くの作品のように「ピーチ姫がクッパに誘拐される」のではなく「ルイージがクッパに誘拐される」としたことで、ピーチ姫の力強さを際立たせ、そしてマリオとルイージの兄弟愛にフォーカスした作品となっている。
ルイージの原語版声優を務めたのは『パシフィック・リム』(2013)で全身に怪獣のタトゥーを入れた生物学者で、 ギレルモ・デル・トロ監督から「見かけは35歳、精神年齢は12歳」とまで言われたニュートン・ガイズラーを演じた俳優のチャーリー・デイだ。チャーリー・デイ氏は『LEGO ムービー』(2014)で宇宙飛行士の姿をしたベニー役を演じ、クリス・プラットと共演経験もあるため、二人の掛け合いに注目が集まる。
日本語吹替声優を務めたのは『遊☆戯☆王ZEXAL』(2011-2014)の主人公の九十九遊馬でアニメ声優デビューを果たし、『東京リベンジャーズ』(2021-2023)では柴八戒、「ウルトラマン」シリーズでウルトラマンゼット、「メイズランナー」シリーズのトーマスなど、こちらもアニメから映画の吹替まで幅広い活躍をしている畠中祐が務める。
畠中祐も宮野真守と同様、ルイージの恐怖で慌てふためく声などのリアクションの演技には苦労したとのことで、共に練習したと語っている。また、イルミネーション特有の細かなキャラクターの動きに合わせて吹替版ならではのアドリブも入れたとのことなので、そのような演技の点にも注目していきたい。
キノコ王国
ピーチ姫 演:アニャ・テイラー=ジョイ/志田有彩
クッパ率いるダークランドに攻め込まれ、勇敢に対抗するキノコ王国の指導者が『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のピーチ姫だ。クッパに誘拐されるイメージの強いピーチ姫だが、実は『スーパーマリオUSA』(1988)の時点でプレイヤーとして登場しており、ゲームの「戦うヒロイン」の先駆けかもしれない。『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』では凛とした指導者として描かれ、ファイアフラワーを手にしたファイア・ピーチ姫も登場する。
また、「マッドマックス」シリーズや「マリオカート」シリーズを想起させるレインボーロードでのカーアクションではバイクにまたがり、マリオの名言である「Here we go!」と叫んでいる。このピーチ姫のバイクアクションとレーシングスーツは『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のピーチ姫を象徴するようなもので、声優を務めたアニャ・テイラー=ジョイはワールド・プレミアで同じピンクのレーシングスーツで登壇している。
前述の通り、原語版声優を務めるのは俳優のアニャ・テイラー=ジョイだ。Netflix制作『クイーンズ・ギャンビット』(2020)で第78回ゴールデン・グローブ賞の「テレビの部・リミテッドシリーズ、テレビ映画」部門で女優賞を受賞。「X-MEN」シリーズの『ニュー・ミュータント』では「デッドプール」シリーズに登場する全身を金属に変化させるピョートル・ラスプチーン/コロッサスの妹で、魔界リンボを経由した瞬間移動能力者イリアナ・ラスプーチン/マジックを演じた。
他にもM・ナイト・シャマラン監督作『スプリット』(2017)と『ミスター・ガラス』(2019)でケイシー・クックを演じ、絶叫クイーンと呼ばれ、英国アカデミー賞 ライジング・スター賞にノミネートされるなど、まさしく超新星と言っても過言ではない俳優だ。また、奇妙な偶然だがワールド・プレミアでレーシングスーツを着こなしたアニャ・テイラー=ジョイだが、父親は元国際銀行員のパワーボートレーサーである。
日本語版声優を務めるのは志田有彩だ。海外映画や海外ドラマの吹替を中心に活躍する志田有彩だが、前述のM・ナイト・シャマラン監督作『スプリット』と『ミスター・ガラス』のケイシー・クックや『ニュー・ミュータント』のイリアナ・ラスプーチン/マジックのほか、『バリー』(2016)のシャーロット・ボーマンや『ピーキー・ブラインダーズ』(2013-)のジーナ・グレイなどアニャ・テイラー=ジョイの担当声優でもある。
キノピオ 演:キーガン=マイケル・キー/関智一
キノコ王国の住人で、ピーチ姫の側近を務めるだけではなくマリオの案内役も務めるのが今回のキノピオだ。ゲームではピーチ姫が誘拐されるなど問題が起きると慌てふためくだけで何もできないことが多いが、予告映像でもピーチ姫が「私たちであの怪物を止めるの」とクッパに立ち向かおうと鼓舞する中、「でも見てください、僕ら可愛いんです」と返すなどこれまでのキノピオ像を皮肉った演出がなされている。
