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LA Anime Expo 2023にて新PVと追加キャスト発表
手塚治虫の名作「鉄腕アトム」シリーズの中でも屈指の名エピソードと名高い『地上最大のロボット』（1964-1965）。それを「20世紀少年」シリーズなどで有名な浦沢直樹がリメイクした『PLUTO』（2003-2009）の新PVと追加キャストが2023年7月2日にアメリカのLAで行なわれたLA Anime Expo 2023で発表された。
アニメ版『PLUTO』はNetflixでの制作が発表されており、アトムとウラン、ゲジヒトら主要なキャラクターが既に公開されていたが、LA Anime Expo 2023で物語の核となる7体の世界最高水準のロボットと謎多きプルートゥのキャストが発表された。本記事では7体の世界最高水準のロボットとその他のキャラクターたちのキャスト紹介、そして大まかなあらすじについて解説していこう。
7体の世界最高水準のロボット
7体の世界最高水準のロボットとは文字通り科学の粋を集めて生み出されたロボットたちで、彼らの存在は大量破壊兵器に匹敵する危険性を孕んでいる。全員が別々の国にくらしていたが、彼らをつなぐのが第39次中央アジア紛争だ。第39次中央アジア紛争のモデルはイラク戦争とされ、ペルシア王国はイラク、「世界のリーダー」を自称し第39次中央アジア紛争を主導的な立場で集結させたトラキア合衆国のモデルはアメリカ合衆国とされる。
ロボットも人権に近い市民権が存在し、KKKを思わせるような反ロボット団体などが存在する『PLUTO』の世界において、ロボットたちは人間同様に尊重されている。しかし、人間を遥かに超える能力を持つロボットたちは戦争へと駆り出された。
「ロボットは人間を殺害してはならない」というロボット三原則から、第39次中央アジア紛争はロボット同士の殺し合いになってしまう。それによって第39次中央アジア紛争は独裁国家ペルシア王国と平和維持軍のリーダーを務めるトラキア合衆国によるロボットたちを利用した代理戦争となった。そのような彼らが狙われ、さらに同じ手法で殺害された人間も現れたことが『PLUTO』という物語のはじまりとなる。
ゲジヒト CV： 藤真秀
『PLUTO』版の主人公で、30代後半のヨーロッパ系を思わせる男性の容姿を持つ。現在はユーロ連邦のドイツのデュッセルドルフで特別捜査官として活動しているが、第39次中央アジア紛争ではその容姿と技術を活かし、治安警察部隊として市街地に潜伏しているテロリストの殲滅を担当していた。
7体の世界最高水準のロボットの中でも人間的な容姿を持つロボットだが、その骨格は電磁波や熱戦を無効化できるゼロニウムという特殊合金でつくられている。武器は左手に対人間用に催眠用のガスの噴射器、右手に対ロボット用として強力なSAAW特殊火器のゼロニウム弾砲がついており、人間とロボットを見分けて使い分ける。
人間とロボットを見分けるための認識システムによって悩まされることも多々あり、更にはロボットでありながらPTSDで悪夢を見ることもある。声優は藤真秀で、ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドの声優を務め、ダニエル・クレイグの吹替版専属声優を担当している。ダニエル・クレイグ専属声優という点を考えると、ゲジヒトの容姿がダニエル・クレイグに似ていることもあって最適なキャスティングと言える。
アトム CV：日笠陽子
原作版の主人公。原作通り小学生程度の容姿をしており、原作での特徴的な髪型を思わせるくせ毛が特徴。そのような子供であっても、ゲジヒト同様に第39次中央アジア紛争に平和維持軍として参加している。その際は、戦場ではアイドルのように慰問として参加していた。現在は日本のトーキョーシティーで学校に通っている。
