『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』配信開始
MCUの1話完結のドラマ作品として配信される“スペシャル・プレゼンテーション”として、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の最新作『マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』が2022年11月25日(金) より配信を開始した。本作はこれまでと同じくジェームズ・ガン監督が指揮をとる作品だ。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』は、アメリカ合衆国最大の連休であるサンクスギビング・ホリデーに合わせて配信される作品だ。2021年のサンクスギビング・ホリデーにはドラマ『ホークアイ』の第1話と第2話が同時配信されており、アメリカ最大の連休にMCU、という流れを作り出そうとするマーベル・スタジオの狙いも見える。
今回は、ピーター・クイルのために奮闘するガーディアンズメンバーの様子が描かれる。2023年5月5日米公開の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3(原題)』に向けて、どんなストーリーが描かれたのか、今回は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』の各シーンを解説していこう。
以下の内容は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』のネタバレを含むので、必ずDisney+で本編を観てから読んでいただきたい。
以下の内容は、ドラマ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』ネタバレ解説
最初に流れた曲は?
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』におけるマーベル・スタジオのロゴタイトルはクリスマスバージョンになっており、クリスマステーマのマーベルコミックスの画像と、電飾が施されたマーベル・スタジオのロゴが映し出される。
マーベル・スタジオのロゴタイトルについては、直近の長編作品では『ソー:ラブ&サンダー』(2022) はエレキギターバージョンになっていたし、『ウェアウルフ・バイ・ナイト』(2022) はホラーバージョンに、『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー』(2022) ではチャドウィック・ボーズマンへの追悼バージョンになっており、今回も正統版ではないオープニングで幕を開けている。
冒頭で流れている曲はThe Pogues「Fairytale of New York feat. Kirsty Maccoll」(1988)。クリスマスイブに一人の老人 (Oldman) が歌う中で君のことを思い出していた、という内容が歌われている。
「君」とは、クイルにとってのガモーラのことを想起させるが、登場するのは「Oldman」であるヨンドゥだ。ヨンドゥは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017) で死んだが、『ホリデー・スペシャル』では回想シーンでの登場となった。乗っているエレクター号はまだボロついておらず綺麗な見た目で、昔のシーンであることが分かる。
若い頃のクイルとクリスマスツリーの飾りを作っているのは、ジェームズ・ガン監督の弟であるショーン・ガンが演じるクラグリン。ラヴェジャーズが崩壊した後はガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに加わっており、『ソー:ラブ&サンダー』にも登場している。
若き日のヨンドゥは地球のカルチャーであるクリスマスのギフトを「施し」と捉え、頭ごなしに叱りつけるとツリーを蹴っ飛ばしてしまう。クイルはヨンドゥといた時代にはクリスマスを楽しむことがなかったとクラグリンの口から語られる形で『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』は幕を開ける。
ノーウェアの復興
クラグリンの頭には『ラブ&サンダー』から引き続き、ヨンドゥから受け継いだ“ヤカの矢”の制御装置であるモヒカンがついている。ネビュラはガーディアンズがコレクターからノーウェアを購入したことを明かす。一行はノーウェアを拠点にしているようである。
ノーウェアは亡きセレスティアルズの頭を利用した惑星であり、原作コミックでもガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの本拠地となっている。MCUでは、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014) からコレクターの拠点として登場しており、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) ではリアリティ・ストーンを狙ったサノスに襲撃されている。
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーはサノスに破壊されたノーウェアを買い取ったらしく、『ホリデー・スペシャル』では、クイルが中心となって復興が進められているようだ。そして、ロケットと共に復興作業に取り組む宇宙犬コスモが登場。コスモは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でコレクターのコレクションとして登場しており、本作では解放されたようだ。コスモは原作コミックに登場する宇宙に打ち上げられた超能力犬で、アニメ『ホワット・イフ…?』(2021-) 第2話にも登場している。
ビゼミキトコロクはクイルに地球の楽器を使って地球の伝統であるクリスマスについて曲を作ったので聴いてほしいと話しかける。ロケットとコスモ、クラグリンを経て聞いた知識だというが、原作ではコスモもソ連によって宇宙に打ち上げられているので地球出身ということになっている。
ビゼミキトコロクのバンドはサンタについては間違った知識を歌っているが、これは英語の押韻を優先した歌詞になっている。ここでは成長してマッチョになったグルートも登場。『ソー:ラブ&サンダー』では細身の姿だったので、『ホリデー・スペシャル』はそれよりも後の時系列であることが示唆されている。聴衆の中で音楽好きなグルートだけ盛り上がっているのが可愛い。
なお、このバンドはアメリカのバンドであるオールド97’s (The Old 97’s) が演じて歌っており、「I Don’t Know What Christmas is (But Christmastime is Here)」というタイトルでYouTubeで公開されている。
ケヴィン・ベーコンをプレゼントに!?
