ネタバレ解説『バッド・バッチ』シーズン2第7話 クローンの権利と徴兵制 あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『バッド・バッチ』シーズン2第7話 クローンの権利と徴兵制 あらすじ&考察

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『バッド・バッチ』シーズン2第7話はどうなった?

『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』は2020年に配信を開始した「スター・ウォーズ」シリーズのディズニープラスオリジナルアニメ。2022年1月よりシーズン2が配信されている。シーズン1と同じく全16話で構成される『バッド・バッチ』シーズン2は、第7話と第8話が同時配信される。第15話と最終話の第16話も同時配信を予定しており、第7話&第8話でシーズンの折り返しを迎えることになる。

2023年3月1日(水)からはドラマ『マンダロリアン』シーズン3の配信も控える中、『バッド・バッチ』はどんな展開を見せたのだろうか。まずはシーズン2第7話をネタバレありで解説していく。

以下の内容はネタバレを含むため、必ずディズニープラスで本編を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン2第7話の内容に関するネタバレを含みます。

シーズン2第7話「クローン謀議」あらすじ&ネタバレ解説

動くクローン兵

『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン2第6話では、ジェダイのグンジーが登場。バッド・バッチは久しぶりに帝国を敵に回した人助けに取り組むことになった。レースをしたり宝探しをしたりと、寄り道が多めだったシーズン2だが、ここに来て物語が本筋に戻る雰囲気を醸し出して折り返しの2話同時配信に至っている。

シーズン2第7話のタイトルは「クローン謀議 (Clone Conspiracy)」。何やら不穏なタイトルだが、いつもよりシネマティックな雰囲気の漂う第7話は、クローン兵のスリップケイドによる密会から始まる。舞台は帝国の首都コルサントだ。

スリップとケイドは『バッド・バッチ』シーズン1最終話で描かれた帝国によるカミーノ殲滅作戦に参加していたメンバーらしく、ケイドは故郷を破壊した自責の念にかられていた。スリップはこの虐殺を「命令に従っただけ」と言うが、それはユダヤ人虐殺を指揮したナチスドイツのアドルフ・アイヒマンと同じ言い分だ。

クローン兵にクローンの故郷である惑星カミーノを破壊させるという陰湿で残虐な作戦を指揮したランパート中将。シーズン1ではチェーンコードの導入や人間のエリート部隊を養成するウォー・マントル計画を進めた。帝国軍で若くして重要任務を遂行していくランパートに、スリップはカミーノを破壊した報いを受けさせようとしていた。

ランパートはカミーノが嵐で壊滅したと報告していたが、ケイドはこの嘘をバラすつもりでいた。スリップはそれを止めようとするが、ケイドは何者かに暗殺されてしまい、スリップも追われる身に。シーズン2第7話と第8話は、カミーノを壊滅に追いやったランパート中将とクローン達の密かな戦いが描かれる。

白熱の議会、議員の顔ぶれは?

議会では、ランパートが提出した徴兵法案の審議がなされていた。クローンの製造拠点であるカミーノが壊滅したため、人間の徴兵を導入しようというのが帝国の思惑だ。

この提案は元々ランパートのものではない。シーズン1第1話ではターキン提督が「徴兵の実施で費用は半減する」と、クローン兵から人間の徴兵に切り替えていくと発言していた。銀行グループ代表は「人民からなる人民のための軍隊」と、米国の元大統領リンカーンの「人民の人民による人民のための政治」をもじったスローガンで徴兵導入を推進しようとしている。

これに反論したのはティンラ・パムロ議員。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016) に登場した人物であり、後に反乱同盟軍に加わる議員の一人だ。ドラマ『キャシアン・アンドー』(2022-) シーズン2での登場もあるかもしれない。ティンラ・パムロはこれまでも徴兵法案が棚上げになっていることを指摘しているが、『バッド・バッチ』シーズン2第3話では「また徴兵法案が出されるらしい」というクローン・トルーパーの会話が登場している。

新たな軍の創設には巨額のコストがかかる、戦争は終わったと主張するパムロ議員だが、皇帝よりの議員は反乱勢力の存在を理由に新たな軍隊の創設を叫ぶ。そして、ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』(2022) にも登場したレイア・オーガナの育ての父ベイル・オーガナ議員は、そもそもクローン軍を創設した意義に反するとスピーチ。肝心のパルパティーン皇帝が不在であることも指摘する。

パルパティーンを庇ったのは帝国元老院副議長のマス・アミダ。マス・アミダは共和国時代から元老院の副議長を務めており、パルパティーンの正体がシスであることを知る数少ない人物の一人だった。

