ネタバレ考察 MCUと繋がる? カノンイベントとは?『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』監督の発言にも注目 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ考察 MCUと繋がる? カノンイベントとは?『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』監督の発言にも注目

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『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』公開

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が2023年6月16日(金) より日本で公開された。「スパイダーマン」シリーズの最新作にして、2018年公開の『スパイダーマン:スパイダーバース』の7年ぶりの続編とあって注目度も高い。

前作から『スパイダーバース2』でもある本作が公開されるまでの間に、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021) に『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)、『モービウス』(2022) と、「スパイダーマン」周辺ではMCUと繋がる形でのマルチバース展開が続いていた。今回は、『アクロス・ザ・スパイダーバース』とMCUの繋がりについて考察してみよう。

以下の内容は本編のネタバレを含むので、必ず劇場で鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の内容に関するネタバレを含みます。

『スパイダーバース2』MCUとの繋がりは?

ドクター・ストレンジの名前

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』は、前作以上になんでもありの祝祭のような作品だった。レゴの世界とも繋がるし、ザ・スポットは「ヴェノム」に登場したチェンさんのコンビニに顔を出すし、ドナルド・グローバー演じるプラウラーが実写で登場するし、単なるアニメ作品に収まらない展開の連続だった。

その中でもいくつか見られたMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の要素には驚かされた。『スパイダーバース2』の冒頭では、スパイダー2099ことミゲル・オハラがアース199999のドクター・ストレンジが厄介者であるとして言及。MCUでマルチバースの扉を開いたドクター・ストレンジとMCUのかつての呼び名である「アース199999」に言及して、連続時空帯の安定を守ろうとするミゲルがMCUの世界にも顔を出していることを示唆した。

そもそもミゲルがチームを組んでやろうとしていることは、ドラマ『ロキ』(2021-) に登場したTVA(時間変異取締局)と似たようなことである。TVAは通常と違う行動を取った“変異体”が現れてタイムラインが分岐してしまった場合に、分岐先に職員を派遣して分岐を元に戻すという作業を行なっていた。

TVAのミス・ミニッツは、タイムラインを分岐させる出来事を「ネクサスイベント」と呼び、ユニバースの分岐が起こるといずれ時間軸同士が衝突して戦争になると話していた。ミゲルは対象をスパイダーマンに絞って「カノンイベント」と呼ばれる避けてはいけないイベントを守ったり、次元間のヴィランの移動に対処していたようだ。

MCU映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) では、スパイダーマンことピーター・パーカーの頼みによってドクター・ストレンジが魔法を使おうとした結果、失敗してマルチバースの扉を開いてしまう。これがヴィランがマルチバース間を移動した最初の例であり、ミゲルはスパイダーマンが絡むこのイベントも見守っていたのかもしれない。

時間軸分岐の理論

そのミゲル・オハラは、スパイダーバースについて解説するときにタイムラインが木の枝のように分岐してマルチバースが誕生することを説明している。この時に白い光で描かれる“枝分かれするタイムライン”の図が、MCUで使用されるそれとそっくりなのだ。

MCUアニメ『ホワット・イフ…?』(2021-) シーズン1の第4話では、避けて通れない「絶対点」という概念が紹介された。このエピソードで描かれるのは、ドクター・ストレンジが元恋人のクリスティーン・パーマーの死をなかったことにしようとして、宇宙の破滅を呼び起こしてしまうという展開だ。

後に本作を手がけた脚本家のA.C.ブラッドリーは、「絶対点」を「ネクサスポイント」と呼ぶべきだったと弁明。「絶対点」は避けられないイベントというより、必ず起きるべきイベントを無理に無かったことにしようとすると宇宙が消滅するということだ。『ロキ』で使われた「ネクサスイベント」は時間の分岐を生むイベントだが、「ネクサスポイント」は覆すと宇宙の消滅を招くイベントと理解することができる。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』では、ミゲルが「カノンイベント」と呼ばれる避けてはいけない出来事があると紹介している。それは「ベン叔父さんの死」であったり、「身近な警察署長の死」であったり、「スパイダーマンがグウェンに恋をする」であったりする。これもネクサスポイントと似ており、マイルスがスパイダーマン・インディアの世界の警察署長を助けたように、避けられないわけではなく、避けてしまうと重大な問題が起きうるという性質のもののようだ。

ミゲル・オハラは過去に自分が家族を残して死んだユニバースに行き、死んだ自分に成り変わって家族の面倒を見るという行為に手を出した。その結果、ユニバース全体が崩壊したことが示唆されており、これはまさに『ホワット・イフ…?』シーズン1第4話でドクター・ストレンジがやったことと同じ過ちである。

これによってカノンイベントの重大さを痛感したミゲルは、MCUで言うところのネクサスイベントを起こす異端分子であるマイルス・モラレスを捕らえようとするのだ。呼び方に違いはあれど、少なくとも「スパイダーバース」はMCUと同じセオリーを採用していることは間違いないだろう。