マンティスは、「ドラックスだけに明かした秘密」として、自身がクイルの妹であることを明かす。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』で初登場となったマンティスは、クイルの実の父であるエゴの世話係として登場したが、クイルの実の妹だったようだ。しかし、マンティスはエゴという“恥”が二人の共通項であることをクイルに明かせずにいた。
マンティスとドラックスは、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) でサノスの手によってガモーラを失ったクイルに、特別な人をクリスマスのギフトとして贈ることを思いつく。その人とは、アメリカの俳優ケヴィン・ベーコンだった。
ケヴィン・ベーコンは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でクイルがガモーラに出世作の『フットルース』(1984) の話をする形で触れている。クイルにとってはケヴィン・ベーコンはヒーローだ。第1作目ではロナンの宇宙船ダーク・アスターへの突入に成功した際にガモーラがクイルへの理解を示す形で「私たち、ケヴィン・ベーコンだね」と語りかけている。
なぜ『ホリデー・スペシャル』のメインがケヴィン・ベーコンなのか、という疑問を抱く方も多いだろう。ケヴィン・ベーコンは、米国ではネットミームになるほどの知名度を誇る人物。ケヴィン・ベーコンの共演者を辿れば3人以内でほとんどの俳優に辿り着けるという“ケヴィン・ベーコンゲーム”の理論も知られている。2015年にベーコンのCMに出演した際には大きな話題を呼んだ。なお、映画『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011) にはセバスチャン・ショウ役で出演している。
そのケヴィン・ベーコンは地球で家族と過ごすべくクリスマスの準備を整えていた。ケヴィン・ベーコンが電話をしている相手は妻のキーラ・セジウィックで、本人が声の出演を果たしている。二人は1988年に『レモン色の空』で共演し、同年に結婚した。ケヴィン・ベーコンは家族でクリスマスを過ごすためにニューヨークへ向かう予定のようだが、キーラはニューヨークの出身。ケヴィンとキーラの間には二人の子どもがいる。
ケヴィン・ベーコンの車の中から聴こえてくる曲は、フィンランドのロックバンド Hanoi Rocksの「Dead By Xmas」(1981)。「私はクリスマスまでに死ぬ」という内容の曲で、この後ケヴィン・ベーコンに降りかかる災難を予感させる曲になっている。なお、Hanoi Rocksはジェームズ・ガン監督が手掛けたDCドラマ『ピースメイカー』(2022-) シーズン1第5話でも名前があり、楽曲が使用されている。ガン監督のお気に入りのようだ。
ハリウッドへ
マンティスとドラックスがノーウェアから地球へ向かう時に流れている曲はジュリアン・カサブランカス (Julian Casablancas) の「Christmas Treat」(2009)。「サンタのソリはUSAに向かっている」と歌われている。
二人がやって来たのはハリウッドの観光名所であるウォーク・オブ・フェイム。多くのパフォーマーで賑わう中、アントマンやスティーブ・ロジャースのキャプテン・アメリカに扮した人物も見られる。ドラックスはゴーボッツのコスプレをしている人物に食ってかかり、マンティスは「ゴーボットは彼のいとこの仇」と説明している。「ゴーボッツ」は米国における「トランスフォーマー」シリーズの幼児向けのブランドである。
このシーンで流れている曲はザ・ウォンバッツ (The Wombats) の「Is This Christmas?」(2008)。
二人はコスプレイヤーだと思われて多くのチップを受け取るが、ゲーム『ゴッド・オブ・ウォー』(2005) のキャラクターだと思われている様子。主人公のクレイトスがドラックスに似ているのだ。ドラックスを演じるデイヴ・バウティスタは、実写映画版『ゴッド・オブ・ウォー』の主演候補に浮上していると報じられたこともある。
“営業”を終えた後、夜の街で一瞬映る看板には「Kingo’s Christmas(キンゴのクリスマス)」と書かれており、エターナルズのキンゴと思われる人物の写真が見える。ボリウッド俳優として人気を集めるキンゴは、ハリウッドでも活躍しているようだ。なお、俳優としてのキンゴの名前はドラマ『ミズ・マーベル』(2022) 第2話でも挙げられている。
