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人気アニメ『BNA ビー・エヌ・エー』
『SSSS.GRIDMAN』(2018)のTRIGGERが仕掛ける新アニメ『BNA ビー・エヌ・エー』。2020年4月9日(木)よりフジテレビ「+Ultra」枠で放送を開始した。「+Ultra」は海外を意識したアニメ作品を放送することで知られており、『BNA』もまた海外に通用するコンセプトを掲げた作品になっている。
#TRIGGER 最新作TVアニメ『BNA ビー・エヌ・エー』第2話「Rabbit Town」ご視聴ありがとうございました!気になる第3話「Rhino Melancholy」のWEB予告動画を公開!日渡なずな(CV:#長縄まりあ)にも注目です!
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— TVアニメ『BNA ビー・エヌ・エー』 (@bna_anime) April 15, 2020
『BNA』では、“獣人”と呼ばれる種族が出現した日本が舞台になっており、各話において差別や貧困をテーマにした物語が繰り広げられる。第2話ではマイノリティの中の女性差別が描かれた。そのあらすじと解説は以下の記事からご覧いただきたい。
今回は、第2話の解説に引き続き、第3話のあらすじと解説をご紹介しよう。
第3話「Rino Melancholy」のあらすじは?
みちるの過去を知った士郎
第2話では、腐敗したアニマシティの姿に直面した主人公のみちる。オオカミ獣人の士郎に自分が人間であるという証拠になる学生証を突きつけ、「こんな街も獣人も大っ嫌い!」と言い放った。第3話の冒頭、士郎はみちるの学生証のにおいを辿り、みちるの過去を知る。士郎は獣人の残留香を辿り、その場所や物の周辺で起きた出来事を知ることができるのだ。
みちるの親友である なずな は、ある日突然獣人に姿を変えて連れ去られた。みちる自身も獣人になり、引きこもる日々から逃れるようにして獣人達が住むアニマシティへ行くことを決意していた。
そんなみちるの過去を知った士郎は、あろうことかみちるの存在を「危険だ」と部屋に閉じ込めてしまう。人間が獣人になると分かれば人間はパニックに陥るというのだ。士郎が「獣人の平和は俺が守る」といつもの決めゼリフを披露したところで、市長のロゼが訪ねてくる。
爆破事件の調査に
士郎はロゼから爆弾犯の追跡を依頼され、解放したみちると共に調査にあたることに。研究所と病院を持つシルヴァスタ・メディカルセンター、通称メディセンを爆破するという予告が出ていたのだ。犯人は前日にシルヴァスタ製薬の薬剤を運ぶトラックを爆破し、「獣人のために使う金を人間のために使え」と主張している。犯人は、アニマシティに多額の資金援助をしているシルヴァスタ製薬を狙う反獣人派の人類なのか——。
士郎は獣人の平和を守るために、みちるはメディセンで自分が獣人になった“病気”を治すために、この事件の捜査に当たる。スマホを与えられたみちるは士郎と離れてメディセンへの侵入に成功。ギャングの日下部とメディセン職員の三村が何かの物資を取引している場面に出くわす。
三村から報告を受けた所長の矢場は、みちるの顔に見覚えがある様子。なぜ研究所の職員がみちるのことを知っているのか……。一方、士郎がみちるを助けているうちに、メディセンは爆破されてしまう。みちるを置いて現場に向かおうとする士郎に、みちるは自分が今は獣人だということを認める。士郎の「獣人の平和は俺が守る」という言葉を逆手にとり、士郎と共に行動することにしたのだ。
暴かれる研究所の不正
爆破されたのは研究所のデータ管理部門。シルヴァスタ製薬の会長は所長の矢場に事件の痕跡を残さないように指示する。士郎は、現場に全くにおいが残っていなかったことから、においを消せる研究所の薬品が使用されたということ、爆破事件がギャングとの取引を隠蔽するために矢場が仕掛けた自作自演だということを指摘する。薬品を使用した矢場の手には、普通どの獣人にもあるはずのにおいが残っていなかったのだ。
