ネタバレ考察&解説 征服者カーンの強さの理由は? 能力は? 実は弱い?『アントマン&ワスプ:クアントマニア』で判明した背景 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ考察&解説 征服者カーンの強さの理由は? 能力は? 実は弱い?『アントマン&ワスプ:クアントマニア』で判明した背景

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『アントマン&ワスプ:クアントマニア』征服者カーンの強さに注目

MCU映画第31作目の『アントマン&ワスプ:クアントマニア』は、MCUフェーズ5の第1弾に当たる作品。フェーズ4は多くの新キャラの”紹介”に当てられ、フェーズ5からいよいよ物語が動き出す。そんな中で、大々的にスクリーンデビューを果たしたのがジョナサン・メジャース演じる征服者カーンだ。

征服者カーンは、フェーズ1からフェーズ3までの初代アベンジャーズとインフィニティ・ストーンを巡る物語を指す“インフィニティ・サーガ”のヴィラン・サノスに続くMCUの大ヴィランとされる。2025年5月公開を予定している映画『アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ』のタイトルにも冠されるカーンがいよいよ本格的なMCU参戦を果たす。

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』で、映画作品では初めて登場した征服者カーン。気になるのは、その強さと強さの源だ。今回は、その強さについて劇中の描写から秘密に迫っていきたい。なお、以下の内容は映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』のネタバレを含むため、必ず劇場で映画を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の内容に関するネタバレを含みます。

征服者カーンの強さは?

映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の征服者カーンは、冒頭では衰弱した姿で姿を現した。それでも、量子世界のクリーチャーに襲われているジャネットを銃で助ける姿でスクリーンデビューを果たした。初登場時から完全な弱者ではなく、何かを与えて見返りを得るカーンの特徴がよく出ている。

他のカーン達に量子世界に追放されたカーンは質素な服装をしているが、ジャネットと共にマルチバース・エンジンのエネルギーコアを復活させた後はスーツを取り戻し、原作コミックと同じ姿を見せた。

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一方でジャネットは神経制御を通して征服者カーンの思考に触れ、カーンが他のユニバースで多くの人々を死に至らしめ、時間軸を破壊してきた様を見た。後にジャネットは征服者カーンのことを「怪物 (a monster)」と形容している。こうした描写からも、征服者カーンは相当な強者であることが分かるが、一体どのような能力を持っているのだろうか。

征服者カーンの能力

征服者カーンは、指先一つでモードックを壁に押し付け、キャシーを浮かせて操るなど、重力制御ができるかのような描写がいくつもあった。ジャネットが捕まるときにはその動きが止められ、手を握られたジャネットはカーンと共に歩き出している。

相手の身体を操るような力を持っている征服者カーンは、アントマンとワスプに要塞を破壊された後は、自ら戦場に降り立ち、手から青いビームを放って反乱を鎮圧していく。この青いビームを喰らった量子人は姿を消しており、このビームがMCUでも最強クラスのパワーを持っていることが分かる。また、重力が操れるからか、浮遊しているように見える場面もあった。

征服者カーンは量子人の一人が放ったビームを受け止めると、その黄色いビームを青色に変えて撃ち返すという離れ業もやってのける。さらに、ハンク・ピムのアリの大群と対峙するときにはバリア能力も披露。魔法使いと見紛うほどの能力を見せている。

これらの能力を見せながら、征服者カーンは、これまでに何度も反乱を治め、何人ものアベンジャーズを殺してきたと明かす。様々な時間軸を破壊してきた征服者カーンは、アントマンと出会った時も「ハンマーの男じゃないな」と、アベンジャーズのソーと遭遇した経験があることを示唆していた。その後、アントマンを「小物」と呼んでおり、アベンジャーズ程度は脅威に思っていないことを示している。

本来の強さは?

これらの征服者カーンの能力は、“高度に発達した科学は魔法と見分けがつかない”というSFの基本理論で説明できる。なぜなら、アリの大群によって連れ去られた後の征服者カーンは、一転してその能力のほとんどを失うからだ。

ハンクが連れてきた高度に発達したアリの大群は、よく見ると征服者カーンのスーツに噛み付いていることが分かる。その後、ポータルから元の世界に戻ろうとするスコットらの前に現れた征服者カーンのスーツはボロボロになっており、腕のグローブに付けられていた装置も破壊されていることが分かる。

こうなれば征服者カーンはアントマンことスコット・ラングと殴り合いをするしかない。テクノロジーを失ったカーンは殴り合いをするしかないのだ。一応はそれでも高い戦闘能力を見せたカーンだが、ワスプも参戦してカーンは退けられる。

アベンジャーズを殺すほどの力を持っていた征服者カーンだが、生身の強さはそれほどないと思われる。いわば、アイアンマンと同じようにハイテクノロジーな機器を身にまとっていればこその強さなのだ。

征服者カーンの強み

それでも、その科学力は征服者カーンの最大の強みである。ドラマ『ロキ』(2021-) シーズン1第6話では、カーンは元々31世紀の科学者で、マルチバースを発見するほどの優秀な科学者であったことが明かされている。

