ネタバレ『モービウス』ポストクレジットを監督が解説 「他の〇〇も」発言を考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ『モービウス』ポストクレジットを監督が解説 「他の〇〇も」発言を考察

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映画『モービウス』ラストを解説

ソニー・ピクチャーズが展開するSSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)の第3作目となる映画『モービウス』が2022年4月1日(金) より日米同時公開された。『ヴェノム』(2018) 『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021) が公開された「ヴェノム」シリーズに続き、SSUに新たなダークヒーローが加わった。

『モービウス』の主人公は血の難病を患う天才ドクターのマイケル・モービウス。吸血コウモリのDNAを使いこの難病を治療する血清を作り出し、自らに投与する。マイケルは血清によってスーパーパワーを手に入れるが、血を求めて暴走する自分の力をコントロールすることに苦悩する。

そして、『モービウス』のラストに待っていたのは意外な展開だった。このラストについては、こちらの記事で徹底解説&考察を行なったが、『モービウス』を手がけたダニエル・エスピノーサ監督がポストクレジットシーンについて自ら解説している。

以下の内容は映画『モービウス』の結末部分に関する重大なネタバレを含むので、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『モービウス』『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の結末に関するネタバレを含みます。

『モービウス』ポストクレジットを解説

スウェーデン生まれで、映画『チャイルド44 森に消えた子供たち』(2015) や『ライフ』(2017) で知られるダニエル・エスピノーサ監督。『チャイルド44』では「ヴェノム」シリーズのエディ役でお馴染みのトム・ハーディを主演に起用している。『モービウス』で初めてスーパーヒーロー映画のユニバースに参加した同監督だが、SSUの今後を占う『モービウス』のポストクレジットでの展開について、米CinemaBlendで解説した。

『モービウス』のユニバースは?

まず、映画『モービウス』の世界がどのユニバースに属しているのかという質問に対し、ダニエル・エスピノーサ監督は以下のように語っている。

モービウスはヴェノムと同じユニバースにいます。本作はヴェノムが『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のラストで出ていったユニバースで、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の最後に戻ってきたユニバースです。

そもそもSSUは映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポストクレジットシーンでMCUのユニバースと合流する展開を見せていた。映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) でドクター・ストレンジがマルチバースの扉を開いてしまった影響で、ヴェノムとエディがMCUの世界へ飛ばされたのだ。

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) のポストクレジットでもMCUとSSUはリンクした。ドクター・ストレンジがマルチバースの扉を閉じたことで、エディとヴェノムはSSUのユニバースにカムバックしている。

『モービウス』本編を見れば、『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』に登場したものと同じロゴのデイリー・ビューグル紙の登場や、マイケルの「俺はヴェノムだ」というセリフから「ヴェノム」シリーズと同じユニバースであることが示唆されている。ダニエル・エスピノーサ監督のコメントは、改めてヴェノムとモービウスが同じユニバースにいることを認める形になった。

スパイダーマンは存在する?

次に、ヴェノムとモービウスが存在するSSUのユニバースに、スパイダーマンは存在するのかと聞かれたダニエル・エスピノーサ監督は「もちろんです」と答えた上で、「ヴェノムのユニバースにはどのスパイダーマンが存在しているのですか」と聞かれ、以下のように話している。

私の理解では、観客の皆さんはすぐに答えを知ることになりますよ。

このインタビューは『モービウス』公開直前に行われたものだが、映画『モービウス』ではその“答え”は示されなかった。予告編に登場した「人殺し」と落書きされたスパイダーマンの絵や、グリーン・ゴブリンことノーマン・オズボーンが経営するオズコープのビルといった“スパイダーマン要素”は全て本編からカットされてしまっていたのだ。

SSU作品は2023年1月13日に米国公開予定の『クレイヴン・ザ・ハンター』まで公開がないが、監督が「すぐに答えを知ることになる」と話したということは、近く何らかの発表があるということだろうか。

なお、サム・ライミ監督のトビー・マグワイア版「スパイダーマン」シリーズには、SSUとは別のヴェノムとエディ・ブロックが登場済み。SSUのユニバースとは違う世界の物語だと考えられる。となれば、既出のスパイダーマンの中では、アンドリュー・ガーフィールドが演じた「アメイジング・スパイダーマン」シリーズだけがSSUと同一のユニバースという可能性が残されている。もしくは全く異なるオリジナルのスパイダーマンが紹介されることになるだろう。

ヴァルチャー登場の意味は?

