ネタバレ! スパイダーパンクって誰? 『アクロス・ザ・スパイダーバース』ホービー・ブラウンが示したパンクスの精神 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ! スパイダーパンクって誰? 『アクロス・ザ・スパイダーバース』ホービー・ブラウンが示したパンクスの精神

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『スパイダーバース2』公開

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が2023年6月16日(金) より劇場で公開されている。本作は2018年公開の『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編で、2024年3月米公開予定の『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』へと続いていく作品だ。

前作から格段にスケールアップした『スパイダーバース2』では、予告編でも見られた通り、様々なスパイダーピープルが登場。主人公マイルス・モラレスはマルチバースからやって来た多くのスパイダーピープルと相対することになる。

そんな中、注目を集めているスパイダーマンが、スパイダー・パンクことホービー・ブラウンだ。スパイダー・パンクはスパイダーマン・インディアと共にキャラクターポスターに採用されている人物。英語版の声優はMCU映画『ブラックパンサー』(2018) のウカビ役や『ゲット・アウト』(2017)、『NOPE/ノープ』(2022) での主演で知られるダニエル・カルーヤで、日本語版は木村昴が声優を務めている。

インパクト抜群の活躍を見せたスパイダー・パンクことホービー・ブラウンだが、謎が多いことも事実。スパイダー・パンクは一体どんなキャラクターだったのか、コミックでの設定と劇中での活躍、そして監督が語った裏側をチェックしていこう。

なお、以下の内容は重大なネタバレを含むため、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の内容に関するネタバレを含みます。

スパイダー・パンクって誰?

スパイダー・パンクことホービー・ブラウンは原作コミックにも登場するキャラクターだ。本名をホバート・ブラウンといい、コミック版でも素顔は黒人の青年である。コミックでは2014年刊行の『Amazing Spider-Man (Vol. 3) #10』で初登場。グリーンゴブリンとして知られるノーマン・オズボーンが大統領になったアース138のアメリカで、キャプテン・アメリカにそっくりなキャプテン・アナーキーと共にオズボーンの圧政に立ち向かう。

ちなみいんノーマン・オズボーン大統領は、後のトランプ政権誕生を予期するように「Making Amrice Great Again」というフレーズを使用していた。それに抗いギターで戦うパンクスがホビー・ブラウンだったのだ。

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一方、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のスパイダー・パンクは、オールドヨークと呼ばれるイギリスの街からやってきたことになっている。アメリカのパンクスからイギリスのパンクスへと設定が変更されたのだ。その背景には、元々スパイダー・パンクのデザインがアース833のスパイダーUKというイギリスのスパイダーマンのデザインのボツ案から採用されたという経緯がある。

『スパイダーバース2』での活躍

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』では、スパイダー・パンクはまずグウェン・ステーシーとマイルス・モラレスの会話の中で登場する。前作から1年と4ヶ月が経過し、グウェンはスパイダー・ソサエティに所属して新たな交友関係を築いている。特にグウェンが仲良くしているのがホービーという人物で、後にムンバッタンに現れたザ・スポットを追う場面でこの人物がスパイダー・パンクだということが判明する。

スパイダー・パンクはオールドヨークという70年代のイギリスをモチーフにした世界からやってきており、ギターを武器に戦う。アナキストを名乗り、反権力を掲げるなど、思想と政治性を決して隠そうとしない痛快な人物だ。バンドメンバーでドラムのグウェンとは仲が良いようで、マイルスは一方的な嫉妬心を見せている。なお、原作コミックではスパイダー・パンクの世界ではグウェン・ステイシーはアーティストであり、逆にホービー・ブラウンの方がグウェンに憧れを抱いているという設定になっている。

ホービー・ブラウンはピーター・B・パーカーの娘のメイデイを「アナーキー」であるとして評価したり、ミゲル・オハラの強権的な方針に反発したりと、ナイスな人物でもある。マイルスがバリアに捕えられた際には、こっそり指先ではなく手のひらを使ってバリアを破るよう助言するさりげないファインプレーもあった。

スパイダー・ピープルがマイルス・モラレスを追う展開になるとスパイダー・ソサエティを抜け、最後にはグウェンに海賊版の次元間移動装置をプレゼント。グウェンが結成した“自分のバンド”に他のスパイダーマン達と共に参加する姿を見せている。

監督が裏側を語る

次回作『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』での活躍も期待したいスパイダー・パンクことホービー・ブラウン。共同で監督を務めたホアキン・ドス・サントス監督、ケンプ・パワーズ監督、ジャスティン・K・トンプソン監督は、米Discussing Filmでこのキャラクターの裏側を語っている。

ジャスティン・K・トンプソン監督は、スパイダー・パンクを『アクロス・ザ・スパイダーバース』に登場させた意図について、こう語っている。

素晴らしいことにスパイダー・パンクの声はダニエル・カルーヤが担当しています。最初から今回の旅で「自分だけの物語を描く」というマイルスの考えをサポートしてくれる人物がいればクールだなと考えていました。その人物は、マイルスの道を邪魔する権威的な人々のアンチテーゼになるような人物です。私たちはマーベルのコミックをすべてチェックして、パンクロックの性質を持ち、規範や権威、伝統的な思考を拒絶するスパイダー・パンクにそれを見出しました。

つまり、スパイダー・パンクは“異端分子”であるマイルス・モラレスを押さえつけようとする大人たちに対抗し、マイルスの立場をサポートする反乱分子として中心的な役割を担うことになったということだ。そんな特別なキャラクターであるスパイダー・パンクは、新たに開発したツールによるアニメーションで描かれているという。

スパイダー・パンクのアニメーションは、他のキャラクターとは違い、次々とパンクロックのジンやポスターを思わせるアートの見た目に移り変わっていく。ケンプ・パワーズ監督はスパイダー・パンクのことを「止まっていても動いている」「まるでパンクロックのポスターが入れ替わっているよう」と形容している。スパイダー・パンクだけに適用されているこの演出を実現したツールの開発には2〜3年を要したという。

それだけでなく、スパイダー・パンクのアニメーションは他のキャラクターたちとは異なるフレームレートで動いており、少し目を離せば別の場所に移動しているという演出が散見される。ホアキン・ドス・サントス監督は、「アニメーション映画としては多くのルールを破っている」とスパイダー・パンクの持つパンクな性質がアニメーションでも余すことなく表現されていることを強調している。

予想外に重要な役割を演じたスパイダー・パンクことホービー・ブラウン。次回作ではどんな活躍を見せてくれるのか、2024年3月公開の『ビヨンド・ザ・スパイダーバース』も期待して公開を待とう。

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』は、2023年6月16日(金)より全国の劇場で公開。

「スパイバース」公式サイト

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のオリジナル・サウンドトラックは発売中。

邦訳コミック『マイルス・モラレス:ストレイト・アウタ・ブルックリン』(サラディン・アーメッド (著), ハビエル・ガロン (絵), 吉川 悠 (訳) )は発売中。

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『スパイダーグウェン:ウェポン・オブ・チョイス』(ジェイソン・ラトゥーア (著), ロビー・ロドリゲス (絵), 光岡三ツ子 (訳))も発売中。

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Source
Discussing Film

『アクロス・ザ・スパイダーバース』ラストの解説はこちらの記事で。

ドナルド・グローヴァー演じるアーロン・デイヴィスが『アクロス・ザ・スパイダーバース』に登場した件についてはこちらの記事で。

エイミー・パスカルはマイルス・モラレスの実写映画とスパイダーウーマンの単独映画の存在について明かしている。詳しくはこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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