【ネタバレ解説】『BNA ビー・エヌ・エー』第2話 マイノリティの中の女性差別【あらすじ・レビュー・感想】 | VG+ (バゴプラ)

【ネタバレ解説】『BNA ビー・エヌ・エー』第2話 マイノリティの中の女性差別【あらすじ・レビュー・感想】

©️2020 TRIGGER

話題のアニメ『BNA ビー・エヌ・エー』

『キルラキル』(2013)、『SSSS.GRIDMAN』(2018)といった人気アニメを手がけてきたTRIGGERの最新作『BNA ビーエヌエー』。2020年3月21日(土)よりNetflixで先行配信を開始し、2020年4月9日(木)にフジテレビ「+Ultra」での放送を開始した。


『BNA』では『プロメア』(2019)で原作・脚本を務めた中島かずきが原作・脚本を、『リトルウィッチアカデミア』(2017)の指揮をとった吉成曜が監督を務める。アニメーションのクオリティの高さはもちろんのこと、声優陣も豪華な面々が結集しており、国内外から人気を集めている。

今回はアニメ『BNA』より、第2話「Rabbit Town」に注目し、解説していきたい。第一話のあらすじは以下の記事に詳しい。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『BNA ビー・エヌ・エー』の第2話までの内容に関するネタバレを含みます。

第2話「Rabbit Town」のあらすじは?

ラビットタウンに乗り込むみちる

第1話のラストで自身が以前は“人類”だったことを明らかにした主人公の影森みちる。それでも、オオカミ獣人の大神士郎やニワトリ獣人のジェム・ホーナーには自分が人間だということを信じてもらえず、みちるは自分が“獣人病”という病気にかかったと主張する。自身が人間だということを証明できる学生証もお祭りの際に盗まれてしまっており、みちるは途方にくれる。

翌朝、市役所に“獣民登録”に出向いたみちるは、“弱肉強食”がまかり通るアニマシティのルールを知る。「思ってたのと違う」アニマシティの様子にがっかりするみちるだが、ミンク獣人のマリー伊丹から、失くし物が集まるという“ラビットタウン”の存在を知らされる。自分の財布を取り戻すためラビットタウンに乗り出したみちるは、そこでグラングランマ率いる女性の獣人が集まったギャングの集団と出会う。

みちるは、財布を返してもらうことと引き換えに、ラビットタウンに暮らす子ども達に読み書きを教えることに。グラングランマは、ラビットタウンを「男たちに裏切られた女獣人が集まる場所」と説明する。みちるは、子ども達には読み書きを教えることで、“いくらかマシな明日”を与えようとしていると教えられる。

子ども達に迫る危機

読み書きを教える中で、子ども達と打ち解けていくみちるだったが、ラビットタウンには危機が迫っていた。マフィアのボスであるルドルフ・フリップが、グラングランマのもとに取り立てにやってきていたのだ。フリップはグラングランマに「新しいブツ」をさばいて金を仕入れるよう迫る。

女獣人のギャングたちは、みちると子ども達を売り飛ばすことを決意する。みちるが読み書きを教えていた子ども達は孤児であり、もともと売り飛ばされる目的で養われていたのだ。人身売買に手を染めるグラングランマを非難するみちるに対し、グラングランマは「弱い者はより弱い者を踏みにじって生きていく。ここはそういう所さ」とアニマシティの哀しい現実をみちるに告げる。

檻に入れられ出荷されそうになるみちるだが、「この街に来ても誰も助けてくれない。自分の手を自分の手で伸ばして掴み取らないと」と自分でこの苦境を抜け出すことを決意。最後まで諦めなかったみちるは自力での脱出に成功すると、士郎の助けも得てギャングたちは取り押さえられる。

問われる女性差別

みちるは再びグラングランマを責め立てるが、「獣人の世界で女だけで生きていくのがどれだけ大変か、知ってから言いな」と重みのある言葉を返される。士郎は最終的に助けてはくれたものの、終始事務的な態度で、「俺はミスはおかさない。獣人の女や子どもは俺が守る」と、あくまでウエメセをやめない士郎に対して怒りを爆発させる。

そんなにオスが偉いの? 男が偉いの?

