SF界も注目のビーフ勃発
ダイ・アントワードがエミネムにアンサー
アメリカと南アフリカ、海を跨いでSF界も注目のビーフが勃発した。先日サプライズリリースされたエミネムのニューアルバム『Kamikaze』に収録された「Greatest」という楽曲において、エミネムは南アフリカのヒップホップグループ、ダイ・アントワードのメンバー関係を揶揄。ダイ・アントワードは、これに対して痛烈なアンサー動画を投稿し、“海を越えたビーフ”として話題を読んでいる。
映画『チャッピー』にも出演したダイ・アントワード
ダイ・アントワードは、ラッパーのニンジャとヨ=ランディ・ヴィッサーによるヒップホップデュオ。ニール・ブロムカンプ監督作品の『チャッピー』(2015)にも、ロボットのチャッピーを育てる夫婦役で出演していた。今回のアンサー動画にもブロムカンプ監督の名前が登場するのだが、ダイ・アントワードは予てからブロムカンプ監督のファンであることも公言している。今年6月に公開された新曲「ALIEN」のMVは、ヨ=ランディがエイリアンに扮し、SF感漂う仕上がりとなっている。
発端は発音を巡る茶化し合い
今回のビーフの発端は、2017年に発売されたエミネムのアルバム『Revival』。このアルバムに収録された「Untouchable」という楽曲で、エミネムはダイ・アントワードのグループ名を揶揄していた。しかし、エミネムは「ダイ・アントワード」を誤って発音(正しい発音は「ディ・アントワード」)しており、ダイ・アントワードはエミネムの発音を矯正する動画を立て続けに投稿。ヨ=ランディが「エミネムも“イミネム”って呼ばれたら嫌でしょ?」とたしなめていた。今回新アルバムに収録された「Greatest」では、エミネムは「発音できねーよ」と匙を投げると共に、ダイ・アントワードの二人の関係を揶揄する歌詞で二人をディス。これに対して初めてニンジャがラップで応戦し、発音を巡る“茶化し合い”がビーフに発展したのだ。
「ブロムカンプがリメイクするのはロボコップ / 南アフリカをチェックしとけ」
ニンジャはアンサー動画で、二人の関係を揶揄した部分については、「ヨ=ランディは俺の彼女じゃないぜ / 俺を愛してくれてる親友だ」と大人な対応。自分は老いているが、それでもキッズは愛してくれていると主張し、エミネムへの痛烈なディスを展開する。
キッズはお前のライムやボトックス (目尻のしわ消し) は気にしてない / 写真じゃお前の顔はフォトショップ / ブロムカンプがリメイクするのはロボコップ / 南アフリカをチェックしとけ
by ニンジャ
ニール・ブロムカンプ監督は、ダイ・アントワードの二人同様、南アフリカ出身。『第9地区』(2009)では、南アフリカのアパルトヘイト (人種隔離政策) を題材としたSF映画を製作している。『チャッピー』での共演から3年が経過するが、ニンジャは変わらぬリスペクトを抱いていることが伺える。南アフリカとアメリカ、同じ英語圏でありながら、発音が大きく異なることを発端として勃発した今回のビーフ。南アフリカを代表するSF映画監督の名前までもが挙げられる展開となった。
アメコミ好きのエミネム
VG+でもお伝えしたように、エミネムもまた、SFに縁の深いラッパーの一人だ。今回のニューアルバムにも、今年公開される映画『ヴェノム』にサウンドトラックとして提供した楽曲「Venom」が収録されている。エミネムはこれまでにも、アメコミ作品を題材とした曲をいくつも発表してきた。なお、同アルバム収録曲の「Good Guy」では、アニメ『東京喰種トーキョーグール√A』(2015)の挿入歌「Glassy Sky」をサンプリングしていたことも判明している。
アメコミ作品に馴染みの深いエミネムと、王道SFを味方につけるダイ・アントワード。海を越えたビーフは、どのような着地を見せるのだろうか。
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Die Antwoord YouTube