『バッド・バッチ』シーズン2第13話はどうなった?
アニメ『スター・ウォーズ/バッド・バッチ』は2021年に配信を開始したアニメ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020) の後継シリーズ。クローンの“不良分隊”であるバッド・バッヂの帝国崩壊後の旅を描く。
2022年1月から配信を開始したシーズン2は、残すところあと3週。第13話、第14話と配信され、最終週は第15話と第16話が二話同時に配信される。あっという間にクライマックスを迎える『バッド・バッチ』シーズン2。第13話ではどんな展開が待っていたのだろうか。今回もネタバレありで各シーンを解説していく。
なお、今回のエピソードには地震と津波の描写が登場する。かなり直接的な描き方になっているので、注意していただきたい。
以下の内容には、地震と津波に関する描写への言及を含みます。
以下の内容は、アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン2第13話の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
シーズン2第13話「パブー」あらすじ&ネタバレ解説
フリーランスあるある
前話ではクロスヘアーの物語が描かれたが、第13話ではハンターたちの物語に戻る。シーズン2第5話以来の登場となった海賊のフィーは、オメガと共にクラウダーという人物と交渉をしている。この人物から盆栽の置物を購入したフィーをオメガは「古代の驚異の解放者」と称えているが、フィーは第5話で古代兵器スカラ・ナルを蘇らせている。
フィーは殺されそうになるが用心棒として体動していたハンターとレッカーが対応。オメガも力になり脱出に成功する。ちなみにこの街、『オビ=ワン・ケノービ』第2話の惑星ダイユーによく似ている。
フィーは、オメガを称賛しながらも、戦闘スキルを学ぶだけでなく友達が必要だと主張する。遺伝子ではなく世代を共有する仲間が必要だと言うが、テクはそう思わないと主張する。兵士として生きてきた人物の感覚だ。
そこにシドから脅しのメッセージが届く。シドの身勝手ぶりに耐えかねて手を切ったバッド・バッチだが、帝国から隠れている身であり、シドにバッド・バッチの生存を漏らされては困る。最初は仕事を提供してくれていたブローカーが段々と負担になっていくのは、フリーランスあるあるだ。ブローカーは「仕事をやってもらわないと困る」という立場なのに「仕事を回してやっている」と勘違いしてしまうことが原因である。
パブーへの永住
フィーはバッド・バッチに座標を教えて隠れ家のパブーへ。遺物の保管所であるアーキウム、町長のシェップ・ハザードとその娘のリアナを紹介する。パブーに住む人たちの多くは難民で、ここには金銭的な価値はないが大事な文化を残すための遺物を保管しているのだという。
遺物を保管している場所を教えるなんて、フィーは相当にバッド・バッチのことを気に入ったようだ。まぁ、シーズン2第5話で全員フィーのせいで死にかけたという経緯もあるのだろうが。同時に、フィーはオメガにリアナを、リアナにオメガを紹介したかったのだろう。二人とも同年代の友達を作る機会は少ないはずだ。
帝国の時代とは思えない平和な島で、猿のような生き物のムーンヨズと戯れて笑うオメガの姿を見て、ハンターはある可能性を考え始める。町長のシェップによるとパブーは故郷を追われた人々の避難地で、資源が少ない小島ことから帝国も狙わないのだという。ハンターは「父親にとっては子育てに最適」と言われ、パブーに永住して腰を据えた生活を送ることを考える。
これはドラマ『マンダロリアン』シーズン3第1話でも見られた展開で、マンドーもネヴァロで腰を据えて子育てに臨むよう助言を受けている。マンドーの場合は宗教上の理由で贖罪を果たさなければならず、これを断っている。
バッド・バッチも故郷のカミーノを破壊されており、いわば難民だ。美味しい食事に豊かな自然、美しい島。同日配信の『マンダロリアン』シーズン3第3話では、金銭的に豊かなコルサントの街が強調して描かれた。だが、豊かであるということは金銭的な意味ではなく、心にゆとりを持てるかどうかだ。この哲学はフィーが集める遺物への価値観と重なる。
日本を意識した設定
いつになく幸せな時間を過ごす一同。出てきた料理は寿司である。飲み物も日本酒の徳利を思わせる形で提供されており、この後の展開も含めてパブーは日本を意識した場所だということが分かる。