マンティスとドラックスが立ち寄ったクラブでかかっている曲はザ・ウェイトレスィズ (The Waitresses) の「Christmas Wrapping」(1981)。
クラブで飲んで踊って楽しむも、ケヴィン・ベーコンの居場所についての情報は得られなかった二人。しかし、「スター・マップス」を売る人物からを住所をゲット。ハリウッドではスターの住所を掲載した「スター・マップス」が伝統的に販売されている。なお、お金がなくなったマンティスは、マインドコントロール能力を使ってマップを手に入れている。マップのシーンではDC映画でハーレイ・クイン役を演じるマーゴット・ロビーや、ピースメイカー役を演じるジョン・シナの顔も見られる。二人ともジェームズ・ガン監督が指揮をとった『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021) に出演した俳優だ。
ケヴィン・ベーコンが自宅で観ている映画は『宇宙大戦争 サンタvs.火星人(原題:Santa Claus Conquers the Martians)』(1964)。サンタが火星に連れていかれる話であり、ケヴィン・ベーコンが宇宙に連れていかれる今回の『ホリデー・スペシャル』と似た内容になっている。また、同作は既にパブリック・ドメインとなっているため使いやすかったのかもしれない。
ヴィランの所業
ケヴィン・ベーコン邸に侵入し、完全に迷惑なファンと化したマンティスとドラックス。ケヴィン・ベーコンは、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のセバスチャン・ショウとは全く別人の優しすぎる姿を見せている。
突入してきた二人からケヴィン・ベーコンが逃げ惑う場面でかかる曲はファウンテインズ・オブ・ウェイン (Fountains of Wayne) の「I Want an Alien for Christmas」(1997)。タイトル通り、「クリスマスプレゼントにエイリアンが欲しい」と歌われており、シチュエーション的には異星人であるマンティスとドラックスの視点から、ケヴィン・ベーコンという“エイリアン”が欲しいと主張していることになる。
64歳のケヴィン・ベーコンも見事なアクションを見せているが、飛び跳ねながら追ってくる二人は恐怖でしかない。ケヴィン・ベーコン誘拐のため警察も倒した二人はもはやヴィランだ。しかもマンティスはマインドコントロールを使ってケヴィン・ベーコンをノーウェアへ連れて行く。
宇宙船の中でマンティスが「フォンジーと友達?」と聞いているのは、アメリカの有名なシットコム『ハッピーデイズ』(1974-1984) に登場するキャラクターのこと。ケヴィン・ベーコンは俳優のヘンリー・ウィンクラーが演じていることを説明している。また、クイルが好きな映画でケヴィン・ベーコンの出世作である『フットルース』や、ジャック役で出演した『13日の金曜日』(1980) にも触れられている。
なお、この場面で流れている曲はリトル・ジャッキー (Little Jackie)の「Mrs. Claus」(2010) だ。
ケヴィン・ベーコンが俳優であることを知ったマンティスは、クイルをがっかりさせないためにヒーローのように振る舞うよう催眠をかける。ケヴィン・ベーコンは「私はバットマンだ」と言っているが、映画『エターナルズ』(2021) でもスーパーマンの名前が出てくるため、MCU世界ではDCヒーローの名前が通用することは知られている。
クイルへのサプライズ
一人で過ごしていたクイルは、マンティスらのクリスマス・サプライズを受ける。この時流れている曲は、スマッシング・パンプキンズ (The Smashing Pumpkins) の「Christmastime」(1997)。
クリスマスソングに地球から持ってきたクリスマスの装飾、そして雪を降らせるサプライズに感激するクイル。ノーウェアの復興に尽力してきたリーダーのために故郷の祭りを再現するという粋な計らいだ。
そして遂にクイルとケヴィン・ベーコンが対面。しかし、マンティスたちが誘拐を働いたことを察したクイルは激怒し、マインドコントロールを解かせると、ケヴィン・ベーコンはやはりパニックに陥ってしまう。怒られてしょんぼりしているグルートが愛らしい。
