ネタバレ解説『バッド・バッチ』シーズン2第12話 兵士達が問われる立ち位置、戦後をどう生きるか あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『バッド・バッチ』シーズン2第12話 兵士達が問われる立ち位置、戦後をどう生きるか あらすじ&考察

TM & © Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

『バッド・バッチ』シーズン2第12話はどうなった?

アニメ『スター・ウォーズ/バッド・バッチ』(2021-) は、アニメ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020) の直後を舞台にした「スター・ウォーズ」最新作の一つ。帝国軍を離れたクローンの“不良分隊” バッド・バッチのその後を描く。シーズン2第11話からは、ドラマ『マンダロリアン』(2019-) のシーズン3と同日に配信されている。

全16話で構成される『バッド・バッチ』シーズン2も、4分の3の終わりに位置する第12話の配信がスタート。第15話と最終話は同日に配信されるため、残すところは3週間ということになる。クライマックスに向けて、シーズン2第12話ではどんな展開が待っていたのだろうか。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン2第12話の内容に関するネタバレを含みます。

シーズン2第12話「前哨基地」あらすじ&ネタバレ解説

クローン差別

アニメ『バッド・バッチ』シーズン2第12話は、シーズン2最長の32分という尺になっている。前回はバッド・バッチ一行が帝国軍によるクローン技術を利用した研究と帝国がクローン技術を独占するためにカミーノを滅ぼしたという事実を発見。レックスとエコーにその情報を提供した。一転して第12話ではシリアスな空気が流れている。

第8話でクローン兵の廃止と徴兵制の導入が決定した帝国軍では、クローントルーパーたちが退役を迫られていた。一方、クロスヘアーはノーラン大尉の指揮下でバートン4の補給基地での警護の任務に就く。今や帝国軍内ではクローンたちは差別の対象になっている様子も窺える。

雪国に降り立ったノーランたちはコマンダー・メーデーとその部下のヘックス、ヴィーチと合流する。ノーランとメーデーはバチバチ。確かにメーデーの言う通り、クローン兵たちはクローン大戦でいくつもの戦闘を経験した歴戦の戦士だが、人間の兵士はまだまだ経験不足の状況だ。帝国軍としても即座に入れ替えというわけにはいかないのだろう。

メーデーたちは中身が何かも分からない荷物を1年以上守り、設備が劣化しても交換してもらえず、襲撃されて仲間を失う劣悪な待遇を受けていた。僻地に追いやられたクローン兵の悲しい現実である。

クロスヘアーの選択

“賊”の襲撃を受けたクロスヘアーたちは、乗ってきた船を爆破されてしまう。クロスヘアーは狙撃した賊を追って足取りを掴むが、この襲撃でヘックスもヴィーチも死んでしまい、この基地の人員はメーデーだけになってしまった。

人手不足ということで、メーデーとクロスヘアーの二人で盗まれた貨物を取り戻しに行くが、クロスヘアーが狙撃した人物は既に落命していた。クロスヘアーが踏んでしまった地雷に対処する間、メーデーは「戦争が終わることは考えていなかった」と話し、兵士が「戦後」と「退役」について悩む“クローン・ウォーズ後”のテーマを改めて紹介している。

ここでクロスヘアーは躊躇しながらも自分の所属していた部隊をクローン・フォース99(バッド・バッチの正式名称)と明かす。一方で、メンバーは「全員死んだ」と、帝国軍の公式見解を踏襲する。シーズン1の最終話でバッド・バッチに命を救われたクロスヘアーはハンターたちが生きていることを知っている。

共に歩むことは拒否したクロスヘアーだったが、あえて旧友達を追い込むことはしない。このシーンでも「任務は任務だ」と言っている通り、シーズン1でバッド・バッチを追ったのも、「任務だったから」という一点しかないのだろう。相変わらずそれはそれで非常に危険な考え方だが……。

絶望を越えて

メーデーが裏切り者という線も考えられたが、ここでは無事に地雷を解除してクロスヘアーはことなきを得る。敵基地を襲撃した二人は圧倒的な数的劣性も物ともせず貨物を奪還することに成功する。その貨物の中身は、クローントルーパーに代わって新設されるストームトルーパーの装備だった。

メーデー達クローン兵は、自分たちが置き換えられる人間の兵士の最新装備のために、1年以上過酷な環境で仲間を失いながら過ごしてきたのだ。自分たちには新しい備品は与えられず。衝撃を受けたメーデーは、「優秀な兵士は命令に従う」というクローン兵の標語に「何のために?」と問いかけるのだった。

爆発で起きた雪崩によってメーデーは負傷し、自分を置いていくように言うが、クロスヘアーは諦めない。クローン兵として犠牲を払ってきたが報われなかったことに絶望したメーデー。クロスヘアーは、その忠誠が無駄になることが何より怖かったのかもしれない。凍えながらもメーデーに肩を貸して歩き続け、ついに二人は前哨基地に帰還する。

まさかのラスト

クロスヘアーは、ノーラン大尉にメーデーを助けるよう求めるが、「資源の無駄」と一蹴されてしまう。命を落としたメーデーに「帝国の兵士として目的を果たした」と言い放ったノーランは、メーデーとクロスヘアーをはじめとするクローンを「使い捨て」と切り捨てる。激しい怒りを抱いたクロスヘアーは、大鳥の姿を見るとノーランを銃撃し、その場に倒れ込んだのだった。

クロスヘアーが連れてこられたのは、前回登場したタンティス。そして現れたのはエメリーだ。ラマ・スーが捕えられている施設で注射を打たれたクロスヘアーは、上司を撃ったにもかかわらず、協力すれば生き延びられるという。一体ここで何が行われようとしているのだろうか。

シーズン2第12話のエンディングは、前回クロスヘアー回となった第3話と同じく、バッド・バッチのテーマ曲は流れず。重苦しい空気の中、『バッド・バッチ』シーズン2はラスト4話に突入していくことになる。

『バッド・バッチ』シーズン2第12話考察

どうなるクロスヘアー?