マリオと冒険を共にするキノピオは他とは異なりピーチ姫同様に勇敢で、無鉄砲なところがあり、少し毒を吐く場面もある。原語版声優を務めるキーガン=マイケル・キーは『ゲット・アウト』(2017)や『アス』(2019)、『キャンディ・マン』(2019)に『NOPE/ノープ』(2022)など社会派ホラーの監督を務め、『ブラック・クラウンズマン』(2018)といった社会派作品の制作に携わるジョーダン・ピール監督と共にテレビ番組『キー・アンド・ピール』(2012-2015)に出演していた。
キーガン=マイケル・キー自身はアフリカ系のコメディアンとして、スヌープ・ドッグやエディ・マーフィー、バラク・オバマ元大統領のアフリカ系の有名人の物真似で名を馳せ、それがきっかけでジョーダン・ピール監督とも親交を深めた人物だ。キーガン=マイケル・キーのコメディアンとしての腕とジョークが『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』でどう生かされるのか注目したい。
日本語版吹替声優を務めるのは劇団「ヘロヘロQカムパニー」を主宰し、「ドラえもん」シリーズで二代目骨川スネ夫を演じ、「スパイダーバース」シリーズのミゲル・オハラ/スパイダーマン2099やMCU『ムーンナイト』(2022)でスティーヴン・グラント/マーク・スペクター/ムーンナイトなどオスカー・アイザックの担当声優なども務める関智一だ。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』でも「ドラえもん」シリーズの骨川スネ夫でみせたような子供っぽさと毒づき、皮肉を織り交ぜた演技が原語版声優のキーガン=マイケル・キーの演技とどのような化学反応を起こすのか期待したい。
ジャングル王国
ドンキーコング 演:セス・ローゲン
ジャングル王国の次期支配者であり、ネクタイをつけたゴリラの姿をしたドンキーコングは『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』ではマリオと対決しながらも、クッパ率いるダークランドの対抗勢力として登場する。『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』ではファイアフラワーを手にしたファイア・ドンキーコングの姿も登場する。性格は子供っぽく、ゲームによってはおもちゃ会社をおもちゃ欲しさに襲撃している。
マリオのデビュー作のタイトルも『ドンキーコング』だが、ここで登場するドンキーコングは現在のドンキーコングの祖父であり、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』にも登場するクランキーコングが初代ドンキーコングであり、その息子が『ドンキーコングJR.』(1982)で主役を務めたドンキーコングJr.である。そのため、現在のドンキーコングはクランキーコングの孫息子の二代目ドンキーコングにあたる。
原語版声優を務めたのは『40歳の童貞男』(2005)で注目をあつめ、「カンフー・パンダ」シリーズでマスター・カマキリ、『ライオン・キング』のブンバァなど声優経験も豊富なセス・ローゲンだ。セス・ローゲンは13歳からスタンドアップ・コメディをはじめるなど、確かなコメディの腕があるため、その演技に期待したい。日本語吹替版声優は「ベイマックス」シリーズでワサビを演じるなど海外アニメの吹替を多く担当する武田幸史だ。
クランキーコング 演:フレッド・アーミセン
前述の通りの初代ドンキーコングこと、クランキーコングも『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』ではジャングル王国の支配者として登場する。原語版声優を務めるのはフレッド・アーミセンだ。アメリカの最長寿バラエティ『サタデー・ナイト・ライブ』(1975-)に2002年から2018年まで出演していた経験を持つ実力派のコメディアンだ。
フレッド・アーミセンは祖父に大韓帝国時代の蔚山生まれの舞踏家・振付師の邦正美を持ち、そのような自身の家族のルーツを大事にしている人物でもある。『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』に関して日本国内でポリティカル・コレクトネスがないといった言論がSNS上で広がったが、勇敢なピーチ姫やキーガン=マイケル・キーを含めたルーツを大事にする俳優陣、ピーチ姫を救いに行くのではなくピーチ姫と共にルイージを救いに行く兄弟愛など、メッセージ性のある要素が確かに存在している。
