ネタバレ解説 マルチバースのアノ人、原作では?『デッドプール&ウルヴァリン』元ネタを考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説 マルチバースのアノ人、原作では?『デッドプール&ウルヴァリン』元ネタを考察

©2024 Marvel

『デッドプール&ウルヴァリン』のウルヴァリン/ローガンについて解説&考察

2024年に唯一公開されるMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の映画作品である『デッドプール&ウルヴァリン』だが、マルチバースをテーマにした『デッドプール&ウルヴァリン』で注目すべきはヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンだ。2017年に公開された『LOGAN/ローガン』で引退したはずのヒュー・ジャックマンが演じるウルヴァリンがスクリーンに帰ってくる。それだけでもファンにとっては感涙ものだ。

本記事では、『デッドプール&ウルヴァリン』に登場するアノ人について、マルチバースと合わせて解説と考察をしていこう。なお、以下の内容は『デッドプール&ウルヴァリン』に関するネタバレを含むため、必ず劇場で本編を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『デッドプール&ウルヴァリン』の内容に関するネタバレを含みます。

マルチバースのウルヴァリンの元ネタをネタバレ解説&考察

『デッドプール&ウルヴァリン』では、デッドプールがその世界を存続させるアンカーを失ったアース10005を救うため、アース10005のアンカーであるウルヴァリンを探し、様々なアースへ旅に出る。そこには無数のバージョンのウルヴァリン/ローガンが存在していた。

そのウルヴァリンたちは映画オリジナルのバージョン違いのウルヴァリン/ローガンというわけではなく、これまでのマーベル・コミックに登場してきたウルヴァリンたちを映像化しているものとなっている。それでは、数多くのバージョン違いのウルヴァリン/ローガンについて、解説と考察を述べていこう。

小柄なウルヴァリン

最初にデッドプールが斧投げバーへ訪れた際、そこで酒を飲んでいたのが小柄なウルヴァリンだ。ヒュー・ジャックマンの身長をCGIで縮めた姿は、どこか滑稽ではあるが、実はこちらの方が原作コミックに近いサイズなのである。

原作コミックでのウルヴァリンは小柄でずんぐりむっくりの体形という設定だ。しかし、「X-MEN」シリーズを実写化するにあたってウルヴァリン役に身長が180cmほどあるヒュー・ジャックマンが起用されたことで、実写版「X-MEN」シリーズではウルヴァリンの身長は高いというイメージがついた。

そのため、デッドプールもそのことに触れており、小柄なウルヴァリンのことを原作コミックのウルヴァリンと呼んでいる。もし、ヒュー・ジャックマン以外の俳優がウルヴァリン役に起用されていた場合、実写版「X-MEN」シリーズのウルヴァリンはこれに近いものになっていたのかもしれない。

『エイジ・オブ・アポカリプス』のウェポンX

荒れはてた路地裏に佇んでいる隻腕のウルヴァリンがウェポンXだ。ウェポンXの元ネタは1995年から大型クロスオーバーとして企画され、日本でも1997年に邦訳された『エイジ・オブ・アポカリプス』に登場するウルヴァリンである。ウルヴァリンはウルヴァリンであること変わりはないのだが、この世界ではウルヴァリンという名前は既に別のヴィランが名乗っており、ローガンは計画名兼コードネームであるウェポンXとして活動している。

『エイジ・オブ・アポカリプス』は未来からタイムスリップしたプロフェッサーXの息子リージョンがマグニートーを暗殺しようとし、それを庇ったプロフェッサーXが命を落とすという物語である。それによりX-MENが結成されず、世界は最古のミュータントのヴィランであるアポカリプスに支配されてしまっていた。

ヒーローたちも多くは誕生せず、X-MENに所属していたミュータントもアポカリプスの傘下になるなど、マーベルの世界が大きく変化することになった。この世界でウェポンXとして活動するローガンはアポカリプスの部下であるサイクロプスと戦い、サイクロプスの片目と引き換えに片腕を失った。

