特報予告 解説&考察『アントマン&ワスプ:クアントマニア』カーンの目的は? 流れている曲は? あらすじも公開 | VG+ (バゴプラ)

特報予告 解説&考察『アントマン&ワスプ:クアントマニア』カーンの目的は? 流れている曲は? あらすじも公開

© 2022 Marvel

映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』米予告公開

2023年2月17日(金) 日米同時公開の映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア(原題:Ant-Man and the Wasp: Quantumania)』より、初映像となる特報予告が2022年10月25日(火) に公開された。本作ではドラマ『ロキ』で初登場を果たしたカーンがヴィランとして登場することが既に発表されているが、今回の予告編で早くもその姿を現している。

今回は『アントマン&ワスプ:クアントマニア』特報の各シーンを解説&考察していこう。

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』特報 解説&考察

予告で流れている曲は?

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の特報予告で流れている曲はエルトン・ジョンの「Goodbye Yellow Brick Road(邦題:黄昏のレンガ路)」(1973)。この曲は、この夏配信されたドラマ『ザ・ボーイズ』(2019-) シーズン3の最終話でも流れている。「オズの魔法使い」に登場する「富と名声へと繋がる道」を「Yellow Brick Road」と呼び、その道に別れを告げる内容になっている。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) での活躍の後、アントマンことスコット・ラングはドラマ『ミズ・マーベル』(2022) 第1話でインタビューが参照されていたり、ドラマ『シー・ハルク』第2話ではミニゲームと思われる「アントマンを探せ (Find Ant-Man)」というリンクがウェブ上に見られたり、アベンジャーズとして名声を掴んだように見える。「Goodbye Yellow Brick Road」はアントマンが得た名声に別れを告げる曲になるのだろうか。

スコット・ラングのその後

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』特報映像のスコット・ラングは、冒頭から街の人々に顔を指される人気ぶりを見せている。一方で、スコットは「スコット、お前は前科者 (ex-con) だ……。なんでアベンジャーに?」と自問してもいる。

そして、第1作目の映画『アントマン』(2015) でスコットが働いていたサーティワンアイスクリームのマネージャーであるデイルも登場。スコットが前科者であることを知りクビを言い渡した人物だが、『クアントマニア』ではスコットを「世紀の従業員」と表彰している。

スパイダーマンの正体?

街中にはアントマンのリュックを持った少年や、ワスプことホープ・ヴァン・ダインと共にレッドカーペットを歩くスコットの姿も。だが、カフェのオーナーは「ありがとう、スパイダーマン!」と、スコットの正体が同じ“虫系”のヒーローであるスパイダーマンだと思っている様子。

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) でピーター・パーカーの存在が世界から忘れ去られてしまったことで、少なからずスコットのことをスパイダーマンだと思っている人が現れているようだ。なお、アントマンは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016) で巨大化したジャイアントマンの状態でスパイダーマンと交戦し、その様子はテレビのニュースで放送されているため、厳密には同一人物でないことは世間に知られているはずだ。

キャシーがキーに?

今回の特報では、少し大人になったスコットの娘キャシーが登場。キャシー役は、前二作ではアビー・ライダー・フォートソンが演じ、『アベンジャーズ/エンドゲーム』では5年後の姿をエマ・ファーマンが演じていたが、本作からはキャスリン・ニュートンに交代になっている。キャスリン・ニュートンは『スリー・ビルボード』(2017) や『名探偵ピカチュウ』(2019) への出演で知られる。

ラボのシーンではマイケル・ダグラス演じるハンク・ピム、ミシェル・ファイファー演じるジャネットの姿も。「人々はまだ助けを必要としている」と話すキャシーが作ったのは、“量子世界の人工衛星”。31年間量子世界に入り込み帰還することができなかったジャネットは警告を発するが、キャシーがその装置を起動すると、ジャネットとキャシーは量子世界に吸い込まれてしまい、スコットもキャシーを追って量子世界へと入っていく。

スコットとキャシーは、『アントマン&ワスプ』(2019) で描かれた量子世界に到着。「Goodbye Yellow Brick Road」の歌詞が「落ちていくのはいつだろう? 地元に帰るのはいつだろう? 農場に残るべきだった、父の言うことを聞いておくべきだった」と歌われる中、量子世界の住人と思われる人影が次々と登場する。武器を持っているところを見るに、組織化されているようだ。

一方、ワスプのスーツを着たホープとハンクは、量子世界の経験者であるジャネットと行動を共にしている。ジャネットはこの場所を「私たちの“下”にある隠された宇宙」と説明すると、「何を恐れている?」と聞くホープに、ジャネットは「あなた達に話していないことがある」と明かしている。ジャネットは31年間滞在していた量子世界で、一体何を見て、何を秘密にしていたのだろうか。

カーン登場

そして登場したのはカーン。ハイテクノロジーな軍隊も置く未来的な大都市が映し出されると、カーンは「この場所は君が考えるような場所じゃない」と言う。原作コミックでは、カーンが拠点とする“クロノポリス”という国家が登場する。リンボ界という異次元に存在しているのだが、MCU版クロノポリスは量子世界で登場するのだろうか。

なお、ゲーム『レゴ®マーベル スーパー・ヒーローズ2 ザ・ゲーム』では、征服者カーンがメインヴィランとなっており、クロノポリスを舞台にしたオープンワールドが楽しめる。

