第10話ネタバレ感想!『SSSS.DYNAZENON(ダイナゼノン)』あらすじ・考察・解説~解ける過去の呪い~ | VG+ (バゴプラ)

第10話ネタバレ感想!『SSSS.DYNAZENON(ダイナゼノン)』あらすじ・考察・解説~解ける過去の呪い~

©円谷プロ ©2021 TRIGGER・雨宮哲/「DYNAZENON」製作委員会

ダイナゼノン、バトルゴー!!!!!!!!!!

絶賛TV放送&ネット配信中の『SSSS.DYNAZENON(ダイナゼノン)』

実写作品『電光超人グリッドマン』を原作として新たな物語を紡ぐ”GRIDMAN UNIVERSE”の第2弾。物語も残すところ2話となった。怪獣の力で過去の傷との対面を強いられた蓬たち。夢芽はカノの死と自分なりの折り合いを付けられるようになったが、果たして他のメンバーは。早速第10話を振り返っていきたい。

第10話「思い残した記憶って、なに?」のあらすじ

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これでみんな自由になれる

しばらく怪獣が現れていないと河原で休息を楽しむ蓬たち。一方、怪獣優生思想たちは巨大な怪獣を発見する。ムジナがコントロールしようとすると怪獣ごと消えてしまう。訝しむオニジャ、ジュウガも次々に消える。最後にシズムは「これでみんな自由になれる」と言い残して消える。更に、河原の夢芽も影を残して消えてしまう。

カノが生きてる

ガウマ隊は街中で人が失踪していることに気付くとともに怪獣を発見する。

夢芽の不在によりダイナゼノンへと合体できない窮地にナイトが現れるが、ナイトもあっさりと消えてしまう。

一方、車の中で目を覚ました夢芽は自らの身体が小さくなっていることと隣に姉が座っていることに気付く。「カノが生きてる」と呆然とする夢芽。そのままかつての家族生活を送る中で夢芽は自分が何を考えていたのかを忘れてしまい、ダイナウィングはバラバラになってしまう。

ここが、怪獣の中?

怪獣の中からダイナウィングの反応があり、口から中に入ろうとビルのエレベーターを上っている途中で山中の姿が消える。屋上に辿り着くやガウマも消え、一人取り残された蓬は覚悟を決めて怪獣の口へと飛び込む。

山中はかつて稲本に大金とともに「どっか行こうよ」と誘われた中学時代に戻り、ガウマは五千年前怪獣優生思想の面々と袂を分かつ前に戻った。それぞれの時に馴染む中で、ダイナウィングに続いてダイナストライカー、ダイナダイバーもバラバラになってしまう。

「ここが、怪獣の中?」と呟いた蓬はディスプレイに次々に映し出されるガウマ隊の面々の過去に戸惑う。と思いきや、自分も母親に初めて上条と会って欲しいと言われた時に戻ってしまう。しかしダイナソルジャーは砕け散らず、蓬は夢芽を救い出すという目的を思いだす。その蓬の意志に呼応するかのようにダイナソルジャーは過去から蓬を脱出させる。

ここで蓬が過去に囚われなかったのは、他の面々と違って過去に対して「やり残した」という主体的な後悔の念を抱いている訳ではないからだろうか。母親の誘いを断ることで、蓬が何かを手に入れるという訳ではない。しかし、夢芽は過去に戻ることでカノを死から救え、山中は金と稲本との関係を手に入れることができ、ガウマも”姫”とともに過ごせる。そのような人生における決定的な後悔の瞬間がはっきりしている他の面々に較べて、蓬の場合は動機が弱く、それ故に過去から脱出することができたようにも見える。あるいは第8話で兆しの見えた蓬の怪獣使いに類する何らかの特殊体質の作用の結果だろうか。いずれにせよ蓬はここで、これまでの状況に流されるままの戦いとは打って変わってみんなを過去から救い出す文字通りのヒーローとなる。

気になるのは、ゴルドバーンの力のお蔭で怪獣に飲み込まれずに済んだちせと2代目だ。この二人にも勿論「過去」はあるだろうが、果たしてそれが明かされる日は来るのか。前回、ちせは中学で周囲と折り合いが悪かったことは示されたが、腕を覆うアームカバーの理由とともに具体的に何があったのかは相変らず明かされていないままだ。