この議論における当事者の不在を訴えたのはライヨ・チューチー議員。『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020) に登場した人物で、同作では「リヨ・チューチー」の表記だったが、『バッド・バッチ』からは「ライヨ」の表記に変更されたようだ。ライヨ・チューチーはパントラ出身の貴重な善意の議員の一人で、『クローン・ウォーズ』では疑惑をかけられたアソーカ・タノをかばい、主役級の活躍を見せることもあった。

『バッド・バッチ』シーズン2第7話では、チューチー議員はマイノリティであり議会に代議士を持たないクローンの代弁者として活躍を見せる。議員は世界のために戦い、退役軍人になるクローン・トルーパーへの報いが先に議論されるべきと主張するが、ランパートは対話を受け入れることを表明。政治力は人一倍ある。

ライヨ・チューチーの尽力

結局、オーガナ議員とパムロ議員の力で法案の採択は延期されるが、ランパートは自信を崩さない。支援策ごと法案を通して、後から支援策は骨抜きにしてしまえばいいと考えていた。与党の人間らしい考え方だ。

一方のライヨ・チューチーは、クローン・トルーパー達の話を聞きに行っていた。兵隊でいたいと話すクローン兵だったが、チューチー議員は老後のことを考えるべきと諭す。クローン兵はそんなことを想定した訓練は受けていないと反論するが、チューチーは自分の頭で考える時期が来ていることを伝え、人々のために戦ったクローン達のために、今度は自分が戦うと表明して信頼を得るのだった。

チューチーは退役兵への年金プランも提示しており、この後の銀河で役目を終えたクローン達が平和な余生を過ごすことに貢献したと考えられる。この展開は、米国においてしばしば帰還兵へのケアが不十分であるという批判が起きる現実を思い出させる。

「当然の権利」と言いクローンの側に立つチューチー議員に声をかけたのは、個体番号「CT-0409」のスリップ。惑星カミーノが嵐ではなくランパートの命令で壊滅させられたことを明かし、告発しようとした仲間達が消されていると告げる。そして、スリップは何者かに連絡をとりコルサントを脱出しようとしていた。

ランパートは何百万ものクローン兵に補償を出すことに不平を言うが、それでも「彼らに対して報いねば」とあっさり提案を受け入れる。徴兵法案の通過が最大の目的なのだ。カミーノでの犠牲に対して「前に進まねば」と言うランパートに、チューチーは「一部の人々にはそう簡単ではない」と、故郷を失ったクローン達の思いを代弁する。自分が被害を受けた当事者でなくても、誰かのために声をあげられる政治家は強い。

影で支えるベイル・オーガナ

この後、チューチー議員が歩く横をフル装備のクローン・トルーパー達が行進していくが、そのアーマーはどこか薄汚れているように見える。夕暮れの背景も手伝って、去りゆくクローン兵たちの寂しい姿が映し出されている。暗号通信で連絡を受けたチューチー議員は秘密裏にオーガナ議員と合流。チューチーはこの日の議会での騒ぎについて、「座視・無関心・無視」では騒ぎにならず、正論を言うと騒ぎになる状況に憤っていた。正論である。

オーガナ議員はパルパティーンが銀河の各地で起こる反乱を恐れていることを指摘。「反体制運動が銀河に広まればよいが」と期待感を隠さない。水害に強いカミーノが都合よく滅び、軍の新設に利用されている状況を疑うオーガナに、チューチーはスリップからの情報を共有。約10年後を舞台にした『オビ=ワン・ケノービ』ではオビ=ワンを助けたベイル・オーガナが、常に反体制の側に立っていたことが分かるシーンだ。

カミーノの一件について嗅ぎつけた様子のチューチー議員に危機感を抱いたランパートは、スリップとチューチーの暗殺を指示。コルサントを脱出しようとするスリップを発見したチューチーは、スリップに元老院での証言を要請するが、スリップは怯え切っていて応じない。そしてスリップは艦に証拠となる記録が残っていると告げたところで暗殺者に撃たれてしまうのだった。

現れたのは…

チューチーを執拗に追う暗殺者だったが、そこに現れたのはキャプテン・レックスだった。スリップはレックスの助けを借りてコルサントを脱出しようとしていたのだ。かつてのクローン・キャプテンであるレックスは、現在、クローン達を助ける立場にあり、シーズン1第7話ではバッド・バッチに反体制活動への参加を呼びかけている。