容姿は7体の世界最高水準のロボットの中で最も人間に近く、ゲジヒトであっても人間かロボットなのか混乱してしまうほど。だが、大量破壊兵器にすらなり得る7体の世界最高水準のロボットの1人だけあって、飛行といった高い戦闘能力を持つ。
元々は天馬博士が交通事故で喪った息子の天馬飛雄を再現したため、人間に極めて近い人工知能を持ち、そのテンマ型人工知能は7体の世界最高水準のロボットの中でもトップクラスとされる。声優は「けいおん！」シリーズで秋山澪、2021年版『SHAMAN KING』で主人公の麻倉葉を演じた日笠陽子が務める。
モンブラン CV：安元洋貴
スイス林野庁に所属しルツェルン管区森林保護担当官を務め、アルプスの山岳ガイドや遭難者の救助も行なうロボット。詩や歌を愛する温厚な性格で、戦争に対しても抽象的な表現で忌避感を示している。しかし、第39次中央アジア紛争に平和維持軍として参加した際には最前線でペルシア王国のロボットを駆逐する役割を担った。
誰からも愛されるロボットだったが、彼が殺害され、その頭部に2本の角に見立てたものが突き立てられていたことが事件の始まりとなる。容姿は唯一原作版からあまり変わりがない。声優は「BLEACH」の茶渡泰虎など演じる安元洋貴。
ノース2号 CV：山寺宏一
ブリテン軍総司令官アンドリュー・ダグラス将軍のもとで第39次中央アジア紛争に参加。全身をケープで隠しているが、7体の世界最高水準のロボットでは唯一明確に軍事用ロボットとされている。現在では戦争を忌避し、ユーロ連邦のスコットランドで隠居生活をする音楽家ポール・ダンカンの執事を務める。
ノース2号もまた、他のロボットと同じく戦争によるPTSDやトラウマに悩まされており、眠った際には戦争の悪夢によってうなされている。軍事用ロボットでありながら音楽を好み、新PVではピアノを弾く姿を披露した。声優を務めるのは七色の声を持つと呼ばれ、アニメ作品から洋画の吹替まで幅広くこなす山寺宏一。
ブランド CV：木内秀信
第39次中央アジア紛争では最前線でペルシア王国のロボットを駆逐し、同じく最前線で戦ったロボットを親友だと考えている格闘技ロボット。戦後はユーロ連邦のトルコでロボットの妻と5人の子供と共に平和に暮らしていた。普段は恰幅の良い30～40代のヨーロッパ系の男性の姿で過ごす。
複数のロボットスーツを持ち、乗り換えるときは電子頭脳のある頭部と心臓部の動力炉のみを移動させる。ESKKKRトーナメントチャンピオンとして不敗神話を築いた古代ギリシャのスポーツであるパンクラチオンスーツでの試合で民衆を魅了するほか、戦中ではコンバットスーツを利用していた。
ロボットだが戦いには“運”が必要不可欠だと考え、常に勝ち続ける自分はラッキーマンだと考えている。声優を務めるのは「テニスの王子様」シリーズの忍足侑士役や『家庭教師ヒットマンREBORN!』（2006-2010）の笹川了平役で有名な木内秀信。
ヘラクレス CV：小山力也
第39次中央アジア紛争ではモンブランやブランドと共に最前線でペルシア王国のロボットを駆逐し、戦後はユーロ連邦のギリシャでパンクラチオンスーツの格闘技で世界王者に輝いた。最前線で戦ったロボットたちを親友だと考えているが、特に試合でライバル同士のブランドに対して深い思い入れがある。
ロボットレスリング界の闘神と呼ばれ、パルテノン神殿の前には決めポーズの彫像が建てられるなどブランド同様に国民的英雄となっている。他のロボットと異なり戦争に対する忌避感は比較的薄いが、一方で繰り返されるパンクラチオンスーツの格闘技の中で人間の憎悪の感情を理解し始めている。
普段の生活では筋肉質な30～40代の男性の姿をしており、パンクラチオンスーツには頭部のみ移動させ、自身のことを「殺人ロボット」と割り切っている部分を持つ。声優は「名探偵コナン」シリーズの2代目毛利小五郎役や、ジョージ・クルーニーやキーファー・サザーランドの専属吹替声優を務める小山力也。
エプシロン CV：宮野真守