夢芽にね、来て欲しいんだ

蓬は透明な壁に阻まれて夢芽を連れ戻せない。夢芽はカノとの関係をやり直そうとして高校に入ったら部活やろうかなと積極的に話し掛けるが、カノは「好きにしたら」とにべもない。テレビから流れる「結局、言葉で話してくれないと分かんないんですよね」という女の声が夢芽の心情にオーバーラップする見事な演出。そこへダイナウィングの翼が落ちてきて、何かを思い出しそうな夢芽。と、突然部屋のドアを開けて「夢芽にね、来て欲しいんだ。合唱の定期演奏会」と言ってカノは夢芽にチラシを渡す。

余談だが、ここで夢芽が歯を磨いている洗面所は、前作『SSSS.GRIDMAN』における宝多六花の家の洗面所と器具の配置から小物のレイアウトまで何から何まで同じだ。同じ”元データ”を流用して造られた電脳世界ということなのだろうか?

そして小学生姿の夢芽にとってダイナウィングの翼は「忘れてしまった過去(未来)」の象徴として常に手に握られており、それは夢芽が普段「忘れられない過去」の象徴としてカノの知恵の輪を身に着けていることの反転だろう。夢芽にとっては小物が過去との距離感を示すアイテムとして効果的に配置されている。

このままじゃまた、南さん悲しむじゃん

どうやら水門で合唱の練習をするらしいカノの背中を不安げに見送る夢芽。その様子を見た蓬は「このままじゃまた、南さん悲しむじゃん」とどうにか壁を突き破ろうと何度もタックルをかける。遂に壁は割れ、蓬と再会した夢芽の元にダイナウィングが戻る。二人で水門へ向かい、カノに向かって夢芽が「死んじゃダメ!!」と叫ぶとカノは一笑に付して「だって、約束したじゃん。合唱観に来てねって」と答える。

姉の死が自殺でないことを知ってもなお、姉の死という事実は変わらない。元より、夢芽にとっての蟠りは姉の死因というより姉との関係そのものだったのだ。もう少し姉と話したいという夢芽に「みんなと、待ってるから」と言って蓬は山中、ガウマを助けに行く。

前回、蓬は精神的に弱った夢芽を置き去りにしたまま、夢芽の「大丈夫だから」という虚勢を信じて怪獣退治へと行ってしまった。それはつまり、蓬に覚悟が欠けていたということだ。夢芽の傍に居なければという気持ちも、怪獣退治への使命感もどちらも嘘ではないにせよ、迫られる状況の中で自分が何を選べば良いのかが分からなかったからこそ、夢芽の言葉を字面通りに受け取ってしまったのだろう。その結果、夢芽を置き去りにするという最悪の選択をしてしまう。

けれど今回は違う。何度も身を呈して自分を迎えに来てくれる蓬の姿を見た夢芽と蓬との間には確実な信頼関係が芽生えていた。だから夢芽を一人カノの元に残したまま山中やガウマを助けに行っても、夢芽は絶対に自分たちの元へと戻って来てくれるという確信が蓬にはあった。表面的にはどちらも夢芽を一人残して蓬が立ち去る描写となっているが、その意味するところは正反対なのである。

蓬、やっぱりお前俺の命の恩人だよ

バッグ一杯に詰め込まれた札束とともに山中は稲本と海岸に向かった。蓬が山中の過去に辿り着くと、突如突風が吹いて札束は風に舞ってしまう。慌ててそれを拾おうとする山中と対照的に稲本は何の拘りも見せずに泰然自若としている。そんな中学時代の自らの様子を眺める山中の手元にダイナストライカーが戻る。蓬に「帰りましょう」と促されながらも「俺は」と一瞬躊躇いを見せる山中を、蓬は問答無用で連れ出す。最早蓬には主人公然とした覚悟が備わっている。謎の空間を通り抜けて今度はガウマの過去へと向かう途中、山中の左足首にはガウマの左頬にあるのと似た傷があることが映し出される。果たしてこの意味するところとは。

