第2話ネタバレ感想!『SSSS.DYNAZENON』あらすじ・考察・解説〜“苦悩する主人公”と、戦う理由〜 | VG+ (バゴプラ)

第2話ネタバレ感想!『SSSS.DYNAZENON』あらすじ・考察・解説〜“苦悩する主人公”と、戦う理由〜

©円谷プロ ©2021 TRIGGER・雨宮哲/「DYNAZENON」製作委員会

ダイナゼノン、バトルゴー!!

2021年4月2日(金)よりTVおよびネット配信での放送が開始された『SSSS.DYNAZENON』。円谷プロダクションの実写作品である『電光超人グリッドマン』を原典とする”GRIDMAN UNIVERSE”において、2018年に放送された『SSSS.GRIDMAN』に続く第2弾となる。

『SSSS.DYNAZENON』は前作『SSSS.GRIDMAN』と同じく高校生を中心とした青春群像を描きつつ、主人公の一人である南夢芽を家庭環境に不和がありクラスで孤立する人物として設定、敵方に”怪獣優生思想”というイデオロギーを与えるなど前作よりも濃い”陰”の雰囲気を強く感じる。ここでは早速第2話を振り返ってみたい。

第2話「戦う理由って、なに?」のあらすじ

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託されたダイナゼノン

シャルバンデスを倒して川面に降り立つダイナレックスを追うちせは何かを踏んで立ち止まる。拾い上げるとそれは真珠のような形をしていた。

戦闘を終えたダイナレックスは消え去り、夢芽、蓬、山中、そして”怪獣使い”ガウマの四人が土手に残される。手の平に乗る大きさとなったダイナゼノンを持ち、他の三人に感謝を述べるガウマ。それぞれに各部位を割り当て再び怪獣が現れた際に備えて訓練するように言う。解散して各々が帰路を辿る中、土手に残ったガウマは「ダイナゼノン、お前は怪獣なのか?」と一人呟く。どうやらガウマもダイナゼノンを誰かに託されたようで、その正体についてはよく分かっていないらしい。

訓練開始!

翌朝、教室でクラスメートと昨日の戦闘の様子をスマホで観る蓬。下校時に串カツに誘われるもののバイトを理由に断る。

一方、意外にも夢芽は放課後鳴衣と遊んだ後で土手へと向かう。そこには既にガウマ、山中、ちせの三人が居た。

その夜、蓬が湯船に浸かっていると突如扉を開けてガウマが入ってくる。バイトで訓練に行けなかったことを伝える蓬。そのままガウマは蓬の家に一泊する。

同じ頃、夢芽は湯船に浸かりながら約束をすっぽかしたことを蓬に謝罪すべきか悩んでいた。

戦いの傷跡

さらに翌朝、放課後蓬を呼び出す夢芽。練習で少し使えるようになった、と与えられた”おもちゃ”をかざして「アクセスモード、ダイナウィング!」と叫ぶ。すると巨大な戦闘機が現れる。蓬くんも、と促されて蓬もリュックから恐竜型の”おもちゃ”を取り出して「アクセスモード、ダイナソルジャー」と戸惑い気味に声に出すと巨大な恐竜型ロボットが現れた。その背中に合体する夢芽のダイナウィング。夢芽の操縦で空を飛びどこかへと向かう途中、夢芽は蓬に約束を破ったことを謝る。怒るタイミングを逃したと言って許す蓬。二人が辿り着いたのは先日の怪獣との戦いで破壊された街だった。蓬はその惨状に唖然とする。自分たちが戦った所為かと自問する蓬に「でも戦わなかったら、もっと酷いことになってたと思う」と答える夢芽。託された力の大きさに困惑する蓬と対照的に、夢芽は早くもその責任を自らのものとして引き受けつつあった。

フジヨキ台駅へと向かう帰りの電車の中で、夢芽は小学生の頃に姉を事故で亡くしたことを打ち明ける。駅に着き、改札を出たところで蓬はまたもバイトで訓練には出られないと夢芽に告げて別れる。

謎の四人組

河原に集う人々がスマホを向ける先には、橋脚にしがみつく毒々しい色をした怪獣が。その様子を後ろから眺める謎の四人組。何やら彼らは怪獣の秘密を知っているらしい。中の一人、ジュウガが右腕を突き出し、親指から中指、薬指と小指をくっ付け、間にできた隙間から怪獣を見詰め「インスタンス・ドミネーション!」と叫ぶと怪獣は巨大化する。

怪獣出現!! どうする蓬?!

