2024年に唯一公開されるMCU映画『デッドプール&ウルヴァリン』
20世紀FOX版「X-MEN」シリーズとMCUを繋ぐ映画である『デッドプール&ウルヴァリン』が2024年7月に公開され、多くの観客が「あのキャラクターは何者だったのだろうか」という考察で盛り上がっている。その考察の対象に挙がっているキャラクターの一人が炎を操るミュータントのパイロだ。
本記事では『デッドプール&ウルヴァリン』に登場したパイロについて解説と考察を述べていこう。なお、以下の内容は『デッドプール&ウルヴァリン』のネタバレを含むため、劇場で本編鑑賞後に読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『デッドプール&ウルヴァリン』の内容に関するネタバレを含みます。
『デッドプール&ウルヴァリン』のパイロは何者?
『デッドプール&ウルヴァリン』の魅力の一つと言えば、MCU以前のマーベル映画のキャラクターの豪華なカメオ出演があげられるだろう。その中で注目が集まったのは、カメオ出演したキャラクターがどのユニバースからやってきたのかということだ。
たとえば、ウルヴァリンが一例として挙げられる。観客がこれまで観てきたアース10005のウルヴァリンは映画『LOGAN/ローガン』(2017)で死亡しており、世界を存続させるために必要なアンカーである新たなウルヴァリンを探すためにデッドプールは様々なユニバースを旅した。このように、『デッドプール&ウルヴァリン』では過去の映画のキャラクターが登場し、同じ俳優が演じていても別のユニバースのキャラクターである可能性があるのだ。
『デッドプール&ウルヴァリン』で最初にMCU以前のキャラクターとして予告編に登場したのは20世紀FOX版「X-MEN」シリーズに登場したパイロだった。炎を操るミュータントであるパイロだが、『デッドプール&ウルヴァリン』に登場するパイロと20世紀FOX版「X-MEN」シリーズのパイロは同一人物なのだろうか。
パイロが2つのユニバースの同一人物なのかどうかについて、演じたアーロン・スタンフォードが米The Directの独占インタビューで答えた。アーロン・スタンフォード曰く、『デッドプール&ウルヴァリン』に登場する虚無にいたパイロは、『X-MEN2』(2003)と『X-MEN:ファイナル ディシジョン』(2006)に登場したパイロと同一人物とのことだ。パイロがどのように虚無に来たのかについて、アーロン・スタンフォードは以下のようにコメントしている。
(『X-MEN:ファイナル ディシジョン』から)長い時間が経過し、パイロは多くのことを経験してきました。だから、恵まれし子らの学園からそのまま引き抜かれてタイムトラベルしてきたというような状況ではないんです。このパイロは、どういうわけかこの「マッドマックス」シリーズのような荒れ地に追放され、地獄のような虚無にどれだけ長くいるのかわかりません。パイロの外見だけ見ると、パイロが苦難を乗り越えてきたことがわかります。パイロは(20世紀FOX版「X-MEN」と)同じ存在ですが、あの頃以上に苦境を乗り越えてきたのです。
虚無で暮らすアース10005のパイロとローラ
パイロが20世紀FOX版「X-MEN」シリーズと同一人物だとすれば、デッドプールの暮らしている20世紀FOX版「X-MEN」シリーズの世界であるアース10005のX-MENが他にも虚無にいる可能性が考察できる。『デッドプール&ウルヴァリン』の冒頭では、『LOGAN/ローガン』で死亡したアース10005のウルヴァリンの遺体が登場し、X-23ことローラを演じるダフネ・キーンは、Phase ZeroのX(旧Twitter)で『デッドプール&ウルヴァリン』のローラもアース10005の『LOGAN/ローガン』のローラと同一人物であることを明かしている。
『LOGAN/ローガン』でローラはノースダコタ州にある「エデン」に辿り着いた。ダフネ・キーンによれば、ローラはスペイン語訛りが抜けるほどの年月を他のミュータントの子供たちと過ごした後、TVAによって虚無送りにされたとのことだ。
パイロを演じたアーロン・スタンフォードは虚無送りにされたことに関して、パイロは流刑地送りにされ、カサンドラ・ノヴァに対して様々な恨みを抱いていると語っている。
虚無は流刑地のようなものです。彼らはみんなここに送られ、そこに収監されるんです。カサンドラ・ノヴァはよくわからないけど、看守と監房で一番タフな囚人を足して2で割ったような感じで、みんな言うことを聞かなくちゃいけません。だから、優しい人物ではないことは確かです。パイロは長い間、カサンドラ・ノヴァの支配下で機嫌を取りながら生きなければならなかったですし、カサンドラ・ノヴァが(デッドプールとウルヴァリンに)気を取られている間に、ついに虚無から脱出するチャンスを得たんです。
アーロン・スタンフォードは続けて、パイロが虚無から脱出したい最大の動機について明かした。それは、カサンドラ・ノヴァを裏切るという危険を冒してでもミスター・パラドックスの手を借りて虚無から脱出することによって、より良いユニバースに旅立ちたいというものだった。
(『デッドプール&ウルヴァリン』では、)パイロは虚無から解放されることを望んでいるとされています。私が考えたのは、ジョーイ・パントリアーノが演じるサイファーが、夢のバージョンのマトリックスに移れるなら、友達を全員殺すという取引をする『マトリックス』(1999)と似たようなことでした。そこで私が考えたのは、パイロがミスター・パラドックスと同じような取引をすることでした。
『マトリックス』に登場するジョーイ・パントリアーノが演じるサイファーは、人類でありながらコンピューター側の内通者のキャラクターだ。サイファーはたとえコンピューターに見させられている虚構の夢の世界だとしても、自分が楽しめる世界への移住を望み、人類側のレジスタンスを裏切って情報をコンピューター側に流していた。アーロン・スタンフォードは自分の暮らす世界を捨ててでも、自分が楽しめる世界に移住することを目指すパイロをサイファーと同じ種類の人間と考えているのだと思われる。
今後もアース10005のキャラクターは虚無から登場する?
パイロとローラが20世紀FOX版「X-MEN」シリーズと同一人物であることが明らかになったことで、アース10005のキャラクターが虚無を通して今後のMCUに登場する可能性も出てきた。
ミスター・パラドックスの口からは、アース10005はアンカーであるウルヴァリンが死亡したことにより、数千年かけてゆっくりと衰弱して滅んでいくということが語られている。そんなアース10005もデッドプールの活躍によりウルヴァリンが帰ってきたことで衰弱する未来は回避できた。
そうなると新たな問題としてユニバース同士の衝突、インカージョンの発生が懸念される。もしかしするとMCUのメインユニバースであるアース616と20世紀FOX版「X-MEN」シリーズの世界であるアース10005が衝突する展開もあり得る。この問題は今後公開されるユニバース同士の衝突を描く『アベンジャーズ:シークレットウォーズ(原題:Avengers:Secret Wars)』で語られるのかもしれない。今後のMCUからも目が離せない。
『デッドプール&ウルヴァリン』は全国の劇場で公開中。
原作コミックでデッドプールが歩んできた道をまとめて紹介! デッドプール30周年の歴史を振り返るムック本『デッドプール 30th Anniversary Book』は発売中。
『デッドプール&ウルヴァリン』のオリジナル・サウンドトラックは発売中。
『デッドプール』『デッドプール2』は2枚組のBlu-rayコレクションが発売中。
ダニエル・ウェイ&スティーブ・ディロンによるコミック『デッドプール VS. ウルヴァリン』は、吉川悠による邦訳版が発売中。
Source
The Direct/Phase Zero X
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