追い詰められた矢場はサイの獣人に、三村はカメレオンの獣人に変化。保身のために事件を偽装した矢場に対し、士郎は「獣人の誇りを捨てた」と激昂し、サイの獣人である矢場の角を粉々に破壊する。
三村に人質に取られたみちるは前回に続き、タヌキの変身能力を使って三村の手から逃れるも、メディセンの屋上から転落してしまう。間一髪、身を呈してみちるを助けた士郎は、「獣人は俺が守る」と、みちるとの約束を果たしたことを告げる。
士郎の姿勢に変化が
事件後、ロゼ市長は、三村と矢場が横領を隠蔽するために自作自演の爆弾事件を仕立て上げたと説明する。一方でみちるは、その行動と悪意の裏に、より大きな動機があると推察する。
都合の悪いことを隠そうとする人々に嫌悪感を示すみちるは、自分を閉じ込めようとした士郎を批難する。第2話のラストに引き続き、第3話のラストでもみちるから批判された士郎だが、今回は「悪かった、もう閉じ込めたりしない」とみちるに謝罪する。士郎の姿勢にも変化が訪れていたのだ。
その頃、シルヴァスタグループの会長アランは研究所の移動を指示していた。アニマシティ設立10年の節目にアニマシティへ移転することを示唆して、第3話は幕を閉じる。
第3話「Rino Melancholy」の解説
隠蔽体質の組織、それを生み出す社会
第2話「Rabbit Town」で示されたのは、アニマシティが残酷な弱肉強食の社会であるということだったが、第3話「Rino Melancholy」では組織とその中で生きる個人にもスポットライトが当てられた。
矢場と三村は、反獣人派によるヘイトクライムに見せかけ、研究所で行われていた横領の隠蔽をはかっていた。一方で、裏にはマイノリティである獣人たちが住むアニマシティの支援を行う大企業シルヴァスタグループの存在がある。アニマシティ建設をめぐるより大きな野望の存在まで透けて見える。
人類による環境破壊により、自然界を追われ、アニマシティに移り住んだ獣人達。だが、アニマシティはユートピアなどではなく、資本主義、企業中心社会という人を切り捨て貧困を生み出す制度の中にある。メディセンの研究者達も例外ではなく、自身の保身のために結託して隠蔽活動に勤しんでいたのだ。
一方でみちるを匿っているのは獣人生活協同組合だ。企業主体の資本主義の体制に抗い、組合員による支え合いを基礎に置く協同組合という組織形態が選ばれているということは、『BNA』における特徴的な設定の一つである。
個人にも焦点
組織の隠蔽体質は、現実社会の日本政府に通じる話でもある。だが、シルヴァスタ製薬および同グループの目的については、謎に包まれている点が多い。第3話の焦点をもう少し絞ると、やはり獣人の中にも多様な人々がいるという当然の事実が見えてくる。
マイノリティであっても不正を行いうる (マイノリティは清く正しい存在であると規定すること自体が差別でもある) ということは第2話でも示された。そんな中でも、不正に手を染めた三村や矢場と、士郎が異なる点は、自らの過ちを認めて変わろうとしたところにある。
みちるがアニマシティに絶望して「獣人もアニマシティも大嫌い」と言い放ち、どこか暖かみに欠ける士郎を批判したことが、士郎の姿勢が変わるきっかけになったのだ。アニマシティも、獣人達も、捨てたものではないのかもしれない。
一方で“獣人嫌い”になりかけていたみちるもまた、自分が獣人であるということを受け入れつつある。正反対な二人の化学反応は、今後の物語でも要注目のポイントだ。
第2話「Rabbit Town」で提示されたのは、救いようのないアニマシティの姿だった。第3話「Rino Melancholy」では、みちるの奮闘を受けて、みちるの最も近い人物である士郎に変化が現れるという一筋の希望を見せてくれるものだった。第4話では一体どんな物語が展開されるのか、引き続きチェックしていこう。
アニメ『BNA ビー・エヌ・エー』はフジテレビ「+Ultra」にて放送中。
Netflixでは全12話を先行配信している。
『BNA』第4話のあらすじは以下の記事から。
『BNA』に出演する声優の情報は以下の記事から。
『BNA』で流れる音楽については、以下の記事に詳しい。