『バッド・バッチ』シーズン2フィナーレ
2021年に配信を開始したアニメ『スター・ウォーズ/バッド・バッチ』は2023年1月にシーズン2の配信を開始。シーズン1の最終回直前にはシーズン2の制作が発表されたが、シーズン2の最終話前にはシーズン3の発表はないままだった。
3月29日(水) に2話同時配信でフィナーレを迎えたシーズン2は、どんなラストが待っていたのだろうか。今回も各シーンを解説&考察していこう。以下の内容はネタバレを含むため、必ず本編を視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、アニメ『スター・ウォーズ/バッド・バッチ』シーズン2最終話第16話の内容に関するネタバレを含みます。
最終回第16話「プラン99」あらすじ&ネタバレ解説
テクの決断
モノレールでの宙吊り状態から始まった『バッド・バッチ』シーズン2最終回。テクはレールを渡ってモノレールを再起動しようとするが、ターキン総督は仲間ごと吹き飛ばしても構わないから攻撃するよう指令を出す。後にデス・スターで仲間ごと惑星スカリフを破壊するだけのことはある。
同時に、前話の第15話で目的のためなら捕虜に死者が出てもいいという姿勢を見せたソウ・ゲレラとも姿が重なる。帝国のやり方と血を流す革命の距離の近さについては、ソウ・ゲレラが登場したドラマ『キャシアン・アンドー』(2022-) でも描かれた点である。
テクはモノレールの再起動に成功するが、攻撃を受けてレッカーが言っていた通りの「外で宙吊り」状態になってしまう。モノレールはレールから外れており絶体絶命。テクは「プラン99」と言うと、自分を犠牲にして仲間を脱出させることを決める。
「やめろ」と言うレッカーに「俺たちが命令に従ったか?」と返し、テクはロープを切って奈落へと落ちていく。涙なしでは見られないシーンだ。確かに、オーダー66の影響を受けなかったバッド・バッチは自分たちの意思で帝国を離れ、帝国に残ったクロスヘアーもまた自分の意思でその道を選んだ。一時チームを離れたエコーもそうだった。
テクは仲間を守るために自分の意思で手を離すことを決めた。「オーダー66」と「プラン99」は言葉も数字も真逆になっており、盲信的に命令に従って生きるのではない、バッド・バッチの生き様がここに示されている。
ハンターの決断
車両が一つになったモノレールは猛スピードでステーションに突入。ここからはオメガの一人称で途切れ途切れの意識の中の脱出劇が描かれる。この辺りはテクを失ったショックに引きずられる中で、脱出パートを間延びさせないうまい演出だ。
オメガは、シドがいるオード・マンテルのAZI-3のもとで目を覚ます。AZIはもともとカミーノにいた医療ドロイドであり、クローンの看病に長けているのだ。目を覚ましたオメガに、ハンターはテクを助けられなかったことを告げる。
そして、「テクの犠牲を無駄にしない」「銀河は変わった」と言い、反帝国の戦いに加わるのかと思いきや、「兵士を永遠にやめる時」として、「パブーで新しい人生を生きる」と宣言するのだった。もうこれ以上家族を失えないと判断したのだろうが、意外な展開である。オメガもこれに同意するが、それはクロスヘアーを見捨てることも意味する。
まさかの裏切り
一方、エコーは帝国軍の襲来を発見。バッド・バッチの潜伏を通報したのは、ほかでもないシドだった。シーズン2を通してシドとバッド・バッチの不穏な関係が演出されてきたが、それはフィナーレでのシドの裏切りのための伏線だったようだ。
ドクター・ヘムロックが登場すると、その目的がオメガであることを告げる。自分が捕まってでもオメガを守ろうとするハンターに対し、ヘムロックは「クローンにも父性があったとは」と、やはりクローンを非人間的に扱っている。
ヘムロックは、テクのメガネだけが回収できたと言うのだが、ということは死体は見つかっていないということだろう。テクはまだ生きている可能性は高い。レッカーを人質に取られたハンターは捕まるが、ハンターとしてはこれはオメガが逃げるまでの時間稼ぎだった。しかし、オメガは逃げ出していなかった。
ハンターはオメガに「逃げろ」と命令を出したが、命令に従わないのがバッド・バッチだ。それを教えてくれたのはテクである。ヘムロックの前に現れたオメガは捕まるが、オメガもまた、エコーが到着するまでの時間稼ぎに取り組んでいた。
エコーはスカウトウォーカーをハッキングして反撃開始。しかし、オメガはヘムロックの船で連れ去られてしまう。マローダーでなんとか逃げたバッド・バッチだったが、ヘムロックの行き先は分からない。それでも、ハンターは「決して諦めない」とオメガ奪還を決意するのだった。
シーズン2のラストは?