このところパルパティーンとクローンに関連する展開が続いていた『バッド・バッチ』シーズン2だったが、第12話では、第3話以来となるクロスヘアーの回に。兵士として、クローンとして戦後をどう生きるかという『バッド・バッチ』の根源的なテーマに立ち帰った回だった。

クロスヘアーは、シーズン1ラストで「今後は帝国が銀河中を支配する。俺はその一部になる」と言い、バッド・バッチへの合流を断った。だが、シーズン2第12話でついにクローンは「使い捨て」という言葉を上官から直接投げかけられた。仲間を捨ててでも帝国に従うと決めたクロスヘアーは、遂に指針を失い、上官に手を出すに至ったのだ。クローントルーパーからストームトルーパーへの移行期間には、このような展開が幾度となく起きていたのだろうか。

注目は、クロスヘアーがナラ・セのいるタンティスに連れてこられたことだ。前回、ヘムロック博士は帝国のために働くようナラ・セを説得していた。最後にはラマ・スー首相がナラ・セを動かすにはオメガが利用できることを示唆した。

もしオメガがタンティスに連れて来られるのならば、互いに命を救ったオメガとクロスヘアーは再会を果たすことになる。だが、クロスヘアーは何らかの実験を受けることになりそうで、その結果次第では記憶が残っていないなんてことも起こりうるだろう。それでも一応エメリーの言う通り「生き延びて」はいるのだから。

シーズン2第7話では、識別番号のないクローンが現れ、チューチー議員の暗殺を狙っていた。最後にはそのクローンは「信じる者 (a believer)」と名乗り、情報を提供せずに自死する忠誠心を見せた。もしかするとクロスヘアーは、このように自分の意思を持たずに“特攻”する鉄砲玉に変えられてしまうのではないだろうか。

シーズン1では、クロスヘアーは制御チップの影響ではなく、自分の意思で帝国に従っていることが明かされた。クロスヘアーが今度こそ意思のないソルジャーになってしまうとすれば、否が応でも辛い結果が待ち受けることになるが……。

帝国の方針

もう一点、今回明らかになったのは、メーデーらが同じ荷物を1年以上守っていたのだとすれば、帝国は非常に用意周到にストームトルーパーの導入を準備していたということだ。また、メーデーの話から、おそらくこの時点では『バッド・バッチ』シーズン1の冒頭から1年以上が経過していることも分かる。

メーデーたちは、ボロボロの防具に包帯のように布を巻いて防具を使っていた。一方で新防具に予算を投じていた帝国はケチという他ない。シーズン1でも、帝国軍のターキン提督はクローン兵の廃止の理由を「徴兵の実施で費用は半減する」と話しており、コストカットがストームトルーパーへの移行の目的の一つであったことが明かされている。

今回、メーデーは自らの忠誠に「何のために?」と疑問を持った。全ては組織のコストカットのためだったとすれば、クローン兵達が絶望するのも無理はない。クロスヘアーは強大な力に乗っかろうとして、結局は強大な力の方針に翻弄されることになった。

ようやく目を覚ましたように思われるクロスヘアーの“救済”はあるのだろうか。シーズン2もクライマックスまで見届けよう。

アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン2はDisney+で独占配信中。

『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』(Disney+)

同日配信の『マンダロリアン』シーズン3第2話のネタバレ解説&考察はこちらの記事で。

 

『バッド・バッチ』シーズン2第13話のネタバレ解説はこちらから。

第1話のネタバレ解説はこちらから。

第2話のネタバレ解説はこちらから。

第3話のネタバレ解説はこちらから。

第4話のネタバレ解説はこちらから。

第5話のネタバレ解説はこちらから。

第6話のネタバレ解説はこちらから。

第7話のネタバレ解説はこちらから。

第8話のネタバレ解説はこちらから。

第9話のネタバレ解説はこちらから。

第10話のネタバレ解説はこちらから。

第11話のネタバレ解説はこちらから。

 

シーズン1ラストの解説はこちらの記事で。

シーズン1で明かされたクローン兵廃止の理由はこちらから。

 

ドラマ『マンダロリアン』シーズン3第1話のネタバレ解説&考察はこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
お問い合わせ

関連記事

  1. 31年ぶりにアメリカから来たウルトラマン! 『Ultraman:Rising』6月14日公開!

  2. 『ブラック・ウィドウ』から『ホワット・イフ…?』へ——ナターシャが遺したメッセージとは【ネタバレあり】

  3. ネタバレ解説『ホワット・イフ…?』第3話 アベンジャーズ計画に異変。原作映画では? あらすじ・考察・音楽

  4. ネタバレ解説『ホワット・イフ…?』第7話 パリピのソーが大暴れ! ラストの意味は? あらすじ・考察