なお、この場面でクイルは英語で「ボウイ」を動かすよう指示を出している。ボウイとは今回ドラックスとマンティスが使っていた新しい宇宙船の名前で、ロックスターのデヴィッド・ボウイから名前を取ったと思われる。名前をつけたのはクイルだろう。
ケヴィン・ベーコンが逃げた後に少し映る酒を飲む老人は、ルーク・スカイウォーカー役で知られるマーク・ハミルが演じている。追記:この老人はマーク・ハミルではなくトロイ・ビーチャンという俳優が演じているという。マーク・ハミルの息子のネイサン・ハミルがTwitterでマークの出演を否定している。
That’s not @MarkHamill #GuardiansoftheGalaxyHolidaySpecial pic.twitter.com/7K9NZZNO17
— Nathan Hamill (@NathanHamill) November 26, 2022
ケヴィン・ベーコンを地球を送り帰すことになったクラグリンは、クイルにとってケヴィン・ベーコンが小さい頃からの英雄だったと話す。『フットルース』に影響を受け、クイルはダンスで銀河を救ったのだと。皆はクイルの心にクリスマスの喜びを戻してやりたかったとも。クラングリンが一番まともである。
ケヴィン・ベーコンは4億光年圏内なら電波が届く高性能アンテナがキャッチした地球からの電話に応える形で、クイルのために人肌脱ぐことを明かす。ちなみにドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』(2022) では、ジェニファー・ウォルターズは宇宙に行ったハルクことブルース・バナーに電話が届かず困っていた。
バッキーの腕
ケヴィン・ベーコンは、オールド97’sの演奏で同バンドの「Here It is Christmas Time」(2018) をカバー。
クイルはグルートに任天堂のゲームボーイをプレゼントしている。ネビュラはなんとバッキーの左腕をロケットにプレゼント。ロケットは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でバッキーと共闘した時に腕を欲しがっていた。
バッキーの腕は『インフィニティ・ウォー』でティ・チャラから授けられたサイバネティックアームだ。ワカンダ製であり、ヴィブラニウムで出来ている。ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) では簡単に外すセーフティ機能がついていることが明かされていたが、ネビュラはそれを利用したのだろうか。
今、ワカンダをめぐっては映画『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー』(2022) を経て大変なことになっているので、一回バッキーとワカンダ製のサイバネティックアームを切り離すことは得策でもある。ワカンダの今後をめぐる懸念はこちらの記事に詳しいが、『ワカンダ・フォーエバー』のネタバレを大いに含むのでご注意いただきたい。
コスモがクラグリンにあげたのはオルローニの死骸。宇宙のネズミのような存在であり、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の冒頭ではクイルが蹴飛ばしてマイクのように扱い、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』の冒頭ではグルートが殴りかかって戦っている。『リミックス』ではカギをとってくるよう言われたグルートがロケットとヨンドゥに持って来てもいる。
トリッキーなダンスを見せるネビュラの姿の後には、マンティスがドラックスに“妖精”をプレゼント。それはケヴィン・ベーコンの私物だが……。グルートは皆に手作りの工作をプレゼント。今回の名場面集になっている。ミニシリーズの『アイ・アム・グルート』(2022) では、現在のグルートにはアートの素質があることが示されており、その伏線が回収されることになった。
一同に見送られたケヴィン・ベーコンは、「次はイースターに」と言い残してノーウェアを去る。キリスト教の復活祭として祝われるイースター・ホリデーは4月なので、割と近いうちに会おうと言っていることになる。ケヴィン・ベーコンもこの場所を気に入ってくれたようだ。
ラストの意味は?
