アニメ『ダンジョン飯』第7話 感想&考察 トリガー作画の水上戦闘! ネタバレ解説 | VG+ (バゴプラ)

アニメ『ダンジョン飯』第7話 感想&考察 トリガー作画の水上戦闘! ネタバレ解説

©九井諒子・KADOKAWA刊/「ダンジョン飯」製作委員会

水の上で繰り広げられる激闘

カブルーのパーティーなど、ファリンを救出するためにダンジョンに潜るライオス以外のパーティーたちの目的が描かれたアニメ『ダンジョン飯』第6話「おやつ/ソルベ」。それに対して2024年2月15日より放送と配信が開始されるアニメ『ダンジョン飯』第7話「水棲馬/雑炊/蒲焼き」ではスタジオTRIGGERのド派手な戦闘とそれぞれが持つ境界線が描かれることになる。どこまでが亜人か、どこまでの魔法を受け入れるかなど、第7話「水棲馬/雑炊/蒲焼き」ではそれぞれのキャラクターの持つ価値観が明らかになった。

そのようなアニメ『ダンジョン飯』第7話「水棲馬/雑炊/蒲焼き」で描かれる水上での戦闘と、キャラクターそれぞれの価値観について考察と解説、感想を述べていこう。なお、本記事はアニメ『ダンジョン飯』第7話「水棲馬/雑炊/蒲焼き」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『ダンジョン飯』の内容に関するネタバレを含みます。

それぞれの価値観

蘇生屋

第6話「おやつ/ソルベ」で宝虫によって麻痺されてしまったカブルーのパーティー。そのようなダンジョン内の死体や麻痺状態の人間を蘇生させることを生業としているのが蘇生屋という職業だ。カブルーたちが手に入れたコインや宝石などはうっかりマルシルとチルチャックが捨ててしまったのだが、それを隠しておく蘇生屋たち。ダンジョン内には地上に出ることが出来ない者も多いことから、蘇生屋があまり上品とは言い難い職業だと考察できる。

その頃、ライオスのパーティーはカブルーたちに泥棒扱いされているとは露知らず、洗顔などをしていた。ここでライオスが髭を剃っている描写があるが、『九井諒子ラクガキ本 デイドリーム・アワー』に掲載された短編によれば、ライオスは髭を生やすと険悪な仲の父親に似るので剃っていると解説されている。また、マルシルが髪の毛は魔術において大事な触媒だと解説しているが、事実、カブルーたちに霊除けとして髪が結ばれていた。

水棲馬〈ケルピー〉のアンヌ

ダンジョンの地下4階は水棲の魔物が生息している階層であり、水上歩行の魔法が使えない上、魔法嫌いのセンシは地下4階がダンジョンで潜れる限界だったと考察できる。魔法嫌いのセンシが魔法を使わずに地下4階を渡るための計画を立てるが、その計画は水棲馬〈ケルピー〉のアンヌを使って渡るというものだった。しかし、その計画をライオスは反対する。

ライオスも動く鎧のケン助を使ってはいるが、愛嬌のある魔物は人間を引き寄せるためにその容姿をしていると考察している。実際、伝承上の水棲馬〈ケルピー〉も人間を背中に乗せるまで待ち、水中に引き込んで肝臓以外を捕食するとされる。事実、水棲馬〈ケルピー〉のアンヌはセンシを捕食しようとしてライオスとセンシに倒された。センシは水棲馬〈ケルピー〉のアンヌに深い想い入れがあったからこそ、その死体を食べる選択肢を取ったと考察できる。また、マルシルは水棲馬〈ケルピー〉の脂肪からセンシの髭を洗う石鹸を作ろうとしていた。

亜人の境界線

マルシルとセンシが作業に勤しんでいた頃、ライオスとチルチャックは水に浮かぶ人影を発見する。それは再び全滅したカブルーのパーティーだった。大麦をこぼして倒れたカブルーたちを陸に揚げようとするライオスとチルチャック。ここでライオスがカブルーの顔は覚えていないがコボルトのクロの顔は瞬時に判別したことから、ライオスの人間嫌いが考察できる。

魚人と相打ちになったカブルーたちを引き上げている際、チルチャックが人魚の歌に引き寄せられる。人魚が歌で人間を水中へと引き込むのは実際の伝承にも存在している。チルチャックは五感が他種族よりも優れたハーフフットであるため、ライオスよりも先に人魚の歌声に反応してしまったと考察できる。これはコミック巻末の「モンスターよもやま話」で人魚対策としてハーフフットを乗船させることを義務付けている国があることが解説されており、チルチャックは囮にされたと憤慨していた。

ライオスが合唱することで撃退した人魚だが、魚類の魚人と違い、人魚は哺乳類である。しかし、容姿が似ていることから同じ亜人という扱いにされている。魚人は稚魚の頃は魚そのものであり、半年ほどの成長の過程で人間のような骨格と髪の毛に擬態させた水草を生やし始める。稚魚の頃は天敵も多く、人魚に食べられることも多いと解説されている。

チルチャックは魚人の卵を知らないうちに食べされられたことに怒るが、その前に死体から大麦を盗んでいることに罪悪感を抱き忘れているなど、魔物を食べる旅の中でどこか価値観の境界線が曖昧になっていることが見て取れる。一方、マルシルは水棲馬〈ケルピー〉のアンヌの油から石鹸を作り、魔法嫌いのセンシとの間の溝を埋めていた。これのことからアニメ『ダンジョン飯』第7話「水棲馬/雑炊/蒲焼き」のテーマには、キャラクターが持つ境界線があると考察できる。