そして、『モービウス』のポストクレジットシーンで登場したヴァルチャーことエイドリアン・トゥームスについての発言にも注目だ。突如刑務所の房の中に現れたヴァルチャーは、釈放された後に「この件にはスパイダーマンが関係している」「チームを組めば面白くなる」とマイケル・モービウスに伝える。

ダニエル・エスピノーサ監督は、このヴァルチャーがMCUの『スパイダーマン:ホームカミング』(2017) と同じ人物であるとした上で、以下のように話している。

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』と『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のラスト、そして『ノー・ウェイ・ホーム』本編では、キャラクターたちがマルチバース間を移動する可能性があるということが明確に打ち出されました。『ノー・ウェイ・ホーム』の出来事によって、ヴェノムとヴァルチャーは——そしておそらく他のキャラクター達も——MCUとヴェノムのユニバースを行き来させることになったんです。

やはりヴァルチャーは『ノー・ウェイ・ホーム』での出来事によって、MCUの世界からSSUの世界へと転送されたのである。

ただし、『モービウス』のポストクレジット解説記事でも指摘した通り、『ノー・ウェイ・ホーム』では、ユニバース間を移動したのはスパイダーマン=ピーター・パーカーという事実を知っている人物という設定になっていた。ヴァルチャーは『ホームカミング』の時点でスパイダーマン=ピーター・パーカーということを知っていたが、『ノー・ウェイ・ホーム』の時点では世界中の人がその事実を知っている。

やはりヴァルチャーだけがユニバース間を移動した理由というのは、理論的な形では示されていないように思える。一つ可能性があるとすれば、SSUのユニバースに移動したヴァルチャーは、『ノー・ウェイ・ホーム』のタイミングではなく、まだスパイダーマンの正体が世間に知られる前のタイムラインのヴァルチャーということだろうか。

「世間は知らないスパイダーマンの正体を知っている数少ない人物が、転送の対象になった」ということならば筋は通る。なかなかエクストリームな擁護になってしまうが、ヴァルチャーのユニバース移動は『ノー・ウェイ・ホーム』で作ったロジックが破綻しかねない展開でもあるのだ。

「他のキャラクター達」とは?

一方、エスピノーサ監督は「おそらく他のキャラクター達も」と、ヴァルチャー以外にもSSUのユニバースに移動した可能性を示唆している。スパイダーマンの正体を知っている人物で言えば、有力なのは『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019) のメインヴィランであるミステリオだろう。

ドクター・オクトパスやグリーン・ゴブリンが死の直前にMCUに転送されたのと同じく、MCUでスパイダーマンの正体を知るミステリオが死の直前にSSUに転送されるということはあり得る。もともと『ノー・ウェイ・ホーム』にはミステリオも登場する計画もあったとされている。

ミステリオは、スパイダーマン打倒を掲げるヴィランチームのシニスター・シックスの初代メンバーの一人。ヴァルチャーも初代メンバーの一人で、今回『モービウス』でヴァルチャーがチームアップを呼びかけたことで、SSUでのシニスター・シックス結成が現実味を帯びている。「おそらく他のキャラクター達も」というエスピノーサ監督の発言は見逃せないものである。

それだけに、ユニバース間移動のロジックだけはまとめてもらいたいものだが……。

シニスター・シックス結成は?

そして、ダニエル・エスピノーサ監督は、『モービウス』のポストクレジットシーンにおけるヴァルチャーの登場がシニスター・シックス結成につながるものなのか、という問いにも答えている。

えっと、彼(ヴァルチャー)はチームメイトをリクルートしていて一人は既に勧誘することができました。これが始まりであるということは確かです。

シニスター・シックスの結成については否定しておらず、やはり「スパイダーマン」ヴィランを中心としたSSUでは、ここからシニスター・シックス結成へと動いていくようだ。原作コミックではシニスター・シックスに加わっていないモービウスもそこに加わると見られ、映画版ではどのようなメンバー構成になるのかということにも注目したい。

そして、シニスター・シックスが対峙するはずのスパイダーマンは、SSUにどのような形で登場するのか……。SSUの今後の展開から目が離せない。

映画『モービウス』は2022年4月1日(金)より全国の劇場で公開。

『モービウス』公式サイト

『モービウス』の続編とSSU作品の今後については、こちらの記事で考察&解説している。

『モービウス』エンディングとポストクレジットシーンの解説はこちらから。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のエンディングとポストクレジットシーンについての解説はこちらから。

『ノー・ウェイ・ホーム』のヴェノム登場について監督が解説した内容はこちらから。

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のエンディング&ミッドクレジットシーン解説はこちらから。

「ヴェノム」第3作目とシリーズの今後についてはこちらの記事で。

 

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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