『ハリー・ポッター』の音楽に注目
2001年に公開され、多くの人々を虜にした映画『ハリー・ポッターと賢者の石』。当時10代前半で出演していたダニエル・ラドクリフやエマ・ワトソンらは、今では様々な映画で主演を務めるスターに。『ハリー・ポッター』の出演者と現在については、こちらの記事をチェックしていただきたい。
『ハリー・ポッター』で優れていたのは配役だけではない。その音楽は、その後2011年まで続いていくシリーズの印象を決定づけ、あのテーマソングは誰しもが知るメロディになった。今回は、『ハリー・ポッターと賢者の石』で流れた音楽に注目してみよう。
『ハリー・ポッターと賢者の石』サントラを手掛けたのは?
映画「ハリー・ポッター」シリーズのサントラは、ユニバーサル・スタジオやバラエティ番組などでもすっかりお馴染み。『ハリー・ポッターと賢者の石』で有名になった楽曲の一つが、エンディングテーマとして採用されている「ハリーの不思議な世界 (Harry’s Wondrous World)」だ。
そして、「ハリー・ポッター」のサントラの中でも人気の曲が、テーマソングである「ヘドウィグのテーマ (Hedwig’s Theme)」だろう。
これらの曲を作曲した人物は、ジョン・ウィリアムズ。「スター・ウォーズ」シリーズの全作品の音楽を手掛けたことでも知られるレジェンド作曲家だ。
テーマ曲の意外な事実
「ハリー・ポッター」シリーズのテーマ曲にもなった「ヘドウィグのテーマ」だが、実はテーマソングとして作られた曲ではなかったのだという。“ヘドウィグ”とはハリーのペットである白フクロウの名前で、元々はこのキャラクターのために作られた楽曲だった。ジョン・ウィリアムズは、2001年の米IGNの取材にこう話している。
ヘドウィグのためのテーマを作ったんですが、皆がその曲を気に入ってくれたようだったので、これを一つの要素として組み込もうと思ったんです。
意外な事実である。ジョン・ウィリアムズはシリーズ3作目の『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004) まで「ハリー・ポッター」の音楽を手掛けた。以降の作品ではパトリック・ドリル、ニコラス・フーパー、アレクサンドル・デスプラが音楽を担当しているが、ジョン・ウィリアムズが手掛けたテーマ曲「ヘドウィグのテーマ」だけは最終作までの全作品で採用されている。
スピルバーグとの意外な関係
また、ジョン・ウィリアムズは、スティーヴン・スピルバーグ監督の盟友としても知られる作曲家で、「ジョーズ」シリーズや「ジュラシックパーク」シリーズなどで、数々の名曲を手掛けてきた。そして、『ハリー・ポッターと賢者の石』と『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(2002)で監督を務めたクリス・コロンバス監督は、スティーヴン・スピルバーグ監督とは師弟関係にある。
クリス・コロンバス監督は、24歳の時にスティーヴン・スピルバーグ監督にその実力を認められ、同監督が設立した映像制作会社のアンブリン・エンターテインメントに入社している。『ハリー・ポッターと賢者の石』が公開されたのはその20年後にあたる、クリス・コロンバス監督が44歳の時。ジョン・ウィリアムズは映画監督として成熟した盟友の弟子のために、「ハリー・ポッター」の音楽を手掛けたのだ。
このように、音楽に焦点を合わせるだけでも様々なエピソードが隠されている。『ハリー・ポッターと賢者の石』の音楽を聴く時は、ジョン・ウィリアムズとスティーヴン・スピルバーグ、そして白フクロウのヘドウィグのことを思い出してみよう。
『ハリー・ポッターと賢者の石』のオリジナルサウンドトラックはアトランティック・レコードから発売中。
映画「ハリー・ポッター」は、8作品がセットになった8-Film ブルーレイセットが発売中。