映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』公開
「スター・ウォーズ」シリーズとしては約7年ぶりの新作劇場映画となる『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』が2026年5月22日(金) より日米同時公開を迎えた。ドラマ『マンダロリアン』(2019-) からペドロ・パスカルが主演を、ジョン・ファヴローが監督を続投する。
マンダロリアンことディン・ジャリンとその息子で弟子のグローグーの新たな冒険を描いた『マンダロリアン・アンド・グローグー』。今回はそのラストの展開を中心にネタバレありで解説し、感想を記していこう。以下の内容は結末についてのネタバレを含むため、必ず劇場で本編を視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』の結末に関するネタバレを含みます。
Contents
映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』ネタバレ解説&考察
これまでと今回のマンダロリアン
ドラマ『マンダロリアン』をはじめとする通称〈マンドー・ヴァース〉の舞台は、映画『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(1983) の数年後、『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』(2015) の20数年前。帝国は崩壊して新共和国時代を迎えたが、帝国の残党は帝国復活へ向けて活動を続けている。
ドラマ『マンダロリアン』で孤児のグローグーを養子にして弟子としたマンダロリアンのディン・ジャリンは、惑星ネヴァロに居を構え、新共和国軍からの依頼を受けて生計を立てている。映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』では、ディン・ジャリンとグローグーは帝国の残党に対処する仕事をこなしていることが明かされる。
映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』は、ドラマ『マンダロリアン』シーズン3のその後のディン・ジャリンとグローグーの姿が描かれる。と言っても、ディズニープラス配信のドラマを観ていなくても理解できる内容になっており、新規ファンに対してかなり優しい作品になっていた。
一方で、フォーマット自体は「スター・ウォーズ」の映画作品を踏襲していて、ディン・ジャリンとグローグーがいくつかの惑星を訪れるため、ストーリーは繋がっているものの短編集のような感覚で楽しむことができる。中でも、クエストのメインになるのは惑星シャカリとナル・ハッタだ。
キーになるキャラクターたち
サイバーパンクな街があるシャカリはジャヌ卿によって仕切られていたが、実はこのジャヌ卿は元帝国側の人間で、シャドー評議会のメンバーでもある。シャドー評議会は『マンダロリアン』に登場した帝国の残党による軍事評議会で、スローン大提督の帰還やクローン生産プロジェクトを推進していた。後のパルパティーン復活に繋がる活動をしていると見られる集団だ。
映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』のディン・ジャリンは、新共和国軍の依頼を受けて帝国の大物を確保するため、情報提供と引き換えに双子のハット・ツインズの要求であるロッタ・ハットの身柄確保に乗り出す。ハット・ツインズは、「スター・ウォーズ」旧三部作などに登場したジャバ・ザ・ハットのいとこだ。
この双子はドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』(2021-2022) にも登場しており、ジャバ・ザ・ハットの玉座と縄張りを引き継いだボバ・フェットに対して、その遺産を譲るよう迫った。最終的にはパイク・シンジケートが絡んだことで手を引いたが、ジャバ・ザ・ハット亡き後も、双子がナル・ハッタで犯罪組織のハット・クランを率いていることが示されていた。
双子が身柄を要求したロッタ・ハットは、映画『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008) に赤ん坊の姿で登場したジャバ・ザ・ハットの息子だ。当時、ロッタはジャバの叔父のズィロ・ザ・ハットの策略で誘拐され、オビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカー、そしてアソーカ・タノがロッタを救出している。
