ネタバレ考察 アノ人の今後は?『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』サプライズはあの作品に繋がる? | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ考察 アノ人の今後は?『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』サプライズはあの作品に繋がる?

© 2022 Marvel

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』アノ人に注目

MCU映画30作目にして、フェーズ4の映画作品としては最終作となる『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』が2022年11月11日(金) より公開。『ブラックパンサー』(2018) 以来のシリーズ最新作でもあり、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) 以来、初めてティ・チャラのその後が描かれる。

一方、ワカンダ自体はドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) やドラマ『シー・ハルク』(2022) でも物語に絡んでおり、MCU内で存在感を示してきた。『ワカンダ・フォーエバー』では、そのワカンダをめぐってある人物の登場がカギになる。今回は、その人物の登場が意味することと、今後の展開について考察してみよう。

なお、以下の内容は『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の重大なネタバレを含むので、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の内容に関するネタバレを含みます。

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ヴァル登場が意味するもの

CIA長官になったヴァル

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』におけるサプライズの一つは、“ヴァル”ことヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌの登場だった。ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』第5話で初登場を果たし、映画『ブラック・ウィドウ』のポストクジレットシーンにも登場したヴァルが、初めて映画本編で主要なキャラクターの一人として登場したのだ。

ヴァレンティーナはこれまで、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』で二代目キャプテン・アメリカことジョン・ウォーカーをUSエージェントとしてリクルートし、『ブラック・ウィドウ』でエレーナ・ベロワにホークアイ抹殺の任務を言い渡していた。ドラマ『ホークアイ』(2021) ではエレーナがこの任務に取り組む様子が描かれている。

一人でリクルート相手に会いに行き、直接話をする姿からは“エージェント”という雰囲気が醸し出されていた。それに、ギャラ交渉をするエレーナに対しては自分の報酬も上がってほしいと思っていると話し、所属する組織のバジェットに限界があることも伺わせていた。『ホークアイ』に登場したエレーナは、レッドルーム時代に使っていた武器をそのまま使用しており、“組織”のバジェット不足を感じさせた。

しかし、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』に登場したヴァルはCIA長官という立派な肩書きを持っていた。CIA捜査官のエヴェレット・ロスが『ブラックパンサー』(2018) 以来の再登場を果たし、新たな長官がやってきたことを示唆すると、その長官がヴァルであること、ロスはヴァルとかつて婚姻関係にあったことが明らかになった。

時系列に注目

まず気になるのはヴァルがいつCIA長官になったのかということだ。ロスの口ぶりからして、ヴァルのCIA長官就任は最近の出来事らしい。『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』では、サノスの指パッチンの後にナキアがワカンダを離れたこと、それから6年が経過したことが明かされている。つまり、『ワカンダ・フォーエバー』の舞台は2024年10月以降である可能性が高い。ヴァルが『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』でジョン・ウォーカーをリクルートしたのが2024年の4月頃。同時期に元CIAで裏社会を牛耳る“パワー・ブローカー”となったシャロン・カーターが赦免を受けて米政府内にカムバックを果たしている。

映画『ブラック・ウィドウ』でヴァルがエレーナと会話していた時期は不明だが、2024年12月が舞台の『ホークアイ』の直前であることは明らかだ(服装を見ても秋っぽい)。『ワカンダ・フォーエバー』ではアメリカの人々が春先っぽい服装なので、すでに2025年に突入していると想定しよう。

つまり、ヴァルはジョン・ウォーカーやエレーナをリクルートしている時点ではCIA長官ではなく、2025年に入ってからCIA長官の座に就いたのではないだろうか。ジョン・ウォーカーに名刺を渡した時には肩書きがなかったが、ヴァルはキャプテン・アメリカの盾の所有権についてある事情があることを明かし、政府に通じる人物であることは匂わせていた。その後、スーパーパワーを持った人々のリクルート活動が評価されたのかもしれないし、パワー・ブローカーであるシャロンの工作によってヴァルがCIA長官に就任する流れが生まれたのかもしれない。

『サンダーボルツ』への伏線か

ヴァルはタロカンを目指す?

結局、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』では、ヴァルはワカンダのスパイとして活動するロス捜査官を盗聴して泳がせた後に逮捕した。その中で、ヴィブラニウム探査機を使ったCIAチームの全滅にワカンダ以外の第三勢力が関わっていることを掴んでいる。つまり、米政府がタロカンの存在を嗅ぎつけたのだ。

『ワカンダ・フォーエバー』のラストでは、欧米諸国がタロカンに攻められる時にはワカンダがタロカンを守ると、シュリが宣言した。ヴァル率いる米CIAが海底にヴィブラニウムを持つタロカンに手を出そうものなら、ワカンダ&タロカンvsアメリカ合衆国の戦争に発展しかねない。

このストーリーラインは、映画『サンダーボルツ(原題)』への伏線だと考えられる。『サンダーボルツ』は、原作コミックに登場するスーパーヴィランチームを中心に据えた映画で、2022年9月にD23 Expoの場でキャストの発表が行われた。サンダーボルツメンバーにはヴァルことヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌもおり、ヴァルがリクルートしたジョン・ウォーカーやエレーナも含まれていた。

