アニメ『ダンジョン飯』第1話 感想&考察 ドラゴンから水炊きまで ネタバレ解説 | VG+ (バゴプラ)

アニメ『ダンジョン飯』第1話 感想&考察 ドラゴンから水炊きまで ネタバレ解説

©九井諒子・KADOKAWA刊/「ダンジョン飯」製作委員会

深夜に食欲をかきたてるアニメがスタート

2023年9月15日(日)に9年半の歴史の幕を下ろした九井諒子原作漫画『ダンジョン飯』(2014-2023)。『ダンジョン飯』は緻密に練られた設定や、古典的なTRPGの要素と現実の動物の生態を組み合わせた作品となっている。その再現できそうな食事シーンはスタジオジブリの宮﨑吾郎監督のもとでアニメ化が企画されたほど魅力的だ。そんな『ダンジョン飯』をTRIGGERがアニメ化した第1話「水炊き/タルト」が、2024年1月4日(木)22:30に配信と放送された。

本記事ではそのようなアニメ『ダンジョン飯』第1話「水炊き/タルト」の解説と考察、感想を述べていこう。なお、本記事では『ダンジョン飯』第1話「水炊き/タルト」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『ダンジョン飯』の内容に関するネタバレを含みます。

因縁と冒険のはじまり

炎竜〈レッドドラゴン〉との戦い

童話のような雰囲気ではじまるアニメ『ダンジョン飯』。ここで狂乱の魔術師により、滅びた王国が地底に存在し続けていることが語られる。その地底に残された王国こそ、主人公のライオスが潜るダンジョンであり、「王国とその黄金の都のすべての権利を得ることができる」という条件こそが冒険者たちをダンジョンへと誘うのである。

凄まじい作画で描かれる炎竜〈レッドドラゴン〉。恐竜などに詳しい人間なら一目でわかるかもしれないが、ここでの炎竜〈レッドドラゴン〉の立ち方は蟹股の爬虫類と同じ立ち方であることが見て取れる。しかし、予告編に登場する炎竜〈レッドドラゴン〉の立ち方は直立四足歩行という恐竜と同じ骨格となっている。このことから、炎竜〈レッドドラゴン〉は設定が変更され爬虫類から恐竜に近い生物になったと考察できる。

熊谷健太郎演じる主人公のライオス・トーデンが「腹が減った」と語っているが無理もない。地図で迷い1日を無駄にし、罠にかかり食料を失えば、どんな勇者でも精彩を欠いた動きになる。それほどまでに食料の備蓄は冒険にとって重要であり、現実でも食料などの備蓄や装備の乏しさから世界最大の山岳遭難事故となった八甲田雪中行軍遭難事件が発生している。

このことからもわかる通り、『ダンジョン飯』の世界での冒険者たちは自分たちが何層目まで行くのか、そこまで何日かかるのかを計算してダンジョンに潜ることが考察できる。食料の備蓄の消失による空腹によって、ライオス一行は炎竜〈レッドドラゴン〉の勝負に負けたことが考察できる。

仲間との別れ

早見沙織演じるライオス・トーデンの妹、ファリン・トーデンの犠牲によりダンジョンの深層から脱出できたライオス一行。しかし、ファリンは炎竜〈レッドドラゴン〉に捕食されてしまい、ダンジョンから脱出することができなかった。

助けに行こうにもほとんどの道具をダンジョン深層に置いてきてしまったライオス一行。追い打ちをかけるように三木晶演じるドワーフの戦士のナマリ川田紳司演じるシュローがパーティーから離脱してしまう。ここでシュローの辞表が日本語で書かれていることが見て取れる。

『ダンジョン飯』の世界には独自の言語が存在しており、種族ごとに話す言語が違う設定になっている。シュローの辞表が日本語なのは共通語を日本語として表現しているメタ的な設定か、もしくは「半本」という苗字が見えることからシュローが日系人である設定によるものかのいずれかだと考察できる。

ライオスは予告編でも魔物を食べることに興味を持っている少し特殊な人物だ。その一方で仲間の雇用費や武具などの装備費、食料などのその他経費を計算するなど、それなりにリーダーとして必要なスキルを持った人物でもあると考察できる。そうこうしている間にもファリンは炎竜〈レッドドラゴン〉に消化されてしまう。そのため、急いでダンジョンに潜る必要性があるとライオスは考えていたのだ。

「何でもする」覚悟

「ファリンのためならば」と残ってくれた頼もしい2人の仲間。千本木彩花演じる魔法使いのハーフエルフのマルシル・ドナトーと、泊明日菜演じる解錠を得意とするハーフフットのチルチャック・ティムズ。そんな二人に険しい形相で詰め寄るライオス。ライオスは念を押すように2人の覚悟を確認する。ちなみにマルシルの英語版声優を務めるのは実写版『ONE PIECE』でナミを演じたエミリー・ラッドである。

