『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』公開!
MCU映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が日本でも全国の劇場で公開された。過去の「スパイダーマン」シリーズからグリーン・ゴブリン、ドクター・オクトパス、エレクトロといった大物ヴィランも登場するとあり、大きな注目を集めている。
『ノー・ウェイ・ホーム』の指揮をとったのは、前2作に続いてジョン・ワッツ監督。そして脚本も前2作と同じくクリス・マッケナとエリック・ソマーズの二人が担当している。そして、本作の米公開から2週間が経過したタイミングで、その二人があのサプライズについて口を開いている。
以下の内容は『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の結末に関するネタバレを含むので、必ず劇場で本編を観た後に読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の内容に関するネタバレを含みます。
ミッドクレジットに注目
脚本家のクリス・マッケナとエリック・ソマーズが米Varietyに話したのは、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のミッドクレジットシーンに登場したヴェノムとエディ・ブロックについてだ。
『ノー・ウェイ・ホーム』のラストでは、サム・ライミ監督版「スパイダーマン」とマーク・ウェブ監督版「アメイジング・スパイダーマン」の世界からやってきたヴィラン達の力を奪うことに成功。ドクター・ストレンジはヴィラン達とピーター・パーカー達を元のユニバースへと帰す。
そして、ドクター・ストレンジが人類からピーターの存在を忘れさせる呪文を上書きし、マルチバースから無数の「ピーター・パーカーがスパイダーマンだと知っている人々」の襲来を食い止めた。当初の呪文が失敗し、「ピーター・パーカーがスパイダーマンだと知っている人々」をあらゆるユニバースから呼び寄せてしまったのが本作の事件の始まりだった。
一方、ミッドクレジットシーンに待っていたのは、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)ではなくソニーが展開するSSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)に属する「ヴェノム」シリーズの二人だった。映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021) のエンディングから繋がるこのシーンでは、エディ・ブロックがこの世界についての情報を集めている。
『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』でヴェノムがピーター・パーカーの姿を見て「コイツだ」と言ったことから、エディはニューヨークまでスパイダーマンに会いにいこうとする。しかし、ここでエディとヴェノムはオレンジの光に包まれて元のユニバースへと帰ってしまう。ちょうどドクター・ストレンジがヴィラン達を元のユニバースに帰したタイミングだったのだ。
ヴェノムとエディは元のユニバースへと帰ったが、そこにはシンビオートの一部が残されていた。MCUにもシンビオート(ヴェノム)が参戦することを示唆して、ミッドクレジットシーンは幕を閉じる。
決戦にヴェノムが加わる案も
米Varietyによると、『ノー・ウェイ・ホーム』で脚本を手掛けたクリス・マッケナとエリック・ソマーズの二人は、ヴェノムが本作の最後の戦いに加わることは「確かに議論された」としている。なんと、3人のスパイダーマンに5人のヴィラン、ドクター・ストレンジに加えてヴェノムがバトルに加わる案もあったのだという。
ネッドとMJを除いても10人という大所帯だ。ドクター・オクトパスがスパイダーマン側につくため、ヴェノムが味方になれば6対4という構成になる。MCUスパイダーマンが初登場を果たした『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016) のアベンジャーズ達もびっくりのスペシャルマッチが実現するところだったのだ。
しかし、あのシーンにヴェノムが登場していたら、流石にお腹いっぱいになっていただろう。最終的にはミッドクレジットシーンでの登場という形におさまったようだが、ヴェノムとエディがニューヨークを目指そうとしていたのは、ラストバトル参戦案の名残だったのかもしれない。
なぜヴェノムがMCUに?
そして、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポストクレジットシーンはジョン・ワッツ監督が指揮したものであることも明かされている。そこで気になるのが、なぜヴェノムはMCU世界に飛ばされてしまったのか、ということだ。
ドクター・ストレンジの呪文によってMCU世界に飛ばされたキャラクター達の条件は、「ピーター・パーカーがスパイダーマンだと知っている人物」に限られる。「ヴェノム」シリーズではピーターはおろかスパイダーマンも登場しておらず、ヴェノムとエディ・ブロックがピータ・パーカー=スパイダーマンという事実を知る機会はなかったはずだ。
この疑問については、脚本家のクリス・マッケナが答えを提示している。
シンビオートは他のユニバースについての知識を持っているということです。彼の脳の中は接続された知識で満たされているんです。
この答えは、筆者がこちらの記事で考察した内容と一致する。『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポストクレジットシーンでは、ヴェノムがシンビオートには800億光年に及ぶ集合意識による知識があると語っており、別のユニバースにいるシンビオートとも知識を共有できる可能性を示唆していた。
つまり、クラウドAIのように、それぞれの個体がそれぞれのユニバースで得た知識を共有できるということだ。『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』では、ヴェノムがクレタス・キャサディの独房の壁に描かれた絵を記憶しており、エディの家で一瞬にしてそれを再現する描写もあった。シンビオートの記憶の力は人類のはるか先を行くものなのだ。
『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポストクレジットシーンでは、ヴェノムがシンビオートの記憶の一端をエディに見せようとした時に、二人はユニバースを越えた。全ユニバースのあらゆるシンビオートの中で、SSUのヴェノムとエディが召喚された理由は、ちょうど良いタイミングで集合意識から記憶を“引き出した”からなのかもしれない。
その後のシーンでヴェノムは「俺じゃない」と自分の力でユニバースを越えたことを否定すると、テレビに映るピーターを見て「コイツだ」とその顔を舐めてみせる。ヴェノム/シンビオートがピーターのことを知っていた理由は、恐らく『スパイダーマン3』(2007)でシンビオートがトビー・マグワイア版ピーター・パーカーに寄生していたからだろう。
結局エディ・ブロックとピーター・パーカーが出会うことはなかったが、シンビオートはMCU世界に残された。こちらの考察記事で指摘した通り、ピーターは記憶が消える人の対象を「この世界 (This world)」(訂正)最初にドクター・ストレンジがピーターがスパイダーマンだということを忘れる対象を「この世界中の(in the world)」と限定しており、元のユニバースに帰ったヴェノムにはピーターの記憶が残っている可能性がある。
とすれば、残されたシンビオートも「接続された記憶」を持っているため、“この世界”で唯一ピーターのことを知っている存在になるが……。
映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は2022年1月7日(金) より、日本全国の劇場で公開。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のサウンドトラックはAmazonで配信中。
Source
Variety
『ノー・ウェイ・ホーム』エンディングからミッドクレジット、ポストクレジットの解説はこちらの記事で。
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MJとピーターの最後の会話に関するマーベル公式の解説と、トム・ホランドとゼンデイヤの見解はこちらの記事で。
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