今回のサプライズの理由として、マンティスはヨンドゥがクリスマスをぶち壊した件を挙げるが、クイルはその話の続きを明らかにする。自分へのクリスマスプレゼントに気づいたヨンドゥは、クイルへのプレゼントを用意しており、箱の中にはクイルが今でも使っているクアッドブラスターが入っていた。
クアッドブラスターについては、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』の中で、ヨンドゥが幼いクイルに使い方を教えるシーンが挿入されている。ヨンドゥはクリスマスプレゼントとしてこの銃をクイルに渡し、自ら使い方を教えていたということである。
そしてマンティスは、自分がクイルの妹であることを明かす。父エゴを共通点としてクイルと繋がることを恐れていたマンティスだが、クイルはこれを「最高のクリスマスプレゼント」と喜ぶ。フェーズ4では多くのキャラクターが大切な人を失ってきたが、フェーズ4最後の作品のラストはほっこりする展開が待っていた。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』のラストシーンでは、冒頭で流れていたThe Pogues「Fairytale of New York feat. Kirsty Maccoll」が再度かかる。ヨンドゥはクイルからクリスマスプレゼントでもらった人形を運転席に飾っている。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』では、ヨンドゥがクイルからオーブを脅し取るが、そレは偽物であり、中には小さな人形が入っていた。それを見たヨンドゥは怒るどころかニヤリと笑みを浮かべるのだが、それはかつてクリスマスプレゼントで同じくらいの大きさの人形をもらったことを思い出していたからかもしれない。
最後は「Merry Christmas & Happy Holidays to All」というメッセージで幕を閉じる。「メリー・クリスマス」はキリスト教徒向けの、「ハッピー・ホリデーズ」は非キリスト教徒向けの祝福の言葉である。
クリスマス仕様のエンドクレジットの後には、ポストクレジットシーンが挿入されている。クリスマスツリーにされたグルートが飾りを落とし、ロケットとコスモがそれを非難する場面だ。ロケットは「また番外編を作らなきゃ」と、今後の展開を期待させる言葉を残して『ホリデー・スペシャル』は本当に幕を閉じる。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』感想
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』は、やはりジェームズ・ガン監督らしく様々な楽曲とジョークが散りばめられた作品だった。ガモーラという大切な人を失ったクイルが、ノーウェアの復興という仕事に打ち込む中で、再び周囲の人々に支えられる展開で、マンティスとは兄妹という新しい関係性も生まれた。
やはり気になるのはバッキーの腕だが、これは偽物という可能性もあるだろう。サノスのインフィニティ・ガントレットも、『マイティ・ソー』(2011) でオーディンの金庫にあったのはレプリカだったと『マイティ・ソー/バトルロイヤル』(2017) で明かされている。そもそもロケットは人間サイズの左腕を手に入れて何に使うのかも疑問だが……。
それにしてもここまで実在の人物が本人役でフィーチャーされた作品はMCUでは初めてだっただろう。ケヴィン・ベーコンを全力で使い倒す大胆な作風。2023年5月5日米公開の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』への期待も否応なく高まる。
一方で、ジェームズ・ガン監督は新たにDCスタジオの共同会長兼CEOを務めることになっており、今後4年間はDCの映像作品を統括する立場になる。マーベルでの集大成がどのようなものになるのか、期待して待とう。
また、2022年はこの『ホリデー・スペシャル』でMCUも見納めとなる。2023年からはいよいよフェーズ5へ。しっかり充電して、2023年もMCUを楽しもう!
『マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』はDisney+で2022年11月25日(金)より独占配信中。
ケヴィン・ベーコンが『ホリデー・スペシャル』に出演した経緯はこちらの記事で。
マンティスがクイルの妹というサプライズについて演じたポム・クレメンティエフが語った秘密はこちらから。
2023年5月3日(水・祝)の日本公開が決定した『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』の予告編解説&考察はこちらから。
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ラストのネタバレ解説はこちらから。
MCUのスペシャル・プレゼンテーション第1弾『ウェアウルフ・バイ・ナイト』ネタバレ解説&考察はこちらから。
ミニシリーズ『アイ・アム・グルート』の解説はこちらの記事で。
2023年2月17日(金)公開の映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』特報予告の解説&考察はこちらの記事で。
ドラマ『シー・ハルク』最終話で残された9個の謎についてはこちらの記事で。