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Amazonの新たなSF『アンダン〜時を超える者〜』
Amazonプライムビデオのオリジナルアニメ『アンダン〜時を超える者〜』の配信が2019年9月13日 (金) に始まった。7月に配信を開始し話題を呼んだ『ザ・ボーイズ』、11月に配信開始を予定している『高い城の男』ファイナルシーズンに挟まれる形で公開された『アンダン〜時を超える者〜』は、アメコミ原作の『ザ・ボーイズ』とも、クラシックSFを実写化した『高い城の男』とも一味違うタイムスリップSFだ。
Amazon初のロトスコープアニメーション
『アンダン〜時を超える者〜』の最大の特徴は、”ロトスコープアニメーション”と呼ばれる映像制作の手法にある。ロトスコープアニメーションとは、実写で撮影された映像をトレースして制作されるアニメーションのことだ。実際に俳優が演技を行うため、よりリアリティのある映像制作が可能になる。一方で、アニメの特徴を活かした映像演出も可能なため、『アンダン〜時を超える者〜』ではタイムスリップをはじめとするSF的で独創的な映像の数々を堪能することができる。
メイキングビデオが公開
AmazonプライムビデオのYouTube公式チャンネルでは、このロトスコープアニメーションを用いた『アンダン〜時を超える者〜』のメイキング映像が公開されている。同作の出演者、スタッフらが『アンダン』ができるまでの映像制作の過程を語っている。
勝因は「具体的なビジョン」
ラインプロデューサーのアレックス・ダウディングは、『アンダン〜時を超える者〜』の映像を「油絵と3Dアニメーション、2Dアニメーションを混ぜ合わせたもの」と説明する。そして、このような複雑な映像表現を生み出すことができた最大の要因は、監督を務めるヒスト・ハルシングの才覚にあるようだ。アルマの妹ベッカを演じたアンジェリーク・カブラルは、ヒスト・ハルシング監督には映像を完成させるための「具体的なビジョン」があると賞賛している。
「ロトスコープ以外に方法はない」
製作総指揮のラファエル・ボブ=ワクスバーグとケイト・パーディの下、監督を務めたヒスト・ハルシングは、「『アンダン』の脚本を読んだ瞬間、ロトスコープ以外に方法はないと思いました」と話している。ロトスコープアニメーション制作の監督を務めたクレイグ・スタッグスは、ロトスコープアニメーションを「動画に色を塗るようなもの」と形容し、「クリエイターと脚本家は (描きたいものを) なんでも書ける」とロトスコープアニメーションの強みを説明している。
気になる制作過程は?
『アンダン〜時を超える者〜』の撮影過程は、通常のドラマ制作と同じように、まずは絵コンテを基に俳優とセットを用いた撮影が行われる。ロトスコープアニメーションを用いれば、アニメーションでありながら、俳優の目の動きなどのリアルな描写を作品に反映できる。
次に、撮影した動画に3Dアニメーション制作のチームがCG素材を重ね合わせていく。
3Dレイアウト班が背景を設置し……
そして、CGと組み合わさった映像に“色を塗る”作業は、また別のチームによって行われる。
また、3Dレイアウトで背景を制作する際には3DCGで制作されたパーツを色塗り班に送り、色塗り班ではパーツごとに塗色が施される。3Dレイアウト班は、これらのパーツを自由に配置して背景を作っていく。
Amazonアニメの基軸に?
通常の映像制作の過程をディスラプトし、実写、CG、色ぬりと各々のパートで各チームが一流の仕事をやってのける。この非常に手間のかかる制作手法もあってか、『アンダン〜時を超える者〜』は各話20分程度、全8話のサイズに収まっている。
だが、ベッカ役のアンジェリーク・カブラルは『アンダン〜時を超える者〜』の制作手法は「テレビ業界を変える」とまで豪語している。ロトスコープアニメーションは今後もAmazonオリジナルアニメの基軸となっていくのだろうか。
『アンダン〜時を超える者〜』は、2019年9月13日 (金) より、Amazonプライムビデオで独占で配信中。