トランプの発言に怒り、トランプ大統領が差別ツイート
ドナルド・トランプ米大統領の差別発言が、多くの人々を傷つけている。トランプ大統領は7月14日(日)、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員を含む非白人の民主党女性議員へ向けて「出身国へ帰り、自国の腐敗した政府を立て直せ」という内容のツイートを投稿。これに対してオカシオ=コルテスは、「大統領、私たちの出身国と、忠誠を誓っている国はアメリカ合衆国です」と反論した上で、「しかし、あなたが国境を破壊し、非人道的なキャンプを作り出し、それによってあなたと企業群が利益を得ているのを見れば、足元に腐敗があるというあなたの主張は全く正しい」と皮肉った。トランプの非白人の女性議員を狙った差別発言は、男性議員には向けられていないことから、性差別であるとする批判も起きている。
So interesting to see “Progressive” Democrat Congresswomen, who originally came from countries whose governments are a complete and total catastrophe, the worst, most corrupt and inept anywhere in the world (if they even have a functioning government at all), now loudly……
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) July 14, 2019
台湾系SF作家のウェズリー・チュウは悲痛なツイート、ずっと「自国に帰れ」と言われ続けてきた
米国市民である民主党女性議員に対する「国へ帰れ」発言の影響は、様々なルーツを持つ人々に波及している。『Time Salvager』(2015) で知られる台湾系SF作家のウェズリー・チュウはトランプの差別発言を受けて、差別を受け続けてきた自身の人生を振り返り、悲痛な思いをツイートした。
I’ve been told to go back to my country my entire life. It happened when I grew up in Nebraska. It happened where I worked in Chicago. It happens on Twitter. Now it seems it’s happening from the White House.
The one constant is it’s always an ignorant shithead who says it.
— Wesley Chu @ #SDCC2019 (@wes_chu) July 14, 2019
私は、この人生において、ずっと「自国に帰れ」と言われ続けてきました。ネブラスカ州で育った時もそうでした。シカゴで働いていた時も。Twitter上でもそうでした。今、ホワイトハウスまでもがそう言っているようです。
変わらない点は、そのようなことを言うのはいつも無知な人間だということです。
大統領からの差別
台湾生まれのウェズリー・チュウは、6歳の頃にアメリカに移住。イリノイ大学を卒業後、俳優やスタントマンとして活躍し、2011年に『The Lives of Tao』で作家デビューを果たした。2015年には同作が評価され、ヒューゴー賞授賞式で発表されるジョン・W・キャンベル新人賞を受賞、小説『Time Salvager』は出版前にマイケル・ベイ監督による実写映画化が決定したことも報道されていた。
SF作家として結果を残しても、社会から差別を受けるどころか、遂に大統領から差別を受ける時代に。ウェズリー・チュウは更に、「自分たちは標的になっていない」という理由から、比較的トランプへの支持率が高かったアジア系アメリカ人コミュニティに、「国へ帰れ」発言の是非を問うた。
SF作家らが次々発信、「大統領はレイシストです」
声をあげた作家はウェズリー・チュウだけではない。ファンタジー作家のマイク・コールは、トランプの発言を明確に「人種差別」と批判しないマスコミの報道姿勢を揶揄し、『老人と宇宙』(2005) で知られるSF作家のジョン・スコルジーは「みんな、大統領はレイシストです」とツイート。黒人女性作家のN・K・ジェミシンは、月曜日に「他者を助け、レイシストウジ虫野郎の弾劾を要求する新たな一週間の準備はできていますか? もちろんですよね! 新鮮な果物を食べてくださいね。食物繊維なしではファシズムと戦うことはできません」と投稿した。
Folks: The president is racist as all fuck and has been since he was dawdled on his racist daddy’s knee. When people try to tell you he’s not, they are a) racist as all fuck themselves, b) trying in some way to rationalize their support of someone racist as fuck, c) both.
— John Scalzi (@scalzi) July 15, 2019
Good Monday morning to all of you beautiful “racially infused” people. Ready for another amazing week of helping others and demanding that this racist toadshit maggot be impeached? Of course you are! Make sure you have some fresh fruit today. Can’t fight fascism without fiber. 😁
— N. K. Jemisin (@nkjemisin) July 15, 2019
『GOTHAM/ゴッサム』俳優も
DCドラマ『GOTHAM/ゴッサム』で主役のジム・ゴードン役を演じたベンジャミン・マッケンジーは、二週間ぶりのツイートを投稿。「それで……まだ大統領がレイシストかどうかについて議論してるんですか? それとも、もうそう呼んでいい?」と、差別発言に対して煮え切らない態度のメディアや世間に問いかけた。ベン・マッケンジーは、以前よりトランプ政権に対して批判的な態度を示している。
日本では7月21日(日)に参議院選挙を控え、俳優や有名人による政治的なツイートが増加している。良い傾向ではあるが、普段から政府や政治家の言動に目を光らせ、発信していくことにも大きな意義があるだろう。
Source
Wesley Chu Twitter / John Scalzi Twitter / N.K.Jemisin Twitter / Ben McKenzie Twitter / Myke Cole Twitter