みちるは自分が人間だということを証明し、みちるを信じなかった士郎の過ちを指摘。「こんな街も獣人も大っ嫌い!」と、人間に戻ってアニマシティを去ることを決意する。

第2話「Rabbit Town」の解説

テーマは女性差別、そしてマイノリティの中での差別

以上が『BNA』第2話「Rabbit Town」のあらすじだ。第2話目からジェンダーをテーマにした作品となっており、獣人社会を描きながら人間社会にも存在するミソジニー (女性嫌悪/女性蔑視) や、マイノリティがよりマイノリティである人間の足を踏んでサバイブする社会の構図を描き出している。

アニマシティにつくられた獣人社会は、人間から差別・迫害される獣人達が集まり、安心して暮らしていくためのコミュニティだったはずだ。だが、その中でも女性差別は色濃く残っており、フリップの部下である日下部は「相変わらずメスくせぇところだな」「お前ら女達がやくざ稼業で生きていけるのは誰のおかげか」「お前らがやっていけんのは俺たちのおかげだ」と、ミソジニーを隠さない。

マフィアのボスであるフリップもまた「所詮女の仕事」と女性達を見下す発言をしている。人類から迫害されてきた獣人も清廉潔白な人々ではなく、獣人同士での差別がまかり通っている。これは私たち人間が現実の社会で生きていく中でも日々直面する事実ではないだろうか。

主人公みちるは、市役所で喧嘩が始まるシーンから、アニマシティが決してユートピアではなく、弱肉強食で成り立つ残酷な社会だということを知る。更に差別を受ける女性獣人達もまた生き延びるために孤児の人身売買に手を染めているという哀しい現実を知る。そして、みちるにとって数少ない拠り所であった大神士郎までもが「女子ども」と女性を見下した言葉を使う。

決死の思いで逃げ込んだアニマシティとそこに暮らす人々へのみちるの絶望が描かれたのが第2話「Rabbit Town」だった。みちるは、獣人の男達が女達を利用し、女獣人達が孤児の人身売買に手を染める、マイノリティが更にマイノリティである存在を利用し搾取する状況を、自身の“能力”で乗り越えていく。「誰も助けてくれない。自分の手で掴み取らないと」と強くなることで突破するのだ。

示されたTRIGGERの姿勢

このストーリーは、今まで差別問題と向き合ってきた人にとっては、少々物足りなさも感じるかもしれない。根本的な解決はないまま、物語は第3話へと向かっていく。ジェンダーの観点から考えれば、『BNA』第2話「Rabbit Town」は、女性差別を深く抉り出した作品というわけではない。

それでも、アニメで一般的に (それもクールなキャラクターによって) 使われてきた「女子ども」というミソジニーな表現に対して反発することを当たり前のこととして描いた。日本の商業アニメにおいて、わかりやすい形で“フェミニズム回”が制作されたことは、一定の意義を持つはずだ。『BNA』第2話「Rabbit Town」は、アニメーション表現においては世界の先端を進んでいたTRIGGERの商業アニメが、ストーリーテリングにおける根本的な態度においても、世界の標準で戦っていくという姿勢を証明する回にもなった。

女性差別に限らずアニマシティで噴出する社会問題が、今後どのように回収されていくのか (それともされないのか)、第3話以降もじっくり見守ろう。

アニメ『BNA ビー・エヌ・エー』はフジテレビ「+Ultra」にて放送中。
Netflixでは全12話を先行配信している。

『BNA ビーエヌエー』(Netflix)

『BNA』の第3話のあらすじは以下の記事からご覧いただける。

『BNA』に出演する声優の情報は以下の記事から。

『メガロボクス』のmabanuaが手がけた音楽についての情報は以下の記事に詳しい。

齋藤 隼飛

1991年生まれ。
社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。
編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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