第39次中央アジア紛争の徴兵を唯一拒否したロボット。太陽光を用いた光子エネルギーを動力源および武器としており、本気になれば街一つ破壊する力を持つ。それゆえに自分の存在が大量破壊兵器であることを理解しており、自分の生みの親のニュートン博士が戦争の根絶のために自分をつくったことも踏まえ、第39次中央アジア紛争を「正義のない戦い」と評し、批判を浴びた。
その見せしめとして第39次中央アジア紛争の後処理に動員されてしまい、ロボット同士が凄惨な殺し合いを行なった跡を目撃。それによって心を痛めてからはオーストラリアで孤児を引き取って暮らしている。その行いさえも偽善として批判されている。しかし、その後処理の中で、第39次中央アジア紛争の重要な秘密を知るロボットでもある。
他の巨大な体躯や兵器を搭載した姿を持つロボットたちとは異なり、容姿はヨーロッパ系の長髪で細身、おとなしそうな20代の青年。黒のセーターに黒のスラックス、黒のブーツと黒ずくめの恰好をしている。声優を務めるのは『DEATH NOTE』（2006-2007）の夜神月や「ウルトラマンゼロ」シリーズのウルトラマンゼロ、「ファンタスティックビースト」シリーズなどアニメ、特撮、洋画吹替と幅広く活動している宮野真守。
謎多き敵
プルートゥ CV：関俊彦
7体の世界最高水準のロボットの殺害とそれにかかわる人間の殺害を行なったと考えられているロボットで、大量破壊兵器となり得ると評された7体の世界最高水準のロボットと対等以上に渡り合える戦闘力を有し、新PVでも天候を操る能力を見せた。
その目的、正体は不明で、ゲジヒトらがわかっている特徴といえば殺害した人間やロボットの頭部に自信を示す2本の角を思わせるものを刺していくことぐらいである。声優を務めるのは「らんま1/2」のムースや『忍たま乱太郎』（1993-）の土井先生、「ドクター・フー」シリーズでデイヴィッド・テナントが演じた10代目ドクター、「仮面ライダー電王」シリーズのモモタロス役で有名な関俊彦。
その他のロボット
ウラン CV：鈴木みのり
7体の世界最高水準のロボットの1人であるアトムの妹のロボット。アトム同様、人間と区別がつかないほどの容姿を持つが、アトム並かそれ以上の高度なセンサーを持つ。それゆえに動物と会話できるほか、人間の負の感情をまともに読み取ってしまい精神的に参ってしまうことも。
声優は『ウマ娘 プリティーダービー』のアグネスデジタルや『アイドルマスター シンデレラガールズ』の藤原肇などを演じる新進気鋭の鈴木みのりが務める。
ヘレナ CV：朴璐美
7体の世界最高水準のロボットの1人であるゲジヒトの妻。職業はインテリアデザイナーで、刑事として危険な仕事に従事し、多忙を極めるゲジヒトを心配している。自身に記憶は無いが、夫のゲジヒトと共に日本へ渡航しようとし、直前でキャンセルしたという記録が残されている。
声優を務めるのは「鋼の錬金術師」の主人公のエドワード・エルリックや舞台『千と千尋の神隠し』（2022-）で湯婆婆を演じた朴璐美。
ブラウ1589 CV：田中秀幸
『PLUTO』の作中にて、世界で初めて人間を殺害したロボットにしてキーパーソン。現在はユーロ連邦・ベルギーのブリュッセルにある人工知能矯正キャンプの地下施設にて槍に突き刺された状態で身動きが取れないように隔離され、幽閉されている。殺人を犯した際に行われた人工頭脳の調査は、徹底して行われたにもかかわらず正常である判断され、それがロボットが正常でも殺人を起こす可能性があるという危険性を人間に植え付け、警戒されている。それもあり理解者は少なく、天馬博士とアトムがその理解者である。
現在の姿は配線がむき出しになった崩壊寸前の姿だが、それでもプロテクター無しではロボットが異常をきたすほどの強力な電磁波を放っている。そしてブラウ1589の存在により、ゲジヒトやアトムはプルートゥの秘密へと近づいていく。ブラウ1589のモデルは人間に対して反旗を翻した青騎士だと考察されている。声優は実写作品ではピアース・ブロスナンの専属声優を務め、アニメ作品では『名探偵コナン』（1996-）で江戸川コナンこと工藤新一の父親である工藤優作など演じる田中秀幸が務める。
