ネタバレ解説『アイ・アム・グルート』シーズン1全話あらすじ 時系列は? 「大傑作」のアレの意味は? | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『アイ・アム・グルート』シーズン1全話あらすじ 時系列は? 「大傑作」のアレの意味は?

© 2022 Marvel

『アイ・アム・グルート』配信開始

MCU初の短編シリーズ『アイ・アム・グルート』が2022年8月10日(水) よりDisney+で独占配信を開始。本作は、ジェームズ・ガン監督の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズで人気のグルートを主人公に据えた作品で、グルートが初めて単独でメインを張る作品になる。

全5話が一挙配信された『アイ・アム・グルート』は、2022年12月に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ホリデー・スペシャル(原題)』の配信を、2023年5月5日に映画『Guardians of the Galaxy Vol. 3』(2023) の全米公開を予定している「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズ最新作にあたる。吹き替えはこれまでと同じく英語版をヴィン・ディーゼルが、日本語吹き替えは遠藤憲一が担当している。

今回は、1話5分と見やすいサイズで配信された『アイ・アム・グルート』の全5話をネタバレありで解説していこう。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『アイ・アム・グルート』の内容に関するネタバレを含みます。

『アイ・アム・グルート』全5話ネタバレ解説

「グルート、初めての1歩」

最初に配信されたのは「グルート、初めての1歩」。映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014) では惑星ザンダーでの戦いで先代のグルートが自らを犠牲にして仲間を守った。その先代が残した小枝から生まれたのが、今回の『アイ・アム・グルート』の主人公である通称“ベビー・グルート”だ。MCUの時系列的には『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』2015) の前で、まだ初代アベンジャーズの仲間割れが始まる前の時期だ。

ベビー・グルートは先代のグルートのクローンのような存在だが、記憶などは引き継いでいない新しい個体。相棒のロケットと数々の冒険を経験してきた先代のグルートとは違い、何も知らないまっさらな状態からその人生をスタートさせる。

そして、「グルート、初めての1歩」は、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のエンディングで植木鉢に植えられたベビー・グルートが意識を持った後の物語。細かった幹も太くなり、葉も生えて遂に鉢から初めての1歩を踏み出す。

なお、『アイ・アム・グルート』では、お馴染みのMCUのロゴタイトルがグルートのリモコン操作によって早送りされる。1話5分のショートシリーズならではの工夫になっている。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのミラノ号の中で育てられているベビー・グルートは、ロボットがお世話を担当していたことが明らかになっている。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーらしい放任主義とも言えるが、ロボットはグルートの鉢が割れるや否や、グルートを立派な盆栽に置き換えてしまう。

起こったグルートがロボットに投げているのは、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017) でネビュラが食べたがっていたヤロの根。たくましい盆栽はヤロの根を弾き返し、グルートは吹き飛ばされてしまうが、ここでグルートは腕を枝として伸ばす能力に開花する。こうして少しずつスキルを身につけていったようだ。

盆栽との戦いの末、盆栽もろとも鉢が割れると、ベビー・グルートは遂に自らの足で立つことに。時間は要したが生まれたての子羊のようにして立ち上がると、今度は傷ついた盆栽のお世話を自らしてあげている。除け者にしてきたロボットの力は借りず、“自立”したグルートは初めてできた植物の友達と共に時間を過ごす。

ベビー・グルートが立ち上がろうとする場面から流れている音楽は、レイモンド・スコットの「In The Hall Of The Mountain Queen」

「リトルガイ」

『アイ・アム・グルート』の第2話は「リトルガイ」。このエピソードではグルートは早速外の世界へ飛び出している。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) で登場したベネター号が停まっている。一方で、グルートは『リミックス』のミッドクレジットシーンで反抗期を迎えているため、舞台はまだ『リミックス』の途中と考えることもできる。

砂漠の惑星で遊ぶグルートは、小枝を使って遊び始めると、たった5分で見事なタワーを完成させている。木との相性が良いのだろうが、見事な才能だ。だがそのタワーも謎の生き物たちに壊されてしまうと、グルートは37分間駄々をこねた後、岩の下で暮らす小さな生き物を発見する。

エンドクレジットの表記によると、この“リトルガイ”たちの名前は“グランズ (Grunds)”。原作コミックでは人の姿をした小人で、マンティスのように“触覚”が生えている。