『迷宮グルメガイド』を熟読し、魔物の生態に精通したライオスの立てたファリン救出作戦とは、食費などの経費を抑えるために魔物たちを食べてダンジョンの探索を行うというものだった。魔物と聞いてゾンビや大コウモリなど不衛生な魔物を思い浮かべるマルシルとチルチャック。それでも魔物に生態系と食物連鎖がある以上、自分たち冒険者もその中に参加できるはずと言い張るライオス。

そんな3人の前に都合よく歩き茸が現われる。歩き茸は『ダンジョン飯』の世界において広く分布している魔物であり、歩き茸愛好家も存在することがコミックスおまけ漫画で語られている。『迷宮グルメガイド』の歩き茸のページにも様々な種類の歩き茸の絵が描かれている。ライオスはそんな歩き茸を昼食にしようと言い出していた。

墓所での調理

冒頭で語られた通り、ダンジョンはもともと小さな島の墓所である。しかし、ダンジョンが出来たことで人々の往来が激しくなり、今では墓所で商店も開いている。ここで「クラウスト家の墓」が登場しているが、日本語表記なのは共通語を日本語として表現しているメタ的な理由だと考察できる。

ベネディクト・カンバーバッチの担当声優である三上哲のナレーションで、魔物が何かを守っていることと地下から湧いてくること以外何もわかっていないことが語られる。普通は逃げ出すところだが、冒頭で塵となって消えた男の語った「黄金の都」の話が存在することで「魔物が何かを守っているのは秘宝があるからに違いない」と冒険者に夢を抱かせるうまい設定だ。これにより、魔王などが存在せずとも様々な人種がダンジョンに潜っていることが解説できる。

ライオスは剣の鞘の周りに布を巻き、ザリガニ釣りと同じ要領で大サソリを捕まえる。捕まえ方を心得ているのは、ライオスがもともと魔物食に興味があったためである。ここでライオスが歩き茸は縦の方が切りやすいと語るが、現実の茸も菌糸が束になったものなので、横よりも縦の方が簡単に割ける。実際、「縦に割ける茸は食べられる」という迷信もあった。また、現実のサソリの毒に関しても過熱調理によって毒性が無くなるとされている。

料理人センシとの出会い

そんなライオス一行を見ていたのが中博史演じるドワーフのセンシだ。ここでセンシは大サソリの捌き方をライオスに教える。筆者も実際に食用に加熱乾燥されたアジアンフォレストスコーピオンを購入し、センシのレシピ通りにサソリの水炊きを作ってみた。

センシは尾や爪、足を落とすようにと語るが、現実のサソリの筋肉は足の付け根などに集中している。胴体は臓器の割合が大きい印象だ。漫画版『ダンジョン飯』ではサソリの臓器は付け込むと塩辛のようにして食べられると語られている。ここでご飯の上に乗せる姿をコミックでは想像しているため、米を炊く文化が『ダンジョン飯』の世界にもあると考察できる。

また、センシは歩き茸の足から良い出汁が出るとも語っている。現実の茸類でも根元の石突き部分は実は食べることが可能で、椎茸などの石突きからは良い出汁がとれることが知られている。このような現実でも再現できそうなレシピなのがダンジョン飯の魅力だ。

木の根に似たサカサイモや苔など墓所に根を張る植物に拒否反応を示すマルシル。センシを問い詰めるマルシルの上にスライムが降ってくる。そのスライムをナイフ一本であっさりと仕留めるセンシ。センシ曰く、スライムは不定形なようで胃が外側にひっくり返った構造の生き物らしく、二酸化炭素の量に反応して動物を襲うとのことだ。現実でも蚊などが二酸化炭素を多く排出している人間を狙う傾向にあることが報告されている。

センシは柑橘類の汁をスライムにかけ、干すことで寒天のようにしてスライムは食べることが出来ると語っている。鍋で食べる以外に果汁で浸して食べても美味しいと言われており、完全に寒天などところてんなどと同じ扱いだ。

寒天と違い動物なので、どちらかと言えばクラゲに近い生き物の可能性が考察できる。ここでセンシの台詞に矛盾が生じる。センシはこのダンジョンで10年以上魔物食について研究していたと語るが、このダンジョンが誕生したのは6年前である。この台詞は今後の注目ポイントだ。

大サソリに歩き茸、干しスライムにサカサイモと苔を入れて煮込めば「大サソリの水炊き」の完成だ。ここでチルチャックが、大サソリが煮ると赤くなることについて少し驚いているが、現実のサソリは煮ても赤くならない。そもそもサソリは味こそカニに近いが生物学的には、サソリとカニは節足動物門しか共通点がない。サソリは鋏角亜門クモガタ綱であり、カニやザリガニは甲殻亜門軟甲綱である。

