「アントマン」シリーズは三部作だった 『アントマン&ワスプ:クアントマニア』監督&キャストが語る | VG+ (バゴプラ)

「アントマン」シリーズは三部作だった 『アントマン&ワスプ:クアントマニア』監督&キャストが語る

© 2023 Marvel

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』公開

「アントマン」シリーズの第3弾で、「アントマン3」にあたる映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』が2023年2月17日(金) に劇場で公開された。MCUフェーズ5の幕開けとなる本作の公開によって、「アントマン」はMCUの中では「アイアンマン」「マイティ・ソー」「キャプテン・アメリカ」「スパイダーマン」に続いて同タイトルで3作目まで公開されたシリーズになった。

その中でも、同一監督が3作連続で同じシリーズの監督を務めた例は、MCUでは「スパイダーマン」のジョン・ワッツ監督と、「アントマン」のペイトン・リード監督のみとなる。ここに5月4日(水・祝) に映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』が公開されるジェームズ・ガン監督が加わる予定だが、それでも31作品が公開されたMCU映画の中でたった3人という希少さである。

そんなペイトン・リード監督と『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の主要キャスト、そして米マーベル公式が正式に「アントマン」シリーズが三部作であることを認めた。『アントマン&ワスプ:クアントマニア』公開のタイミングでの公表に、どんな意図があるのだろうか。

ペイトン・リード監督が語る

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』が公開された米時間の2023年2月17日(金)、米マーベル公式サイトに「『アントマン&ワスプ:クアントマニア』、ポール・ラッド、エヴァンジェリン・リリー、ペイトン・リードが語る」と題したインタビュー記事が掲載された。この記事の中で、マーベル公式は本作のことを「三部作(トリロジー)の三作目となる『アントマン&ワスプ:クアントマニア』」と記している。

確かに、2019年に「アントマン3」はペイトン・リード監督を再起用する線で進められているという報道がなされた際には、米Varietyは「マーベル・スタジオがペイトン・リード監督に三部作の最後を締め括ってほしいと考えている」と報道した。

しかし、それ以降はマーベルが公式に「アントマン」シリーズを三部作と形容することはなかったように思う。今回は映画公開のタイミングで、「アントマン」が三部作であることを強調するようにペイトン・リード監督のコメントを掲載している。

そのペイトン・リード監督は、「3本も作れると予想するほど愚かではないが、内心では夢見ていた」と、三部作に対する想いを語っている。

MCUというより大きなタペストリーの中に収まりつつ、一連の3部作としても機能するというアイデアを気に入っています。スコット・ラングが作中で経験することには、明確に発端・中盤・結末があり、アーク(序破急/起承転結のような展開)があります。それを本当に誇りに思っています。

3作目ということもあり、マーベルにはお互いをよく知っている家族のような感覚があります。どうやって仕事をして、どうやって完成させるかも分かっています。私にとっては本当に嬉しいことでした。ポールと私は座って、「アントマン」の3作目ができたね、という話をしたのですが、私たちは決してこのことを軽く考えてはいませんでした。3作目は本質的なものにして、三部作のラストを飾ろうと決めていたんです。

つまり、『クアントマニア』までの「アントマン」シリーズの三作品は、主人公スコット・ラングにとって一連の流れになっているということだ。『アントマン』で始まった物語のテーマは、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』で一度完結を迎えることになる。

ディズニープラスでも視聴できるペイトン・リード監督による『アントマン&ワスプ』のコメンタリーでは、本作のテーマの一つが「父と娘」であることに言及されていた。スコットが溺愛するキャシーが成長し、ハンクとホープが和解し、ジャネットとの再会を果たす中、このテーマは『クアントマニア』でどのように結ばれることになるのだろうか。

キャストも三部作を振り返る

三作にわたって主演を務めたポール・ラッドは、「アントマン」シリーズが自身にとって初めて同じキャラクターを演じ続けた経験になったという。ポール・ラッドはスコット・ラングを「なんの超能力もない普通の人」と形容するが、長年にわたってスコットを演じたことについてこう語っている。

