『スパイダーバース』で流れていたアノ曲は?
ヒップホップ・クラシックスを紹介!
2019年3月20日より、日本でも『スパイダーマン: スパイダーバース』が劇場公開された。「スパイダーマン」シリーズ初のアニメ映画作品とあって、注目を集めているが、同時にストリートカルチャーを前面に押し出したヒップホップ濃度の高い作品性も高い評価を受けている。ゆえに、劇中に挿入されている音楽——とりわけヒップホップ——は、『スパイダーバース』という作品のテーマにも深く結びついている。主人公のマイルス・モラレスがいかにストリートカルチャーを背負い、“スニーカーを履いたスパイダーマン”になったかという考察は、以下の記事からご覧いただきたい。
今回は、『スパイダーマン: スパイダーバース』で使用されたヒップホップの楽曲に注目してみよう。同作では、魅力的な最新曲も満載だったが、80年代後半〜90年代のヒップホップソングもちりばめられており、ヒップホップ好きでなくともハッとするシーンがあったのではないだろうか。今回は、『スパイダーバース』に登場したヒップホップのクラシック達をご紹介しよう。
アーロン叔父さんのプレイリスト
マイルス・モラレスにとって叔父であり、ストリートカルチャーの師でもあるアーロンの登場が、『スパイダーマン: スパイダーバース』にヒップホップ・クラシックの空気を呼び込む。
まずアーロンの部屋で流れるのは、90年代HIPHOPにおけるクラシック中のクラシック、ノートリアス・B.I.G.の「Hypnotize」(1997)だ。
アーロンがマイルスに女性への話しかけ方を説く際には、Ghetto Philharmonicの「Buss This」(1994)が流れる。そう、アーロンは90年代HIPHOPを愛してやまない人物なのだ。
地下トンネルに鳴り響くクラシック
マイルスが地下トンネルでグラフィティに臨むシーンでは、BGMはアーロンの独壇場に。最初に流れるのはDJシャドウの「The Number Song (Cut Chemist Remix)」(1996)だ。
続いてアーロンのラジカセから、Black Sheep「The Choice is Yours」(1991)が流れ始める。「You can get with this, or you can get with that」というフックでおなじみのこの曲。『スパイダーマン: スパイダーバース』という作品自体のテーマの一つである“チョイス”について歌われている。
次に鳴り響くのはブレイクビーツの大定番、インクレディブル・ボンゴ・バンドの「アパッチ」(1973)。80年代以降にヒップホップ界の“国歌”とも呼ばれるようになった作品だ。近年では、「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」のオープニングテーマとして使用されたことでも知られている。
グラフィティシーンはまだまだ続き、アーロン叔父さんのプレイリストは80sに突入。次に流れるランDMCの「Mary, Mary」(1988)は、バターフィールド・ブルース・バンドの同名曲 (1968)をラップでカバーしたクラシックだ。
グラフィティシーンで4番目に流れるジャングル・ブラザーズ「Because I Got It Like That」も、1988年にリリースされた作品だ。
なお、アーロンに関連するシーン以外でも、クラシックは登場する。マイルスの高校生活が描かれるシーンで流れているのは、ブラッカリシャスの「Chemical Calisthenics」(2002)だ。化学用語を駆使した言葉遊びが展開される一曲で、締めのラインは「机を片付けろ、授業は終わりだ」。
また、『スパイダーマン3』(2007)のからのパロディシーンでは、同作に引き続き、ジェームス・ブラウンの「People Get Up And Drive Your Funky Soul (Remix)」(1973)が使用されている。
以上が、『スパイダーマン: スパイダーバース』に登場した主なヒップホップ・クラシックたちだ。リリックの内容にも注目してみると、ストーリーとの関連性があることも分かる。各曲とアーティスト、その曲が発表された時代をディグってみると、『スパイダーバース』をより楽しむことができるかもしれない。
『スパイダーマン: スパイダーバース』に挿入されたヒップホップの最新チューンは、↓コチラの記事をチェック。
映画『スパイダーマン: スパイダーバース』は2019年3月8日(金)より全国でロードショー。