ガウマは一人でジュウガ、ムジナ、オニジャの三人と怪獣を倒す。倒れるオニジャの横にはバラバラのダイナダイバーが。瀕死のジュウガに裏切りの理由を問われたガウマは「国を裏切ったのはお前ら怪獣優生思想だろ」と答える。怪獣使いを使い捨ての駒にしようとした国に対して怪獣優生思想は反旗を翻し、そのことでガウマは彼らと袂を分かったということのようだ。相討ちで死にかけのガウマの元に駆け付けた蓬は「死んでる場合じゃないです!」と言ってガウマを叩き起こす。跳び起きてダイナダイバーを握り締めたガウマは「蓬、やっぱりお前俺の命の恩人だよ」と言う。蓬はガウマ、山中とともに過去を脱出し、ナイトを救い出す。

ありがとう、お姉ちゃん

水門で言葉を交わす中で夢芽は姉との蟠りが解けていく。カノは人に合わせることができる夢芽への憧れから距離を作ってしまい、高校に入って自分も変わろうとして合唱部に入部したのだった。自分とは違いもっと人を頼るようにと言う姉に「それは最近、分かった気がする」と答える夢芽。姉の死のこともあって中学、高校と周囲に壁を作ってきた夢芽が、蓬やガウマたちと関わる中で少しずつ他者を受け容れ、受け容れられることを覚えていく、ガウマ隊を自らの居場所と捉えているらしいことが分かる感動的なシーンだ。

自分の時間に戻って良いのかと躊躇う夢芽の手の中で遂に知恵の輪は解かれる。「ありがとう、お姉ちゃん」と言って夢芽は蓬たちの元へと戻る。残されたカノは果たして何を叫んだのだろうか? それとも合唱の練習か。

取り戻せない過去を悔やみながらもそれと折り合いをつけ、今を生きるために新たに一歩を踏み出す物語にはいつだって感動してしまう。覚悟を決めてカノに背中を見せる夢芽のその背中を、筆者はこれから道に迷った時に度々思い出すに違いない。

だったら怪獣やっつけて

無事に現実へと帰還できたガウマ隊およびナイトは早速怪獣へと戦いを挑む。怪獣を倒せば人々は元に戻るとの2代目の言葉に、「だったら怪獣やっつけて」と声を合わせる蓬と夢芽の後に「俺たちの、今を、取り戻すぞ!」と続けるガウマ。巨体に似合わぬスピードの怪獣に、ナイト、ゴルドバーンと合体してカイゼルグリッドナイトとなって対抗する。山中がダイナセイバーの出力を上げると、ナイトは”カイゼルナイトサーキュラー”を放つ。掲げたカイゼルグリッドナイトの左手首から、何kmにも及びそうな紫色の光輪が延びてゆく。たちまち怪獣を上下に両断する光の輪。

街並みは元に戻りいつもの土手で談笑するガウマ隊の面々。しかし突如画面が切り替わると、そこには半裸で地面に横たわるガウマの姿が。待て、次回。

『SSSS.DYNAZENON(ダイナゼノン)』第10話 解説&注目ポイント

この面白さって、なに?

今回も感動と興奮の大ボリューム回だった。意味深なラストシーンは、実はガウマだけ五千年前に取り残されたままだということなのだろうか? しかしそれでは怪獣を倒せたこと自体が夢で、ガウマ以外の全員もまだ怪獣の夢の中だということになってしまうだろう。あるいはこれからガウマの身に起こることの暗示なのか。

そしてガウマと怪獣優生思想たちとの五千年前のシーンで、シズムはシルエットとしては登場していたものの直接ガウマと戦った訳でもなく、怪獣によって姿を消される直前にも「これでみんな自由になれる」と訳知り顔の台詞を吐いていたことも気になる。果たして今回の怪獣はシズムによって仕組まれたものだったのだろうか? いずれにせよ、やはりシズムだけ他の怪獣使いたちとは能力においても思想においても一線を画しているようだ。前作『SSSS.GRIDMAN』におけるアレクシスのように、『SSSS.DYNAZENON』においてはシズムが黒幕の役割を演じるのだろうか?

