アニメ『ダンジョン飯』第2話 感想&考察 栄養バランスと責任感 ネタバレ解説 | VG+ (バゴプラ)

アニメ『ダンジョン飯』第2話 感想&考察 栄養バランスと責任感 ネタバレ解説

©九井諒子・KADOKAWA刊/「ダンジョン飯」製作委員会

キャラクターの掘り下げが進む第2話

漫画連載開始から9年半が経ち、ファン待望のアニメ化がなされた九井諒子原作『ダンジョン飯』。『ダンジョン飯』は垂涎のグルメ描写から本格派ファンタジーとバトル、精緻な魔物の生態などがファンの心を掴んで離さない。そのようなTRIGGER制作のアニメ『ダンジョン飯』第2話「ローストバジリスク/オムレツ/かき揚げ」が2024年1月11日より放送と配信が開始された。

本記事ではアニメ『ダンジョン飯』第2話「ローストバジリスク/オムレツ/かき揚げ」の解説と考察、感想を述べていこう。なお、本記事ではアニメ『ダンジョン飯』第2話「ローストバジリスク/オムレツ/かき揚げ」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『ダンジョン飯』の内容に関するネタバレを含みます。

各々の役割と信頼の形

栄養バランス

悪夢で目が覚めるマルシル。この悪夢の中のマルシルの母親の耳とマルシルの耳を比較してみると、マルシルの方が丸みを帯びた耳をしていることがわかる。このようなキャラクターデザインの違いも『ダンジョン飯』では大きなカギを握る注目ポイントだと考察できる。

ここでセンシが他のパーティーの食事の栄養バランスに対して苦言を呈し、その問題点を解説しているが、現実の冒険者でも栄養バランスの偏りは問題視された。その代表例が壊血病である。壊血病は主にビタミンC不足で引き起こされる病気で、脚気などと共に冒険や交易に出る船乗りたちを苦しめた。その原因こそ、保存食にビタミンCが含まれていないことだったのだ。

そのような栄養バランスの偏りによる壊血病などを克服した英雄として名前が挙がるのが、イギリスの海洋探検家ジェームズ・クック船長だ。ジェームズ・クック船長は陸に上がるたびに新鮮な野菜や魚、肉を手に入れ栄養バランスなど衛生面の改善を試みた。

だが、それでも栄養バランスの偏りは解決されきれず、栄養バランスの真の重要性に気づいたのは1795年のイギリス海軍ギルバート・ブレイン卿で、彼は乗組員に柑橘類を配った。これはジェームズ・クック船長没後から16年後のことだった。その点ではセンシは魔物食の研究家というだけあって先進的な考えの持ち主と考察できる。また、卵を完全栄養食とセンシは評しているが、卵はビタミンCと食物繊維以外すべて摂取できる食べ物だ。

小さな王

ここでセンシとライオスが動物性脂質と卵を摂取すべく、狩ろうとするのがバジリスクだ。バジリスクはギリシャ語で小さな王を意味する怪物だ。その歴史は古く、古代ローマの学者である大プリニウス著『博物誌』(77)に記録が残されている。そこではリビアの東部地方に出現する蛇の一種で、体長約24cmとされている。

これだけ聞くとライオスの語る「胴は鶏、尾は蛇」という解説と食い違っているように感じられる。実際、バジリスクはキングコブラやインドコブラのことを指していると言われているが、伝聞されていく過程で5世紀頃には「王冠の模様を持つ」という部分が「鶏冠を持つ」に変化していた。

更に変化は続き、9世紀初頭には完全に蛇の尾を持つ鶏の姿として描かれるようになった。『ダンジョン飯』では9世紀初頭のものを採用していると考察できる。バジリスクの伝承には雄鶏が産んだ卵を蟇蛙が温めると生まれるというものもあり、これで更なる鶏化が進行したとされる。『ダンジョン飯』はウィリアム・シェイクスピア著『十二夜』で言及され、バジリスクと同一視されるコカトリスも含めて尾蛇類と総称しているのが面白い。

鶏というと現代では筋トレやダイエットの食事に最適な高たんぱく低脂質なものの代表格であるが、昔は獣肉であり動物性脂質を多く含んでいるものとして扱われていた。日本でもその考えは存在しており、藤沢周平原作、山田洋二監督作品の映画『隠し剣 鬼の爪』(2004)では看病の際に精の着くものとして鶏を食べさせようとするも、病人に脂っこいものを出すなと叱られる場面が描かれている。

ここでバジリスクの腹に詰めた香草についてコミックでは詳しく解説されており、薬草、良い薬草、火傷草、毒消し草、石化消し草、麻痺消し草、魔力草の7種類である。ライオスとチルチャックは「塗り薬を食べて効果はでるのか」と疑問視していることが描かれている。

なお、漫画『ダンジョン飯』では、バジリスクにマルシルは襲われない。マルシルが襲われ、自身がお荷物ではないかと劣等感を抱く演出は、アニメ『ダンジョン飯』第1話「水炊き/タルト」で描かれた人食い植物を魔法で爆破しようとしたマルシルの責任感の強さに通じるものになっていると考察できる。

また、センシとライオスの咄嗟のコンビネーションの描かれ方は素晴らしく、両者が冒険者としては上澄みの上級者であることを視聴者に伝えるものだと考察できる。なお、ライオスが救ったパーティーは後日人食い植物にやられて全滅している。

