『バッド・バッチ』シーズン2第5話はどうなった?
アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』は2023年1月4日(水)よりシーズン2の配信をスタート。あっという間に全16話の内の第5話に突入する。オーダー66の影響を受けなかったエリート部隊のバッド・バッチは、帝国軍を離れて特別なクローンの少女オメガと共に銀河を旅している。今回はどんな冒険が待っていたのだろうか。第5話もネタバレありで解説していく。
以下の内容は、アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン2第5話の内容に関するネタバレを含みます。
第5話「埋もれた秘宝」あらすじ&ネタバレ解説
第5話はトレジャーハンター回
第4話ではバッド・バッチに仕事を持ってくるシドの暗い過去に触れられたが、第5話「埋もれた宝」では、シーズン2第1話でシドが「信頼できる」としていた海賊のフィーとの物語が描かれる。ガラクタの山からある座標を指す座標マーキングを見つける。これがコンパスの役割を果たしており、今回のバッド・バッチは宝探しに出かけることになる。
フィーの方は嘘か本当か分からない過去の武勇伝を語っている。フィーが並べるのは「オクトモーフ」や「ノヴァクの大真珠」「ザカタ・パーの剣」など、聞いたことのない固有名詞ばかり。コンパスが指すカルダー三重星系というのもフィーのハッタリなのかどうか判断がつかない。
それでも、任務がないハンターはオメガがノリノリなこともあり、フィーとそのドロイドのメルと共にコンパスが指す惑星へ。一行は山の中に隠されていた秘密の入口を潜ると、その中に100年以上前の食刻(エッチング)を見つける。食刻とは薬品などの腐食作用を利用した彫刻のことだ。
「スター・ウォーズ」フランチャイズでは、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999) の100年前を舞台にした異色のドラマ『アコライト(原題)』の制作が進んでいる。もしかすると『バッド・バッチ』シーズン2第5話のこの場所に関わる展開も見られるかもしれない。
だが、フィーはこの場所がジェダイよりも古い“スカラ・ナル”という伝説につながると主張し、“山のハート”を解放すると言う。第5話は音楽がやけに大袈裟だが、伝統的なトレジャーハンター映画っぽい展開になっており、罠に引っかかり、パズルを解いて、一行は宝探しを続ける。
古代銀河への言及
テクは鉱物の分析を進めた結果、石板が共和国以前のものである可能性が出てきたという。共和国以前というのは、25,000年以上前の“前共和国時代”ということになる。シスはこの時代に生まれている。ドラマ『キャシアン・アンドー』(2022-) では、この時代に存在したラカタン無限帝国にも言及されている。ルーセンがブルー・カイバーをキャシアンに渡す時に、それがラカタンの侵略者への蜂起を祝うものだと説明するのだ。
ここにきて「スター・ウォーズ」では正史の作品で古代への言及が増えてきたように思える。2020年からはジェダイ全盛期である『エピソード1』の200年前を描く「スター・ウォーズ ハイ・リパブリック」も小説とコミックで展開されている。『アコライト』も含め、正史においてはかなり余白がある「スカイウォーカー・サーガ」より過去のストーリーを掘り下げる方針があるのかもしれない。
眠っていたのは意外なもの
突如現れた怪物と落石により、オメガ、フィー、ハンターはレッカー、テク、エコーとはぐれてしまう。チームがはぐれて落とし穴にハマってパズルを解いて……という王道の展開を経て、ダンジョン深部に眠っていた山のハートに辿り着いた一行。だがやはり財宝を台座から外したところで罠が起動する。
ここまではテンプレ的な展開だったが、面白いのはここから。山全体が「ポケモン」のアルセウスのような四足歩行のロボットとなり、強力なビームを放つ。この山自体がスカラ・ナルという古代兵器だったようだ。今後のシリーズで前共和国時代が描かれるとすれば、スカラ・ナル建設と封印の背景も描かれるだろうか。