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スコットと対面したカーンは、コミックでお馴染みの征服者カーンのコスチュームを身にまとっている。紫と緑の衣服に青く見える顔という、原作をかなり忠実に再現した容姿になっている。

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MCUでは、カーンの設定はドラマ『ロキ』(2021-) シーズン1で登場。ジョナサン・メジャース演じる“在り続ける者”が時間軸の分岐を取り締まるTVA(時間変異取締局)の創設者として現れると、自分が死ねばこれまで抑えられていた変異体のカーンが押し寄せると予告した。

『ロキ』製作陣が語ったカーン登場の意図はこちらの記事に詳しい。

「Goodbye Yellow Brick Road」の「私は決めた。私の未来は黄色いレンガ路を越えたところにある」という歌詞が歌われる中、量子世界と思われる場所が次々と映し出される。ベテラン俳優のビル・マーレイ演じる謎のキャラクターや、巨大化して戦闘機に囲まれるジャイアントマンの姿も。

そしてカーンは「家に帰してやるし、時間もやろう。手を貸すならな」と、何やらスコットたちにオファーを出している。映像では不思議な世界が広がっており、複数のアントマンが走ってい場面では、巨大なアントマンが映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022) のミスター・ファンタスティックを思わせる“ヒモ化”するシーンも。

また、今回の事件の発端になったと思われるスコットの娘キャシーもコスチュームを身にまとっている。キャシーは、原作ではスタチュアというヒーローになる。7月に公開された『クアントマニア』の最初のポスターでは、紫色のスーツを着たキャシーの姿が描かれている。

最後にはスコット、ホープ、キャシーの三人が赤・黄色・紫のスーツを着て並ぶ場面も。カーンを俳優のジョナサン・メジャースが素顔を見せたカーンは、スコットに「さぁ、どうする? アントマン」と語りかけ、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』特報予告は幕を閉じる。カーンは果たして敵なのだろうか。

カーンの目的は?

『アントマン&ワスプ:クアントマニア』では、カーンの変異体のうち、“征服者カーン”が登場するとされている。征服者カーンは時空を超えるヴィランで、サノス以来のサーガ単位のヴィランとなることが公言されている。一方で、今回の特報予告ではカーンが侵略してくるような様子はなく、あくまでスコット・ラングと取引をしようとしているようだ。

考えられる可能性は、カーンは量子世界で軍隊を作ったが、そのユニバースから出ることが出来ないため、量子世界から現実世界への生還を果たしたことがあるスコットを利用しようとしている、というものだ。スコットはカーンを自分達ごと量子世界に閉じ込めておくか、共に脱出するかの選択を迫られるのではないだろうか。だとすれば、娘のキャシーと共に量子世界に行ってしまったということが、選択を自己犠牲では解決しない難しいものにする可能性がある。

この特報の冒頭でのスコットの「前科者なのにアベンジャーズ?」という問いや、流れている曲の「栄光の道を捨てる」というテーマは、スコットが人類にとってよくない選択をする前振りのようにも思える。アベンジャーズの初期メンバーが去り、『エンドゲーム』後の生き残りとしてスターになったスコットだが、征服者カーンとの出会いによってその栄光を捨て去ることになるのかもしれない。

MCUは、2022年11月11日(金) 公開の映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』がフェーズ4最後の映画作品となり、映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』は、フェーズ5の映画第1弾となる。これまで「アントマン」シリーズを指揮してきたペイトン・リード監督が3作連続で指揮をとる。同一の監督が3作連続で単独作品の指揮をとるのは、MCUでは「スパイダーマン」のジョン・ワッツ監督に続く2人目になる。なお、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のジェームズ・ガン監督が3人目になる予定だ。

また、米マーベル公式では、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』のあらすじが以下のように公開されている。

MCUのフェーズ5を正式にスタートさせる本作では、スコット・ラング(ポール・ラッド)、ホープ・ヴァン・ダイン(エヴァンジェリン・リリー)がアントマンとワスプとして冒険を続けるために戻ってきます。ホープの良心であるハンク・ピム(マイケル・ダグラス)とジェネット・ヴァン・ダイン(ミシェル・ファイファー)と共に、この一家は量子世界を探検し、奇妙な新しい生物と接し、可能だと思われていた範囲の限界を超える冒険に旅立ちます。ジョナサン・メジャーがカーン役でこの冒険に加わります。

特報と共に公開されたポスターでは、カーンの掌に乗る小さなアントマンとワスプの姿が捉えられている。カーンの力の強大さを表すポスターだ。

2025年には、映画『アベンジャーズ/ザ・カーン・ダイナスティ(原題)』の公開が控えている。この副題は「カーン王朝」を意味しており、カーンとはしばらくの付き合いになりそうだ。まずは『クアントマニア』でどんな展開が待っているのか、公開を楽しみに待とう。

映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』は2023年2月17日(金) 日米同時公開。

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『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の上映時間は2時間5分と発表された。フェーズ4の平均と比べると短めの設定になる。詳しくはこちらから。

「クアントマニア」という言葉の意味と、過去作に見る各キャラクターと量子世界の関係の解説&考察はこちらの記事から。

 

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ホリデー・スペシャル』のネタバレ解説はこちらから。

ドラマ『シー・ハルク』最終話で残された9つの謎はこちらから。

MCUドラマ『ウェアウルフ・バイ・ナイト』のネタバレ解説はこちらから。

11月11日(金)公開の映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の予告編解説&考察はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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