ザ・スポットのアレ

『スパイダーバース2』では、マルチバースを移動する力を得たザ・スポットは「ヴェノム」に登場するチェンさんのコンビニに顔を出し、ガムを盗む。ヴェノムが用心棒であるチェンさんはザ・スポットの登場にも全く驚きを見せていない。

「ヴェノム」はソニーが展開するSSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)の作品だ。しかし、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』と『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のポストクレジットシーンではヴェノムがMCUスパイダーマンのユニバースに飛んでおり、MCUの世界にはヴェノムの身体の一部が残されている。ザ・スポットがSSUの世界に顔を出したということは、MCUとの間接的な繋がりが示唆されていると見ることができる。

トビーとアンドリューのスパイダーマン

間接的な繋がりと言えば、ミゲル・オハラがカノンイベントについて説明するシーンの中に実写映像が見られる。「警察署長の死」というカノンイベントについて語られるところで、アンドリュー・ガーフィールドが演じるピーター・パーカーの姿が見える。これは映画『アメイジング・スパイダーマン』(2012) でグウェンの父ジョージ・ステイシー警察署長がリザードに殺された時の場面だ。

また、「ベンおじさんの死」に触れられる場面では、トビー・マグワイアが演じるピーター・パーカーの姿が見える。これは映画『スパイダーマン』(2002) でベンおじさんが逃亡中の強盗に撃たれた後のシーンだ。

両作ともにソニーのプロパティではあるが、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では「ヴェノム」のSSUと同様、この二つのシリーズがMCUと繋がることになった。やはり『スパイダーバース2』は間接的なMCUとの繋がりを示していると言える。

公式見解は?

監督が語る

では、制作側はどのように語っているのだろうか。ホアキン・ドス・サントス、ジャスティン・K・トンプソンと共に『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の監督を務めたケンプ・パワーズは、英SFX Magazineの2023年6月号で以下のように語っている。

マイルス・モラレスとスパイダーバースの世界はマーベル・シネマティック・ユニバースとは繋がっていません。でも、これは(脚本のフィル・)ロードと(クリス・)ミラーの映画です。私たちは少し楽しみたいですし、メタなことをやったり、自分たちがこの物語を創り出している世界を認めてあげたいと思ったんです。それが一番いい説明の仕方ですかね。

どうやら、『スパイダーバース2』でのMCU要素は小ネタであり、正式には「スパイダーバース」とMCUが繋がっているという認識では無いようだ。確かに、ドクター・ストレンジに関する言及も「アース199999」という呼称が選ばれていたが、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022) では、MCUのメインユニバースは「アース616」であることが明かされた。

「アース199999」はかつてマーベル・コミックの資料集に記載されたMCUのユニバースの呼び名であり、マーベル・スタジオがMCUのアース名に言及したことはなかった。アース616はコミックにおけるメインユニバースだったが、マーベル・スタジオは「スパイダーバース」のように映画とコミックを混ぜる意図がないため、映画におけるメインユニバースとコミックにおけるメインユニバースの名称を同じにしたと考えられる。あくまで、『スパイダーバース2』での演出は、「アース199999」と「面倒ごとを起こすドクター・ストレンジ」を合わせて言及すればMCUのドクター・ストレンジを想起させるという小ネタだったのだろう。

現時点は正式な繋がりはないことが明かされた「スパイダーバース」とMCU。しかし、「全ての可能性は起こりうる」とマイルスが教えてくれている。今後の展開に期待しよう。

なお、『スパイダーマン:ホームカミング』(2017) に登場したドナルド・グローヴァー演じるアーロン・デイヴィスが『アクロス・ザ・スパイダーバース』に登場した件については、こちらの記事にまとめている。

エイミー・パスカルはマイルス・モラレスの実写映画について、MCUとの繋がりに言及している。詳しくはこちらの記事で。

『アクロス・ザ・スパイダーバース』ラストの解説はこちらの記事で。

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』は、2023年6月16日(金)より全国の劇場で公開。

「スパイバース」公式サイト

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のオリジナル・サウンドトラックは発売中。

刊行されたばかりの邦訳コミック『マイルス・モラレス:ストレイト・アウタ・ブルックリン』(サラディン・アーメッド (著), ハビエル・ガロン (イラスト), 吉川 悠 (訳) )は発売中。

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Source
SFX Magazine June 2023

スパイダー・パンクの活躍と原作での設定、そして制作の裏側についてはこちらの記事で。

『スパイダーマン:スパイダーバース』で流れたヒップホップ曲のまとめはこちらから。

『スパイダーマン:スパイダーバース』で流れたクラシックヒップホップのまとめはこちらの記事で。

『スパイダーマン:スパイダーバース』のレビューはこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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