10世紀=1,000年も先の科学力・技術力を持っていることがカーンの最大の武器であり、優れた科学者が揃っているアベンジャーズでも、その溝を埋めるのは難しい。『アントマン&ワスプ:クアントマニア』でも、征服者カーンからハイテクスーツを剥ぎ取ったのは、時間拡張フィールドを通って数千年の進化を遂げたアリ達だ。ハンクのラボで進化を促されていたアリたちが量子世界に連れ込まれるという偶然がなければ、スコットたちの勝利も怪しかっただろう。

それに、捨て身で征服者カーンのバリアを破ったのはマードックことダレン・クロスだ。ダレン・クロスは映画『アントマン』(2015) のラストで量子世界に入り、征服者カーンに改造を受けて兵器として生まれ変わった。

このように、カーンは自分より弱い科学者を味方につけることもでき、他者を改造して兵器化することもできる。個の強さに依拠せず、むしろ他人を強化することで“軍隊”を作れるという点は征服者カーンの強みだろう。

カーンを倒すには?

そんな征服者カーンを倒すキーは、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』でも語られたように、「数の力」という点にあるだろう。征服者カーンは今後、「アベンジャーズ」シリーズ第5弾の映画『アベンジャーズ/ザ・カーン・ダイナスティ(原題)』や第6弾『アベンジャーズ/シークレット・ウォーズ(原題)』にも登場する可能性がある。『クアントマニア』ではアリの大群によって形勢を逆転したが、『シークレット・ウォーズ』のような作品ではマルチバース間のスーパーヒーローたちが協力してカーンに挑むことが勝利の鍵になるのかもしれない。

また、先述のように、征服者カーンを倒したのは数千年進化したアリたちによる、より高度な科学力だとも言える。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) でもタイムトラベルを実行する科学の力、とりわけトニー・スタークの力がキーとなったが、征服者カーンに対してもシュリやリリ・ウィリアムズ、ブルース・バナー、そしてキャシーのような科学者たちの力がキーになる可能性は高い。

未来が見えない?

また、『クアントマニア』の征服者カーンは、様々な未来を見たはずだが、スコットと戦った際には自らが負ける未来が見えていなかったように思える。ドラマ『ロキ』に登場した在り続ける者は未来が見えており、ロキらの攻撃を全て避けることができていた。

征服者カーンが負けることまで計算に入っていたとすれば相当に厄介な相手だ。それでもスコットに「(自分を見逃せば)家に帰れたのに」「娘にも会えたのに」と迫っているところを見るに、未来は見えていないように思える。

これは、スコットが「勝たなくても二人で負ければいい」という選択を取ったことで、征服者カーンが知らない未来へと時間軸が分岐したと考えることもできる。いずれにせよ、『エンドゲーム』でドクター・ストレンジが1,400万分の1の勝算を見出したように、ヒーローたちが勝利するには、征服者カーンが知らない未来を実現する必要があるのかもしれない。

とはいえ、“カーン”としての本当の強さは、『クアントマニア』のミッドクレジットシーンとポストクレジットシーンでも示されたように、倒しても倒しても別の“カーン”がやってくることにある。倒すだけでは解決しない新たなヴィラン。今回は“征服者カーン”を倒すことに成功したが、ヒーローたちはこの無限ループを止めることはできるのだろうか。

映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』は2023年2月17日(金) より劇場公開。

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』公式サイト

征服者カーンことナサニエル・リチャーズを主人公に据えたコミック『征服者カーン』は邦訳が発売中。

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ハンク・ピムのオリジンを描くコミック『アントマン:シーズンワン』も邦訳が発売中。

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征服者カーンがラストでどうなったのか、『アベンジャーズ/シークレット・ウォーズ』に繋がるかもしれない今後の展開の考察はこちらの記事で。

征服者カーンとハンク、そしてキャシーにも共通する『クアントマニア』のテーマの解説はこちらから。

カーンの「時は檻」というセリフに込められた意味について、演じたジョナサン・メジャースが語った内容はこちらから。

 

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』ラストからミッドクレジット、ポストクレジットシーンの解説&考察はこちらから。

キャシーの重要性について、キャストと制作陣が語った内容の解説はこちらの記事で。

ホープが取り組むサノスが残した爪痕についての解説はこちらから。

 

マーベル公式とペイトン・リード監督は「アントマン」シリーズを「三部作」と表明した。詳しくはこちらの記事で。

一方で、「アントマン」シリーズには早くも『アントマン4』に関する話題も出ている。詳しくはこちらの記事で。

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』脚本家が語った征服者カーンとサノスの違いについてはこちらの記事で。

キャシーのこれまでと原作コミックでの展開はこちらの記事で。

『クアントマニア』で描かれた量子世界の原点について、ペイトン・リード監督が語った内容はこちらから。

 

2023年5月4日(水・祝) 公開の映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』新予告の解説&考察はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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