現在のロッタは、犯罪王であったジャバの息子として生きることに苦しんでおり、ハット・クランから離れてコロシアムで喝采を受けながら戦う生活に満足していた。しかし、雇い主のジャヌに騙されていたことが分かると、ディン・ジャリンとグローグーと共に逃げ出し、更にジャヌが新共和国の追っている帝国の残党であることをディン・ジャリンに教えるのだった。
ジャヌ捕獲作戦も含め、映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』の前半を通してディン・ジャリンをサポートするのがゼブことガラゼブ・オレリオスだ。ゼブはアニメ『スター・ウォーズ 反乱者たち』(2014-2018) の主人公チームのメンバーで、帝国時代に反乱同盟と共に戦い、ドラマ『マンダロリアン』で新共和国軍のパイロットになっていたことが明かされていた。
映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』ではパイロット兼戦闘員としても活躍。新共和国軍と働くディン・ジャリンの職場での相棒のような立ち位置になっていて、『反乱者たち』ファンには嬉しい展開を見せてくれた。
ディン・ジャリンが依頼を受け、ジャヌを連れていく相手が新共和国軍のウォード大佐だ。本作で初登場となったウォード大佐を演じるのは、「エイリアン」シリーズのエレン・リプリー役などで知られるシガーニー・ウィーバー。ディン・ジャリン役のペドロ・パスカルも大ファンという大スターの起用となっている。
任務を果たしてディン・ジャリンはロッタを解放するが、そこにハット・ツインズに雇われた賞金稼ぎのエンボが現れ、ディン・ジャリンはアンゼランの一人と共にナル・ハッタへと連れ去られてしまう。エンボはアニメ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020) に登場したキューゾという種族の賞金稼ぎで、連れている犬のような生き物はアヌーバという種族で、名はマーロックという。かつてはドラマ『ボバ・フェット』にも登場したキャド・ベインに次ぐ銀河2番目の賞金稼ぎだった。
そうしてグローグーは、アンゼランの3人と共にディン・ジャリンとアンゼランを助けるための旅に出る。映画『マンダロリアン&グローグー』の後半では、ディン・ジャリンを助けようとするグローグーの冒険譚が描かれるのだ。
グローグーの成長とディン・ジャリンの甘やかし
ドラマ『マンダロリアン』ファンにとって嬉しいのは、グローグーの成長が作中を通してふんだんに描かれる点だ。ドラマシーズン3のラストでは、これまで守られ続けてきたグローグーがディン・ジャリンを助け、自分の足でディン・ジャリンの横を歩く姿も見られるようになった。
映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』のグローグーは、ディン・ジャリンと共に任務に挑んでいるだけでなく、内面の成長も見られる。これまでよりも積極的に喜怒哀楽を表現しており、爆発物を見て急ぐようディン・ジャリンに警告したり、新しいレイザー・クレストの寝床に飛び跳ねて喜んだりしているし、IG-12がいなくても「YES/NO」の意思表示をきちんと行えている。
あんなにお気に入りだったレイザー・クレストの操縦桿のボールは、もはや欲しがっていない。そうした“しなくなったこと”からもグローグーの成長が読み取れる一方、本作ではグローグーがホバー・プラムを高速で乗りこなすシーンもあるが、数十年間ベビーカーに乗ってきた熟練の腕を披露している。
一方で、ディン・ジャリンの方も以前のようにグローグーを抱っこしたり過保護に扱ったりという場面はほとんど見られなくなった。ただ、明らかに食べさせすぎで、シャカリに着くなりフラットミートを買い与え、ロッタの試合を観る時にはスナックを食べさせている。
二人の自宅前でロッタが飛び去る前にグローグーにお菓子を渡したシーンでは、ディン・ジャリンは「夜にとっておけ」と言う。この発言、グローグーを律しているように見えるが、英語では「after dinner(夕食後に)」と言っており、晩御飯の後にもお菓子を食べさせようとしていることが分かる。やっぱりまだ甘やかしているのだ。
親離れ/子離れ
