ネタバレ解説『バッド・バッチ』シーズン2第10話 労働者を抑圧に繋ぎ止めるもの、バッド・バッチが助ける人々 あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『バッド・バッチ』シーズン2第10話 労働者を抑圧に繋ぎ止めるもの、バッド・バッチが助ける人々 あらすじ&考察

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『バッド・バッチ』シーズン2第10話はどうなった?

2021年から配信を開始した『スター・ウォーズ/バッド・バッチ』は、アニメ『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』(2008-2020) のその後を描くアニメシリーズ。2023年1月よりシーズン2の配信を開始し、シーズン1と同じく全16話が配信される。

『バッド・バッチ』シーズン2は2月22日(水) に第10話の配信を開始。翌週の第11話からは、同じく「スター・ウォーズ」シリーズのドラマ『マンダロリアン』シーズン3と共に配信されていくことになる。「スター・ウォーズ」ファンは大忙しになること請け合いだが、第10話ではどのような物語が描かれたのか。今回も各シーンをネタバレありで解説していこう。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『スター・ウォーズ/バッド・バッチ』シーズン2第10話の内容に関するネタバレを含みます。

シーズン2第10話「奪回」あらすじ&ネタバレ解説

モッコの縄張り

アニメ『バッド・バッチ』シーズン2第9話では、エコーが離隊して、船のマローダーを盗まれて、と散々な目にあったバッド・バッチ。第10話でも引き続き前回降り立った惑星が舞台になる。朽ち果てたスピーダーを修理する一行だが、レッカーは「時間の無駄だ、ただのガラクタだろ」と諦めた様子を見せる。これに対するテクの「その通りだが、修理すれば使えるガラクタになる」という返答は、このエピソードを象徴するような一言になっている。

第9話で船を盗んだベンニは新登場のキャラクター。モッコというこちらも新登場の人物のために働いているようだ。しかし、ベンニは船に落ちていたレーションを貪るほど飢えており、水にも困っている様子。更にもモッコは用心深く、船を持ち帰ったベンニのことを信用してもいない。水も自分が飲んでから残りを分けて感謝させるなど、ブラック企業のボスという風体だ。

しかも、ベンニは稼ぎ頭になることを望んでおり、ベンニが所属しているコミュニティが競争社会であることも窺える。マローダーも厄介なところに盗まれたものである。

支配されるベンニ

オメガは船に乗っているドロイドのゴンキーを追跡できると気づき、一行は直したスピーダーでモッコの集落にたどり着く。ゴンキーといるベンニを捕らえたバッド・バッチは、船の場所まで一行を案内させる。それにしてもベンニはモッコを相当恐れており、恐怖で支配されている様子が見て取れる。

ベンニによると、ここの鉱山は元テクノ・ユニオンのものだったが、モッコが乗っ取ったのだという。テクノ・ユニオンは『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(2002) などにも登場したテクノロジー企業のギルドで、ドゥークー伯爵の独立星系連合に参加していた。分離主義勢力に捕えられたエコーは、このテクノ・ユニオンの支配下に置かれていた。

前回紹介された不安定な資源であるイプシウムの鉱山ということで、ブラスターが撃てないというハンデを背負っての潜入となったバッド・バッチ。ハンターがスパイ映画さながらの見事なロープアクションを見せて潜入に成功すると、採掘所の全容が明らかになる。

テクに酷い労働環境だと指摘されるも、ベンニはイプシウムの質が落ちてモッコが経費を削減していると説明する。それでも、「働けるだけマシ」と言い張るベンニは、精神面までモッコに支配されていることが分かる。労働者の態度としては、ここ日本では珍しくないものかもしれないが……。

小者のモッコ

バラバラにされた船を修理する間、ベンニとオメガはシールドを解除するためにタワーに侵入する。その頃、モッコは利益を貪るように食事を摂っていた。大量の肉も酒のような飲み物も大量にあり、それを独り占めしているが、なんだか幸せそうには見えない。「スター・ウォーズ」世界の他の悪党と比べても、子どもを相手に利益を貪る小者である。

ベンニとオメガは下っ端から入室カードを盗む作戦に。そこに現れたモッコは、自分も犠牲を払って耐えてきたと主張し、稼ぎ頭を発表。自分はあれだけ飲み食いしていたのに、どんぶり二杯のスープというわずかな配給のうち、一杯を稼ぎ頭に、もう一杯を残りの子ども達で分けさせるという非道な采配を見せる。

ベンニは船を盗んだのに稼ぎ頭に選ばれず、それでも怒りを見せるのではなく「食いたきゃ稼げ」「それがここのルール」と言い、もっと稼いで稼ぎ頭になることを目指す。あくまでモッコのルールに服従し続けるベンニをオメガは理解できないが、ここでは一旦任務を進める。

人を抑圧に繋ぎ止めるもの

ベンニはオメガに「お前の仲間は平等だよな」と言うが、英語のニュアンス的には「あいつらは君をあいつらの内の一人のように扱うね」と言っている。ここを出ることを提案するオメガに、ベンニは、モッコは有能なボスで、もう少し掘れば良い鉱脈に当たる、ここがホームで離れられない、という非常にリアルにトリプルコンボで返答する。