子どもらしい無邪気な残酷さでこのグランズにいたずらをするグルートだが、グランズも反撃開始。追い詰められたグルートが一枚の葉を“放出”すると、グランズはグルートをヒーローのように崇め始める。どうやらこの荒れ果てた砂漠のような惑星で、葉っぱを食糧として生きてきたらしい。

調子に乗ったグルートは大量に葉っぱを採ってくるが、勢い余ってグランズを踏みつけてしまう。これを“なかったこと”にしてその場を去ったグルートだったが、グランズは意外とたくましく、葉っぱを食べながら顔を覗かせるのだった。

外に出たベビー・グルートは、私たちも経験があるような子どもの頃の冒険と失敗を経験している。グルートも勝手に大きくなっていくわけではなく、旅の中で様々な経験を経ていたことが分かる。

「グルート、捜査する」

一転してシリアスなタイトルになった第3話「グルート、操作する」では、冒頭からエクレクター号が映し出される。エクレクター号はヨンドゥ率いるラヴェジャーズが使っていた船で、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』でヨンドゥが爆破した。ラヴェジャーズに拐われていたロケットとグルートは、ヨンドゥらと共にエクレクター号から切り離したクオドランド号で脱出している。

エクレクター号の中で、グルートは怪しい物音の正体を追う。それにしてもエクレクター号の船内は汚い。グルートはスマートウォッチをヘッドライトがわりに使い、試験管から逃げ出した透明な生物を追いかける。なお、このスマートウォッチから出る声は、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズを手がけるジェームズ・ガン監督が当てている。

透明な生き物はグルートそっくりに姿を変えると「ボクはグルート」と主張し始め、二人の間でダンスバトルが始まる。映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』では、クイルがロナンにダンスバトルをけしかけている。今回、グルート達が踊っている曲はティト・プエンテの「ラン・カン・カン」

ダンスバトルのはずがご機嫌に踊りだす二人だったが、偽物の方は「ターンじゃなくてピルエットだ」と指図をしはじめる。確かに偽物はバレエベースの踊りを見せている。英語版でこのキャラの声を当てたのは、アニメ版でロケットの声を担当しているのはトレバー・デュバルだ。

一瞬元の姿に戻っためんどくさい偽物を、グルートは宇宙に射出。映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』でも使われた透明なシールドをかけてドアを解放するやり方だ。めんどくさい相手の対処方法も身につけてグルートは成長していく。

「グルート、お風呂に入る」

第4話「グルート、お風呂に入る」では、リラックスするグルートの姿が見られる。植物が生茂る惑星で楽しそうにはしゃぐグルートは泥の天然温泉を見つけて入浴を楽しむが、ゆったりしている間に“成長”してしまい、葉だらけの姿に。パニックになるグルートだったが、葉をトリミングして楽しむようになると、ヒゲを生やしたりドレスのように着飾ったりして、新しい自分と出会う。

グルートは葉の成長を促す泥を使い切ってしまうが、それを見て笑う生き物の羽を奪うとマフラーにして船へと帰っていく。グルートがお洒落に目覚める回だった。なお、グルートが帰っていく船は翼の形状からしてベネター号のように見える。時系列は一旦「リトルガイ」と同じ時期に戻ったのかもしれない。

「大傑作」

そして、『アイ・アム・グルート』第5話「大傑作」は、グルートが芸術に目覚める回。舞台はクオドランド号に。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは『リミックス』から『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) の間、ベネター号に乗り換えるまで一定期間クオドランド号にいたと考えられる。

グルートが引きずる大きなJANSPORTのリュックには、NASAやパックマンのパッチがついている。これはクイルが幼少の頃にラヴェジャーズにさらわれた際に背負っていたリュックで、クイルはその後もこのリュックを大事に持ち続けている。

グルートがカバンから取り出すのは人気ドラマ『アルフ』(1986-1990) のコミック。『アルフ』はドラマが人気を呼び、1988年にコミカライズされている。ここでロケットの尻尾が登場。グルートはロケットの尻尾や石鹸といった材料を集める。グルートはジェットの付いたスター・ロードのブーツも駆使してアートを作り出そうとするが、「芸術は爆発」と言わんばかりに大胆な作業で爆発を起こし、船に穴が開いてしまう。

