解説&考察『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』新予告 ハイ・エボリューショナリーとサノスの共通点とは | VG+ (バゴプラ)

解説&考察『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』新予告 ハイ・エボリューショナリーとサノスの共通点とは

© 2023 Marvel

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』新予告公開

2023年5月3日(水・祝)公開予定の映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』より、米時間2月12日(日)に開催されたNFLスーパーボウルに合わせて新予告が公開された。MCUでは2月17日(金)から映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の劇場公開を控えており、同作から始動するフェーズ5の幕開けに向けて盛り上がりを見せている。

流れている曲の意味は?

今回公開された新予告は、スターロードことピーター・クイルの語りから始まる。この場面では、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) で父サノスに命を奪われたガモーラの帰還に焦点が当てられている。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』に登場するガモーラは、映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) で2014年からやってきたガモーラであり、クイルと出会った記憶はない。クイルが「サイテーな奴として戻ってきた」と言う通り、かつて恋仲にあった二人の関係はリセットされてしまっている。

今回の新予告で流れている曲はレインボーの「Since You’ve Been Gone」(1979)。ラス・バラードが1976年に発表した曲をカバーしたもので、その後も日本のHi-STANDARDを含む様々なバンド/アーティストがカバーしている。曲の内容は「あなたが行ってしまってから」という意味のタイトル通り、「君がいなくなって、私はおかしくなりそう」「君が呪いをかけたんだから解いてくれ」と失恋した人物の心情になっており、かつてのガモーラを失ったクイルの心情が表現されている。

なお、2022年11月に配信された『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』では、ガモーラを失って落ち込んでいるクイルをガーディアンズメンバーが元気づけるために、俳優のケヴィン・ベーコンを地球から連れてくる物語が描かれている。クイルの傷は浅くなさそうだ。

ハイ・エボリューショナリーとロケット

自身の使命を「完璧な世界を作ること」と語るのは、前回の予告で姿を現したハイ・エボリューショナリー。ジェームズ・ガン監督が指揮をとったドラマ『ピースメイカー』(2022-) でクレムゾン・マーンを演じたチャック・イウジが演じる。ハイ・エボリューショナリーは自分より下等だと判断した生物を進化させようとするヴィランで、今回の予告編ではハイ・エボリューショナリーの手によってロケットに改造が加えられたことが明かされている。

まだ赤ちゃんアライグマだった頃のロケットに「89P13」という番号が付けられ、その瞳にはハイ・エボリューショナリーが映り込む。「89P13」というのはロケットの被験者番号で、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014) ではノバ軍警察からもこの番号で呼ばれている。

そのハイ・エボリューショナリーに対し、ロケットは「奴は完璧なんて望んでない。ありのままが許せないんだ」と憤る。これはセクシュアルマイノリティを“治療”するべきなどと主張して差別し、「ありのまま」を受け入れようとしない保守層へのカウンターとしても捉えられる。

アダム・ウォーロック、ライラ、コスモ

今回の予告には、ウィル・ポールター演じる新キャラのアダム・ウォーロックが飛行する場面も。その飛び方はアイアンマンかスーパーサイヤ人のようで、かなりの強キャラであることが推測できる。そのアダム・ウォーロックにグルートが上空から飛びかかる場面も。場所は『ホリデー・スペシャル』でガーディアンズが復興に取り組んでいたノーウェアだろうか。予告編の後半にはウォーロックが放つ光をドラックスが抑えようとする描写もある。

前回に続き、カワウソのライラも登場。前回の予告ではロケットとハグする際に手が義手になっているように見えたが、今回ははっきりその義手が映し出されている。クイルが「ずっと家族を探してた。みんなと出会うまでは」と言う場面では、『ホリデー・スペシャル』にも登場した宇宙犬コスモの姿も。

なお、クイルの「みんなと出会うまでは」というセリフは、英語では「until we found each other.(お互いがお互いを見つけるまでは)」となっている。クイルは、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーが「お互いを見つけた」と認識しているのだ。

クイルは「最後の戦い (one last ride)」に挑むことを宣言。本作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』は、現行メンバーによる最後の作品になることが予告されているが、どんな結末を迎えるのだろうか。

予告編と合わせて公開された新ポスターには、クラグリンやコスモも合わせて、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーが9人も映し出されている。いつの間にか大所帯のチームになっていたようだ。

サノスとハイ・エボリューショナリーの共通点

新予告の最後は、ガモーラがクイルが恋に落ちた相手(元のガモーラ)がネビュラのようだと指摘。ネビュラの“黒目”が大きいことに触れたクイルに、ネビュラは「父に拷問されて取り換えられた」と、父サノスの仕業であることを明かす。クイルは今のネビュラの容姿を否定することもできず、気まずそうに「あいつ、趣味がいいね……」と言うのだった。

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』では、サノスがネビュラの瞳からガモーラとの会話をホログラム再生するシーンがあった。相手の意思を無視して他者に改造を加えるという点では、今回のハイ・エボリューショナリーに重なる部分もある。ロケットとネビュラは似た経験を経ていることになるので、二人の共闘にも注目したい。

カラフルな演出も合わせてジェームズ・ガン節全開になることは確実の映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』。ジェームズ・ガン監督は本作でロケットの物語を伝えると話している。詳しくはこちらの記事で。

まずは2月17日(金) 公開の『アントマン&ワスプ:クアントマニア』を、そして5月4日(水・祝) 公開の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』の到着を期待して待とう。

映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』は2023年5月3日(水・祝) 日本公開。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』

前回の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』予告編の解説&考察はこちらから。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』のネタバレ解説はこちらから。

同作で明かされたマンティスの秘密について、演じたポム・クレメンティエフが語った内容はこちらから。

「アントマン」シリーズは早くも『アントマン4』に関する話題も出ている。詳しくはこちらの記事で。

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』脚本家が語ったサノスと征服者カーンの描き方の違いはこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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