CIA長官となったヴァルがワカンダやタロカンを目指すとすれば、少数精鋭で動けるサンダーボルツを率いて隠密行動に出る可能性もあるだろう。MCU内でも物理系では最強レベルの力を持つネイモアだが、超人血清を打っているレッド・ガーディアンやUSエージェント、ウィンター・ソルジャーといった面々がチームとして動けるなら十分に戦えるはずだ。

バッキーとワカンダ

サンダーボルツにとっての問題は、「チームとして動けるなら」という留保がつく点だ。なぜなら、サンダーボルツは一つの信念のもとに集まったヒーローではなく、それぞれが金で雇われた傭兵チームのように見えるからだ。特に、チーム内でも最強と考えられるウィンター・ソルジャーことバッキー・バーンズは、ワカンダに対して恩義がある立場である。

バッキーは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016) で、ヒドラの洗脳が残っている状態でスティーブ・ロジャースと共にワカンダに亡命。自ら冷凍睡眠することを選んだ。『ブラックパンサー』のポストクレジットシーンでは眠りから目覚め、洗脳が解けたことを示唆している。この時はシュリとも仲の良い様子を見せていた他、「ホワイトウルフ」というワカンダでの新たな名前をティ・チャラから授かっている。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) ではバッキーはヴィブラニウム製のサイバネティックアームを授けられ、サノス軍と戦った。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』では、バッキーは『アベンジャーズ/エンドゲーム』での戦いが認められて恩赦を受け、ニューヨークに住んでいる。

その後、超人血清を再生産するフラッグ・スマッシャーズを追うためジモを脱獄させるが、ワカンダはティ・チャカの仇であるジモの引き渡しを要請。代表としてバッキーに接触したドーラ・ミラージュのアヨはバッキーに8時間の猶予を与えるが、バッキーはそれを守ることができず、ドーラ・ミラージュと戦闘になるとジモを逃してしまった。なお、かつてアヨがバッキーに付き添って洗脳を解いたことも明かされている。

最終的にバッキーはジモをアヨに引き渡すことができたのだが、その際、アヨはバッキーに当分ワカンダに来ないように言い渡している。ティ・チャラが亡くなってから1年後を描く『ワカンダ・フォーエバー』の舞台が2025年春だとすれば、2024年4月が舞台になっている『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の時期は、ちょうどティ・チャラが亡くなった直後の時期にあたる。前々国王の死と前国王の死が絡むセンシティブな展開を踏まえてバッキーに距離を置くよう忠告したのかもしれない。

ロスもキーパーソンに?

バッキーはワカンダに恩義しかないように見えるが、それを突き崩す要素があるとすれば、エヴェロット・ロスの亡命だろう。ロスもバッキーと同じく『ブラックパンサー』で負傷した際にワカンダで治療を受けたためワカンダに恩義がある。『ワカンダ・フォーエバー』のラストでは、ロスはヴァルによる逮捕後にオコエによって救出され、ワカンダに政治亡命をしたと思われる。

だが、そのロスとバッキーの間には因縁がある。『シビル・ウォー』でバッキー捕獲作戦の指揮を取ったのがエヴェレット・ロスなのだ。世間的には女王ラモンダの死は内乱によるものと考えられており、シュリも王の座につかずにワカンダを離れたように見える。バッキーは王族の死が相次ぐワカンダで内乱が起きており、しかもかつて自分を追い詰めたCIA捜査官がスパイとして活動した後、今までの王家が去った現政権下に亡命したと考えれば、“現在のワカンダ”に立ち向かう理由は揃ってくる。

だがそうなると、バッキーとワカンダの対立というかなり哀しい話になってしまうことは確実だ。バッキーがアヨに依頼して新スーツを作ってもらったサム・ウィルソンの新キャプテン・アメリカの介入に期待するしかないだろうか。CIA長官としてのヴァルの再登場によって、またも雲行きが怪しくなってくるMCUフェーズ5。今後の展開からも目が離せない。

追記:ライアン・クーグラー監督は、当初の脚本ではヴァルの更なる活躍を予定していたことを明かした。詳しくはこちらから。

映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は2022年11月11日(金) より、全国の劇場で公開。

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』公式サイト

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のサントラは配信中。CDは11月18日発売。

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アナログレコード版は2023年2月3日(金)発売予定で予約受付中。

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シュリがブラックパンサーになる原作コミック『ブラックパンサー:黒豹を継ぐ者』は中沢俊介による翻訳が発売中。

 

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ラストのネタバレ解説はこちらから。

シュリがブラックパンサーになった経緯と製作陣&俳優が語る裏側はこちらの記事で。

ネイモアの過去とタロカンの歴史についてのネタバレ解説はこちらから。

アイアンハートことリリ・ウィリアムズの描かれ方と今後についての解説はこちらの記事で。

エムバクはワカンダの王になったのか、演じたウィンストン・デュークが明かした答えはちらの記事で。

 

プロデューサーが語ったヴァルの人物像はこちらから。

発表されたサンダーボルツメンバー7名のまとめはこちらの記事で。

 

製作陣が語ったネイモアの人物像はこちらから。

製作陣の音楽へのこだわりについてはこちらの記事で。

前作『ブラックパンサー』で流れた音楽の歌詞を含む全曲の解説はこちらの記事で。

 

映画『ソー:ラブ&サンダー』ラストとポストクレジットの解説はこちらから。

映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』ラストとポストクレジットの解説はこちらから。

ドラマ『シー・ハルク』ラストの解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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