バッド・バッチはスカラ・ナルの内部に住む怪物を退け、山のハートを台座に戻してビームを放つ直前だったスカラ・ナルの破壊に成功する。宝探しは2連敗だが、オメガは「伝説を見た」と、ハンターは「アレを葬ることはできた」と成果を口にするのだった。
フィーは、次は古代の杯を手に入れにヴァドネイに向かうと宣言。それは何千年も前に存在したエルウェイズ王国の杯だという。やはり古代銀河に関する固有名詞を散りばめて、『バッド・バッチ』シーズン2第5話は幕を閉じる。
『バッド・バッチ』シーズン2第5話 考察&感想
古代に焦点
今回の『バッド・バッチ』もレース回だった第4話に続いて、宝探し回というサブクエスト的なストーリーだった。一方で、そのシチュエーションを活用して何度も古代文明への言及を入れた点は注目に値する。
前述の通り、近年の「スター・ウォーズ」フランチャイズは『アコライト』や「ハイ・リパブリック」といった『エピソード1』以前を描くシリーズを展開している。最新作の『バッド・バッチ』シーズン2でも古代とのつながりを見せたことで、映像作品でも古代を描きたいルーカス・フィルムの方針が改めて示されたと考えることもできる。
現在、「スター・ウォーズ」シリーズはドラマ『マンダロリアン』(2019-)のように『エピソード6/ジェダイの帰還』(1983) と『エピソード7/フォースの覚醒』(2015) の間を描いたり、ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』(2022) や『キャシアン・アンドー』のように、『エピソード3/シスの復讐』(2005) と『エピソード4/新たなる希望』(1977) の間を描いたり、空白を埋める展開が続いている。
仮に「スカイウォーカー・サーガ」に続く映画が『エピソード9/スカイウォーカーの夜明け』(2019) の後を描くとすれば、アニメやドラマでは古代を描いていくという展開もあり得るだろう。未来と過去には膨大な余白が残されている。
積み重ねに期待
一方、バッド・バッチは帝国の拡大という大きな物語とは無関係の展開が続いている。第3話は帝国の中で孤立するクロスヘアーの印象的な姿が描かれたが、対照的に現バッド・バッチメンバーはシドの尻拭いをしたり、宝探しをしたりとなんだか“無駄”な時間を過ごしているようにも思える。
帝国の支配により人々が苦しんでいる中、他人の借金のためにレースをして、海賊と宝探しをしているバッド・バッチ。だが、この“無駄”こそ、今後の展開に生きてくるのではないだろうか。バッド・バッチがどれだけ自分たちのクエストをこなしても、帝国の拡大がおさまることはないからだ。いずれ、バッド・バッチは「何をやっているのか」と自問する時が来るかもしれない。
全16話が用意されている『バッド・バッチ』シーズン2では、こうした“今後何かをするための何もしない回”が入れやすいボリュームになっているのではないだろうか。全12話が用意されていたドラマ『キャシアン・アンドー』でも贅沢な話数の使い方によってその魅力は倍増した。駆け足にならず、小さな物語の積み重ねで厚みが増していくことに期待したい。
アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン2はDisney+で独占配信。
シーズン2第6話のネタバレ解説はこちらから。
第4話のネタバレ解説はこちらから。
第1話のネタバレ解説はこちらから。
第2話のネタバレ解説はこちらから。
第3話のネタバレ解説はこちらから。
シーズン1を振り返りながら考えるハンターの行動原理と、『バッド・バッチ』の魅力についての解説はこちらから。
シーズン1ラストの解説はこちらの記事で。
シーズン1で明かされたクローン兵廃止の理由はこちらから。
ドラマ『マンダロリアン』シーズン3は2023年3月1日より配信開始。本予告の解説&考察はこちらの記事で。
『スター・ウォーズ エピソード1』の100年前を描く異色のドラマ『アコライト』についてはこちらから。