マルシルなりの責任

ダンジョンの深層へと進むため、備蓄の野菜を取りに行くライオス一行。ここで野菜代わりの薬草として登場するのがマンドレイクだ。マンドレイクは抜くと叫び声をあげる伝承のある植物で、絞首刑の男から垂れる精液から生えてくる伝承も残っている。しかし、現実のマンドレイクは叫び声をあげることはない。それどころか叫び声を聞き錯乱するのではなく、マンドレイクに含まれる数種のアルカロイドによって幻覚や幻聴を引き起こす。

ここでも、マルシルなりの責任感は描かれており、親友であるファリン救出のために自分も貢献したいという思いが読み取れる。マルシルは体力的に他のメンバーより劣っており、それを知識で補おうとしたことが考察できる。エンディングイラストでもマルシルが息切れしている場面が描かれている。

ここでバジリスクは蛇の方が頭であることが明かされるが、漫画『ダンジョン飯』ではドラーフ博士という人物がバジリスクを中間で切ってみたところ、鶏の方は死んだが蛇の方が生き延びたと解説されている。また、切断した蛇の部分はバジリスクのテールスープやバジリスク酒として用いられることが『九井諒子ラクガキ「デイドリーム・アワー」』で解説されている。

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この実験は大変な論争を呼んだらしく、バジリスクは臓器が蛇側に集中しているが、境目はどこかが論点となったことがコミック巻末の「モンスターよもやま話」で解説されている。他にも、「モンスターよもやま話」では野生のマンドレイクは人型になりにくく、品評会も存在していることが解説されている。

植物油

チルチャックは解錠や罠解除については上級者であり、壁を叩いた音で罠の位置を確認できるほどの実力の持ち主だ。これはチルチャックの種族であるハーフフットだからできる芸当でもあり、『ダンジョン飯』ではハーフフットは聴覚などの感覚が鋭いという設定になっている。

また、センシが植物油の可能性が高いと考察しているが、現実のオリーブ・オイルといった植物油は薬品や石鹸などにも用いられている。日本でも古くから食用と薬品などの役割として椿の種から取った椿油が用いられてきた。このようなリアリティが『ダンジョン飯』の魅力だろう。この場面で熱した油に指が入っても平気なセンシが描かれるが、これはドワーフだからというわけではなく、現実の天ぷら屋などの料理人でも見られる姿だ。

こうして各々が持つ役割や責任感が描かれ、センシと即興で組まれたライオスのパーティーだったが、マルシル、チルチャック、センシたちがお互いに心を開きはじめている様子が描かれていると考察できる。その信頼の形が得意分野を相手に任せるということであり、それをファンタジーの専門職として信頼を描くのも『ダンジョン飯』の魅力だと考察できる。

本日のレシピ

ローストバジリスク

1.バジリスクの蛇の部分と足を切り落とす。

2.軽く湯がいて羽毛をむしる。

3.バジリスクの内臓を取り、香辛料をすり込む。

4.すごい薬草、良い薬草、火傷草、毒消し草、石化消し草、麻痺消し草、魔力草をみじん切りにして腹に詰め、切り口を縛る。

5.じっくりローストする。

オムレツ

1.マンドレイクをみじん切りにする。

2.バジリスクのベーコンの油でマンドレイクを炒める。

3.バジリスクの卵でマンドレイクを閉じ、ふっくらとさせる。

大蝙蝠天

1.大蝙蝠はぶつ切り、皮を厚めに剥ぐ。

2.軽く切れ目を入れ、調味料をもみ込む。

3.少し寝かせる。

4.水とバジリスクの卵を混ぜる。

5.小麦粉をふるい入れ、だまにならないように混ぜる。

6.大蝙蝠の肉を衣の生地に絡める

7.オリーブオイルできつね色になるまで揚げる。

マンドレイクのかき揚げ

1.マンドレイクの手足を切る。

2.胴体部はしっかりと、手足はこそぐ程度に皮をむく。

3.マンドレイクの葉の部分をざく切りに、根は短冊切りにする。

4.水とバジリスクの卵を混ぜる。

5.小麦粉をふるい入れ、だまにならないように混ぜる。

6.切ったマンドレイクを衣の生地に入れる。

7.マンドレイクを掬い、熱したオリーブオイルに入れる。

8.崩れない程度になったらひっくり返す。

9.きつね色になるまで揚げる。

第2話の感想と第1巻も後半戦となる第3話

漫画『ダンジョン飯』の第1巻も3分の2まで描かれたアニメ『ダンジョン飯』。魔物食へのこだわりや、世界観を描いた第1話「水炊き/タルト」とは異なり、ライオスやセンシだけではなく、マルシルやチルチャックなど各々が持つ責任感が描かれている。アニメオリジナルの演出もそれを強調させていると考察できる。

製作しているTRIGGERの手腕によって、キャラクターの掘り下げや実力が際立った第2話「ローストバジリスク/オムレツ/かき揚げ」。第3話では先行上映で公開された最後のエピソードである「動く鎧」が描かれることになる。第1巻も後半戦になったアニメ『ダンジョン飯』に注目していきたい。

アニメ『ダンジョン飯』第2話「ローストバジリスク/オムレツ/かき揚げ」は2024年1月11日より放送と配信が開始。

『ダンジョン飯』公式サイト

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アニメ『ダンジョン飯』第1話「水炊き/タルト」のネタバレ感想と考察はこちらから。

アニメ『ダンジョン飯』第3話「動く鎧」のネタバレ感想と考察はこちらから。

アニメ版『ダンジョン飯』のオープニングのBUMP OF CHICKENの新曲「Sleep Walking Orchestra」と主要キャストはこちらから。

アニメ版『ダンジョン飯』のエンディングの緑黄色社会の新曲「Party!!」と追加キャストはこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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