カブルーの視点からはじまるアニメ『ダンジョン飯』新章、開幕!
これまでファリン救出のための戦いが続き、ようやく炎竜〈レッドドラゴン〉を討伐したライオスのパーティーだったが、その行為は狂乱の魔術師シスルの逆鱗に触れた。ファリンは奪われてしまい、自分たちの命を守るために地上への帰還を決意したライオスのパーティーだったが、その頃、他のパーティーは何をしていたのだろうか。
カブルーたちの視点で描かれることになるアニメ『ダンジョン飯』第14話「シーサーペント」を振り返り、感想と考察、解説を述べていこう。なお、本記事はアニメ『ダンジョン飯』第14話「シーサーペント」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。
以下の内容は、アニメ『ダンジョン飯』の内容に関するネタバレを含みます。
荒れはじめるダンジョン
幻術の霧
ライオスがチルチャックに説得され、地上に帰還することを決めたときよりも少し前、タンス夫妻によってカブルーたちは蘇生されていた。カブルーたちの認識では、宝虫以降、ライオスのパーティーは宝泥棒のままのようだ。ライオスたちがこぼれた大麦を拾ってしまったことで、食糧難に陥ったカブルーのパーティーは大赤字を覚悟で地上への帰還を選ぶ。
第4階層で霧に見舞われたカブルーたちを、クトゥルフ神話のクトゥルフを想起させる頭足類の頭を持った魚人が襲う。戦うしかないと身構えるカブルーだったが、その斧の太刀筋から仲間のドワーフのダイアだと気が付く。魔物に対する好奇心は旺盛だが人間が苦手なライオスと異なり、カブルーは幻覚越しでも魚人の仕草から誰が誰なのかを考察できるほど人間観察が得意であることが考察できる。
幻術の霧の中で、自分たちのパーティーでない動きをしていた魚人を見つけ出したカブルーは術師を一撃で仕留めようとする。幻術の霧の正体は死体回収屋による詐欺行為の一環だった。死体は深い階層で回収されるほど、危険を冒して回収したということで島主から多く助成金が出るのだ。
卑劣な死体回収屋
それを手っ取り早く行うためには、不相応な階層まで潜るパーティーを自分たちの手で死体にしてしまえば良いというわけだ。ここでカブルーが自分たちのパーティーを第4階層は不相応と評価しているが、カブルー自身の格闘術のセンスは高く、死体回収屋の手下をうまく倒している。そのようなカブルーよりも深層に潜れるライオスたちのパーティーは上澄みの冒険者たちだったことが考察できる。
死体回収屋は自分の手下を死体にして利益を出すことを提案するが、カブルーはそれを受け入れたふりをして死体回収屋を斬って捨てた。カブルーは魔物に関する知識は明るくないが、人間観察が得意なため対人戦は強いことが考察できる描写だ。
また、カブルーは死体回収屋のようなダンジョンを金儲けの道具にしか考えていないものを嫌っている。そこには彼の出生が関係しているだろう。『ダンジョン飯』の世界には島のダンジョン以外にも多くのダンジョンが存在しており、それによる被害も多いことが考察できる発言だ。
カブルーの推理
カブルーは残された証拠から、自分たちの食糧を取ったのがライオスたちのパーティーだと考察する。ライオスは魔物への好奇心からダンジョンに潜っているため、父親が氏族の金を横領したことで金に困っていたナマリと方向性の違いで揉めていたようだ。
ナマリの父親は武器屋と呼ばれ、武器流通を仕切っていたが多額の横領の末に失踪している。それによりナマリは村八分に遭っており、ダイアはそれを知っていた。以前、島主がドワーフによってダンジョンが広がり続けているという根も葉もない噂を信じていたのは、ナマリの父親によるドワーフへの心象の悪化があったことが考察できる。
また、チルチャックは短命で使い捨てにされやすいハーフフットのため、前金払いなど制度化された組合〈ギルド〉を運営していたが、ミックベルのような若いハーフフットには報酬を横から掠め取る程度の認識だ。この心象は良く言えばビジネスライクな人間関係を好む、悪く言えば口下手なチルチャックの性格が反映されていると考察できる。
人間観察を好むカブルーは、魔物には興味はあるが人間に興味のないライオスとファリンについて興味津々だった。善人ではなく、人間に興味のないライオスがダンジョンの新たな主になるのを嫌がっていた。
シーサーペントを断つシュローの白刃
帰路に着くカブルーのパーティーをシーサーペントが襲う。刃魚が飛び跳ねなかったら気づくことが出来なかったシーサーペントは静かなる海の暗殺者と呼ばれ、毒にある程度耐性のあるコボルト意外だったら即死するほどの猛毒を有する20~30mの巨躯を誇る魔物だ。第3階層の魔物相手でも気絶させられるカブルーのパーティーが倒せる相手ではない。
そこに現れたのは忍者のヒエンで、火薬でシーサーペントをひるませる。その隙を突いて怪力のオーガであるイヌタデが顎を搗ち上げ、最後は剣客のシュローが一刀両断するという連携攻撃でシーサーペントを倒した。やつれた顔のシュローは先を急ごうとするが、カブルーはその手腕とライオスのパーティーにシュローがいたことを踏まえ、その懐に潜り込もうとする。それから時は流れ、現在のライオスのパーティーは道に迷い、死にかけていた。
第14話の感想と魔物食の原点に戻る第15話
カブルーの視点からダンジョンの異変を描いたアニメ『ダンジョン飯』第14話「シーサーペント」。ライオスたちの視点では狂乱の魔術師シスルがデルガル王を捜索するために、浅層に炎竜〈レッドドラゴン〉を徘徊させていることが明らかになったが、カブルーたちの視点ではダンジョンの治安が徐々に荒れ始めていることが明らかになった。
そして、連携攻撃を得意とするシュローのパーティーが登場し、物語は炎竜〈レッドドラゴン〉討伐とファリン救出を目指していた頃から大きく動き始める。オープニングとエンディングの楽曲も変わり、アニメ『ダンジョン飯』が新たなクールに突入したことを実感させられた。
第15話では、センシが若者たちに食事を提供しなければならないと考えている理由や、マルシルによる回復魔法の解説など、ライオスのパーティーにも大きな変化が生じると考察できる。その一方で炎竜〈レッドドラゴン〉と狂乱の魔術師シスルとの戦いで少し離れていたが、魔物食という『ダンジョン飯』の原点に戻ることも考察できる。第15話での新たな魔物との出会いに期待が高まる。
アニメ『ダンジョン飯』第14話「シーサーペント」は2024年4月4日(木)22:30より放送と配信が開始。
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