オメガはヘムロックの秘密基地であるタンティスに連れてこられていた。ヘムロックはオメガを人質にして、ナラ・セに皇帝の計画に協力するよう要請するが、ナラ・セは「皇帝の望みは叶わない」と主張する。この「望み」というのが、クローンを作って本体が死んでもその魂をクローンに移して生きながらえられるようにしろという話だったら、このリアクションにも頷ける。
オメガは、クロスヘアーを含む多くのクローンが捕えられている部屋に通される。クロスヘアーは結局最後まで捕まったままでシーズン2の間は旧友と再会することはなかった。なお、この部屋には人が入ったカプセルがいくつも置かれており、クローンを製造しているようでもある。
そして、シーズン2最終話第16話のラストシーン。シーズン2第11話から登場していたヘムロックの部下エメリーは、オメガの姉妹であることを明かす。確かにメガネを外すと顔がそっくりだ。オメガは、ボバ・フェットと同じくジャンゴ・フェットの遺伝子から作られた純粋なクローンであることがシーズン1で明かされ、ボバ・フェットの“妹”に当たるとされてきた。
だが、ここにきてオメガの“姉”とされる人物が登場。これは一体どういうことなのか。シーズン1よりも波乱の展開を迎えたまま、シーズン2最終回第16話は幕を閉じるのだった。
『バッド・バッチ』シーズン2最終話第16話 考察&感想
ラストの意味は?
明らかにシーズン3へと続いていく終わり方を見せたアニメ『バッド・バッチ』シーズン2。なんとテクとオメガの二人が離脱して幕を閉じる結果になった。本隊に残っているのはハンターとレッカー、そしてエコーのみだ。流石にハンターもこのメンバーでパブーでゆっくり暮らそうとは考えず、必ずオメガを連れ戻すと決意している。
第15話の冒頭では、ハンターは今回の作戦に慎重な姿勢を見せていたが、テクがクロスヘアーを助けるために出動することを主張し、テクを失う結果を招いたのは皮肉だった。この時、テクは「兄弟を見捨てない」と言っていたが、それに連なるエピソードが「姉妹」で締めくくられたのも印象的だった。
テクの「兄弟」の意味は、「同じクローン」ということだが、エメリーもまた、ボバ・フェットとオメガのような兄妹関係というよりかは、「同じクローン」という意味で発言したのかもしれない。だとすれば、その言葉が示すのは、ヘムロックは既にクローンを意のままに操る技術の開発に成功しているということだ。
シーズン2第7話では、「信じる者 (a believer)」を名乗り、暗殺者になったクローンが登場したが、この謎も明らかになることはなかった。口を割らずに自死を選ぶほどの忠誠心を持つクローンに仕立て上げることが、ヘムロックが第15話で言った退役兵の「他の使い道」なのかもしれない。
「クローンのドロイド化」とも言えるこの計画は、まさに一時的にプログラムを強制実行させられる「オーダー66」の持続版ともいえ、「命令に従わせる」の究極版でもある。しかし、シーズン2のフィナーレで、テクが自己犠牲を払うという方向で「命令に従わない」姿を見せたのは、バッド・バッチがこの計画に決して屈しないことの予告だったように思えてならない。
シーズン2では多くの謎が残されたままだが、シーズン2第15話と第16話の配信時点ではシーズン3決定の報はない。なんなら映画で次の展開を一気に観てみたい気もするが、『クローン・ウォーズ』『反乱者たち』と同様、『バッド・バッチ』も「スター・ウォーズ」の長期アニメシリーズになることに期待したい。シーズン3への更新決定を心待ちにしよう。
追記:2023年4月10日のイベント「スター・ウォーズ・セレブレーション」にて、『バッド・バッチ』シーズン3が2024年に配信されることが発表された。そして、シーズン3はファイナルシーズンになるという。詳しくはこちらの記事で。
アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン2は全16話がDisney+で独占配信中。
同日配信の『マンダロリアン』シーズン3第5話のネタバレ解説&考察はこちらの記事で。
『バッド・バッチ』シーズン2第15話のネタバレ解説はこちらから。
第1話のネタバレ解説はこちらから。
第2話のネタバレ解説はこちらから。
第3話のネタバレ解説はこちらから。
第4話のネタバレ解説はこちらから。
第5話のネタバレ解説はこちらから。
第6話のネタバレ解説はこちらから。
第7話のネタバレ解説はこちらから。
第8話のネタバレ解説はこちらから。
第9話のネタバレ解説はこちらから。
第10話のネタバレ解説はこちらから。
第11話のネタバレ解説はこちらから。
第12話のネタバレ解説はこちらから。
第13話のネタバレ解説はこちらから。
第14話のネタバレ解説はこちらから。
シーズン1ラストの解説はこちらの記事で。
シーズン1で明かされたクローン兵廃止の理由はこちらから。
ドラマ『マンダロリアン』シーズン3第1話のネタバレ解説&考察はこちらの記事で。