『マンダロリアン・アンド・グローグー』のテーマの一つは、「親離れ/子離れ」だ。ジャバ・ザ・ハットの息子として見られることに苦しむロッタを媒介として、グローグーがディン・ジャリンから独立すること、ディン・ジャリンもまたグローグーの手を離すことが求められる様子が描かれる。
ディン・ジャリンがロッタを双子の元に連れ戻そうとするのは仕事の一環ではあるものの、ある種のパターナリズム(父権主義)も感じさせる。強い立場にある者が、弱い者の自立性を無視して干渉するという態度は、ある時期までは必要とされる側面もあるが、その子が一人で生きていけるようになるためには、自立を促すように干渉を弱めていかなければならない。
ロッタがグローグーと浜辺で遊ぶシーンは印象的で、ディン・ジャリンにとっては嬉しいことのはずなのに、どこか寂しげでもある。グローグーが子どもや自分より小さい生き物以外と遊ぶ姿は珍しく、いつかディン・ジャリンのもとを離れて生きていくことを突きつけられたようでもあった。
グローグーは50歳を過ぎたところだが、900年間生きたヨーダと同じ種族であるため、人間のディン・ジャリンが死んだ後も数百年間生き続けることになる。この事実は動かし難いもので、ディン・ジャリンはグローグーと過ごす今の時間を大切にしながらも、自分がいなくなった時のためにグローグーに準備をさせなければならない。
そうした儚いテーマは、映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』のクライマックスへと繋がっていく。グローグーはディン・ジャリンを助けるために、ベスカーの胸当てを外套の外につけ、腕に訓練用のダートガンをはめ、アンゼランたちとナル・ハッタへと向かうのだ。
映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』ラストをネタバレ解説&考察
グローグーの介護
映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』の後半では、ハットの双子に捕えられたディン・ジャリンはマスクを取られて顔を見られてしまう。マンダロリアンの中でも、ディン・ジャリンが属するチルドレン・オブ・ザ・ウォッチには、顔を他者に見られてはならないという教義がある。
ドラマを観た人はマンダロアの“生ける泉”に入れば、その罪は許されることを知っているだろう。だが、今回は「顔を見られても殺せば大丈夫」というルールがディン・ジャリンから紹介されている。この辺りのルール説明や、ロッタをジャヌから解放するために自身を負けたことにした時のルール運用の柔軟さは、アーマラー師匠譲りである。
ディン・ジャリンを演じるペドロ・パスカルは、シーズン3ではその顔を見せることがなかったので、シーズン2の最終回以来の顔見せということになる。2025年はドラマ『THE LAST OF US』シーズン2や映画『エディントンへようこそ』『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』などでたくさんそのお顔を拝見したので、久しぶりという感じはしないが。
グローグーの助けでディン・ジャリンはなんとか逃げ出すことに成功するが、地下にいたドラゴンスネークに噛まれて猛毒が身体に回っていた。ディン・ジャリンはグローグーとアンゼランに先に逃げるように告げ、一人で追手を引きつけるのだった。
このディン・ジャリンの決断は、“子離れ”の瞬間でもある。自分がいなくても逞しく生きていくことを願って、自らその手を離したのだ。
だが、諦めなかったのはグローグーの方だった。ナル・ハッタに留まり、倒れたディン・ジャリンを見つけると、グローグーはフォース・ヒーリングで傷を閉じた後、何日にもわたってディン・ジャリンの看病をする。毒が回っていることは知る由もなかったのだろう。
土のドームでディン・ジャリンを隠し、水を飲ませて回復を待つ——この“ケア労働”に悲壮感がないのがグローグーのらしさで、ヨーダを思わせる瞑想に取り組む微笑ましいシーンもある。
そして、そんなグローグーを助けてくれたのが、水辺に住むトカゲのおっさんだった。グローグーは以前から他者に助けてもらう素質がある。トカゲのおっさんは魚をくれたばかりか、賞金稼ぎのエンボからディン・ジャリンに毒が回っていることを聞き、解毒薬まで作ってくれた。親の介護を近所の方がサポートしてくれるとは、優しい世界だ……。
解毒薬を飲ませたグローグーが、ディン・ジャリンの腕の中に入って眠る姿は号泣必至。健気に頑張っていたけれど、ずっと不安だったろうし、まだまだこの子にはディンパパが必要なんだと思ってしまう。