ほとんど10年にわたってこの役を演じることになり、この役割とフランチャイズ、そして一緒に働いてきた皆に対して家族のようなつながりを感じています。そのために、私はスコット・ラングとアントマンを守っているような気がします。

更に、『アントマン』のラストでワスプになることが確約され、『アントマン&ワスプ』からはMCU初の女性主人公(初の女性単独主人公はキャプテン・マーベル)として活躍を見せたホープ・ヴァン・ダイン役のエヴァンジェリン・リリーは、三部作を振り返ってこう語っている。

私が初めてMCUに参加したときは、なんだか隅っこにいるダサい子どものように感じていました。他の皆は既にロックスターで、ユニバースとして確立されていたからです。ファンはこの人(既存メンバー)に夢中で、文化的なアイコンになっていましたし、そこに私が入ってきて「やぁ、みんな」って……。本当にダサい、ここにいるべきではないと感じていました。

しかし、今ここにいられることはとても光栄なことです。マーベルを一つの家族だと思っていますし、そのメンバーも信じられないくらいすごいですよね。今まで憧れていたクールで偉大な俳優が家族の一員で、私は裏口から忍び込んで、どうやったのかは分かりませんが、ここにいるんです。

続編はない?

コメントからは、なんだかフィナーレを迎えたような祝祭ムードさえ感じられるが、「アントマン」は三部作で終わりということになるのだろうか。ペイトン・リード監督は、『アントマン&ワスプ・クアントマニア』公開の直前に豪Lifehacker Australiaのインタビューで、やはり三部作について語っている。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「スター・ウォーズ」「インディ・ジョーンズ」といった三部作と共に育ってきたので、私にとってはこの物語は三幕構成で、(『クアントマニア』は)三部作の締めくくりとして考えていました。

この中でも、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は“完璧な三部作”と形容するファンもおり、指揮をとったロバート・ゼメキス監督も続編を制作しないことを明言している。だが、ペイトン・リード監督が挙げた作品の内、「スター・ウォーズ」シリーズと「インディ・ジョーンズ」シリーズは三部作の後に続編が制作されている。

そして、マーベル・スタジオは既に『アントマン4』に向けて内部での話し合いを始めていることが分かっている。『アントマン&ワスプ:クアントマニア』のプロデューサーのスティーブン・ブルサードは、『アントマン4』について、ペイトン・リード監督とマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギと話を始めていると明かしている。

また、かつて「ここにいるべきではないと感じていた」と話していたホープ役のエヴァンジェリン・リリーは、ワスプの単独作品にも意欲を示している。これらの“三部作の先の続編”についての情報は、こちらの記事に詳しい。

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』で、一旦三部作を締めくくることになる「アントマン」シリーズ。その物語はどのようなものになるのか、まずはしっかり本作を劇場で見届けよう。

映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』は2023年2月17日(金) より劇場公開。

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』公式サイト

ハンク・ピムのオリジンを描くコミック『アントマン:シーズンワン』も邦訳が発売中。

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スコット・ラングを主人公にしたコミック『アントマン:セカンド・チャンスマン』の邦訳版も発売中。

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征服者カーンことナサニエル・リチャーズを主人公に据えたコミック『征服者カーン』は邦訳が発売中。

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Source
Marvel.com / Variety / Lifehacker Australia

【!ネタバレ注意!】『アントマン&ワスプ:クアントマニア』ラストからポストクレジットまでのネタバレ解説はこちらの記事で。

【!ネタバレ注意!】『アントマン&ワスプ:クアントマニア』後の征服者カーンについての考察はこちらから。

【!ネタバレ注意!】カーンとハンク・ピムの共通点から見る『クアントマニア』のテーマの一つは、こちらの記事で解説している。

 

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』脚本家が語った征服者カーンとサノスの違いについてはこちらの記事で。

スコットの娘キャシーのこれまでと原作コミックでの展開はこちらの記事で。

『クアントマニア』で描かれた量子世界の原点について、ペイトン・リード監督が語った内容はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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