レックスが暗殺者のマスクを取ると、その正体はクローンだった。だが、レックスはこのクローンはクローン“兵”ではないと発言する。識別番号が振られたトルーパーではないということは、別ルートでクローンが生み出されているということだろうか。

レックスは、このクローンをマルテス家のガレージで尋問する。マルテス家のガレージは『クローン・ウォーズ』シーズン7に登場した場所。『バッド・バッチ』シーズン1第6話では、トレース・マルテスとラファ・マルテスが登場し、レックスと連絡をとっている。

暗殺者は自身を「信じる者 (a believer)」と言い、口を割らず自死してしまう。謎の忠誠心を持つクローンが登場し、不穏な空気のまま結末はシーズン2第8話へと持ち越しとなる。

『バッド・バッチ』シーズン2第7話 考察&感想

クローンの謎とパルパティーンの動き

明らかにいつもとは違うシネマティックな作りになっていた『バッド・バッチ』シーズン2第7話。シーズン2第3話に続き、バッド・バッチメンバーが登場しない回となり、『クローン・ウォーズ』のような群像劇としての魅力が光る回になった。

最後には予想通りレックスが登場し、帝国から逃げようとするクローン兵を助けようとする姿を見せた。シーズン2第3話ではコーディが軍を無断離隊したが、この時もレックスの助けがあったのだろうか。

クローンといえば、最後に登場したクローンの正体が気になるところ。レックスはこのクローンにはなんの印も入っていないことを指摘していた。『バッド・バッチ』シーズン1の終盤では、ランパート中将がカミーノの科学者ナラ・セを連れ出しており、「重要な計画 (a big plan)」を任されている。帝国は、人間味のあるクローンではなく、ロボットのように忠実なクローンを作り出すことに成功したのだろうか。

また、パルパティーンが議会に姿を現していないと指摘された場面も気になる。上記のようにクローン技術を手中に収めた帝国は、パルパティーンのクローン製造計画を進めていたのではないだろうか。パルパティーンがしばらく人前に出なかった理由もそこにあるのかもしれない。

クローンの権利

チューチー議員がクローンの権利を主張した展開も、「スター・ウォーズ」シリーズにおいては転換点になる。クローンの権利については『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018) などでも扱われたテーマで、やはり出自にかかわらず今生きている命を大切にするというのが一つの答えになるだろう。

この後の時代を舞台にした「スター・ウォーズ」シリーズでは、ほとんどクローンの登場はないが、それは一方でクローン達が平穏に余生を暮らしたと捉えることもできる。アソーカ・タノと共闘したチューチーがその権利保護を進めたという点も納得の展開である。

徴兵制はコスト増?

もう一つ、議会での議論で気になったのは新たな軍隊創設に巨額の費用がかかるという指摘だ。シーズン1では徴兵制の導入はコストカットのためと言われていたが、シーズン2では一転して徴兵による軍新設にはコストがかかるという指摘を受けている。

おそらくこれは立場によって受け止め方が異なるのだろう。カミーノでのクローン生産を継続するのであれば、帝国はカミーノに外注費の支払いを続けなければならない。だが、自前で徴兵するのであれば、議会からつけられた予算(税金)はそのまま帝国軍部に入ることになる。帝国軍以外の人間から見ればコストがかかることに変わりはないが、帝国軍からすれば、予算が外注費として軍を経由してカミーノに流れてしまうのと、直接自分たちのポケットに入るのとでは雲泥の違いがある。

真相は不明だが、議会での議論をたっぷり見せてもらえると、様々な考察ができるようになる。『クローン・ウォーズ』のような群像劇スタイルはやはり面白い。

今回の事件はどんな結末を迎えるのか、同時配信されたシーズン2第8話の解説はこちらから。

アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン2はDisney+で独占配信中。

『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』(Disney+)

シーズン2第8話のネタバレ解説はこちらから。

第1話のネタバレ解説はこちらから。

第2話のネタバレ解説はこちらから。

第3話のネタバレ解説はこちらから。

第4話のネタバレ解説はこちらから。

第5話のネタバレ解説はこちらから。

第6話のネタバレ解説はこちらから。

 

シーズン1を振り返りながら考えるハンターの行動原理と、『バッド・バッチ』の魅力についての解説はこちらから。

シーズン1ラストの解説はこちらの記事で。

シーズン1で明かされたクローン兵廃止の理由はこちらから。

 

ドラマ『マンダロリアン』シーズン3は2023年3月1日より配信開始。本予告の解説&考察はこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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