ちせから怪獣の出現を知らされたガウマは即座に訓練を中止し、夢芽に蓬に連絡を取らせる。バイト先へと向かう途中の蓬をダイナウィングで回収し、四人はダイナゼノンで怪獣に立ちはだかる。しかしワープを繰り返して攻撃を躱す怪獣に為す術のないダイナゼノン。ガウマは四機を分離させ、他の三機に自分の待機している場所まで怪獣を追い込むように命じる。夢芽、山中が即座にその指示に従って動く中、訓練に参加していない蓬は立ちすくむことしかできない。果敢に戦う二人を後目にただ腕を振り回すことしかできないダイナソルジャー。更にそこへバイトリーダーからの電話が。蓬は日常と非日常の両面で追い詰められる……

“ダイナソルジャー・ウィングコンバイン”誕生!!

偶然目の前にワープしてきた怪獣を蓬は一瞬掴みかけるものの、またも怪獣はワープしてしまう。胸と背中から光線を放ち街を破壊する怪獣を見て蓬は自責の念に駆られる。そんな蓬に山中は「多分、羽根だよ」とアドバイスする。怪獣はワープする前に羽根を拡げていたのだ!

羽根を拡げさせないように掴もうとする蓬に夢芽が助力を申し出る。前に二人で一度だけ練習したようにダイナウィングをダイナソルジャーに合体させる。“ダイナソルジャー・ウィングコンバイン”の誕生だ!!

機動力を得た蓬は覚悟を決め、「守れるものは、守る!」と叫んで怪獣へと突っ込む。見事ダイナソルジャーの爪が怪獣の羽根を掴むと、夢芽はダイナウィングの出力を最大にして空へと上昇する。ダイナソルジャーが放り投げた怪獣に向けて無数のミサイルを撃ち込むガウマ。怪獣は大破爆散し川面に降り立つダイナソルジャー。足を引っ張ったと詫びる蓬に対して「そかな」と答える夢芽。戦いの余韻に浸る間もなく、四人の前に現れたのは”怪獣優生思想”を持つ怪獣使いたち。待て次回。

『SSSS.DYNAZENON』第2話「戦う理由って、なに?」 解説&注目ポイント

第2話のあらすじをざっと振り返ってみた。ここからは筆者の注目ポイントを述べていきたい。

フジヨキ台駅

改めて気になるのは前作『SSSS.GRIDMAN』との繋がりだ。『SSSS.GRIDMAN』では舞台は新条アカネの作った架空世界だった。ということは『SSSS.DYNAZENON』も・・・? と思いきや、蓬と夢芽が別れたフジヨキ台駅の外観は『SSSS.GRIDMAN』に出てきたツツジ台駅とそっくりだ。違うのはほぼ名前だけと言っていいが、しかし名前は違うのである。この違いが意味するところとは。

「インスタンス・ドミネーション」

“怪獣使い”の一人ジュウガが怪獣を巨大化させる際に取ったポーズは第1話でガウマが怪獣を発見した時に取ったポーズと同じものだ。怪獣使いはあのポーズを取ることで怪獣をコントロールできるのだろうか? ジュウガが叫んだ「インスタンス・ドミネーション」という台詞も気になる。『SSSS.GRIDMAN』において新条アカネが作り出した怪獣フィギュアを実体化させる際にボスキャラであるアレクシスが叫んでいたのが「インスタンス・アブリアクション」という台詞だ。前作との繋がりを感じさせつつも微妙に異なる台詞。この二つの世界はパラレルワールドなのだろうか、それとも?

苦悩する主人公

そして筆者が『SSSS.DYNAZENON』において見出した『SSSS.GRIDMAN』との最大の違いは、主人公が苦悩することだ。『SSSS.GRIDMAN』の主人公である響裕太は、記憶喪失であるにもかかわらず第1話で呼び掛けられるままにグリッドマンと合体して怪獣と戦った。それ以降も特に躊躇う様子も見せずに怪獣と戦い、街を救った。しかし私はその描写にどうしても違和感を抱かざるを得なかった。それは私が『機動戦士ガンダム』や『新世紀エヴァンゲリオン』といった”苦悩する主人公”の物語を観て育ってきたからかも知れない。勿論”変身ヒーロー”ものである以上は主人公は敵と戦わざるを得ない。とは言え戦う以上それは命懸けな訳で、主人公と言えどノーリスクで勝てる訳ではない。