人間
お茶の水博士 CV：古川登志夫
アトムらの管理整備を行なっている博士。アトムの妹であるウランの生みの親でもある。性格は温厚で、「ロボットも同じく命を持つもの」という考えを持つ。現在は妻と死別後トーキョーの下町で暮らしながら日本の科学省長官を務めている。アトムとウランを我が子のように愛し、良きおじいちゃんとして慕われている。かつてとある調査団に所属しており、それにより命を狙われることになる。
声優を務めるのは「ドラゴンボール」シリーズでピッコロ役を演じており、「うる星やつら」シリーズで初代諸星あたるを演じた古川登志夫。
天馬博士 CV：津田英三
アトムを生みの親にして完璧な頭脳を持つと言われている世界的な電子頭脳の権威。テンマ型チップと呼ばれる人工頭脳の作動に重要なパーツを設計した。ロボットに対しては屈折した考えを持っており、アトムを生み出したのも交通事故で死亡した息子のトビオを再現するためである。しかし、ロボット故に成長しないことに苛立ち、アトムをサーカス団に売り飛ばしたとされる。お茶の水博士の前任の日本科学省長官だが、現在は表舞台から姿を消している。
声優を務めるのは豊富な舞台経験を持ち、サンダー・バークレーやジェームズ・レマーの担当声優も務める津田英三。
アブラ―博士 CV：山路和弘
イラクをモデルにしたペルシア王国出身の科学者で中央アジア最高の頭脳とも呼ばれる。アトムからは人間かロボットかわからない人物と評されている。本人曰くペルシア戦争で大怪我を負ったとされ、自分の体を機械化して生きながらえている。そのため、スキャナーなどではロボットと判断されることもある。ペルシア戦争で自身の生み出したロボットを含め、多くの家族を喪ったために世界を憎悪をしている。
声優を務めるのはヘレナ役の朴璐美の実の夫であり、20世紀FOXの実写映画「X-MEN」シリーズでウルヴァリンを演じるなど吹替からアニメ、実写など幅広く活躍する山路和弘。
アレクサンダー大統領 CV：堀内賢雄
大量破壊ロボット製造禁止条約の締結を名目にペルシア王国に多国籍連合軍を主導となって派遣したアメリカ合衆国をモデルとしたトラキア合衆国の大統領。性格は狡猾なところがあり、トラキア合衆国を「世界のリーダー」と称し、世界最強の国家へとするために様々な計略を画策する。
声優を務めるのはブラッド・ピットの本人公認の担当声優であり、数多くの吹替を手掛け、アニメ作品でも活躍する堀内賢雄。
ポール・ダンカン CV：羽佐間道夫
7体の世界最高水準のロボットの1人であるノース2号を執事として雇ったボヘミア出身の音楽家。幼少期に大病を患い、命を落としかけたがブラックジャックと思われる日本のモグリの闇医者に救われる。しかし、その後遺症として視力が落ち、現在は失明してしまっている。性格は偏屈で、ノース2号のことを兵器と呼ぶ。
声優を務めるのはシルベスター・スタローンの担当声優など数多くの洋画の吹替を務めている声優界の重鎮とされる羽佐間道夫。
追加キャスト発表に期待
今回のLA Anime Expo 2023で7体の世界最高水準のロボットと謎の敵のプルートゥのキャストが発表され、X（旧Twitter）でも追加キャストが発表されたが、まだまだ重要なキャラクターは多い。今後の追加キャスト発表などに期待していきたい。
『PLUTO』は2023年10月26日（木）にNetflix独占配信決定。
PLUTO | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
浦沢直樹の漫画『PLUTO』は全8巻がビッグコミックスから発売中。
2022年10月から電子版も配信されている。
『PLUTO』アニメ化発表の記事はこちらから。
Netlfixからはアニメ『GAMERA -Rebirth-』も配信予定。詳しくはこちらから。
Netflixドラマ版の『ONE PIECE』も2023年配信予定。実写キャストまとめはこちらから。