翌朝、復活していたディン・ジャリンは、予告編でも登場した「老いた者は若き者を助け、いつか若き者は老いた者を助ける」という名言を口にする。誰もがケアする側にもされる側になり得るというこの世の理だ。
そして、ついにディン・ジャリンの口から「我らの道/This is the way.」の言葉が飛び出す。意外にも『マンダロリアン・アンド・グローグー』では、おそらくこのシーンの一回だけしか登場していない。よく考えるとドラマではアーマラー師匠が言いまくっていたのを皆が復唱していただけだったのかもしれない。
グローグーのフォースの使い方
そして、ディン・ジャリンとグローグーは、ハット・ツインズとの決着をつけることに。ここからグローグーはさらにフォースを使って大活躍を見せるのだが、ドロイド兵の内部に入って機構をショートさせるなど、メカニカルな戦い方も見せている。IG-12の操作も上手かったし、グローグーはメカニカル向きなのかもしれない。
なお、『マンダロリアン・アンド・グローグー』でグローグーがフォースを使う場面は、敵を倒すのではなく、癒しや救助の目的に敢えて特化させていたように思う。例えばディン・ジャリンへのフォース・ヒーリングであり、土のドームに押し入れる作業であり、ロッタを捕えている装置を解除するためのレバー操作であり、マーロック(犬)を眠らせる作業であり、地下に落ちたロッタを持ち上げる作業である。
強力なフォースの力を持っているが、敵を倒すためではなく、愛する者を守るためために使うというのは、ジェダイになる道を選ばなかったグローグーらしい道だ。本作は、フォースはふんだんに使用されるが、武器であるライトセーバーは出てこないという珍しい作品でもあった。
また、ロッタによるハット・ツインズとの戦いも圧巻。転がりながら優位なポジションを取るという寝技中心のハット族の戦い方が楽しく、見たことのない動きを描き出してくれた映像表現も素晴らしかった。
ディン・ジャリンはエンボを退け、ロッタは双子をドラゴンスネークが棲む地下の泉へと道連れにしたかに思われたが、グローグーがフォースでロッタだけを助け、双子はドラゴンスネークに丸呑みにされたのだった。新共和国時代にはハット・クランは存在感を失っていたが、これがきっかけで組織は解体へ向かっていったのだろう。
エンボは逃げ出した一方、アンゼランたちが新共和国軍を連れて帰ってくると、ウォード大佐率いるレンジャー部隊がナル・ハッタに総攻撃を加える。新共和国はハット・クランと手を組んでいたが、同組織は帝国の残党側に情報を流していたのだ。
ここでウォード大佐の見せ場を作ってくれたのは嬉しい。それに、部隊にはゼブや、ドラマ『マンダロリアン』で何度もディン・ジャリンを見逃してくれたポール・サン=ヒョンジュ・リー演じるカーソン・テヴァ、新たにルーカス・フィルムの社長に就任したデイヴ・フィローニ演じるトラッパー・ウルフも加わっていた。
爆発の中を逃げ出すディン・ジャリンとグローグー、そしてロッタ。二人は慣れたものかもしれないが、意外とこの場面はロッタにとって大きな経験になったのかもしれない。仲間と迫り来る敵と爆発から逃げ出す大冒険を経験できたのだから。
ラストの意味は?
映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』のラストシーンは、新共和国軍の前哨基地であるアデルファイ基地が舞台。グローグーはウォード大佐に敬礼しているが、非帝国側の人間で敬礼をするのは珍しいかもしれない。この辺りは、グローグーがまだまだ常識を知らないことが示されているのだろうか。
気になるのはロッタのその後だ。ロッタはアデルファイに残り、新共和国のために働くかもしれないと口にする。ディン・ジャリンは疑問視するが、ゼブが「ちょうどいいユニフォームがある」と言うと、まずは酒を奢ると言ってロッタを連れていく。
ハット族にフィットするユニフォームは既製品では存在しないと思われる。ゼブはラサットという種族だが、新共和国のパイロットとしては希少で、ゆえにハット族としては前例のないロッタのことも新共和国軍で受け入れたいと思ったのかもしれない。いずれにせよ、今後もグローグーとはたまに会えることになりそうだ。
最後にディン・ジャリンは、レイザー・クレストのコクピットで膝の上にグローグーを乗せると、「お前の番だ」と言って、ハイパースペースジャンプのスイッチを押させてあげる。N-1スターファイターに乗っていた時は、グローグーがおねだりして、ディン・ジャリンが亜高速スラスターを発動させていたが、今度は自分で操作させるのだ。