グルートの作業中に流れている曲はジミー・クリフ「You Can Get It If You Really Want」。映画『ハーダー・ゼイ・カム』(1972) のオープニング曲としても知られる。「本気で望めば手に入る、だからやってみよう」という歌詞がグルートの背中を押している。

トラブルが起きていることに気づいたロケットが登場。英語吹き替えはブラッドリー・クーパー、日本語吹き替えは加藤浩次と、映画版と同じ配役になっている。なお、ホークアイの吹き替えを担当していた宮迫博之は、吉本興業との契約が解消された後は声優の東地宏樹に担当が変更されている。加藤浩次も2021年3月で吉本興業との契約が終了したが、映画『ソー:ラブ&サンダー』(2022) に続き、本作でもロケット役の吹き替えを続投している。

ロケットは石鹸がドラックスのものだと指摘。シャワーを浴びていた人影はドラックスだったようだ。爆発を起こしたグルートを叱るロケットは、差し出された絵を老眼鏡をかけて見る。すっかり保護者のようになっている。グルートが描いていた絵は、大きなグルートがクイル、ロケット、ガモーラ、ドラックスを包み込むようにして両腕を広げる絵だった。

これは映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で先代のグルートが「私たちはグルート (We are Groot.)」と言って一同を守った時の様子に似ている。左上の小さな緑の生き物は、触覚があるように見えるのでマンティスだろうか。クオドランド号が舞台になっていることから、時系列的には『リミックス』でマンティスと出会った後と考えられる。

これを見たロケットは満更でもない様子で「額に入れて飾ろう」と話す。結局この絵は船に空いた穴から宇宙へと放り出されてしまったようだが、グルートが伸ばした腕でロケットを助けている。

エンディング曲は劇中でも流れたジミー・クリフ「You Can Get It If You Really Want」。この曲は「迫害を受けても耐えて」「夢から目を逸らしちゃいけない」「妨害もあるだろう」「激しい戦いの後に甘美な勝利が待ってる」とも歌われている。後に反抗期も迎えるベビー・グルートの人生がここから続いていくことを暗示している。ポストクレジットシーンでは宇宙に漂うグルートの絵が映し出され、『アイ・アム・グルート』は幕を閉じる。

『アイ・アム・グルート』考察&感想

エンディングを除くと各話3分ほどのショート動画シリーズとなった『アイ・アム・グルート』。ベビー・グルートの知られざる冒険を15分ほどで楽しむことができる良作だった。MCU内での時系列については、おそらく以下のようになっている。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)
「グルート、初めての1歩」
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)
「グルート、捜査する」
「大傑作」
「リトルガイ」「グルート、お風呂に入る」
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』ミッドクレジットシーン
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)

『アイ・アム・グルート』プロデューサーのブラッド・ヴィンダーバウムは、米Comicbookで本作の舞台は「『リミックス』の最後からポストクレジットシーンまでの間」が舞台と語っている。ただし、「グルート、初めての1歩」は公式の紹介文で「映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』での出来事のあと」となっていることから、ヴィンダーバウムの説明は正確ではないことが窺える。

また、『リミックス』のミッドクレジットシーンではグルートは既に反抗期になっているにもかかわらず、『アイ・アム・グルート』の「リトルガイ」と「グルート、お風呂に入る」ではなぜグルートは幼少期のままで『インフィニティ・ウォー』に登場するベネター号で活動しているのか、という疑問も湧いてくる。

その点については、元々、比較的大きな船であるクドランド号にベネター号が積載されており、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーはクオドランド号を拠点にしながら、惑星に降りるときにはベネター号を使用して活動していたと考えれば、矛盾はなくなる。『リミックス』のエンディングからミッドクレジットシーンにかけて既にベネター号を使っていたということである。そうであれば、『インフィニティ・ウォー』における、ガーディアンズはベネター号をどこで手に入れたのかという疑問にも答えることができる。

もちろん、『アイ・アム・グルート』の物語は、MCU正史の時系列から切り離して気軽に楽しめるシリーズと考えてもよいだろう。グルートの成長譚を拝めただけでもありがたい。シーズン2の製作にも期待したい。

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アニメ『アイ・アム・グルート』はDisney+で独占配信中。

『アイ・アム・グルート』

【ネタバレ注意!】『アイ・アム・グルート』シーズン2全話の解説はこちらの記事で。

『アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ』についてはこちらから。

『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ』についてはこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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