更にカニやザリガニ、エビが煮ると赤くなるのはそれらがアスタキサンチンを生むヘマトコッカスなどの微細藻類を食べているためである。そのため、『ダンジョン飯』の世界の地上の苔はヘマトコッカスを含んでおり、それを食べる大サソリは草食か雑食だと考察できる。その反面、現実でもサソリは煮込むと簡単に身がほぐれ、味はワタリガニに似ている。

センシはライオスに匹敵するほど魔物に精通しており、食後にライオス一行の事情を知ると炎竜〈レッドドラゴン〉は巨体を維持するために、カロリー消費を抑えるべく活動期と休眠期を繰り返していると語った。そして、炎竜〈レッドドラゴン〉を調理すべく、センシはライオス一行に加わるのだった。

人食い植物のタルト

ダンジョンは呪いで造られたものであるため、森が出来ていても地上に突き抜けないという特徴を持つ。マルシルは不衛生なものや亜人系の魔物に対して嫌悪感を示している。実際チルチャックも亜人を食することに関しては嫌悪感を示している。

ここでウツボカズラに似た人食い植物が登場しているが、現実でもウツボカズラは食することが出来る。特に昆虫を消化する前の未開封の捕虫袋の中の消化液は無菌状態に近く、猿がそれを飲むことからモンキーカップと呼ばれる場合や、その殺菌作用を利用して米を炊く水代わりに使う文化もあるという。

また、ライオスが動物を縛り付けて腐敗するのを待つ人食い物を例に挙げているが、似た植物として現実に北アフリカの砂漠のスイカに似たコロシントウリが存在している。コロシントウリはスイカに似ているものの、食べると激しい嘔吐や下痢を引き起こし、それによって動物から水分や養分を搾り取る。

その性質は便秘薬に使用されるほど強力だ。このような魔物が実在するかもしれないというリアリティが『ダンジョン飯』の魅力だ。また、助けられたマルシルにシャドーテールとバラセリアの生態の違いを語り、その感覚を開口一番に訪ねるライオスの抜けた雰囲気も『ダンジョン飯』の魅力の1つだろう。

センシが人食い植物をつかってタルトを作ろうとしているが、塩味や出汁を使うことから実際にはタルトよりもキッシュに近い。細かな演出としてウツボカズラ状の人食い植物のゼラチンを使わずにスライムで固めたため、タルトが固まりきっておらず、マルシルがスプーンを入れたときに少し崩れている。

本日のレシピ

大サソリの水炊き

1.大サソリの頭、鋏、足、尾を切り落とす。

2.大サソリから出汁がよく出るように身に切り込みを入れ、内臓を軽く取っておく。

3.歩き茸は表面から3㎝と尻の部分を切って捨てる。足は良い香りがするので鍋に入れる。

4.干しスライムを短冊切りにする。

5.サカサイモの皮をむいて銀杏切りにし、花苔やイシクラゲといった藻と合わせて全ての具材を水で煮る。

6.味見をして、調味料で味を調える。

人食い植物のタルト

1.バラセリアの実を軽く蒸す。

2.バラセリアの実をへたに沿って軽く切り、ねじって種を取る。

3.バラセリアの皮を叩いて柔らかくし、フライパンに敷き詰める。

4.バラセリアの未熟果をすりつぶし、大サソリの水炊きの残り汁とスライムゼラチンを入れて粘りが出るまで混ぜる。

5.滑らかになったら残りの大サソリの水炊きの残り汁とミアオークとベタンといった果実を入れてさっくり混ぜる。

6.フライパンに注ぎ、しばし加熱する。

第1話の感想と期待大の第2話

最後に死体をつるすなど、倫理観の危うさも魅力の1つである『ダンジョン飯』。その第1話は漫画版『ダンジョン飯』の第1巻の前半部分にあたる。このペースでいけば、約3話で1巻分程度進んでいくペースとなる。

『ダンジョン飯』は話が進むにつれてダンジョンの秘密や様々な食事シーンが描かれていくのが魅力的な作品だ。第1話「水炊き/タルト」は漫画版『ダンジョン飯』の第1話と第2話にあたるため、第2話では漫画版『ダンジョン飯』第3話「ローストバジリスク」と第4話「オムレツ」がアニメ化されると考察できる。深夜に垂涎の的となる食事シーンを描く『ダンジョン飯』。第2話にも期待していきたい。

『ダンジョン飯』第1話「水炊き/タルト」は2024年1月4日(木)22:30より放送と配信開始。

『ダンジョン飯』公式サイト

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アニメ『ダンジョン飯』第2話「ローストバジリスク/オムレツ/かき揚げ」のネタバレ感想と考察はこちらから。

アニメ版『ダンジョン飯』のオープニングのBUMP OF CHICKENの新曲「Sleep Walking Orchestra」と主要キャストはこちらから。

アニメ版『ダンジョン飯』のエンディングの緑黄色社会の新曲「Party!!」と追加キャストはこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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