このシーンが印象的なのは、作中で繰り返しシートベルトを締めるよう言っていたディン・ジャリンが、シートベルトを外して自分の膝の上に来るように告げている点だ。ずっと安全装置をつけていては次のステップに進むことはできない。そして、「お前の番だ(It’s your turn.)」という言葉は、作業だけを指しているのでなく、次の世代にバトンを渡していくことを示しているのだろう。
映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』ネタバレ感想&考察
誰もが楽しめる作りに
映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』は、その構成やアクション、ドッグファイト(空中戦)など、「スター・ウォーズ」映画の懐かしいワクワク感を再現しつつ、ディン・ジャリンの活躍とグローグーの成長もしっかり見せてくれるという非常にバランスの取れた作品だった。
その上で、おそらくドラマを全く観ていなくても(むしろこれまで「スター・ウォーズ」シリーズに触れていなくても)楽しめる作品になっており、子どもでも楽しめるハードルの低さは意図して準備されたものなのだろう。
一方で、ディン・ジャリンの肩に乗るグローグーの姿は、ルークの肩に乗るヨーダの姿を想起させるし、実はウォード大佐とジャヌ卿を除いて、物語に絡むキャラクターはほぼ過去作に登場しているキャラクターであるなど、「スター・ウォーズ」を観てきた人にはより楽しい作りにもなっていた。
父と息子の話が中心であるが故に、ボーイズクラブ的な空気もあった(一応ハット族は単独繁殖が可能という設定はある)が、シガーニー・ウィーバーという超大物を今回の作品では最も位の高い人物として登場させ、見せ場を用意するという形でバランスを取っている感じもあった。
というか、そもそも本作には顔出しで登場する人間のキャラがほとんどいなかった。今やハリウッドナンバーワン俳優となったペドロ・パスカルと大ベテランのシガーニー・ウィーバーだけで、相当なギャラがかかったのではと余計な心配もしてしまった。
もう一つ素晴らしかった点は、シネマティックになった音楽だ。ドラマに続いて音楽を手がけたルドウィグ・ゴランソンが、お馴染みのメロディーは残したままより壮大になった楽曲を聴かせてくれた。さすがは『ブラックパンサー』(2018)、『オッペンハイマー』(2023)、『罪人たち』(2025) で3度のアカデミー作曲賞を受賞した作曲家だ。
そして、『マンダロリアン・アンド・グローグー』は、ディン・ジャリンとグローグーの視点が同等に描かれることで、しっかりそのタイトルの意味が回収されていた。今後もグローグー視点物語が量産されることに期待したい。
グローグーの新しいお友達
映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』でのグローグーの成長についてはすでに触れた通りだが、注目したい点は、ロッタというお友達ができたことだ。作中でも触れられた通り、ハットは長寿の種族で、ジャバ・ザ・ハットが死んだのは600歳の時だった。
ハット族は1000年生きるともされており、900年生きたヨーダの前例があるグローグーの種族と同程度長生きすることができる。ロッタは『マンダロリアン・アンド・グローグー』の時点で30代と見られ、実は50代のグローグーよりも年下だ。
ディン・ジャリンは、どうしても自分が死んだ後のグローグーの孤独について考えてしまっていただろう。今回、ロッタとグローグーが仲良く遊んでいる姿を見て、どこかで安心する気持ちがあったのではないだろうか。自分がいなくなっても、グローグーは周囲に支えられながらやっていけるという確信を、あの浜辺のシーンで得たのかもしれない。
ロッタのキャラクターは当初思っていたよりかなり良く、ハット族の印象をガラリと変えてしまうほどイケていた。種族によって成長のスピードに違いがあるのか、グローグーはまだ喋ることはできないが、いずれ兄弟のように仲良く過ごす日が来るのだろう。
親戚のおじおばのような立場の私たちにとっては、グローグーの成長の速さにも驚かされるが、新たな出会いや信頼の構築によって、周囲の環境が変化していくのも面白い点だ。例えばグローグーはプラジール15でナイトの爵位をもらっていたり(シーズン3第6話)もするし、かなり顔が広くなってきたのではないだろうか。
新共和国に何が?
