『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン2第2話はどうなった?
アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』は2021年にシーズン1の配信を開始。アニメ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020) に登場したクローンの“不良分隊”であるバッド・バッチが、帝国成立間もない時代を生き抜く物語だ。
2023年1月4日(水) からは待望のシーズン2の配信がスタート。第1話と第2話が同時に配信されている。今回は、シーズン2第1話に続き、第2話をネタバレありで解説していく。以下の内容は本編のネタバレを含むため、必ずDisney+で鑑賞してから読んでいただきたい。
以下の内容は、アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン2第2話の内容に関するネタバレを含みます。
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第2話「戦争の爪痕」あらすじ&ネタバレ解説
遭難したバッド・バッチ
シーズン2第1話はの邦題は「戦利品」で、第2話は「戦争の爪痕」。英語では前者が「Spoils of War」、後者が「Ruins of War」となっており、それぞれクローン戦争が残した“富”と“傷”を表現している。“戦後”を描く『バッド・バッチ』らしいシーズン2幕開けのタイトルだ。
オメガ、テク、エコーを乗せたコンテナは、すんでの所でスラスターが起動。森林地帯に墜落した3人はコンテナごと崖の下に落下。テクは150キロの貨物が足に落ちて骨折してしまう。ドラマ『キャシアン・アンドー』(2022-) では貨物船内でクレジットの山に挟まれたネミックが致命傷を負ってしまっているので、ヒヤッとする展開だ。
崖の上に登った3人は、帝国の捜索部隊が迫る中、戦利品を捨てて逃げることに。ハンターとレッカーも3人のもとに急ぐが、まずは傍受されることを防ぐために通信を遮断するダブル・ゼロ作戦を始動する。3人は住人のロマーに遭遇。オメガは戦利品の心配をしたり、このロマーに弓を構えて尋問したりと、若々しいアグレッシブな行動を見せている。
分離主義勢力が残したもの
包囲網を敷かれたバッド・バッチ。ハンターとレッカーは分離主義勢力の戦車を見つけてこれを利用することに。分離主義勢力は、銀河共和国から脱退しようとしていた惑星の勢力だ。表向きにはドゥークー伯爵がこれを率いていたが、ドゥークーはパルパティーンの傀儡だった。ドゥークーが死に、帝国が成立した際には、首脳陣はダース・ベイダーによって殲滅された(『エピソード3』)。帝国も表向きには銀河共和国の正当な後継であることを主張したため、分離主義勢力の残党の一部は反帝国の反乱勢力になっている。
ロマーに匿ってもらったオメガ、テク、エコーの3人は、ロマーから帝国が出現してから生き残りの住民が僻地で生活せざるをえない状況に追いやられていることを知る。それでも戦利品が気になるオメガに、ロマーは「あれは呪われた戦利品だ」と非難する。オメガもシーズン2第1話で人々から接収した戦利品を奪うことの正当性を気にしていたが、改めて外部の人間からそれを指摘されることになった。
ロマーは、ドゥークーの権力欲が街を崩壊させたと言い、クローン戦争の終結で終わりにはならない戦後の現実を突きつける。『バッド・バッチ』では、シーズン1でも帝国に支配された惑星ライロスの戦後が描かれている。オメガは戦利品を住人に渡すことを提案するが、ロマーはこれを拒否。望むのは帝国の撤退であり、欲しいのは金よりも平穏なのだ。
オメガは明らかに怪しい動きをするロマーの見張り役になる中、ハンターとレッカーは分離主義勢力の戦車からドロイド兵を引っこ抜いて、戦車を利用しようとする。ドロイドは分離主義勢力が組織化された独立星系連合の主力兵だったが、共和国のクローン兵とジェダイがそれを凌いでいった。クローン兵を利用したオーダー66でジェダイを排除した後は、『バッド・バッチ』シーズン1で描かれたように、帝国はクローン兵を排除して人間のストーム・トルーパーを主力するつもりなのだ。
『バッド・バッチ』シーズン2第2話で分かったことは、クローン戦争後、分離主義勢力の戦車やドロイドが放置されているということだ。これらの武器は反乱勢力の力にもなり得るし、内戦の火を大きくする不安定要素でもある。戦争が残した武器がどのように扱われるのかに注目だ。
オメガの憂鬱
バッド・バッチの一員として行動してきたオメガは、初めて万華鏡を見て、ロマーから「心躍るものは宝石より尊い」という学びを得る。一方、テクは安全を第一に考える中、エコーはここでも帝国の勢力拡大を懸念して、戦利品を活用することを主張していた。