ジョン・バーン作画のウルヴァリン

『アンキャニィX-MEN』を手掛けた伝説的なアーティスト兼ライターのジョン・バーン。そのジョン・バーンが描いたウルヴァリンも登場する。ジョン・バーンはウルヴァリンなど様々なキャラクターのスーツのデザインをリメイクしたことでも知られており、ジョン・バーンの描いたブラウンと呼ばれるウルヴァリンは高い人気を博した。

ここでデッドプールが危惧していたが、ジョン・バーン作画のウルヴァリンは雪の降る森の中でハルクと戦っている。これは元々、ウルヴァリンがハルクと戦うためのカナダ所属の超人エージェントとして初登場したことを映像化したものであり、ウルヴァリンvsハルクはウルヴァリンvsセイバートゥースと同じぐらいファンに期待されていた一戦であった。

デッドプールはハルクに吹き飛ばされて潰れた虫のようになってしまったが、この世界のウルヴァリンを勧誘しようにもこの世界のウルヴァリンはまだX-MENの存在を知らないと考察できる。20世紀FOX版「X-MEN」シリーズの世界であるアース10005を救うためには、X-MENのヒーローであるウルヴァリンが必要だったため、この世界のウルヴァリンは向いていなかったと考えられる。

パッチ

デッドプールがカジノを訪れた際、そこで出会うウルヴァリンがパッチ(眼帯)である。パッチはウルヴァリンがマドリプールに訪れた際に使った名前で、X-MENが死亡したと思われていた世界でパッチは活動していた。このパッチという名前は自分を襲撃してきたレーザーフィストというヴィランに呼ばれた名前である。

X-MENであることを隠すためにパッチとして活動し続けたウルヴァリンは、ハルクの別人格であるフィクスイットなどを利用してマドリプールの犯罪王の座を奪った。その後は白いスーツを着て活動しており、スマートな印象を受けるウルヴァリンだ。

ハルクと戦っていたジョン・バーン作画のウルヴァリンの後に、ハルクと間接的に協力関係であるパッチを登場させるのはファンの心をくすぐる展開である。パッチは訪ねてきたデッドプールの頭をアダマンチウムの爪で貫いていることから、この世界で満足しているようだ。果たして、このパッチのいる世界にはX-MENはまだ存在しているのだろうか。

磔にされたウルヴァリン

髑髏の山の上でXの形に磔にされているウルヴァリンも登場する。このウルヴァリンは『アンキャニィX-MEN』の#251「Fever Dream」に登場するウルヴァリンをもとにしていると考察できる。「Fever Dream」では、ウルヴァリンがオーストラリアの奥地でヒーリングファクターを利用されて拷問される様子が描かれている。

反ミュータントのサイボーグ集団、リーヴァーズに襲撃されたウルヴァリンは拷問を受ける中で幻覚を見ることになる。かつて自分が倒してきたリーヴァーズの拷問の中で見る幻覚に焦点があてられた「Fever Dream」は、原作コミックの「X-MEN」シリーズの中でも特にダークなエピソードとして有名である。

『デッドプール2』(2018)で復讐に燃えるケーブルに暗すぎると言い放ったデッドプールにとって、「Fever Dream」の世界はいち早く脱出したい世界だったと考察できる。また、この世界にリーヴァーズがいたとすれば、いち早く脱出しないとミュータントであるデッドプールにも危険が及ぶと判断したのかもしれない。

オールドマン・ローガン

椅子に腰かけ、デッドプールを銃で吹き飛ばしたのが『LOGAN/ローガン』にも影響を与えた年老いたウルヴァリンが通称、オールドマン・ローガンだ。コミックのタイトルにもなっているオールドマン・ローガンは、スーパーヴィランにより支配された近未来のアメリカ合衆国を舞台にヒーローたちが死に絶えた中で細々と暮らしているウルヴァリンだ。