また、『マンダロリアン・アンド・グローグー』では、成立まもない新共和国が対処できないアウター・リムでの仕事をマンダロリアンが担っていることが明かされた。ゼブも頑張っているし、ロッタも加わるなど、順調なようにも見えるが、この20数年後には、新共和国は帝国の残党が結成したファースト・オーダーの台頭を許すことになる。
それも、新共和国はファースト・オーダーの台頭を軽視して、レイア・オーガナ将軍の私設軍であるレジスタンスがこれに対処することになったのだ。そして、続三部作の戦いには、マンダロリアンもウォード大佐も登場していないため、ディン・ジャリンたちの戦いはどこかで途切れることになるのだろう。
グローグーやロッタが続三部作の時代にどこで何をしていたのかは気になるところ。アソーカ・タノもファースト・オーダーとの戦いには加わっていないので、また別の戦いがあったのかもしれない。そのあたりは今後の作品で描かれていくことに期待しよう。
「スター・ウォーズ」の今後は?
「スター・ウォーズ」シリーズの今後としては、ドラマ『マンダロリアン』にも登場したアソーカ・タノを主人公にしたドラマ『アソーカ』(2023-) のシーズン2が2027年に配信される。こちらはマンダロリアンのサビーヌ・レンもメインキャラクターとして登場しているが、『マンダロリアン』からは分岐した物語が展開されている。
一方で、『マンダロリアン・アンド・グローグー』に登場したロッタ・ハットは『クローン・ウォーズ』で小さい頃にアソーカに助けてもらっている。今後は新共和国の一員としてロッタがアソーカを助けるという展開もあり得るかもしれない。
ドラマ『マンダロリアン』は映画の内容とは異なるシーズン4の脚本は執筆されたものの、映画のストーリーを一から制作することになり、その脚本は宙に浮いている状態となっている。シーズン4が制作されるかどうかは明言されておらず、映画の評判も見て、ドラマを続けるか、映画展開を続けるかが判断されることになりそうだ。
映画では、デイヴ・フィローニが監督を務める『マンダロリアン』と同時代を舞台にした長編映画も制作が発表されている。“最初のジェダイ”を描くジェダイ黎明期を舞台にしたジェームズ・マンゴールド監督作品と、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019) の15年後を舞台にしたシャーミーン・オベイド=チノイ監督作品と合わせて、続報が待たれる。
また、『スカイウォーカーの夜明け』の5年後を舞台にした『スター・ウォーズ:スターファイター(原題)』の制作も発表されている。こちらは『デッドプール&ウルヴァリン』(2024) のショーン・レヴィ監督、ライアン・ゴズリング主演のタッグで製作され、二人は2025年に日本で開催された「スター・ウォーズ セレブレーション」でも来日して登壇している。
ついに再始動した「スター・ウォーズ」映画。今後もフランチャイズとしては様々なプロジェクトが準備されているが、その中でもディン・ジャリンとグローグーの物語は『マンダロリアン』ファンにとって最重要の関心事であることは記しておきたい。早く次の冒険が見られるように、引き続き応援していこう。我らの道。
映画『マンダロリアン・アンド・グローグー』は2026年5月22日(金) より日米同時公開。
『マンダロリアン・アンド・グローグー』オリジナルサウンドトラックは6月3日発売。
『マンダロリアン・アンド・グローグー』ビックリマンチョコは8月31日発売で予約受付中。
ドラマ『マンダロリアン』4K UHD コレクターズ・エディション スチールブックはシーズン1からシーズン3まで発売中。
絵本『マンダロリアンとグローグー 』は発売中。
ドラマ『マンダロリアン』シーズン3最終回のネタバレ解説&感想はこちらから。
ドラマ『キャシアン・アンドー』シーズン2最終回のネタバレ解説&感想はこちらから。
ドラマ『アソーカ』シーズン1のネタバレ解説&感想はこちらから。
ドラマ『アソーカ』から読み解くジェダイとマンダロリアンの同盟の可能性についての考察はこちらから。