ロマーは、セレノー人の文化・芸術・音楽・思い出といった記録を復旧しようとしていた。テクが「分離主義勢力」と十把一絡げにして呼ぶのを否定し、ロマーはそこに生きた民族としての人々の存在を主張する。戦争を経て、〜派、〜勢力とカテゴライズしてしまう自らの思考に気づいたテクは、データの修理を手伝うのだった。
ハンターとレッカーは帝国軍に見つかってしまうが、戦車のキャノンだけを復旧させ、敵を一掃。強い。テクもデータを復旧させる有能ぶりを見せるが、その間にオメガが戦利品を回収するために単独行動を取ってしまう。
オメガは迎えに来たエコーもろとも袋小路に立たされるが、戦利品に固執する理由は、シーズン2第1話でエコーがハンターにオメガが理由で逃亡生活を送っていることを指摘したからだった。オメガは足を引っ張る存在になりたくなくて、是が非でも戦利品を持ち帰ろうとしていたのだ。
オメガはエコーの説得を聞き入れて戦利品を放棄。崖の上からテクとロマーが援護して3人はようやく平穏を得る。そこにようやくハンターとレッカーが合流すると、ロマーはオメガに万華鏡を渡して、自分の言葉を思い出すよう告げる。
「皆に理想を捨てさせた」と、バッド・バッチを現実的な判断に追いやったことで自分を責めるオメガに対し、エコーは理想を捨てていなければ帝国に支えていたか死んでいたと優しい言葉をかける。そして、エコーは選択を後悔していないことを告げるのだった。
ランパート中将の判断
一方、クローン・トルーパーの隊長のウィルコは、ランパート中将に経過を報告していた。ランパートは、シーズン1でチェーンコードの導入やウォー=マントル計画を推進し、カミーノの科学者ナラ・セを連れ出した人物だ。ウォー=マントル計画は映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016) でも名前が登場した計画で、クローンに代わる人間の部隊を育成するというものだった。
ランパート中将は、ウィルコ隊長に「任務報告書の誤りを正してほしい」と、今回の件にバッド・バッチが関与しているという報告の改ざんを要求する。帝国にとってはバッド・バッチはカミーノで死んだことになっており、バッド・バッチが生き延びていたことが明らかになれば、カミーノ殲滅を担当したランパートの失策ということになる。
ターキン提督を恐れるランパートの改ざん指示命令を拒否したウィルコだったが、ランパートは迷わずウィルコを始末する。これが恐怖で支配する帝国の脆弱さである。どこかの国と同じで正確な情報が共有されないのだから、改善されるべき点も懸念すべき事項も考慮されることなく突き進んでしまう。
また、ランパート中将の手段を選ばない意思の固さも垣間見えるが、人望や人を従わせるほどの力量がないことも事実だ。ランパートは『バッド・バッチ』のメインヴィラン的な扱いだが、シーズン2で少々小物感も出てきた。これが後のシリーズにランパートが登場しない(生き残れなかった/昇進できなかった)理由なのかもしれない。
『バッド・バッチ』シーズン2第2話考察
変わりつつあるバッド・バッチ
『バッド・バッチ』シーズン2は、同時配信された第1話と第2話を通して、かつてドゥークー伯爵が拠点としていた惑星セレノーでの任務が描かれた。テクはセレノー市民の歴史のデータを復旧したことでロマーに感謝されており、シーズン1に続いてバッド・バッチが行く先々で帝国の抑圧を受ける人々に恩を売る展開が続きそうだ。どこかで大団円を迎えることになるのだろうか。
バッド・バッチ内部の物語としては、大義を持つエコーの言葉がオメガにプレッシャーを与える展開になってしまった。これまでオメガは主に守られる存在だったが、それに居心地の悪さを感じ始めた時、バッド・バッチ全体の方向性が変わり得る。逃亡生活を経て、オメガも成長し、流れは変わりつつあるのかもしれない。
なお、今回もバッド・バッチは大金を獲得し損ねている。シドが信頼できると話す海賊のフィーは何者なのか、次はどんな任務が待っているのか、そして、バッド・バッチの暗躍を知ったランパート中将の次の行動とは……ついに動き出したシーズン2全16話を今後もチェックしていこう。
アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン2は2023年1月4日(水)より、Disney+で独占配信。
シーズン2第3話のネタバレ解説はこちらから。
第1話のネタバレ解説はこちらから。
シーズン1を振り返りながら考えるハンターの行動原理と、『バッド・バッチ』の魅力についての解説はこちらから。
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シーズン1ラストの解説はこちらの記事で。
シーズン1で明かされたクローン兵廃止の理由はこちらから。
『マンダロリアン』と『バッド・バッチ』に登場した“チェーンコード”の解説はこちらの記事で。
ドラマ『マンダロリアン』シーズン3は2023年3月1日より配信開始。詳細はこちらの記事で。
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