第5話ネタバレ感想&解説!!『機動戦士ガンダム 水星の魔女』~ガンダムとは何か~ | VG+ (バゴプラ)

第5話ネタバレ感想&解説!!『機動戦士ガンダム 水星の魔女』~ガンダムとは何か~

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機動戦士ガンダム 水星の魔女』放送中

2022年10月2日(日)より放送を開始した『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。第5話「氷の瞳に映るのは」では、これまでただの「いい人」として描かれてきたエランが一筋縄ではいかない人物であることが明かされた。初登場した乗機の「ガンダム・ファラクト」も大活躍だった。それでは、ネタバレありで早速第5話を振り返っていこう。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第5話の内容に関するネタバレを含みます。

彼ならあれがガンダムかどうか確かめられる筈

ガンダム・エアリアルを分析する会議の席上、「彼ならあれがガンダムかどうか確かめられる筈」とペイル社の共同CEOの一人ニューゲンはエランを指名する。「強化人種4号」と呼ばれたエランはその命令によりガンダム・エアリアルの調査を目的にスレッタを誘う。劇中、「ガンドフォーマットのデータストームは特定できませんでした」との台詞で説明される通り、ガンダム・エアリアルはガンドフォーマットの副作用としてパイロットの命を危険に晒すことはないようだ。

それがエアリアルの機体性能故か、それともパイロットであるスレッタに秘密があるのかを解き明かすのがエランの任務だ。その為にスレッタに頼んでエアリアルに一人で乗ったエランは、普段自分が「ガンダム」に乗った際に感じる「脳に手を突っ込まれるような、ざらついた」感覚がないことに驚く。そしてそれまで自分と同族だと考えていたスレッタがどうやら自分とは異なる存在であることを悟り、冷たく突き放す。

エランはどうやらこれまでのガンダム作品でも度々描かれてきた「強化人間」の系譜に位置するキャラクターのようだ。「ガンダム」を操る為だけに身も心も操作された人間。エランに感情の起伏が乏しく見えるのもあるいはその副作用ということかも知れない。エランはエアリアルに乗ったことでスレッタと自分との「違い」を認識したようだが、それはエアリアルに積まれているシステムが通常の「ガンドフォーマット」とは異なる為なのだろうか。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』世界の「ガンダム」の定義とは「ガンドフォーマットを搭載したモビルスーツ」のことだが、もしもエアリアルのシステムがガンドフォーマットとは異なるものであれば、エアリアルは劇中ではプロスペラが第2話で言ったように「ガンダムではない」ということになるのだろう。

初代『機動戦士ガンダム』においてはガンダムとは単に高性能なモビルスーツのことだった。しかしシリーズが拡張し歴史を経るにつれ、そもそも「ガンダムとは何か」ということが作品内においても自己言及されるケースが多くなっていった。『機動戦士ガンダム』の舞台である「宇宙世紀」を舞台とする作品においても「F91」や「V」はその典型だ。

シリーズ後半に位置付けられる『機動戦士ガンダムF91』(1991)では「ガンダム」の活躍は既に過去のものとなった時代、「F91」という機体は正式にはガンダムとは呼ばれず(設定的には開発元や型式番号の違いから)飽くまでも「ガンダムに似た機体」という扱いだった。宇宙世紀を離れたいわゆる「アナザー」と呼ばれる作品群ではその都度「ガンダムとは何か」が作品内において定義され直している。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』では「ガンダム」には「ガンドフォーマットを搭載したモビルスーツ」という即物的な意味以上の意味付けが与えられるのだろうか。今のところタイトルにある「魔女」とは「ガンドフォーマットを自在に扱えるスレッタ」のことのように思われるが、あるいはエアリアルに搭載されている「ガンドフォーマットとは異なるシステム」がガンダム恒例の「暴走」を起こした際にスレッタが自身の能力でそれを乗りこなすことで「魔女」として覚醒するという布石とも考えられる。

バンダイから発売されているガンプラである「HG 1/144 ガンダム・エアリアル」のキットには劇中で描かれる「緑色の目」のシールの他に「赤色の目」のシールも付属している。ガンダムが目を赤く光らせた時には、大抵ろくでもないことが起きるのだ。

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ディランザ、再び

「スレッタを泣かせた」ことを理由にジェタークはエランと決闘する。乗機であるディランザは第1話で、せっかくの新型機であるダリルバルデも第3話でスレッタにバラバラにされてしまったので、弟であるラウダのディランザを無断借用するが、エランは新型「ガンダム・ファラクト」で応戦する。やはりガンダムであるファラクトもガンビットを装備しているが、ジェタークは砂塵を巻き上げて攪乱するなど善戦する。だが一歩及ばず惜しくも敗れ去ってしまった。勝者であるエランは決闘前に宣言した通り、次はスレッタとの決闘に臨む。

回を追う毎に株を上げていくジェターク。相変わらず「俺様」なところはあるが、どうやらスレッタを想う気持ちは本物のようだ。対するエランは、これまで見せたスレッタへの優しさはそこに自分を投影していたから故に過ぎなかったようだ。スレッタが「自分とは違う」ことを悟ったエランは、スレッタとの決闘を通じてスレッタについて、また自分について新たに何を知ることになるのだろうか。

エランのように自らを本物に対する「偽物」と見做して自意識に苛まれるキャラクターと言えば、過去のガンダム作品では『機動新世紀ガンダムX』(1996)に登場したシャギア・フロスト、オリバ・フロストの「フロスト兄弟」が思い浮かぶ。彼らは「本物」である「ニュータイプ」に対して兄弟間でしか能力を発揮できないことから「カテゴリーF」と呼ばれたことから世界に対して憎しみを募らせ、自らを認めなかった世界を破滅させるべく戦争を画策した。

「認められない痛み」については大いに同情するものの、それで世界を滅ぼされてしまっては堪らない。エランも今のところ内に孤独を抱えつつもペイル社の指示通りに動いているようだ。エランがガンダムをどう捉えているかによっても今後の展開は変わってくるだろう。ガンダムを自らの自由を奪う枷と捉えつつも、しかし一方ではそれを唯一の拠り所と感じていもいるのかも知れない。そんなエランにとっては、ガンダムを何の屈託もなく「家族」と呼ぶスレッタは、確かに自分にないものを持つ眩しい存在だろう。エアリアルとファラクト、果たして二機のガンダムの対決の行方は。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は、毎週日曜午後5時~MBS/TBS系全国28局ネットにて放送中。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』公式サイト

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第6話のネタバレ感想はこちらから。

第1話のネタバレ感想はこちらから。

第2話のネタバレ感想はこちらから。

第3話のネタバレ感想はこちらから。

第4話のネタバレ感想はこちらから。

腐ってもみかん

普段は自転車で料理を運んで生計を立てる文字通りの自転車操業生活。けれど真の顔は……という冒頭から始まる変身ヒーローになりたい。文学賞獲ったらなれるかな? ラップしたり小説書いたりしてます。文章書くのは得意じゃないけどそれしかできません。明日はどっちだ!
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