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ヒューゴー賞2020 発表!
SFファンタジー界における最高賞の一つ、ヒューゴー賞の2020年の受賞作品および受賞者が発表された。ヒューゴー賞の発表は例年、世界SF大会=ワールドコンの中で行われるが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、2020年のワールドコン“CoNZealand”は史上初のバーチャル開催に。2020年はヒューゴー賞の授賞式もバーチャル開催となり、受賞者はリモートで自宅などから受賞のスピーチを行った。
長編部門は
2020年のヒューゴー賞長編小説部門に選ばれたのは、アーカディ・マーティーンの『A Memory Called Empire』。アーカディ・マーティーンはクィアのユダヤ系アメリカ人作家で、歴史家でもある。『A Memory Called Empire』は長編デビュー作であり、いきなりのヒューゴー賞初受賞となった。
テッド・チャンの『息吹』もノミネートされた中編小説部門は、N・K・ジェミシンの「Emergency Skin」が受賞。中長編小説部門は、アマル・エル=モフタール&マックス・グラッドストーンの「This Is How You Lose the Time War」がネビュラ賞とのダブルクラウン、英国SF協会賞とローカス賞を合わせた4冠を達成した。短編小説部門にはS・L・ファンの「As the Last I May Know」が選ばれている。
『モンストレス』は四連覇逃す
グラフィックストーリー部門はンネディ・オコラファー、タナ・フォード、ジェームズ・デヴリンの『LaGuardia』に贈られた。昨年まで三連覇を達成していたマージョリー・リュー&タケダ サナの『モンストレス』は四連覇はならなかった。『LaGuardia』の原作を手掛けたンネディ・オコラファーは、小説『Binti』で2016年のヒューゴー賞中長編小説部門を受賞している。
関連作品部門 (Best Related Work)には、ジャネット・ン (吳志麗) による2019年のジョン・W・キャンベル新人賞 (現アウトスタンディング新人賞) の受賞スピーチが選ばれた。ジョン・W・キャンベルの生前の差別的な言動を改めて指摘し、同賞からその名を外す大きな力になったスピーチである。
長編映像部門はドラマ『グッド・オーメンズ』に、短編映像部門はドラマ『グッド・プレイス』シーズン4第9話の「答え」に贈られた。
半商業誌が対象となるセミプロジン部門では、『Uncanny Magazine』が五連覇を達成。プロアーティスト部門は、イラストレーターの清水裕子が2年連続のノミネートとなったが、2012年にも同部門を受賞したジョン・ピカシオが選ばれた。
ヤングアダルト向けのSFファンタジー小説を対象にしたロードスター賞には、ナオミ・クリッツァーの『Cat Fishing on CatNet』が、アスタウンディング新人賞にはR・F・クァンが選ばれている。
また、毎年行われるSF関係者の追悼セレモニーでは、京都アニメーションにおける放火事件の被害者にも追悼が捧げられた。
2020年のヒューゴー賞受賞者および受賞作品は以下の通り。
長編小説部門
アーカディ・マーティーン
『A Memory Called Empire』
中長編小説部門
アマル・エル=モフタール&マックス・グラッドストーン
「This Is How You Lose the Time War」
中編小説部門
N・K・ジェミシン
「Emergency Skin」
短編小説部門
S・L・ファン
「As the Last I May Know」
シリーズ部門
ジェームズ・S・A・コーリイ
「The Expanse」
関連作品部門
ジャネット・ン
「“2019 John W. Campbell Award Acceptance Speech”」
グラフィックストーリー部門
ンネディ・オコラファー、タナ・フォード、ジェームズ・デヴリン
『LaGuardia』
長編映像部門
ニール・ゲイマン、ダグラス・マッキノン
『グッド・オーメンズ』
短編映像部門 (90分以内)
ダニエル・スコフィールド、ヴァレリア・ミリャッシ・コリンズ
『グッド・プレイス』シーズン4第9話「答え」
短編編集者部門
エレン・ダトロウ
長編編集者部門
ナーヴァ・ウォルフ
プロアーティスト部門
ジョン・ピカシオ
セミプロジン部門 (半商業誌)
リン・M・トーマス、マイケル・ダミアン・トーマス、ミチ・トロタ、エリカ・エンサイン、スティーブン・スチャパンスキー、エルサ・スジャネソン=ヘンリー、ドミニク・パリシャン
『Uncanny Magazine』
ファンジン部門(非商業誌)
アナ・グリロ、テア・ジェームス
「The Book Smugglers」
ファンキャスト部門(非商業オーディオ・ビデオ部門)
アナリー・ニューイッツ、チャーリー・ジェーン・アンダーズ
『Our Opinions Are Correct』
ファンライター部門(非商業ライター)
ボギー・タカーチ
ファンアーティスト部門(非商業アーティスト)
エリーサ・メテセン
ロードスター賞
ナオミ・クリッツァー
『Cat Fishing on CatNet』
アスタウンディング新人賞
R・F・クァン