『スパイダーバース2』公開
アニメ映画『スパイダーマン：スパイダーバース』(2018) の続編『スパイダーマン：アクロス・ザ・スパイダーバース』が2023年6月16日(金) より日本で公開された。「スパイダーバース」はスパイダーマンになった黒人の少年マイルス・モラレスを主人公に据えた作品で、マルチバースに渡る様々なスパイダーマンが登場するのがその特徴だ。
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前作でもサプライズはあったが、『スパイダーマン：アクロス・ザ・スパイダーバース』では、いくつものサプライズが用意されていた。今回は、中でも印象的だったアノ人のカメオ出演について、製作陣が語った内容と共にチェックしてみよう。
以下の内容は、本編のネタバレを含むので必ず劇場で『スパイダーバース2』を鑑賞してから読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『スパイダーマン：アクロス・ザ・スパイダーバース』の内容に関するネタバレを含みます。
もう一人のアーロン叔父さん
『スパイダーマン：アクロス・ザ・スパイダーバース』で待っていた驚きのカメオの一つは、ドナルド・グローヴァー演じるプラウラー／アーロン・デイヴィスの登場だろう。本作には「ヴェノム」シリーズやLEGOの実写シーンも含まれていたが、アニメ空間に突然現れた実写ドナルド・グローヴァーはインパクト抜群だった。
ドナルド・グローヴァー版のプラウラーを見たマイルス・モラレスは、「あなたの知ってるプラウラーじゃない」と言われながらも「ヘイ」と声をかける。するとこのプラウラーは「スパイダーバース」のアーロン叔父さんのように「ヘイ」と返しながらも、「ジロジロ見るな」と冷たい態度をとっている。
ドナルド・グローヴァーがアーロン・デイヴィスを演じるのはこれが初めてではない。映画『スパイダーマン：ホームカミング』(2017) ではアーロン・デイヴィスという役名で出演。この時はまだヴィランになる前で、バルチャーの一味と取引をする小悪党だったが、クイーンズに甥が住んでいることに言及しており、マイルス・モラレスがMCUのメインユニバースにも存在していることを匂わせていた。
その後、ドナルド・グローヴァー演じるアーロン・デイヴィスの再登場にも期待がかかっていたが、まさかまさか、アニメ映画の『スパイダーマン：アクロス・ザ・スパイダーバース』で実写のまま登場するとは。だが、『スパイダーバース2』のアーロン・デイヴィスは、おそらくMCUのアーロンとは違う存在だろう。
今回のアーロンは既にプラウラーになった後のアーロンで、コスチュームデザイナーのTrayce GigiはInstagramにプラウラーのコスチュームを着たドナルド・グローヴァーの写真を投稿している。
製作陣が裏側を語る
『スパイダーマン：アクロス・ザ・スパイダーバース』でプロデューサーを務めたフィル・ロードとクリストファー・ミラーは、米Rolling Stoneでドナルド・グローヴァーの実写カメオについて語っている。フィル・ロードはその裏側をこう明かしている。
私たちが大好きで近しい人だったので、個人的に連絡したんです。「何か考えているんだけど、簡単なやつをね。それに束縛されるようなことはない」って伝えました。そしたら彼は「参加したい」ってワクワクしていました。彼は第一作目が大好きで、お父さんが映画に登場して子ども達を驚かせようと思ったみたいです。
つまり、今回のオファーはあくまで「簡単な」カメオであり、『スパイダーバース2』に出演したからといって今後の作品でプラウラー役で出演しなければならないというような「束縛」はないと約束したということだろう。ファンにとっては少し残念な気もするが、“大いなる責任”を負わせなかったことで今回のカメオが実現したと考えることもできる。
クリストファー・ミラーは、今回のドナルド・グローヴァーのコスチュームについて以下のように話している。
（ドナルド・グローヴァーと）小規模で楽しい撮影をしました。ドラマ『アフターパーティー』のコスチュームデザイナーだったTrayce Gigi Fieldが数週間のうちにプラウラーのスーツを作ってくれたんです。こういうものは作るのに大体数ヶ月か数年を要するものですが、彼女は素晴らしい仕事をしてくれました。デザインと制作の両方の面でね。本当に早く作ってくれたので、皆で集まって彼を映画に登場させることができたんです。
アニメ映画の中の撮り下ろし実写パートということでイレギュラーな形の出演となったドナルド・グローヴァー。撮影は小規模に行われ、コスチュームをクリストファー・ミラーが手がけたApple TV+のドラマ『アフターパーティー』のスタッフに依頼することでスピーディに撮影に取り掛かることができたのだという。
ドナルド・グローヴァーとスパイダーマン
ドナルド・グローヴァーは、実は前作『スパイダーバース』にも出演しており、「スパイダーマン」シリーズとの縁は深い。アンドリュー・ガーフィールドの出演が決まる前の『アメイジング・スパイダーマン』(2012) のピーター・パーカー役にドナルド・グローヴァーを推薦するキャンペーンがファンの間で行われたこともある。
この一件は、その後、コミックスで新たなスパイダーマンとして登場した黒人青年のマイルス・モラレスのキャラクターデザインに影響を与えることになった。そして、アニメ『アルティメット・スパイダーマン』(2012-2017) でマイルス・モラレスが登場した際には、ドナルド・グローヴァーが声優を担当している。
ドラマ『コミ・カレ!!』(2009-2014) では、シーズン2の「波乱だらけの“人類学”」でドナルド・グローヴァー演じるトロイ・バーンズがスパイダーマンの寝巻きを着て目を覚ますシーンが取り入れられた。そして、『スパイダーマン：スパイダーバース』では、アーロン叔父さんの家のテレビでこの『コミ・カレ!!』のワンシーンが流れているというイースターエッグも取り入れられている。
2作連続で「スパイダーバース」に登場することになったドナルド・グローヴァー。2022年12月には、「スパイダーマン」のヴィランであるヒプノ・ハスラーを主人公に据えた映画に出演し、製作も手がけることが米The Hollywood Reporterで報じられている。2024年3月米公開の映画『スパイダーマン：ビヨンド・ザ・スパイダーバース』に登場するのだろうか。次の展開を楽しみに待とう。
『スパイダーバース2』ラストの解説はこちらの記事で。
「スパイダーバース」とMCUとの繋がりについての考察＆解説はこちらから。
映画『スパイダーマン：アクロス・ザ・スパイダーバース』は、2023年6月16日(金)より全国の劇場で公開。
『スパイダーマン：アクロス・ザ・スパイダーバース』のオリジナル・サウンドトラックは発売中。
邦訳コミック『マイルス・モラレス：ストレイト・アウタ・ブルックリン』（サラディン・アーメッド (著), ハビエル・ガロン (イラスト), 吉川 悠 (訳) ）は発売中。
Source
Rolling Stone / The Hollywood Reporter
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