人より鋭い五感を持つハンターが何かの到来を察知すると、地鳴りが島を襲う。島の早期警戒システムが作動すると大きく波が引き始め、一同は島の住民の避難を進めると、ハンターは海に出ていたリアナとオメガをシップを使って間一髪のところで救出。人々は高台に到達して助かったが、町は大津波に飲まれてしまった。
それでも町長のシェップは「人々は強い」と、復興することを力強く宣言。これに対し、ハンターとテクはこの島に残って復興を手伝うことを提案。シェップはこれを受け入れて『バッド・バッチ』シーズン2第13話は幕を閉じる。
『バッド・バッチ』シーズン2第13話 考察&感想
デイブ・フィローニのメッセージと注意書き
2011年に東日本大震災が発生した3月11日の4日後である3月15日にこのエピソードを配信するというのは、明らかに意図的な演出だろう。『クローン・ウォーズ』に続いて『バッド・バッチ』の脚本を手がけるルーカス・フィルムのデイブ・フィローニは、熱心な「ゴジラ」ファンとしても知られ、『スター・ウォーズ 反乱者たち』(2014-2020) に登場したベンドゥの日本語吹き替えには、映画『ゴジラ』(1954) の主演俳優を務めた宝田明の起用を熱望して実現させている。こちらは偶然かもしれないが、同日配信の『マンダロリアン』シーズン3第3話ではベンドゥの名前が登場している。
3.11に近い時期に日本を思わせる盆栽、寿司、島という要素を入れて地震の物語を描き、バッド・バッチがその復興のために寄り添うというのは、デイブ・フィローニなりの日本へのメッセージだったのだろう。
それはそれとして、やはり大津波が来て人々が必死に避難する様子が描かれるというのは、なかなか穏やかな気持ちでは見られない。震災を経験した人の中にはトラウマが蘇る人もいるだろう。映画『すずめの戸締り』(2022) でもあったように、せめて津波と地震の描写の注意書きはあって然るべきだっただろう。
Netflix等と比べてDisney+はこうした個別の注意を入れる配慮が足りていないように思える。ドラマ『ムーンナイト』(2022) でも児童への虐待描写が注意書きのないまま配信されており、早期の改善が望まれる。
平和なラストに?
『バッド・バッチ』の物語としては、一同は残り3話を残してパブーに滞在することを選んだ。行動としては偉いのだが、復興に取り組むからにはしばらくは離れられそうにない。第14話でいきなりタイムジャンプということもあるかもしれない。あるいは、バッド・バッチは資源のないこの島のために調達部隊として島と宇宙を行き来するのだろうか。
パブーの復興が実現した時、バッド・バッチが本当にここに永住する可能性もある。『バッド・バッチ』のメインキャラクターは基本的にその後の時代を舞台にしたシリーズに登場していないため、故郷を失ったクローンたちはパブーで平和に暮らしました、という結び方は十分にあり得る。
結局は銀河に駆り出されがちな「スター・ウォーズ」の登場人物たちだが、平和なエンディングというものもあってよい。クローン兵たちの戦後を描く『バッド・バッチ』でこそ、そうした平穏なラストを見てみたい。
一方で、同日配信のドラマ『マンダロリアン』シーズン3第3話では、『バッド・バッチ』とリンクする要素が遂に登場した。『バッド・バッチ』ではパルパティーンに関する謎を追求していくことになるのだろうか。残り3話も目が離せない。
アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン2はDisney+で独占配信中。
同日配信の『マンダロリアン』シーズン3第3話のネタバレ解説&考察はこちらの記事で。
『バッド・バッチ』シーズン2第14話のネタバレ解説はこちらから。
第1話のネタバレ解説はこちらから。
第2話のネタバレ解説はこちらから。
第3話のネタバレ解説はこちらから。
第4話のネタバレ解説はこちらから。
第5話のネタバレ解説はこちらから。
第6話のネタバレ解説はこちらから。
第7話のネタバレ解説はこちらから。
第8話のネタバレ解説はこちらから。
第9話のネタバレ解説はこちらから。
第10話のネタバレ解説はこちらから。
第11話のネタバレ解説はこちらから。
シーズン1ラストの解説はこちらの記事で。
シーズン1で明かされたクローン兵廃止の理由はこちらから。
ドラマ『マンダロリアン』シーズン3第1話のネタバレ解説&考察はこちらの記事で。