視聴者は最終的には主人公が勝つことを確信しながら観ているが、少なくとも劇中の主人公は自らが主人公であることを知らない。彼や彼女はむしろ画面のこちら側でその戦いを見守る私たちと同じ目線で戦っているのだ。そうであるなら、そこには当然戸惑いや躊躇いが描かれて然るべきだ。いくら”世界を守るため”にと言われたって、そもそも自分自身が生きる世界や人生そのものに対して主観的な愛着を感じていなければ、外から押し付けられる”正しさ”のためだけに命を懸けて戦うことなど普通の人間には無理だろう。

そして『機動戦士ガンダム』においても『新世紀エヴァンゲリオン』においても、それから『SSSS.GRIDMAN』においても主人公は特に戦いの訓練を積んだ訳ではない”普通の人間”だった。戦いの中で才能に開花し、あるいは出自の謎が明かされることによって事後的に主人公の”強さ”が合理化されることはあっても、少なくとも物語開始当初の彼らの立ち位置は我々と同じ筈だ。その中で何故響裕太だけが悩まなかったのか。戦わざるを得ない現実、その中で自らが命を落とすかも知れない可能性を、ああも易々と引き受けることができたのか。

メタ的には、これは原典である実写版の『電光超人グリッドマン』がそうであったように『ウルトラマン』に対するオマージュと見ることもできるだろう。『ウルトラマン』においてウルトラマンに変身して怪獣と死闘を演じるハヤタ・シンはその戦いに躊躇いを見せない。しかしそれは、ハヤタ・シンがウルトラマンと出会う以前から科学特捜隊という一種の軍事組織に所属する謂わば職業軍人であったためだ。元よりそれを目指し、そのために訓練を積んだ者であるならば、戦闘機に乗って戦おうがウルトラマンに変身して戦おうがそこに本質的な差異は見出されないだろう。

けれど響裕太は違う。何の戦闘訓練も受けていない高校生だ。にもかかわらず戦いに躊躇いを見せなかったこと、何より実際の戦闘においてそれほど苦戦することなく怪獣を退けられたことに対して、正直なところもう少し踏み込んだ描写が欲しいという気持ちはあった。

その消化不良感を、『SSSS.DYNAZENON』は見事に解消してくれた。やはり制作陣としても自覚的だったのだろうか。響裕太と違い、麻中蓬は自らが戦う意味を最初から自明のものとしては引き受けていない。自分はただ巻き込まれてコクピットに座っていただけで操縦には関与しなかったダイナゼノンと怪獣との戦いによって破壊された街の惨状を見て自責の念に駆られつつ、その望んだ訳でなく与えられた力を早々に手放そうとする。「これから、俺たちが戦わなきゃいけないのかな?」と国や行政に力を委ねるべきではないかと問う蓬に対して、しかし夢芽は「ルールばっかり守ってたら、守れないものもあるかもよ」と答える。第1話で蓬を含む複数の男子生徒を呼び出しては約束をすっぽかすという”どうかしてる”無責任さを見せ付けた夢芽はけれど、意外にも怪獣との戦いにおいては前向きな態度を示す。ガウマの呼び掛けた訓練にバイトを理由に二回も欠席した蓬と対照的に夢芽は皆勤だ。その成果としてダイナウィングの操縦もそれなりにこなせるようになった。そんな夢芽の助けを借りて、再び現れた怪獣を前に与えられたダイナソルジャーの力を発揮できないでいた蓬も覚悟を決め「守れるものは、守る!」と叫んで自らの意志で戦うようになる。

このような“成長”をきちんと描くことは、ドラマにご都合主義ではない奥行きやキャラクターに書割ではない立体感を与える。これからこの物語が彼らをどのような結末へと導くのかを楽しみに観ていきたい。

余談だが、ともにダイナゼノンのパイロットである「麻中蓬」と「山中暦」の名前は韻を踏んでいる。これは果たして伏線なのだろうか。それとも単なる遊び心? いずれにしても偶然ではないだろう…

アニメ『SSSS.DYNAZENON』は、TOKYO MXで2021年4月2日(金) 22時より放送中。

『SSSS.DYNAZENON』公式サイト

Amazonプライムビデオをはじめとする各動画サイトでも配信されている。

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放送局と配信サイトの情報はこちらから。

 

『SSSS.DYNAZENON』のBlu-rayは予約受付中。

 

『SSSS.DYNAZENON』第3話のネタバレ解説はこちらの記事で。

『SSSS.DYNAZENON』第1話のネタバレ解説はこちらの記事で。

腐ってもみかん

普段は自転車で料理を運んで生計を立てる文字通りの自転車操業生活。けれど真の顔は……という冒頭から始まる変身ヒーローになりたい。文学賞獲ったらなれるかな? ラップしたり小説書いたりしてます。文章書くのは得意じゃないけどそれしかできません。明日はどっちだ!
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