ダークランド
クッパ 演:ジャック・ブラック/三宅健太
ダークランドの支配者にしてカメ族の王、そしてスーパースターを盗んで敵対者を滅ぼそうとする悪役として登場するのが『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のクッパだ。ノコノコにパタパタ、トゲゾーにクリボーといった敵たちを率いて『マリオカート ダブルダッシュ!!』(2003)に登場したマグナムカートなど用いてキノコ王国に攻め込み、ルイージを誘拐する。
声優を務めるのは『スクール・オブ・ロック』(2003)でもその歌声を披露したジャック・ブラック。ジャック・ブラックと言えばカイル・ガスと共にコメディ・バンド『テネイシャスD』を結成するなど、コメディアンとしてもミュージシャンとしても才能豊かな俳優である。コメディ俳優、そしてミュージシャンでもあるジャック・ブラック氏によるクッパ像がどのようになるのか。そこにも期待していきたい。
日本語版吹替声優を担当するのはMCU「マイティ・ソー」シリーズでソー・オーディンソンを演じ、クリス・ヘムワーズの担当声優でもある三宅健太氏。三宅健太氏は他にもジャック・ブラック氏もいくつかの作品で担当しており、海外映画の吹替だけではなく「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズのモハメド・アブドゥルや「僕のヒーローアカデミア」シリーズのオールマイトなどアニメ声優としても活躍している。シリアスからコミカルまで幅広い三宅健太氏の演技にも注目したい。
カメック 演:ケビン・マイケル・リチャードソン
クッパの側近であり、ダークランドを支配するカメ族の魔法使いの一人がカメックだ。青い服と帽子に魔法の杖、そしてまるぶちメガネが特徴的なカメックだが、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』では俳優のケビン・マイケル・リチャードソンが原語版の吹替声優を務めている。
ケビン・マイケル・リチャードソンはアニメ『ザ・バットマン』(2004-2008)のジョーカー役でデイタイム・エミー賞アニメ番組部門パフォーマンス賞の候補に挙がっているほか、実写化も決定しているディズニー映画「リロ・アンド・スティッチ」シリーズではスティッチを捕獲しようと追い詰める元銀河宇宙連邦軍大尉ガントゥを演じている名優だ。甲高い声のジョーカーから重厚な声のガントゥまで幅広い演技のケビン・マイケル・リチャードソンのカメックにも期待したい。
その他多数のおなじみキャラクターたち
これ以外にも、数多くの「マリオ」シリーズの登場キャラクターが『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』にも登場しており、日本語版吹替声優は未発表なものの、原語版では有名な声優たちが起用されているなど非常に豪華な出演陣となっている。
『スーパーマリオ64』(1996)で初登場したペンギンたちの王様には『ティーン・タイタンズ』(2003-2006)や『ティーン・タイタンズGO!』(2013-)でサイボーグ/ビクター・ストーンの声優を務めたカリー・ペイトンが起用されている。他にも「スーパーマリオギャラクシー」シリーズのよろずやチコが囚われているなど、イースターエッグも含めると枚挙にいとまがない。
今後、どのような日本語版吹替声優が発表されるのか。もしくは誰がどのキャラクターを担当するのか。それも含めて注目していきたい。『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は2023年12月30日よりAmazonプライムビデオで見放題配信開始。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』Amazonプライムビデオ公式ページ
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』ユニバーサル・ピクチャー公式サイトはこちらから。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』任天堂公式サイトはこちらから。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』続編に関する記事はこちらから。
【ネタバレ注意!】『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』で流れた音楽の解説はこちらから。