生態系の異常

アニメ『ダンジョン飯』第6話「おやつ/ソルベ」ではカブルーたちがダンジョン内の生態系に異変が起きていることを語っており、ライオスたちが炎竜〈レッドドラゴン〉と戦った理由も島の領主である島主から生態系の調査を依頼されていたためである。そして、その生態系の異変は地下4階でも起きており、魚人の数が減り、生態系のピラミッドで下層に位置する刃魚が大量発生していた。

地下4階の生態系の異変はそれだけではなかった。魚人たちを捕食する巨大な影、ジャイアントクラーケンが発生していたのだ。ジャイアントクラーケンは分厚い皮膚と筋肉を持ち、20本以上の足で魚人を捕食する7~8mの巨大頭足類だ。元々が骨は無く、筋肉の塊という頭足類なのにも関わらず、その巨体を誇るため、マルシルの爆破魔法もセンシの斧も役に立たない。

センシはジャイアントクラーケン相手に秘策を思いつく。それはマルシルの水上歩行の魔法によってジャイアントクラーケンを水上に打ち揚げ、頭足類の活き締めと同じように目と目の間を魚人の銛で一突きするというものだった。

ジャイアントクラーケンを食べてみてライオスが強烈なえぐみと臭いがあると語っているが、これはダイオウイカがモデルになっていると考察できる。生のダイオウイカは深海に潜り、そこから再浮上するために塩化アンモニウムをため込んでおり、そのため強烈なアンモニア臭がするという。生食には向かず、加工してスルメにしてアンモニア臭を取ろうとしても「不味くはないが、また食べたいとは思わない」という味になるのがダイオウイカだ。

アニサキス

そのようなジャイアントクラーケンよりも、ライオスの食指が動いたのがその寄生虫の方だった。アニサキスをモデルにしたジャイアント寄生虫だが、歯や体内の構造からヤツメウナギに近い。蒲焼きにしてもうまいというジャイアント寄生虫だが、ライオスはこっそりとジャイアント寄生虫をかじったことで、本当のアニサキスに襲われていた。

ライオスはさらにジャイアントクラーケンの性莢が頭に刺さったこともあり、この一件以降、頭足類が苦手となった。そして、数少ない食べられない魔物に頭足類型の魔物と寄生虫の生食を挙げるようになっている。

本日のレシピ

そのへんに落ちていた大麦の雑炊

1. 鍋に水と大麦を入れ、火にかける。
2. 煮立ってきたらほぐしたミミックの身を入れる。
3. 魚人の頭に生えていた水草をぶつ切りにして加える。

水棲馬油石鹸

1. 水棲馬〈ケルピー〉の脂身を火にかけて油を出す。
2. 灰と水を集めて混ぜ合わせる。
3. 水棲馬〈ケルピー〉の油とオリーブ油、濾過した灰汁を少しずつ加えて攪拌する。
4. 落とした液体が跡を残すようになったら器に入れて冷ます。

ジャイアントクラーケンについていたジャイアント寄生虫の蒲焼き

1. ジャイアント寄生虫を目打ちし、中骨に届くまで切る。
2. 包丁が貫通しないように気を付けながら、身を開く。
3. 身が開けたら内臓と中骨を取る。
4. ある程度の大きさにぶつ切りにする。
5. 皮を下にして焼く。
6. 醤油、みりん、砂糖、酒でつくったタレをつける。

第7話の感想とファリンとの出会いを描く第8話

ジャイアントクラーケンなど水辺の第4階でのアクロバティックかつド派手な戦闘を経て、お互いの境界線を確認しあったライオスたち。お互いがダンジョンへ潜るにあたり必要な線引きを確認しあった第7話「水棲馬/雑炊/蒲焼き」だが、第8話ではマルシルとファリンの出会いのきっかけになる魔法学校での物語魔法の根幹になる精霊について深掘りされると考察できる。

また、水の精霊のウンディーネとの戦いを描く第8話ではノームのタンス夫妻率いる島主に雇われたパーティーと、かつての仲間であるドワーフのナマリとの再会が描かれることも考察できる。冒険者としてパーティーに入る、もしくはパーティーから抜けるとはどういう意味を持つのか。それが第8話では重要になってくると考察できる。また、ウンディーネとの戦いは予告編でもスタジオTRIGGERの神作画が観られるため、第8話にも期待していきたい。

アニメ『ダンジョン飯』第7話「水棲馬/雑炊/蒲焼き」は2024年2月15日22:30より放送と配信が開始。

『ダンジョン飯』公式サイト

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アニメ『ダンジョン飯』第1話「水炊き/タルト」のネタバレ感想と考察はこちらから。

アニメ『ダンジョン飯』第8話「木苺/焼き肉」のネタバレ感想と考察はこちらから。

アニメ版『ダンジョン飯』のオープニングのBUMP OF CHICKENの新曲「Sleep Walking Orchestra」と主要キャストはこちらから。

アニメ版『ダンジョン飯』のエンディングの緑黄色社会の新曲「Party!!」と追加キャストはこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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