それにしても、『SSSS.DYNAZENON』という作品の面白さとは一体何だろうか。

毎回前後不覚に陥らされる程に夢中にさせられてしまうため、なかなかそれを正確に言語化することができずにいる。しかし文章を書く身としておめおめと白旗を上げる訳にもいかないので、今回はさしあたりその演出技法に注目してみたい。

第1話で「私は、どうかしてるんだよ」と夢芽が言った途端に”日常”の安穏は打ち破られ、夢芽自身が謂わば「怪獣」として蓬の世界を壊す。更にそこへ実際に怪獣が現れるという「二重の日常の破壊」が行われた。

この時夢芽が何故蓬との約束を破ったのかは明言されてこなかったが、今回で「自分を定期演奏会に誘いながらもその直前に死んだ姉」に「約束を破られた」と感じていて、その謂わば”呪い”に囚われていたことが分かった。決して、噂になるような”遊び”が原因ではなかったのだ。まだ夢芽と言葉を交わす前から「そんな風に見えないけど」と言っていた蓬の目は確かだったと言える。水門でカノに手を取られた夢芽が「私との約束、破った訳じゃなかったんだ」と言う場面は見事な救済シーンだ。

そして、前回のちせの夢のシーンに引き続き過去の世界を隔てるガラスを打ち破って現実世界へと回帰するシーンには幾原邦彦の演出の影響が見て取れる。このような演出は視覚的に快感であるに留まらず、言語化し得ない心象風景をまさに「イメージ」として視覚化することで言葉にならない感覚にダイレクトにアクセスする、ないしそのような感情を喚起するものであると感じる。

特に夢芽が姉に背中を向けて割れた空間から蓬たちの元へと帰るシーンは感動的だった。片や顔に掛かる建物の陰によって登場人物の心情を表現するような細部のリアリティを突き詰めた繊細な演出をする一方で、このように理を飛び越えた大胆な演出もこなす。そしてそれらによって搔き乱された感情をしかし「泣き」に落ち着ける暇さえ与えずに始まる大怪獣バトル!!

監督の雨宮哲もtriggerの配信で自ら語っていたが、「お子様ランチ」的な”ワンプレート”を志向して演出をしているようだ。お子様ランチではサラダも米もゼリーも隣り合う。一見ミスマッチな取り合わせが、しかし全体として複雑な味わいをもたらす。筆者としては非常に得心した。あらゆるツボを刺激されひたすら「気持ち良い」としか言えないような前後不覚に陥らされ、最早どのツボが押されたのかも自覚できないようなこの「面白さ」の根底には、このような明確な思想とディレクションがあったのだ。

ボイスドラマ【SSSS.DYNAZENON(ダイナゼノン)】第10.01回「怪獣使いとして」

今回もボイスドラマが更新されている。聴くことで本編の解像度が上がること請け合いなので是非チェックされたし。五千年前、本編では観ることの叶わなそうな仲睦まじいガウマと怪獣優生思想の面々との様子が聴ける。

 

アニメ『SSSS.DYNAZENON (ダイナゼノン)』は、TOKYO MXで2021年4月2日(金) 22時より放送中。

『SSSS.DYNAZENON』公式サイト

Amazonプライムビデオをはじめとする各動画サイトでも配信されている。

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放送局と配信サイトの情報はこちらから。

『SSSS.DYNAZENON』のサントラは発売中。

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『SSSS.DYNAZENON』のBlu-rayは予約受付中。

『SSSS.DYNAZENON』第11話のネタバレ解説はこちらの記事で。

第1話のネタバレ解説はこちらの記事で。

第2話のネタバレ解説はこちらの記事で。

第3話のネタバレ解説はこちらの記事で。

第4話のネタバレ解説はこちらの記事で。

第5話のネタバレ解説はこちらの記事で。

第6話のネタバレ解説はこちらの記事で。

第7話のネタバレ解説はこちらの記事で。

第8話のネタバレ解説はこちらの記事で。

第9話のネタバレ解説はこちらの記事で。

腐ってもみかん

普段は自転車で料理を運んで生計を立てる文字通りの自転車操業生活。けれど真の顔は……という冒頭から始まる変身ヒーローになりたい。文学賞獲ったらなれるかな? ラップしたり小説書いたりしてます。文章書くのは得意じゃないけどそれしかできません。明日はどっちだ!
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