スパイダーマンのヴィランであるミステリオの幻術で敵と錯覚してX-MENを殺してしまうなど、ダークな展開の続くオールドマン・ローガンは『デッドプール&ウルヴァリン』にも影響を与えており、カサンドラ・ノヴァがアントマン(巨大化しているのでジャイアントマン)の死体を根城にしていることなどはオールドマン・ローガンの影響だと考察できる。

アース10005のウルヴァリンがオールドマン・ローガンに近かったため、マルチバースには多くの『LOGAN/ローガン』のような世界が存在している可能性が考察できる。また、オールドマン・ローガンは原作コミックの大型クロスオーバーイベントの「シークレット・ウォーズ」にも関わっている。

そのため、2027年に公開予定のMCU版『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ(原題:Avengers:Secret Wars)』でウルヴァリンが重要な立場を担う可能性を示唆しているとも考えられる。どちらにしても、『LOGAN/ローガン』以来のオールドマン・ローガンの登場はファンにとって嬉しい演出だ。

ヘンリー・カヴィル版ウルヴァリン

完全にファンが喜ぶとわかっていて行なわれた演出が、ヘンリー・カヴィル版ウルヴァリン、通称カルヴァリンの登場だ。バイクをメンテナンスしている姿で登場したカルヴァリンは、ヘンリー・カヴィルがMCUでウルヴァリンを演じるのではないかという噂が元ネタとなっており、『デッドプール&ウルヴァリン』はそれを実現した形となる。

ここでデッドプールがあの会社みたいなことはしないといった旨の発言をしている。ここで言うあの会社とはDCコミックスとワーナー・ブラザースのことを意味していると考察できる。ヘンリー・カヴィルはDCEU(DCエクステンデッドユニバース)でスーパーマンを演じたが、DCEUの先行きが不透明になったことでスーパーマンの計画自体が宙ぶらりんになった。

その後、『ブラックアダム』(2022)のポストクレジットで、スーパーマン役としてヘンリー・カヴィルはDCEUに復帰した。それに伴ってヘンリー・カヴィルは人気ドラマシリーズ『ウィッチャー』(2019-)から降板し、主人公のリヴィアのゲラルトはリアム・ヘムズワースに交代となった。それにもかかわらず、DCEUはDCUへの再構築を決定し、ヘンリー・カヴィル演じるスーパーマンは退場となった。このトラブルに関してはこちらの記事が詳しい。

このようにメタフィクションのジョークから、これまでの原作コミックでのバージョン違いのウルヴァリンを登場させるなどファンを満足させるウルヴァリンのカメオ出演を実現させた『デッドプール&ウルヴァリン』。今後、デッドプールがMCUに参加することで、様々なバージョン違いのヒーローが登場するかもしれない。今後のMCU映画作品に期待だ。

『デッドプール&ウルヴァリン』は2024年7月24日(水) より全国の劇場で公開。

『デッドプール&ウルヴァリン』公式ページ

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『デッドプール&ウルヴァリン』ラストのネタバレ解説&考察はこちらから。

『デッドプール&ウルヴァリン』と『ロキ』の関係のネタバレ解説&考察はこちらから。

『デッドプール&ウルヴァリン』のポストクレジットの伏線のネタバレ解説&考察はこちらから。

 

ローラの『LOGAN/ローガン』と原作における設定と演じたダフネ・キーンについてのまとめはこちらから。

これまでの映画作品におけるウルヴァリンの活躍はこちらの記事にまとめている。

ヒュー・ジャックマンが復帰を決めた経緯と理由について語った内容はこちらの記事で。

 

映画『ザ・マーベルズ』ラストのネタバレ解説はこちらから。

ヤング・アベンジャーズのメンバー予想&考察はこちらの記事で。

映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』ラストのネタバレ解説はこちらから。

映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』ラストとポストクレジットの解説はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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