トランプ大統領が『エンドゲーム』パロディを投稿
米国のドナルド・トランプ大統領が映画史上最高のヒット作となった『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) のパロディ動画を投稿して話題となっている。米時間の12月11日(水)、「トランプ大統領の再選は絶対である」というコメントと共に、民主党議員を消し去る動画を公開したのだ。
House Democrats can push their sham impeachment all they want.
President Trump’s re-election is 𝗶𝗻𝗲𝘃𝗶𝘁𝗮𝗯𝗹𝗲. pic.twitter.com/O7o02S26nS
— Trump War Room (Text TRUMP to 88022) (@TrumpWarRoom) December 10, 2019
この動画を公開したのは、Trump War Room (Text TRUMP to 88022) というトランプ大統領の選挙キャンペーン用アカウント。“War Room”とは、“戦略室”を意味する言葉だ。動画では、サノスに扮したトランプ大統領が「私は絶対である」と言いながら“指パッチン”をすると、民主党のナンシー・ペロシ下院議長をはじめとする民主党の重鎮達が塵となって消え去ってしまう。ナンシー・ペロシ下院議長は先週、トランプ大統領の弾劾決議案の作成を指示したばかりだ。
以下の内容は、映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』の内容に関するネタバレを含みます。
映画ファンから批判
『アベンジャーズ/エンドゲーム』を観た方なら誰もが分かることだが、トランプ大統領の広報アカウントがパロディに使用した場面は、サノスが“指パッチン”に失敗した場面。キャンペーン用の広報とはいえ、本編の展開を全く無視した動画の使い方に、投稿のリプ欄には「映画を見ていないのか」「映画ではサノスは負けてるけど……」といったコメントが寄せられている。
「私は憲法だ」の投稿も
同時に、「私は絶対である (I am inevitable)」というサノスの傲慢なセリフを引用したトランプ大統領に対して、アイアンマンことトニー・スタークのセリフに重ねる形で「I am the Constitution (私は憲法だ)」と返信する投稿も。「We the People」から始まる、1787年に作成されたアメリカ合衆国憲法の前文を貼り付けた画像が添付されており、5,000以上の「いいね」が付いている。
— Kit300 (@rdr300) December 10, 2019
そもそも立憲民主主義の近代国家においては、いかなる国家権力も憲法の制限下に置かれており、たとえ大統領であっても絶対的な存在ではない。立憲民主主義の基本的な理念を無視したトランプ大統領の態度にも批判の声あがっているのだ。
炎上商法だが……
もちろん、わざわざ悪役であるサノスに自分を重ね合わせ、映画ファンからの反応を得ることも、トランプ陣営にとっては計算の内に入っているのだろう。いつもの炎上商法に振り回されていてもしょうがないのだが、横暴なリーダーに対する「私は憲法だ」という映画ファンの切り返しは見事なもの。アメリカ合衆国が憲法の下に統治されているということを、改めて人々に認識させる結果となった。
トランプ大統領がパロディに利用した映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、MovieNEXが発売中。