支配者への畏怖、未来への幻想、地元への執着という現実社会でも私たちを抑圧に繋ぎ止める要素を見事に言い表している。すごい脚本だ。

ベンニはオメガからレーションをもらい礼を言うが、すでにモッコに通報した後。修理を進めるテクの方は「モッコは権力を悪用して労働者を操っている。帝国とよく似たやり方」と指摘。子ども達を気の毒に思ったハンターは交戦しないことを決めていたが、ここで一行は子ども達に姿を見られてしまう。

一方のオメガは、イプシウムのデータを手に入れ、モッコが嘘をついていて利益を独り占めしていたことを突き止める。そこにベンニの通報を受けたモッコが現れ、オメガは捕えられてしまう。ハンターたちとモッコは合流し、人質になったオメガの姿を目にするが、このピンチを救ったのは、画面に映る右肩上がりのグラフを見つめていたベンニだった。

真実をありがとう

「いつかは稼ぎ頭に」という曖昧な口約束ではなく、信頼できる情報・数字を目にしたベンニは遂にモッコに反旗を翻し、他の子ども達もこのデータを目にする。“稼ぎ頭”に選ばれていたドレイクの反乱によって他の子ども達もモッコから離反し、モッコの味方はドロイドだけに。オメガは前半で見事なロープアクションを見せていたハンターを信じて、空中ブランコばりのチームプレイで自由の身になる。

レッカーは確かな射撃の腕でドロイドを排除すると、子ども達に追い詰められたモッコは橋から落下。助けようとしたベンニを道連れにしようとして自滅するどうしようもない最後を迎えている。ベンニはオメガから銀河に出ることも提案されるが、この場所で利益を平等に分配して生きていくことを決める。ベンニは「真実をありがとう」と言い、英語ではオメガに借りができたと言っている。

そしてオメガは、銀河に蔓延る悪は帝国だけではないという事実を知り、テクにそれを伝える。テクは、「でも僕らのような連中も大勢いる。それが大事なことだ」とオメガを勇気づけるのだった。シーズン2第9話と第10話の舞台となったこの惑星からようやく飛び立ち、第10話「奪回」は幕を閉じる。

『バッド・バッチ』シーズン2第10話 考察&感想

バッド・バッチが助ける人々

アニメ『スター・ウォーズ/バッド・バッチ』シーズン2第10話のタイトル「奪回」とは、ベンニたちが支配者であるモッコから自分たちのホームを奪回するということだった。帝国が銀河を支配する中で、分離主義に属していたテクノ・ユニオンが去った後の惑星で起きている小さな暴政が描かれた。このように弱肉強食の無法地帯になっている場所も少なくないのだろう。

エコーが離脱したバッド・バッチだが、相変わらず銀河に小さな平和をもたらす仕事をやってのけている。現地の人に貸しを作る展開はもはやお馴染みのもので、いつか『スター・ウォーズ エピソード9/スカイウォーカーの夜明け』(2019) のように、これまで助けた人々がいつか全員集合でバッド・バッチに恩返しに来る展開を期待してしまう。

シーズン2第10話で注目すべきは、モッコを盲信するベンニにオメガが“データ”を見せて、“真実”を知らせるという展開だ。搾取されているにもかかわらず、その抑圧者の側に立ってしまい、来ることのない未来に期待してしまう相手に対して、確固たるデータを見せて理解させるという対応は、陰謀論や強い態度が優位になりがちなSNSの状況に対して非常に示唆的であると言える。

また、最後にテクは自分たちのような連中が希望であると仄めかした。反帝国の活動も大事だが、抑圧はいたるところにある。バッド・バッチは、帝国を相手にしているだけでは助けられない人々を確かに救っている。オメガはこの状況を前向きに捉えていくことになるのだろうか。残り6話、最終週は2話同時配信なのであと5週間、最後まで目が離せない。

なお、次週はドラマ『マンダロリアン』シーズン3の配信が始まる。『バッド・バッチ』と共にこちらも解説&考察を行なっていくので、お楽しみに!

アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン2はDisney+で独占配信中。

『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』(Disney+)

シーズン2第11話のネタバレ解説はこちらから。

第1話のネタバレ解説はこちらから。

第2話のネタバレ解説はこちらから。

第3話のネタバレ解説はこちらから。

第4話のネタバレ解説はこちらから。

第5話のネタバレ解説はこちらから。

第6話のネタバレ解説はこちらから。

第7話のネタバレ解説はこちらから。

第8話のネタバレ解説はこちらから。

第9話のネタバレ解説はこちらから。

 

シーズン1ラストの解説はこちらの記事で。

シーズン1で明かされたクローン兵廃止の理由はこちらから。

 

ドラマ『マンダロリアン』シーズン3は2023年3月1日より配信開始。本予告の解説&考察はこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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